シューズのグリップ音、体育館の地響き、シャトルを打つ音が聞こえる。
僕はこの音が好きだ。
仕事が忙しくて、中々運動できない日が続くと、
体育館に近づくにつれて聞こえ出すこの音に、
ワクワクして駆け出さずにはいられない。
僕は会社帰りのサークルにいた。
中学校の途中からバドミントン部に入り、それ以来ずっと好きで
社会人になっても続けている。
仕事が休みの日や、仕事帰りは結構高い頻度で体育館にいる。笑
バドミントン以外でも、練習の一環で体育館のトレーニング室に行ったりもしてるしね。
そのせいか、普段充実していて恋愛に無頓着な所があった。
入社当初も研修で日本各地を転々としたり、それどころではなかったりしたから、
余裕もなかった。
だけど、僕はもう20歳を超えている。正直焦る。
男女の世界で言うと、そろそろ魔法が使える様になるらしいからね。
それに、こっちの世界のコミュニティサイトは利用してたので、友達の話を聞いたりカップルを見ると、羨ましい気持ちになったりした。
サイトを利用してるだけあって、良く声は掛けられてたんだけど
会って話してみても熱を持つ事なく、友達関係がどんどん増えていくばかりだった。
休憩中、汗を拭いながらふと携帯を見ると、ゲイの友達から飲みのお誘いがあった。
以前から良く遊んでたメンバーで、久々に飲もうと呼びかけている様だった。
僕もこっちの飲み会に参加するのは、ほとんどなかったので
友達にも久々に会いたかったから
「オーケー、参加するよ!」とだけ返信しまたコートに向かった。