翌朝。
6時過ぎに起きて支度をして、余裕を持って出る事に。
俺「じゃ行って来る^^」
霧「ん〜・・・いってらっしゃい^_− 頑張って来いよ。」
俺「分かってる。合否が出たら電話するから。」
霧「必ずな・・・^_−」
寝ぼけ眼のきいちゃんにキスして、俺は家を後にした。
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電車とバスを乗り継いで、幕張にある免許センターに着いた。
案の定人が多い。
これ皆試験受けに来てんのかな・・・?
大勢の人の流れに沿って、建物に入り、手続きを済ませて試験会場に入る。
周りの人はみんなギリギリまで教本とかガン見してるけど、俺は座って何もしない。
昔から試験直前は復習しないって決めてたから。
しない分前日までにしっかりと頭に叩き込むんだ。
そのおかげか分からないけど、今までそつの無い成績で無難に学生やってこれてた。
きいちゃんはと言うと、本当は東大に行けるんじゃないかって程頭が良いはずなんだけど、英語が思いっきり足引っ張ってたせいで、最後まで学力考査で東大は難しいって判定されちゃったらしい。
それでも必死に勉強して、六大学のうちの一つに無事合格。
今思うと、もしきいちゃんが英語もカンペキだったら、東大に行ってたかもしれないし
そうなってたら俺ときいちゃんが出会う事も無かったんじゃないかなって思えたりする。
俺は東大に行ける器じゃないし。
余裕を忘れずに静かに座ってるうちに、席も全部埋まって、係の人が試験の準備に入っていた。
いよいよ・・・本番。
きいちゃん・・・俺合格するから・・・。
ポケットの中のお守りを握りしめて、深呼吸。
係「はじめ!」
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無事に試験が終わった。
発表までに時間が空くらしいから、俺はセンターの中の食堂で、たまごサンドを食べながら息抜き。
電話するのは周りに迷惑っぽかったから、きいちゃんとメールする事にした。
【無事終わったよ^^】
【お疲れ〜^^ 合格した?】
【まだ分かんない^^; 発表まだだもん。】
【手ごたえは?】
【ん〜・・・どうかな?】
【お前がどうかなって言う時は合格してる時だ^^】
【そんな法則あんのかい^^;】
【俺はお前の全てを知る男^皿^】
【(笑) でもこれで不合格だったらまた明日ここ来なきゃ・・・】
【明日来る事は無いよ。だって受かってるもん^^b】
【そう信じたいよ〜−_−】
【ほら、ネガティブゆうたは嫌いだぜ^^】
【う〜・・・分かったって。受かってる受かってる受かってる!】
【そ。受かってる受かってる受かってる♪】
【お昼食った?】
【まだだよ。ゆうは?】
【たまごサンド^^】
【それ好きだなぁお前^^;】
【ほっとけって。きいちゃんはツナサンドだろ?^^】
【うん。ツナサンドマジウマいっす^皿^】
【昼飯ツナサンドにすれば?】
【そーすっかな^^ きゅうりあったっけ?】
【日曜3本買ったよ^^】
【さすがはゆうちゃん♪】
ややネガティブ方向にバイアスがかかってた俺だったけど、きいちゃんとのメールでポジティブ方向へと気持ちが持ち直してきた。
サンドイッチを食べながら、発表の時間までずっときいちゃんとメールしてたのは言うまでもない。
【じゃそろそろ発表時間だから一旦切るね。】
【はいは〜い^^ 良い知らせ待ってる^^】
【分かった^^ じゃ後で電話するね。】
【OK♪】
一口残ったサンドイッチを放り込んで、缶コーヒーを飲みほした俺は、売店の外にある電光掲示板の前へと向かった。
=====
たっくさんの受験者が群がる電光掲示板。
合格者の受験番号だけが光るらしい。
周りの人もそうだけど、やっぱり俺もソワソワしちゃう。
きいちゃんは絶対受かるって言ってくれてるけど、さすがに神様じゃ無いから100%とも言えないし・・・
いや、でもポジティブゆうたで居るって決めたんだし、最後まで自分を信じよう。
アナウンス「お待たせしました。今から発表致しますので、前方の掲示板をご覧下さい。」
いよいよだ・・・。
発表のアナウンスが終わるとほぼ同時に、電光掲示板が光った。
ところどころ虫食いになってるのは、不合格者の人だろう。
そんな事をふと思いながらも、俺の目は自分の番号が光を灯してるのかどうか一生懸命探した。
そして・・・
俺「ああ・・・!!」
俺の番号。
ちゃんと光ってた・・・!!!!
