続きです。
うちの個別指導塾の授業は、仕切り壁に向かった長机に椅子が3台並び、真ん中に先生、両側に生徒という、よくあるスタイルである。
たまたま、生徒がいなかったので、トシとの授業は1対1。
ずーーっと、2人きりみたいなもんである。
入試対策でバリバリ演習させた問題の解説を入れる。
「江戸の三代改革は?」
じーーっと、答えるまでの間、空を見ながら悩むくりくりの目を横から見つめる。
「えっとー、享保、寛政…あとひとつはーーっ」
悩みながらトシは僕の目を見た。
パチッ。
見つめ合う二人。
赤くなりそうなので、目を背けながら答えを言う。
質問するたびに、こうやって目が合って、そしてドキドキする。
その後、入試模擬テストを解かせている後ろ姿を見ていたら、ふわっといい匂いがしてきた。
あぁー、この背中、飛びつきたくてドキドキ。
これって、フォーリンラブですか??
某漫画のセリフが浮かんでくる。
ぼくは、トシに恋していた。