Rai☆さん、いえいえ、コメントしていただけるだけで嬉しいです。
何度も読み返す。何度も。でも、どうしても信じられなかった。手紙の内容は、多分本当のことだろう。でも・・・・
なんて、あーでもない、こーでもない、もしかしたらこーか、いや、あーかな、などと、頭の中で考えてたら、手紙を読んでから一時間以上経っていた。
自分で考えていたって先に進まない。意を決して書かれている番号を打つ。電話をかけるボタンを押せばつながる。和広に。
ドラマっぽくなっている自分に気付いて少し笑えた。
そして
電話をかけた
電話をかけ、コール音が聞こえる。一回、二回、三回、四・・・
和「もしもし?」
和広の声が聞こえた。
いつも聞いてたあの声が。
あれから聞こえなかった和広の声が。
あまりの緊張からか声がでない。
和「もしもし?」
本物だ。
和広だ。
やっと聞けた。
ものすごく辛かったこの出来事でも、涙を流すことはなかったが、自然と涙がでてきていた。それも、すごい勢いで。
和「もしもし?どちらさまですか?」
耳元で聞こえる声に、早く応えないと、と思ってでた言葉が
俺「・・・もしもし・・・」
至って普通。だって、もしかしたら違うかもしれない。泣き声で話したら間違い電話に思われるかもしれない。
感情は高まっているけど、どこかしら冷静な自分がいた。
和「はい、あの、失礼ですが、番号を登録していなかったみたいで」
和「申し訳ないんですが、お名前を教えていただけますか?」
俺「・・・・拓也・・・だけど・・・」
和「え?・・・・拓也??・・・本当に?え?え?拓也?」
かなり天パっている様子。
俺「そう。」
と、応えるなり、電話の向こうから泣き声らしき声が聞こえた。
和「・・・もう・・・・・・ほんと・・・・・ごめ・・っん・・・」
泣き声がはっきり聞こえた。同時に俺は大人になって初めて声を出して泣いた。
俺「俺の方こそごめん」
和「・・・・・・・・・・それより今家か?手紙読んだから家だよな?」
俺「うん」
和「今すぐ行く。お願いだから家にいて」
俺「え?」
和「いいから!すぐ行くから」
そう言ってすぐに電話が切れた。
和広が来るまでの間、嬉しい気持ちと不安な気持ちでいっぱいだった。どうしても早く会いたくて、すぐに家をでて、駅に向かった。
しばらく待っていると、一本の電車が。さっきから電車が来る度に一喜一憂していた俺も、どことなく落ち着いていた。電車が着いてすぐに、誰かがものすごい勢いで走ってきた。
和広だ。
その表情は真剣そのもの。階段を一気に跳ばし、俺に気付かず走り去ろうとしていた。
俺「和広っ!!」
と呼びかけるとその足を止め、こっちに振り向いた。俺に気付いた時のその顔は、はちきれんばかりの笑顔で俺が一番好きな顔だった。
電車に乗ってた人も次々に降りてきたが、そんなのおかまいなしに俺に飛びついてきた。一瞬、「恥ずかしい気持ち」と「バレたくない気持ち」がよぎったが、そんなのはすぐに消えた。
大きい声で
和「会いたかったーーーーー!!!」
普段ならすぐに口を押さえるが、もうどうでもいい。今はこの瞬間がとても気持ちいいから。
俺「俺も・・・」
と一言つぶやき、和広以上の力で抱きしめた。