心の中で思いっきりガッツポーズを決め、ピョンピョン飛び跳ねた。
これで正式に免許が交付される!!
すぐさまきいちゃんに電話した。
霧「おめでと〜♪」
俺「んえ?」
「もしもし」でもなく「はいは〜い」でもなく、いきなりの「おめでと〜」でちょっとだけ拍子ぬけしちゃった^^;
霧「んえって、受かったろ?」
俺「え・・・あ!そう!受かった!」
霧「おめでと〜!」
俺「ありがと〜!」
霧「いやぁマジで良かったなぁ♪」
俺「うん^^」
電話越しのきいちゃんの声は、あの時と同じだった。
教習所の卒業検定の時。
この時も、まるで自分の事みたいに喜んでくれた。
=====
発表の後、視力検査に写真撮影にと色々忙しい手続きを済ませて、さっきの試験会場にまた通された。
何をするのかと思っていたら、これからの交通安全とか、ドライビングマナーとか、教習所で言われたのとほとんど同じお説教。
一応真面目に聞いたけど、かなりの早起きでちょっと疲れを覚えてた俺は、途中何度かぼーっとして話に集中できなかった。
うわの空な俺は、ふと思った。
仕事始めまであと1ヶ月くらい。
4月までの間、きいちゃんは帰省するのかな・・・。
もししないんなら・・・大学生最後の旅行に行きたいなぁ・・・。
他の友達は、俺が免許合宿中の期間に行ったみたいだし。
きいちゃんも誘われてたけど、上手く断ったんだっけ・・・。
やがてその講義も終わり、順々に席を立たされて、部屋から出る直前のところで免許を渡されていく。
結構後ろの、出口より遠めの場所に座ってた俺は、しばらく身動きとれずに、早く順番が回ってこないかヤキモキ。
そしてやっと俺の番がきて、荷物を持って出口に近づいて、係の人から新品の免許を受け取った。
係「おめでとうございます。」
俺「あ、ありがとうございます。」
ドアをくぐって、その免許をじっくりと眺める。
写真も特に問題無い。きいちゃんのみたいな半目開きじゃなくてホッとした(笑)
腕時計を見たらもう3時も近い。
免許センターは1日かかるとか母さんが言ってたけど、まさにその通りだった。
「合格したら魚民で乾杯」ってきいちゃんが言ってたけど、どうすんのかな。
プルルルルル・・・
霧「お疲れさん。」
俺「ん〜マジ疲れたぁ。」
霧「もう免許もらった?」
俺「うん。無事に貰えたよ〜。写真も問題無いし。」
霧「それ遠まわしに俺の免許の事言ってるよな・・・」
俺「アハハ^^ ごめんなさい♪」
霧「ケッ!後で絶対いじってやる・・・!」
俺「まあまあまあまあ・・・^^;」
霧「あ、でさ、今日魚民で乾杯するっつってたろ?」
俺「うん。言ったね。」
霧「どーする?一旦家戻ってくる?」
俺「あ〜・・・でも帰ったら出かけるのメンドくなりそう・・・」
霧「まぁそうなるわな^^; ん〜・・・じゃあ駅前でとりあえず待ち合わせて、ブラブラしてからお店行こっか。」
俺「ん〜、そうだな。その方が良い^^」
霧「分かった。じゃあ船橋駅に着いたらまた電話して。俺もぼちぼち支度すっから。」
俺「りょーかーい♪」
安ど感から疲れも出てたけど、後できいちゃんに思う存分癒してもらおっと♪
<続きます。>