ジョージ「俺があのときGたちを止めていれば、先生に言えば、カールに話しておけば、こんなことにならなかったんだ!ごめん、う、うゎーん!か・・カール、・・・ご、ごめんよー!パパさん、ママさん、ごめんなさーい!うぇーん!」
ジョージは泣いて何度も謝った。
俺「謝るな。ジョージのせいじゃないんだ。大丈夫、ジョージは、・・・な、何も、・・悪くないじゃん。だから・・・謝らないでくれ・・・うゎーん!ジョージー!」
俺も、俺の親も、ジョージも、このとき色んな思いが限界だったんだろう。気付いたらみんなで泣いてた。それからはもう大変だった。成長期に寝たきりだったわけで、骨は伸びても筋力は落ちてるからリハビリが辛かったし、約8ヶ月後には小学を卒業する年齢なのに学力は小学4年の3学期途中までしかない。ジョージから貰った大量の教科書にノートの山を読みながら学校の先生が通って病室で授業。同時にまず腕を動かせるようにすることから始まるリハビリ。でも検査や診察もあるからリハビリできなかったり授業なかったりな日も少なくなかった。「これじゃ卒業1年、最悪2年先になるんじゃ?2歳下の子と一緒の学年って、何か孤立しそう」と絶望と焦りは日に日に募る。と最初は思ったけど、それをかき消す存在がいた。それがジョージ。夕方になればほぼ毎日病室へ来ては「今日は何の勉強した?」「俺のノート見てもわからないとこあったら言って」「ここの式わかった?」「今日は社会のここ勉強しよう」「あっちまで歩いてみようか」「今日は手すりだけでここから行ってみよう」などなど、俺を気遣ってくれた。嬉しかったけど、ジョージが責任感じてて俺の世話をしてるんじゃないかって思えて、「ジョージ、無理してないか?ジョージのせいじゃないからな?」って言うと、ジョージは「カールと一緒に卒業して一緒に中学生になりたいからだ。カールと一緒に大人になるためだ。こんなこと、無理なもんか!」と答える。ジョージが助けてくれたおかげで、卒業直前に退院し「元気になって良かった」と友達に言われながら卒業式を迎え、学力も何とかギリギリ追い付き少しなら走れるくらいの体力もついた。俺はジョージと一緒に進学できた。中学入ってすぐ気付いたことがある。同じ小学校卒業の友達がいたけど、俺に対しては以前と変わらないのに、ジョージに対しては違う。冷めてるというか、雑というか、無視ってわけじゃないけど、距離とか温度差があった。ジョージに聞いても「そう?」「いじめられてるわけじゃないし」「カールが気にすることじゃないし」とはぐらかされる。だから友達にそれとなく聞いてわかったこと。あの事故の後、ジョージは友達が遊びに誘っても断り、いつも勉強に集中してたから、次第に声をかけることが減ってみんなも不必要に関わらないようになってそれが日常化したからだと知った。