次の日、タクヤさんと会った。タクヤさんはいつも通りだった。大学はどうとか、自分の仕事は最近どうとか少し上機嫌で話す。僕もできるだけいつも通りを演じる。そして、ゆっくり話そうと人気のない駐車場に車を停め「この前電話に出たの○さんだから、お前聞かないってことは気にならないの?」と言われた。「気になるけど、今日話すって言ってたし、話すの待ってた」と答えた。
するとタクヤさんは僕の予想をはるかに超える話をしだした。
「○さんとは体の関係が長いことある。俺があの人と寝てればお前はあの人と浮気とかできないだろ?でも、あの人この前電話にでちゃってお前も浮気とか気づいただろうし、妬かないで平然としてる今日のお前見てなんか反省する気もなくなったよ。逆になんかイライラしてきた」と言って、いつもの通り僕を殴り始めた。
僕は殴られながら、僕の中でなにかが壊れていくのを感じて気づけば「別れよう」と口にしていた。それを聞いたタクヤさんは「俺がお前のことどんなに考えているのかわからないのか」「お前はいつになっても俺のものにならない」等々叫びながら車から僕を引きずりだしてただひたすら殴った。どれくらい経っただろうか、僕は抵抗できないまま殴られ続けた。タクヤさんは冷静でいられなかったのかその日は顔も殴った。僕に馬乗りになり息が上がったタクヤさんを僕はきっとこのまま殺されると思い見上げたのを覚えている。「ちゃんと考えろ」僕に吐き捨てタクヤさんは、車に乗り込み僕を残してその場を去っていった。
薄れていく意識の中で、僕は友達にHに今いる場所を電話で伝え、意識は飛んでしまった。次に気づいた時僕は泣いているHに抱き抱えられていた。「なんでもっと早く助けを呼ばないの。こんなにボロボロになって。」と言いながらHは泣いてた。僕はさっきの出来事は本当にあった現実なんだと改めて思った。
Hは僕を病院に連れて行き、ゼミ仲間の一人暮らしの部屋へ僕を寝かせた。部屋の主も何も聞かないで僕を受け入れて、僕は少しホっとしたのか、Hとゼミの友人の話し声を聞きながら眠った。
続きます。