夜中の2時。
DVDを見終わって、動画サイトでおれらのやっているスポーツの動画を見ながら話をしていた。
すると隣でテツがもそっと動く音がした。位置的には壁ぎわに布団。
おれがテツの頭のすぐ横で壁にもたれて座っている。
“こいつ”はテツとPCの間に座っていた。
「おはよ(笑)」
むくりと起き上がり、挨拶をしたおれを見て、次に“こいつ”の存在に気付き、そっちに目をやる。
そして、しばらく視線はそのまま固まっていた。 ん?どうした?
“こいつ”もあいさつをしたのに、凝視をされてちょっと戸惑っている。
「・・・?・・・今何曜日?・・・ですか?」
「土曜の午前2時だよ。大丈夫?」
「うん・・・あー・・・。」と言って思い出したのかうなだれる。
「あの、迷惑かけてすいません。」
「いや、良いよ(笑)ってか酒飲まされたん?」
「はぁ・・・まぁちょっと・・・(苦笑)」と頭が痛いのか浮かない顔。
「水飲む?」
「いや自分でやります。とりあえず、ほんとすいません・・・。」
「いや、良いって(笑)なんか初めてルームシェアっぽくて面白かったし。」
俺がそう言うとテツは少し困ったような顔をした。あれ、なんかいけないこと言ったかな。
「おれ、その、寝言とか言ってなかったですか?」
「途中なんかむぐって言ったけど、それ以外は・・・。」
「そ・・・か。」と言ってやや沈黙。
その後テツはもう一度謝罪とお礼を言って自室に帰っていった。
部屋を出る際、全身鏡で髪をくしゃっと直していく所に、初めてテツに若者っぽいところを感じた。
その間おとなしく“こいつ”は見ていたが、部屋を出て行った瞬間、
「いや、マジで男だったんだな。」
「だから言ったろ。」
「うん、でもなんか、思いっきり高校生じゃん。なんでこんなとこで一人暮らし?ルームシェア?」
「だからそれは聞けねんだって。」
「ふーん。」と、納得していないが好奇心で満ち溢れている目。
「とりあえず、わかったろ。」
「うん。」
おれは話しながらも、テツは未成年なのにあんな飲ませるなんて上司もしっかりしろよ、とか、異様に軽かったこととか。体重気になるけど、これも聞いちゃいけないのかなぁ、など色んなことを考えていた。
次の日おれらが起きたらテツはもういなかった。