「おい、2年!もっと声出せ、それで応援合戦に出れると思うな!」
高校の応援合戦は、鬼のような練習ぶりだった。
オレの高校は、春の体育祭の応援合戦が地元では有名だった。
各組の組長は、責任感でピリピリしてる。
「次までにちゃんと練習しとけよ!
特に各班の班長、自分の班くらいちゃんと見とけ!」
やっと鬼の練習が終わった。そこからの部活が苦痛だ。
別に班の班長だってやりたくてやったわけじゃい。
ただ、野球部なだけで統率力ありそうとかわけのわからない理由をつけられてなっただけなのに、なんで他の奴のミスで怒られんだよ。
そんな鬼の組長の左に黙って立ってた人。
それがコウスケ先輩だった。
「ケンジ、そんな毎回毎回怒鳴んなよ、指揮が下がるだろ?」
「オレだって…別に怒鳴りたくて怒鳴ってるわけじゃ…つい…。」
練習も部活もない日だった。
空き教室で鬼組長のケンジ先輩とコウスケ先輩が話してるのを偶然見かけた。
「お前が一番頑張ってんのはさ、オレが一番よく知ってる。皆もな。」
「…オレ、成功させたいんだ。皆、頑張ってるし…ゴメン。。。」
ケンジ先輩が泣いてた。あの人も、色々考えてんだな。。。
「…飲み物買ってくるから、それまでに落ち着いとけよ?」
コウスケ先輩が廊下に出てきた。
「せ、先輩。」
「あぁ〜、3班の班長だよな?何?聞いてた?」
「すみません、その…通りがかって。」
「ああいうやつなんだ。誰にも言わないであげてくれな。」
「オレ…もっとちゃんと、班の皆まとめます。」
「そうしてやって(笑)そうだ、一緒に売店行こうや。おごるよ。賄賂な(笑)」
その後の応援合戦は、大成功だった。
ケンジ先輩は泣き崩れ、コウスケ先輩に抱き着いていた。
体育祭の後の片付けで、コウスケ先輩は、オレに話しかけてくれた。
「藤本、ありがとな!いい思い出ができたよ!」
これがコウスケ先輩との出会いだった。