りゅうじの家に着いた。両親は用事があって遠方まで行っていて、しばらく帰ってこれないらしい。部屋に入ると、かなり散らかってる。まあ、某小説の雪平夏見の部屋よりはマシだからいいか。とりあえず落ち着くと、りゅうじはさっき言いかけたことを言ってくれた。
「・・・俺、てるさんのこと、好きになったんす」
人生初の告白だった。俺はバイだから不快に思ったりはしない。だが、YESと言えない。過去のトラウマが要因となっているのだ。
「・・・」
「・・・嫌っすよね」
「そうじゃなくて・・・」
りゅうじは首を傾げる。
「俺さ、誰かと深い仲になるのが怖いんだ」
俺は裏切られることを多く経験することで、人は信ずるに値しないものだと思っていた。信じても裏切られるだけだって。そのことをりゅうじに話した。
「俺は裏切らない」
そう言って抱きしめてくれた。突き放そうと力を振り絞るが、びくともしない。
「・・・信じて」
温かい。温かくて、涙が溢れる。誰かの温もりに触れられるとは思っていなかった。だからこの時初めて知った。そしてこう思った。りゅうじが俺が信じる初めての人間にしたいと。
「・・・しばらく、このままでいて」
「・・・はい」
りゅうじはずっとそのままでいてくれた。かなり長い時間、そのままだった気がする。
「・・・条件あるんだ」
「え?」
「学校以外では、俺のことさんづけにしたり、敬語ではなしてほしくない。俺も同じようにりゅうじって呼びたいから」
「・・・わかった」
それから俺はりゅうじが作ってくれた冷やし中華を食べて家に帰った。土曜日にりゅうじの家に泊まる約束をして