今回の編集分が長かったので、2回に分けました。
意外と書いちゃって、55回での最終回はちょこっとだけ延びるかも知れません。
卒業旅行の事も、就職後の事も、もう少し展開があるんで、長くなりそうですけど、最後までお付き合い頂ければと思います。
<続き>
追加の餃子とラーメンを平らげて、満足気に店を後にして軽く散歩する事にした。
腕時計を見るともう21時近く。ちょっと寒さもあるが、街にはかなりの数の人たちが歩いてた。
霧「ぼちぼちネットカフェも探そうな。」
俺「うん。」
きいちゃんの隣を付かず離れずの距離で寄り添いながらぶらぶら歩き、ネットカフぇ的な場所を探した・・・が・・・。
ネットカフェが・・・無い・・・!
いくら探しても、自遊空間も快活CLUBもMANBOOも何もない!
霧「・・・どーする・・・?」
俺「・・・どーするって・・・。」
ネットカフェくらいあると思ってたのに・・・無計画の宿泊プランはあえなく玉砕・・・!
霧「酒飲んじったから車乗れないし・・・」
俺「・・・ゴメン・・・俺が泊まろうなんて言ったから・・・」
霧「え!?いやいやゆうは悪くないよっ^^; ダイジョブだからな。」
俺「・・・ごめん・・・−_−」
霧「ダイジョーブ^^; どこか泊まるところはあるよ。」
俺「・・・うん・・・。」
結局・・・シティホテルのダブルルームに泊まる事になった・・・2人で1泊8000円・・・痛い出費だ・・・。
霧「何とか寝床見つかったな・・・^^;」
俺「うん・・・ホントゴメン・・・。」
霧「良いって^^ お前は悪くない^^ 俺も泊まるのに大賛成だったんだから。」
俺「うん・・・」
霧「ほら・・・俺ゆうの笑顔見たいなぁ^^ 眩しい笑顔が見たいなぁ。」
ちょっと罪悪感を感じていた俺も、きいちゃんが必死になだめてくれたおかげで、やがていつもの笑顔に戻ったみたいだ。
霧「あ、ゆう、洗ったパンツある?」
俺「え、バッグに入ってるけど。替える?」
霧「うん。つか軽くシャワー浴びよっか。」
俺「良いよ。」
ラブホテルで入ったけど、まあ寝る前にもう一度さっぱりするか。ワックスもついちゃってるし。
パパっと服を脱ぎ、簡単にシャワーを浴びて、洗ったパンツとシャツを着けて、TVをつけながら色々談笑し、キスなんかしたりしてベッドの中でイチャついた。
霧「ゆう。」
俺「なあに?」
霧「俺達ってホントにラブラブしちゃってるよな*^^*」
俺「プッ*^^* そうだな。」
ホントにラブラブしちゃってるよな。
霧「そういやさ、俺聞いた事あったっけ?」
俺「何を?」
霧「ゆうが何で男に目覚めたかって。」
俺「え・・・う〜ん・・・多分話した事ないかもな。」
霧「聞いても良い?」
俺「ん・・・どーしよっかな・・・。」
霧「無理にとは言わないよ^^」
俺「・・・いや、話すよ^^」
俺はきいちゃんには俺の事をすみずみまで知っててほしい。
そう思っていたから、話す事にした。
=====
自分のセクシャリティがゲイと自覚したのが中3の時。
修学旅行で大浴場に行った時、同級生の裸を見て興奮を感じたのがそもそもの始まりだった。
あの時は焦った。
それまで色恋沙汰に興味があまり無かったから、自分の恋愛対象が男なのかって戸惑いを隠せなかった。
同じ学年の一番可愛い女の子の裸を想像しても一切勃たないのに、あの裸の同級生達の群がる大浴場の光景を思い出すと勃って興奮してた。
それで自覚したんだ。
高校に上がってからも、勉強と陸上に専念していたが、その頃になるとアナルオナニーを覚え、ゲイビデオを覚え、どんどん同性愛の世界に入って行った。
彼氏を作らなかったのは、好きな人が見つからなかったからって訳じゃないけど、心のどこかでまだ自分がゲイだって認めたくなかったからだと思う。
=====
霧「結構悩んでたんだな・・・。」
俺「それなりにね。でもお前に出会ってから変わったんだよ俺。」
=====
大学に進学した4月の中頃。
大きな講堂での授業前。
数人の友人は出来たけど、その授業は誰も取っていなくて、一人真ん中の後ろに座って携帯をいじってると、急に隣の人が話しかけてきたんだ。
「あのぉ〜・・・。」
「・・・え・・・自分ですか?」
「あ・・・はい・・・アハハ^^; あの、実は自分、まだ教科書買ってなくて・・・良かったら今日だけ見せてくれませんか?」
「良いですよ^^;」
「あ・・・ありがとう^^ あ、自分池上って言います。」
「あ・・・池上君。自分は里中です。^^」
「よろしく、里中君^^」
「こちらこそ。あの、下の名前は?」
「キリトって言います。」
「キリト?どう書くの?」
「あめかんむりの霧に、北斗七星の斗。」
これが霧斗改め、きいちゃんとの出会いだった。
「へぇ〜。何かすごくいい名前。^^」
「里中君は?」
「ユウタ。悠々自適の悠に、太いって書きます。」
「じゃあ・・・悠太くんって呼んで良い?」
「え・・・いきなり^^;」
「ダメ・・・だった?」
