そっからは、コウスケ先輩のことを色々を調べてみた。
・バレー部に所属してたけど、春高予選を区切りで引退していること
・成績が学年でもトップクラスであること
・男女問わず、人気があること
でも、兄弟が何人とか親が何してる人とか、そういうのは誰も知らなかった。
体育祭の後から、今までは気づいてなかっただけで、コウスケ先輩とは色んな所ですれ違っているんだってことを知った。
すれ違うたびに、オレは会釈をし、先輩も笑顔で「ヨッ!」って言ってくれた。
野球部以外の先輩ができたことが新鮮だった。
野球部の練習が終わって、自転車置き場に向かう時だった。
2階の教室から、コウスケ先輩が手を振っていた。
「藤本〜。帰り?オレも帰ろうと思ってたんだけど、一緒に帰ろっか?」
「こんな時間まで、何やってるんですか?」
「自習!塾行ってなくてさ、学校で勉強してんの。ちょっと待ってて!」
夏服姿の先輩が学校の位置口から出てきた。
「ごめんな、いきなり。友達とか大丈夫だった?」
「あぁ、大丈夫ですよ、いっつも一緒に帰ってるんで(笑)」
「マジか、オレ、いっつも一人だ。。。」
先輩は電車通学だったから、駅まで自転車を押して一緒に歩いた。
「先輩は、何学部志望なんですか?」
「あぁ、国際的なことがしたくてさ、そういう感じのとこかな。」
「へぇ、じゃあ留学とかも考えてるんですか?」
「できたら、海外の大学に行きたいんだ、アメリカとかイギリスとか。」
「すごいですね!でも、親さんとか、反対しませんか?」
「……うちは、そういう家じゃないから。。。」
先輩がいきなり暗くなってしまった。やっぱ家族トークはタブーか。
「すいません、何も知らないのに。。。」
「いや、こっちこそ勝手に病んでゴメン!一人で帰る理由、わかる?(笑)」
「いや、そんな…」
「いつか藤本にも話すけど、ま、頑張ってるんだよ、オレも(笑)
ではではユウトくん、甲子園予選、頑張ってくれたまえ!」
いつのまにか駅につき、先輩は、敬礼ポーズをとって改札に向かっていった。