帰り道、空はもう暗くなっており、星がキラキラと輝いてた。星をボォーと見ながら、歩いて、大きく口を開ける。あくびが出て、少しよろける。目を開けると突然、目の前が明るくなった。
俺「うわっ!」
車の急ブレーキの音。俺は突然の事でただただ目を瞑る事しかできなかった。体にまったく衝撃がない。恐る恐る目を開けると車はスピードがそんなに出てなかった事もあり、俺とぶつからず止まっていた。その車の運転席から、誰かが降りてくる。
男「なにしとるんじゃボケ!」
俺「あっ!ホントにごめんなさい。」
男「死にたいんか!」
俺「あくびをしてたら、よろけてしまって…。」
俺はビクビクしていた。死なずにすんで運がいいのか悪いのか…運転席から降りてきたのは、いかにもヤンキーな人だった。【この人の方が怖いよー】と内心思いつつ、俺はその人に5分近く、怒鳴られてた。すると、また、ドアが開いて締まる音。【うわー…また誰かくる】と思いつつ、助手席から出てきた人が近付いてくる。
男2「まーまー!車もどうもなってないし、その辺にしてやりー。君もごめんな。こいつ、短気やから!笑」
そう言いながら、助手席から降りてきた人が運転手をなだめる。助手席の男の方が年上なのか、運転手の人は「すいません」と言いながら、頭を下げてた。
男2「まー遅いんやし、気をつけてな!もう行って大丈夫やけ!」
その人は笑顔でそう言ってくれた。俺は「ごめんなさい」とその場をあとにした。ヤンキーに絡まれたと言うドキドキが収まらず、家まで心臓が慌ただしく動いていた。それとは裏腹に、あの助手席の男の人の顔が鮮明に頭に残っている。細くはないけどしゅっとした切れ長の目と形のいい鼻と最後に見せた笑顔の時に見えた八重歯。俗にいうイケメンだった。
俺はまだその人のせいで、なかなか心臓が収まらないという事をその時はまだわからなかった。