10月の終わり、コンビニ内にある休憩広場。
時間はもうすぐ23時を指す頃。
イヤホンで音楽を聴きながら、テーブルでうたた寝している僕。
そこに近付いてくる旧友。
どれ位寝ていただろうか?
ふと僕は目を覚まし、大きなあくびをした。
正面に人が座っている事に気付いたのは
まさにあくびの最中だった。
一瞬にして眠気が吹っ飛んだ。
急いで時計を見た。
とっくに23時を回っていた。
急いで音楽を止め、イヤホンを外した。
「おはよう。」
それが旧友、酒井剛の第一声だった。
「ごめん、全く気づかなかった。何で起こしてくれないんだよ。」
僕は恥ずかしいやら、驚きやらでかなり挙動不審だったと思う。
「だって秋山凄く気持ち良さそうに寝てたけん。」
酒井は僕の挙動が面白いのか笑っている。
秋山、僕こと秋山真の事だ。
「とりあえず移動しよっか。車前に停めてるけん。」
そういって僕は酒井の後について、
コンビニの前にある黒い軽の方へ歩いていった。
「どうぞ。」
僕は車に乗り込んだ。車は出発し、すぐ赤信号に引っ掛かった。
不意な再開の後のせいか妙にドキドキしていた。
「大丈夫?何か疲れてるみたいだけど。」
「全然大丈夫。ちょっとバイトが忙しかっただけやけ。」
「そっか、確かにあの店いつも繁盛してるもんな。
あっ今度食べ行っていい?」
「ぜひ食べ来てよ。って俺が作ってる訳じゃないけど。
じゃあこの割引券やるよ。丁度持ってて良かった。」
「サンキュ。」
そして、僕と酒井は近くのファミレスに入った。
実は僕は酒弱いため、普通の食事を提案していた。
旧友に潰れた僕の醜態を晒したくなかったからね。