俺「で、何で俺の名前がそこで出るのさ?」
マユミ「それがさ、1年にミキってコがいるんだけど、ミキが保健室で聞いたんだって」
俺「ミキ?あー、マユミと同じバスケ部マネージャーの後輩の?」
マユミ「そう!!そのコよ!!そのミキが言うんだからウソ情報じゃないわ!それでね、ミキ、部活中に具合悪くなって保健室行ってベッドで休んでたの。隣はカーテン閉まってたから誰か居るんだなーとは思ってたけど、大して気に留めてなかったのよ。で、暫く横になってたら突然隣から『カール様、カール様』って聞こえてきて、先生心配して[どうしたの?]って様子伺ったんだって。そしたらよ!『あー、雪山で愛しのカール様を呼んでた夢だから。ラクになったから帰るわ。サンキュな』って、寝起き全開の掠れた声残して保健室出てったみたい。ミキもカールのこと覚えてるし、具合悪い通り越してそっちが気になって先生にさっき出てった人誰だったか尋ねたら、なんとその正体があのライオンだったわけ」
俺「・・・それで俺の名前が。てか、カール様ってナニよ?まずそこツッコミたいわ。なんであのライオンに俺の名前、それもご丁寧に様付けで呼ばれなきゃならんの?」
マユミ「気になるよね。まあ、モヤモヤするならライオン本人に聞いてみるのが一番だけど」
俺はマユミの言葉で考えた。一応考えてみた。
でも!
俺「・・・ナイわー。あのライオンとお話、・・・・・ナイわ、絶対ナイ」
そのとき俺は大嫌いなライオンのことで頭がいっぱいで、肝心なとこ見えてなかった。思い出の箱に仕舞った、大事な約束。薄れて消えそうな記憶の片隅にあった、あの言葉。