僕の力は無限大だ。
炎を操り、雷を放つ。
時には、傷付いた皆を癒す光となる。
昼夜問わず広大な大地を駆け抜け、
数々の魔物やドラゴンをなぎ倒す。
僕にはたくさんの仲間がいる。
僕は必要とされ、僕も皆を必要としている。
突如その世界とは無縁のメロディが鳴り響いた。
僕は携帯の音で現実に戻された。
携帯を確認すると、高校時代の友達からメールが届いていた。
いや正確に言うと全く親しかった訳でもないので、
顔見知り程度の人物からのメールだ。
メールの内容を簡単にまとめると、
街で偶然僕を見かけて近くに住んでいるのが分かった。
だから飲みにでも行こう、というお誘いのメールだった。
あいつも地元を離れてこっちに来てたのか。
高校卒業してから一度も会ってないし、見てない。
飲みに行く、か。
正直仲良かった訳でもないから気まずい。
何を話せばいいんだろうか?
当然現状に関する話題は出るだろう。
就職は決まらず、別世界へ現実逃避してます。
馬鹿正直にそんな事話して惨めな思いをするのは嫌だ。
何でこんな事で悩まないといけないんだ。
誘いを断ればいいだけじゃないか。
今は忙しいから落ち着いたら連絡します。
こんな内容のメールを送った。
当然このままフラグ自然消滅狙い。
これで問題解決だ。
しかし、メールを送った後、ゲームには戻らなかった。
これで良かったのか?
地元を離れた地。高校の同級生。
疎遠だった人物からのお誘い。
僕を誘ってくれたって事は、少なからず
良い印象を持ってくれてるのだろうか。
さっきまでの気分とは一転して、急に会って話をしたくなった。
僕は急いでメールを送りなおした。