しかし、一般的に知られているように、MSNメッセンジャーはどんどん衰退の一途をたどっていた。
その代わりにSkypeが通話・チャット系のメインになったり、Twitterが人気になったりしていたのだけど、コータも俺もSkypeは当時使おうという気持ちになっていなかった。
Twitterはお互いに始めて、フォローしあう間柄になっていたが、この頃から俺は大学受験、向こうは高校生活真っただ中とリアルで忙しくなる事情が重なっていたのもあり、あまりコミュニケーションをとらなくなっていった。
ある意味、倦怠期のようなものに入っていたのかもしれない。
大学受験が終わったらSkypeを始めて、コータにも始めてもらってまた会話でもしよう。
そう思っていたのだけど、俺は本命の大学に前期・後期共に落ちた。
そうして東京の予備校に通うために上京し、1年間予備校に通う生活が始まった。
その間は勉強漬けの日々で、携帯こそ持っていたものの寮へPCを持ち込むことは禁止されており、コータと連絡を取ることもなかなか出来ない日々が続いた。
また、そうして頑張って連絡を取ること自体、ためらいを覚えるようになった。
俺とコータは互いに親しいつもりでいたが、あくまで「ネット上の友達」だ。
恋人として付き合っているわけじゃない。
そうこうしているうちに、コータと会話する機会は更に少なくなっていった。
思えば、この時にためらいをもたず話しかけていれば、そして、強気に告白をしてしまえば良かったんだろう。