「あの、カズさん・・・」
シンタロウの声ともぞもぞした動きで俺は意識を取り戻す。
うぁっ。夢だったのか。良かった。
・・・・・・ってなんだこれ。
俺の腕にはシンタロウがすっぽりおさまってい る。まさか俺やっちゃったとか?いや服を着てる。良かった・・・。
ってよくない!
俺は勢いよく、シンタロウから体を離す。
「ごめん!シンごめん!!これ、マジ違うんだ!ちゃんと理由、あって!」
俺はベッドからすらも降りて謝罪する。
シンタロウは起き上がりベッドの上であぐらをかく。頭をかいている。顔がぽーっとしている。
シンタロウもあんま状況がわかってない。お互い朝が弱くて良かった。
「え、俺昨日ソファで寝ちゃって、・・・そのあとなんでカズさんの部屋にいんの?」
「うん、うん、それも説明する。」
俺は何か飲んで落ち着いた方が良いと思い
「とりあえずなんか飲もう。飲みながら説明する。」
俺らは野菜生活をコップに注いで飲んだ。
徐々に頭が目覚めてきたシンタロウは明らかに俺に対して不信な顔をしていた。
一瞬「中瀬さん」に呼び名が戻りかけた時、俺はことの重大さが思った以上な物なことを思い知らされた。
が、俺も申し訳ない気持ちと名誉のために、必死に説明する。ホラーが苦手なこと、幼少の頃の話、
なんならシュウに聞いて貰って構わないから!と第三者の証言があることも示唆した。
シンタロウもとりあえず納得し
「風邪の心配してくれたんだよね。ありがとう。」
とむしろお礼を言うぐらいに誤解は解けた。余談だが、この日からシンタロウはタメ語になった。
もうクリスマスイブの1日前。俺が帰省する1 週間前のできごとだった。