19時。新宿の居酒屋で待ち合わせる。
この居酒屋はガラス張りのカウンターで景色も良く、週末でも時間制限がないため落ち着いて話すことができる。
たまたま金曜に予定が合ったが、別に平日でも良かった。
それぐらい、今俺はそいつに会いたい。
店に着くと向こうはまだ来ていないようで、俺だけ先にカウンター席へ座る。
俺はおしぼりで手を拭き、メニューを眺めていると店員がツレを案内する声が聞こえてきた。
「おーお疲れ!待った?」
「 いや、待ってない俺も今来たとこだ。」
そんな挨拶もそこそこに、生中を2つ頼む。
お通しとビールが出され乾杯する。いつも通り、金曜の夜が徐々に熱を帯びていく。
この金曜の夜の熱は独特だと思う。連休の初夜というのか、世の中全体がぼやぁっと解放されていく。
もちろん平日休みの方もいるだろうが。
そんなことを思いながら俺はジョッキを3分の1ほど飲み干す。
相手のジョッキを見ると同じペースで減っている。
相手は179*70*26と、やはり俺と同じような、俺の好みの体型。
同じスーツの社会人である。
俺が学生の時、就活が終わった頃からの付き合いだから、もう長い付き合いになる。6年くらいだろうか。
こいつとは何 回か、そういう関係になったことがある。
正直体の相性はそんなに良くなかった。お互いタチだったのがいけないのかもしれない。
最初数回やったが、その内やってても友達のじゃれ合いみたいになっていき、
しまいには飲みの後にどちらかの家に泊まってもやらずに爆睡。
次の朝起きてシャワー浴びて自分の家に帰っていく、という付き合ってもいないのにセックスレス状態になっていた。
「でさ、シュウ。俺が言ってたような子が見つかったってほんとかよ?」
俺は待ちきれず、相手を促す。シュウは隣にいるやつの名前。
ちなみに俺はカズマで、カズと呼ばれることが多い。
「あぁ笑 いたいた。俺もカズが言い出した時はそんな都合の良い子いると 思ってなかったんだけど。」
と言いながら、携帯の写真のフォルダを探す。
「いた、これ。この子」
シュウは俺に携帯画面を見せる。全くタイプではない。