「え・・・いや、全然良いよ^^ じゃあ君のことも霧斗君って。」
「良いよ^^」
多分その時すでに俺は、きいちゃんに惹かれていたと思う。
笑顔で話すきいちゃんのその顔がまず俺のタイプど真ん中。
そして友人として付き合うに連れて、彼の柔らかで優しい人格にどんどん惹かれ、5月に入る頃には完全にきいちゃんに惚れていた。
とにかくきいちゃんの全部が好きだった。
でも彼は既に彼女がいたし、第一男を恋愛対象に見てくれるなんて思えなかったから、親友として接していくしか、きいちゃんのそばにいられる方法が思い浮かばなかった。
そんな高嶺の花だったきいちゃん。
でもきいちゃんを好きになった事で、俺はゲイなんだってしっかり認める事が出来たんだと思う。
=====
俺「きいちゃんがあの時教科書持ってたら、こんな関係になれなかったと思うんだ。」
霧「でもどっかで会って仲良くなってたかもだぞ?」
俺「いや、俺、あの時きいちゃんが教科書持ってなかったのは神様が俺にくれた最高のきっかけだって思ってる。」
霧「なるほど・・・。」
俺「あ、あと、今なら正直に言えるけど、俺きいちゃんのチンコ舐めた事あるんだ。」
霧「んえ?!いつ?!」
俺「オナニー事件の時。お前がオナって爆睡してた時、精子まみれのお前のチンコ舐めながらもう一回オナったんだ。」
霧「マジか・・・」
俺「引いた?」
霧「・・・いや、引いては無いけど・・・いきなりのカミングアウトでビビった^^;」
俺「キスもした。」
霧「うへぇ・・・!?」
俺「俺が法事で浜松に帰った事あんだろ?あの夜酔っ払って爆睡してる時に思わず。」
後で思った。
何で俺こんなにバカ正直にぜーんぶ暴露したんだろうって。
きっと・・・飲みなれないビールのせいだ・・・。
霧「もう・・・カミングアウトない?」
俺「ん〜・・・うん。これでない。」
霧「そっかぁ・・・でもそれだけ俺の事好きだったんだな・・・。」
俺「うん。メチャクチャ好きだった・・・。でも告ったらお前と親友でいられなくなりそうだったから・・・。」
霧「そっか・・・でもあの日な。」
俺「ん・・・ああ・・・あの日な。」
霧「もしあの日宅飲みしてなかったらどうなってたんだろうな・・・。」
俺「多分・・・大学卒業してもそのままだったかもな・・・。」
霧「かもな・・・。」
俺「つかもうイフの話やめよ^^;」
霧「イフの話・・・?あ、イフってもしもって意味のやつか。」
俺「ほんっと外国語は頼りないなー^^;」
霧「うるせ^^;」
全てを洗いざらい話して、全てすっきり。
もしもとかもう良い。
だって、現実は、今のこの状態だもん。
霧「最後にもう一つイフの話していい?」
俺「・・・良いけど。」
霧「もし・・・今お前にディープキスしたらどうする?」
俺「え・・・もしって・・・そのまま・・・俺もディープし返す*^^*」
その答えを聞いたきいちゃんは、俺の左あごに手を添えて、顔を近づけ、至近距離で俺を見つめてくる。
きいちゃんの目には強力な眼力があるんだ・・・。
見つめられるだけでドキドキして、吸い込まれそうになる・・・。
霧「ドキドキするよな・・・。」
俺「うん・・・。」
次の瞬間、きいちゃんは俺の唇を奪ってきた。
俺もきいちゃんの唇を吸って、入ってきた舌を俺の舌で応じる。
時間をじっくりかけて、お互い無我夢中でねっとりとキスをした。
霧「ハァ・・・」
俺「ンハァ・・・」
霧「愛してるよ・・・」
俺「俺もだよ・・・」
小さな会話を挟んで、また俺たちはディープキスの続きを嗜んだ。
=====
たっぷりとキスをした後、2人ともそのままエッチに進もうかと考えていたけど、夕方頃ラブホであれだけ愛し合った後って事もあり、その時激しく使いすぎたせいで2人ともモノが少し痛くなってたし、結局キスを少しずつ緩めながら、ムラムラした気持ちも少しずつ緩めていった。
霧「ふぅ・・・何とか収まったか・・・」
俺「さっき激しくヤリ過ぎたよな・・・^^;」
霧「うん・・・^^; あ〜あ・・・高校生のつもりだったんだけどなぁ・・・^^;」
俺「多分そろそろ卒業式だよ^^ ほら、時期的にもぴったり。」
霧「ハハハハハハハハハハハッ!!ウケる!!」
俺「ハハハハ^^ つーことで、もう大学生だな^^」
霧「東大か?^^」
俺「う〜ん・・・ハーバード^^」
霧「うわメチャエリートじゃん!よ!よく頑張った!」
俺「何パンツめくってんだよっ^^;」
霧「だって俺達のムスコはエリートだぜ^^」
俺「ハイハイ^^;」
下らない会話で盛り上がるあたりは、まだ中学生だけどね。
俺「そろそろ寝る?」
霧「ん、ああもう12時近いんだな。眠い?」
俺「だいぶ^^;」
霧「じゃあ寝よう^^」
きいちゃんはベッドから飛び降りて部屋の電気とTVを消し、またベッドに飛び乗った。
霧「何だか旅行気分^^」
俺「ンフ^^ そうだな。」
霧「オヤスミ。」
俺「オヤスミ。」
寝る前のキスをして、俺はきいちゃんに抱かれる様な感じで眠りに落ちた。
<続きます。>