夜。俺とシュウはダブルベッドで寝ていた。
いい感じに酔って、もうあとは寝るだけだった。
風呂のあとはちょっと話をした。シュウが送別会を見たことをシンに伝えると
シンはじゃっかん照れていた。
俺もかっこよかったぞーなんて言うと、シンはウヘヘと笑ったりして、ほんとサークルの後輩にほしい感じ。
シュウは今にもシンの頭をなでたりハグしたりしそうな勢いだったので、俺はそこでお開きにした。
まぁ健全な飲みだな。
「なぁ。」
シュウに突然話し掛けられる。まだ起きてたのか。
「ん、何?」
「シンタロウ君ってさ、カズのこと好きなんじゃないの?」
俺はちょっと動揺した。
「え、なんで?」
「なんでって、なんか見た感じ。俺じゃなくてお前のこと頼ってる感じだし。」
そうだったっけ。
「それは、俺が一緒に住んでるからだろう。」
ふーんと言って背中を向けるシュウ。
今までの俺だったら、なんか拗ねてるっぽいシュウが可愛くて後ろから抱いてたかもしれない。
だけど、そうしなかった。気分になれなかった。
「お前はさ、」とまたシュウ。
「ほんとにシンタロウ君に対してなんも思ってないの?」
ちょっと、てか、かなり間を置いてから
「なんもねぇよ・・・」
とだけ返事をする。その間とその後の沈黙で、俺は初めて自分の気持ちに気づき始めていた。
なんもないとか嘘だ。今間があったのも、シュウを抱けないのも、全部ーーーーー
「なんか、俺シンタロウ君のこと好きだけどさ。」とシュウ。
「今日お前らのやり取り見てたら、なんか俺じゃないなって思った。
まだそこまで本気になってない段階で、今日遊びに来れて良かったわ。」
俺はシュウの言ってる意味をすぐには理解できなかったが、なんとなくシュウはシンタロウを諦めたんだろうなってことはわかった。
ただそれがわかった所で、励ますのも変だし、肯定するのもさっきと矛盾してる気がする。
「もう今日は寝るぞ。酔っててよくわからん。」
結局それだけ言って俺も背中を向けた。
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次の日俺とシュウだけで朝飯を食った。
シュウは家を出る時、笑いながら「またメールする。」と言った。
どっちかというとニヤニヤした感じ。むかつく。
その1時間後にシンが起きてきた。
シュウが帰ったことを伝える。
シンもちょっと残念そうにしてたが、まぁまた会えると思ったのだろう。いつも通りの日曜に戻っていった。