あの絶望の日曜から、俺は仕事どころではなかった・・・と言いたいところだが、思った以上に仕事は順調。提出した書類も問題なかった。新しい仕事にもチャレンジし、今まで以上に忙しく、恋愛していることを忘れるぐらいだった。変わったことといえば、あの日曜から家に帰ることはなくなった。仕事で忙しかったことが主な要因だが、家に帰ると、一人でいることをものすごく、本当に感じてしまう、そう思い、必要なものだけバッグに入れ、会社に寝泊りしていた。それを見た上司はご満悦といった様子。
あれから和広に連絡はしていない。いや、厳密にいえば、月曜の夜、一度だけ電話をした。
(もしかしたら和広がでるかも?)
という淡い期待をもって。けど、聞こえてきたのはあの無機質な女性の声。「おかけになった〜」と聞こえてきた瞬間、すぐに切った。
和広には彼女がいた。中学校の同級生で、とても可愛らしい子だった。そのことを考えると、至極、当たり前なんだろうと、勝手に納得して自分を慰めていた。
普段は短文でも
「お疲れ」
の一言をお互いに送っていた。仕事で忙しくても、送ろうと思えば1分もかからない手間なはずなのに、今では全くなくなった。俺も送らなかった。
表面上は、とても生き生きした顔で真剣に仕事をし、同僚はそんな俺に何の疑いももたず、普通に接してくる。それに対して、無難な対応、時には笑いも誘ったりと、それなりの生活であった。
夜は仕事が片付くと、街に繰り出し、適度な酒を楽しんだり、同僚の家に遊びに行ったり、本当に充実しているように見せていた。そうでもしないと、一人でいる時の孤独感はとてつもなかったから・・・
そんな生活が続いた俺に、一本の電話が入った。