ヤスが俺と長く電話するために
LINEを始めたと言ったのだった。
ヤスはそういうアプリを使うような人ではなかったらしく
周りの人は驚いていたよ。
って楽しそうに話してた。
それからまた他愛ない会話をして、
電話もチャットも重ねていった。
途中でプリクラや写メの交換もして、
「可愛いね。」
って言ってくれたのは本当に嬉しかった。
もう俺と話す時にヤスは敬語ではなくなった。
また少し経ったある日
電話してる途中にふと思って
「そういえば、なんで最初の電話の時あんなちゃんとした敬語だったの?」
と聞いてみた。
俺はてっきり、
最初だから緊張してたー
とか
あんまり人と話すの慣れてないー
とかこういうありきたりな返事が返ってくるのだと思っていた。
そんな俺の予想とは、
はるかに違う答えがヤスから返ってきた。
「レイにさ、この前
前の彼氏は東日本大震災で亡くしたって言ったじゃんか。
レイがさ、そいつにすごい似てるんだ。
顔の写メとか見せてもらったけど、
タレ目なところとかまんまでさ。
レン(ヤスの元彼、仮名)って名前でな。
体格も一緒、部活も一緒、名前も顔も似てるし、誕生日だって一緒なんだ。
そしたらな、そしたらな、どうしてもお前と話してるうちにレンが出てきちゃってな。
すごい緊張してしまって。
何より電話の最初の一言目の言い方とか声が似てて。
緊張してしまってて。
ごめんな。
こんな話をするつもりはなかったんだがな。」
と、ヤスは泣きながら話してくれた。
自分はそれを聞いて
そんな過去があることを知らなかった
自分がこれまでしてきたさりげないことも
ヤスをつらくさせてたということを思うと
涙がとまらなかった。
それから、まだヤスの話は続いた