頬がジンジンする。家までの道のりをただただ落ち着こうと思って歩いた。携帯電話はメールや電話で鳴りっぱなしだけど、見る気になれなかった。家に着くと少し気持ちが落ち着いてきたのでメールを見ると、タクヤさんからの謝罪メールが何件も入っていて内容は「殴るつもりはなかった」、「もう二度としない」、「お前を失いたくない」などなどであった。なんだか内心ホッとした。殴られて当然だとか言われたらどうしようかと不安だったし、酒が入ってのことだったのに僕も過剰に反応し過ぎた気もしたから。家の近くまで来ているというタクヤさんとすぐに会うことにし、タクヤさんは殴ったこと、俺は最近友達を優先しすぎたことをお互いに謝って仲直りした。でもここでタクヤさん殴ったことについてキチンと話し合って
おくべきだったのかもしれない。
それからというもの、なにか二人の間にもめ事があるたびに僕はタクヤさんに殴られるようになった。だんだんとそれはエスカレートしていって、暴力と呼んでもいいぐらいになっていた。タクヤさんは殴っている最中「お前が悪い」、「早く謝れ」など怒りに任せて罵倒し、怒りがおさまると最初に殴った時のように謝罪を繰り返した。もめ事の理由は様々だったが今思うと、僕がタクヤさんを優先しなかっ時によく殴られた。だんだんと殴られることが当たり前のようになり、僕のなにかもおかしくなり、「殴られている間我慢すればタクヤさんは優しくなるし、僕が悪いから彼は殴る」という考えに捕らわれて、殴るタクヤさんに抵抗できなくなっていく自分がいた。
続きます。