たくさん、はるさん、読んでいただき、ありがとうございます。もうすぐで完結するので、もうしばらくお付き合い下さい。
駅周辺には人影も少なくなって、俺たちだけになった。
お互いに少し冷静になったのか離れ、最初に和広が言った言葉が
「携帯登録しなきゃ。」
だった。
俺たちにはこれぐらいがちょうどいいんだろうなって思い、ちょっと笑った。
俺の家の近くにある公園に、コンビニで買った大量の酒を持っていった。
俺「ってか、買いすぎ(笑)明日も仕事だろ?」
和「仕事?んなもんどうでもいい。明日はずっと拓のそばにいるから」
俺「嬉しいけど、俺も仕事・・・」
和「絶対にダメ!明日は風邪引いたことにして休んで。お願い」
いやいやいや、なんでこの年になって、小学生みたいな言い訳しなきゃならんのだ、とも思ったが、これまで会社に尽力してきた俺にとって、一日ぐらい休むのは造作もなく思えた。
俺「・・・そだな。なんとかなるかな。俺も和広のそばにいたいから」
和「よっしゃ!!」
いつも思うが、なんかこういう時の和広は甘えん坊というか無邪気な子どものよう。でも、そういうトコが愛おしく思えるんだろう。
和「俺、本当に悪いことしたと思ってる」
俺「だから、それは違うって。」
和「いや、今だから言うけど・・・」
俺「ん?」
和「合コン・・・行く前までは・・・俺・・・拓のこと・・・わかんなくなってた。」
俺「(ショック!!!)・・・・」
和「いつからか、拓は仕事仕事で、一緒にいても仕事のこと考えてたから」
俺「・・・・ごめん」
和「俺は、確かに仕事も大事だって思うけど、俺らはそれ以上に大切にしなきゃいけないもんがあるって思ってて。」
俺「・・・うん」
和「ほら、俺らのさ、・・・こういう関係ってさ、世間じゃありえないだろ?」
俺「・・・・・・・・そう・・・だな」
和「普通の人は、もし別れたりしても、いつかはまた違う人と付き合えるじゃん?」
俺「うん」
和「でも、俺らって、その、そんな簡単なもんじゃないと思うんだ」
俺「・・・うん」
和「こうやって付き合えたのも、俺は奇跡に近いことだと思ってる」
俺「それは俺も思ってる」
和「・・・それなのに、拓は俺のことどうでもいいように思ってるように感じてきてて・・・」
俺「そんなふうなこと思わせてごめん。そんなつもりは全くなかったけど、これは俺の気持ちの甘さが原因だと思う。本当にごめん」
和「・・・・うん。・・・・で、これから俺はどうすればいいか分からなくなった。っていうのも、周りはどんどん結婚していくし、子どももいる奴だっている。けど、俺には関係ないことだって思ってたけど、周りから「結婚しないの?」とか「彼女いるの?」とか言われて」
俺「それは確かにな」
和「変な焦りがあって。んであの合コン」
俺「うん。」
和「もし拓とこの関係が終わったら、俺はどうすればいいかわからない。だけど、今、「彼女」を作れれば、もう嫌な思いはしなくて済むかと思ったんだ」
俺「・・・・」
和「合コンにいった時はその気持ちが強かった。で、色々と話しているうちに俺の中で答えがでなくて、勢いにまかせて飲み続けちゃった(笑)」
俺「ちゃったって(笑)」
和「んで、ボロボロになって気付いたら女の子の家だったんだわ」
俺「あぁ・・・あの子ね」
和「ビックリしたよ。だって携帯見たら知らないメール送られてるし。その子しれっと「俺の携帯見た」って言うからさ。」
俺「一応さ、ロックとかかけておかなかったの?」
和「もし、拓が俺の携帯を見ても、何もないってことを分かってほしくて」
俺「またまた嬉しいこと言ってくれてるけど、今回のことで実感したな」
和「でもロックはかけない。」
俺「おいっ!」
和「でも、人の携帯を勝手に見る行為って、ある程度信頼関係があって、なおかつ100歩譲って、やっとできる行為だと思うんだ」
俺「おぉ、なんとも返答に困る考え方(笑)」
和「とまぁ、こんなことがあって、自分の不注意で拓に嫌な思いをさせたなって思って」
俺「あぁ。」
和「ってか、次の日ずっと待ってたんだぞ?何してた?」
俺「ちょい逆ギレっぽくなってるけど」
和「何してた?」
俺「さっきからお前ばっかしゃべってたからな。今度は俺の番だな」
和「おう。」
俺「色々と嬉しいこと言ってくれたから、隠さず言うと、あの日曜日は廃人だった。なんも考えられなくなることってあるもんなんだな」
和「・・・・」
俺「それから次の日、荷物まとめて家をでた。でたって言っても、必要な荷物もって会社に寝泊りしてた。あの時、ちゃんと家に帰ってればこんなことにはならなかったのにな」
和「全くだ」
俺「おいおい・・・んで、とりあえず仕事はしっかりしなきゃなんなかったから、ほとんど仕事しかしてなかったかな。たまに同僚の家で遊んだり、酒飲みに行ったり。んで、昨日、大家さんから電話があって、郵便物がいっぱいだから取りに来いって言われて、今日帰ってきた」
和「ほんと、たんたんと話すな。でも、大家さんに感謝」
俺「だな。」
和「それまで俺のこと一切でてきてないんだけど?」
俺「ばかか。恥ずかしいんだよ。空気読め。」
和「空気読むのは拓の方だと思うな。今言うトコだろ?」
俺「(確かにな)はぁぁ・・・・言うの?」
和「もちろん」
俺「・・・・まぁ・・・その・・・一日たりとも和広のこと忘れられなかったな。携帯が鳴るたんびに「和広かも?」って思ったり、あの子のこと本気になってんのかなって思ってちょっとジェラったり」
和「ちょっと?」
俺「かなり!」
和「よろしい」
俺「とにかく、和広だけだったな。でも、あん時の俺の周りへの配慮ってか、誰も知らないけど、「俺傷ついてないです」っていう演技は俳優並みだったはず」
和「はいっ?」
俺「調子に乗りました」
和「よろしい」
俺「・・・やっぱり・・・和広がいないとダメだわ、俺」
和「俺も・・・拓がいないとダメ」
俺「・・・・・・・・照れるな」
和「そうか?当たり前のことに気付いたからな」
俺「ん?」
和「拓のことが本当に大好きだってこと」
俺「・・・・・・ありがとう」
和「それだけ?」
俺「・・・・・俺も大好きです」
そのまま酒の味がするキスをした。
やべぇ・・・長すぎる・・・・読むの疲れたら、ゆっくり読んで下さい。