24日は曇りだった。
ホワイトクリスマスなんてこっちじゃ滅多にないよって昨日の飲み会で言われていたけど、やっぱり大都会のクリスマスに雪が降ったら思い出に残ると思う。
おれは午前中はだらだら過ごしていた。
やっぱり足が重い。
おれは今一番大事な人のために、大事な人を傷つけようとしている。
待ち合わせ10分前に、待ち合わせの場所に着く。
相手はこれからバイトだけど、その前に会う約束をしてもらった。
クリスマスにこんな話するなんて、向こうにとっちゃほんとに最悪だろうな。
向こうの方から、おれの初めての恋人がやってくる。冬服見るの何回目だっけ・・・。
「おまたせ。」
「おう。あー、じゃちょっと店入ろうか。」
「・・・いや、良いよ。公園行こう。」
おれはどきっとして、こういうのは確かに公園のが話しやすいな、と場違いに学習していた。
駅近くの公園。
「で、話って何?」
「、単刀直入に言うと、友達に戻りたい。」
「・・・。」
「やっぱ会えないのはきつい。おれもあんま誘わなかったからおれにも責任あるけど・・・。」
「ほんとにそれが理由?」
「え?」
「いや、ほんとに別れる理由は会えないから?」
相手は優しく笑っていた。これがほんとに同い年か。
「わかれるにしても、最後は自分に正直になってほしい。おれのためにも、マサのためにも。」
「・・・すまん。ほんとはすげえ大事な人ができた。まだ好きかどうかは微妙なんだけど、支えていきたいって思える人。」
「・・・そっか。」
「ほんとごめん。」
「・・・。」
しばらくおれらは黙っていた。
やっぱ向こうも納得しないかな。こんなんじゃ。
などと考え事をしていると
「おれの方こそごめんな。あんま会えてなくて。マサがあんま満足してなかったことも知ってた。でもおれはこの距離感がちょうど良かったりしたんだよな。」
続けて、「いや、今日話があるって言われた時にちょっとこのパターン考えたから、そんなショック受けてないから大丈夫(笑)」
「ほんとごめん。今日クリスマスなのに、こんな話して・・・。」
「いや、良いよ。むしろ来年に持ち越さなくて良かったんだよ。」といってニコっと笑う。
おれの方が身長高いけど、器はこいつの方が全然でかい。
付き合った密度はあんま濃くなかったけど、この人と付き合えてよかった。
「よし、寒いから戻るか。駅まで一緒に歩こう。」そう言って立ち上がる。
おれも立ち上がる。辺りはうす暗くなっていた。
駅に戻る途中、さっきもだけどマサは嘘がばれやすいからな。そこんとこ注意しろよ。自分に正直にな(笑)、と注意された。
おれはおう、と苦笑し、彼とは改札で別れた。来年の初もうでは彼の幸せを祈ろう。
おれは電車に乗る。時刻は17時。今日くらいは居ると良いんだけど。