PCから目を離した俺は、ちょこっと離れて座ってるゆうを思いっきり抱き寄せた。
俺「ゆう・・・!今までゴメンな・・・!!ずっと言いたかったのに言えなかった・・・!!」
悠「え・・・?」
俺「俺マジでお前にひどい事言ったよな・・・!ウザいなんて思ってないのに・・・!」
俺は心の底から申し訳ない気持ちが溢れて来て、同時に涙がドンドン溢れ出して来た。
俺「あの時俺・・・変に意地張って・・・お前が慰めようってしてくれてんのに・・・!」
悠「・・・。」
俺「ホントにゴメン・・・!ホントに・・・!」
俺はボロボロの涙声で、ゆうに抱きついたままとにかく謝った。
謝るしか出来なかったから。
悠「ううぅ・・・っ・・・うわぁ〜〜ん!!!」
ゆうは俺の腕の中で、堰を切った様に泣き始めてしまった。
ゆうの泣き声は、今まで聞いた中で一番大きくて、一番つらそうな泣き声だった。
悠「うわっは〜〜ん!!きいちゃんのバカぁ〜〜!!!バカぁ〜〜!!」
泣きわめきながら、俺の背中をボスボス叩いてくる。でも・・・すんごく弱弱しかった。
悠「俺っもうっ嫌われたってっ思っててっうわっわぁ〜ん!!!」
俺「ホントゴメン・・・!!うぐっ・・・!俺も・・・!ずっとゆうに・・・!嫌われたって・・・!!」
悠「ずっとっお前の事っ考えてたっんだよっお〜!」
俺「ゴメン・・・!!ううっ・・・!!ゆう・・・!ゴメンな・・・!!ぐずん・・・!ううっ・・・!!」
悠「きいっちゃんっはぁっ俺のっことっきらいっじゃないっ?」
俺「嫌いじゃないよ・・・っ!大好きだよっ・・・!ううっ・・・!愛してるよ・・・!!うううっ・・・!!」
悠「俺もっずっとっ大好きっだよぉ〜!!うわぁ〜〜〜あ〜〜ん!!」
洪水の様に溢れ出る涙を、俺もゆうも止める術が分からないまま、ずっとハグをし合ったまま、お互いの肩を濡らし続けていた。
ゆうも俺も、ず〜っと臆病だったけど、やっと・・・もとに戻れたのか・・・?
戻れたんだよな・・・。
良かった・・・!
俺「ゆう・・・。」
悠「なっに・・・?」
俺はゆうの顔をじっと見た。
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっちゃってる。
俺も自分で分かるくらいぐちゃぐちゃ。
でもこのままじゃ2人とも泣き止めないって思った俺は、ゆうのビチョビチョの唇に、俺のビチョビチョの唇を優しく重ねた。
涙と鼻水の味しかしない。
しょっぱいな・・・。
ゆうはまだヒクヒクしてたけど、しばらくキスをしてるうちに、少しずつ落ち着いてきたみたいだ。
かなり長い間、とにかくずーっと唇を重ね合わせた。
そしてゆっくりと離して、じーっと見つめ合う。
ゆうの顔は、安らかな笑顔に少しだけ近づいていた。
俺「俺達・・・やりなおせるよな・・・?」
悠「うん・・・!やりなおしたい・・・!^ー\」
俺「・・・嬉しいよ・・・!」
ゆうの返事を聞き届けて、もう一回ハグをした。
さっきよりもギューッと。
もう絶対離さないって感じで。
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ちゃんとヨリを戻せた後、俺達は、久しぶりに2人で風呂に入った。
またいつもみたいに、俺が後ろからゆうをハグする格好で。
これが・・・もとに戻れた何よりの証拠だ・・・。
悠「きいちゃん・・・。」
俺「なあに・・・?」
悠「ずっとどこ行ってたの・・・?」
俺「ん〜・・・マックで時間つぶしたり・・・サブウェイで時間つぶしたり・・・サイゼで時間つぶしたり・・・。」
悠「そっか・・・。」
俺「俺ずっとお前から逃げてたんだよ・・・。嫌われたって思ってたから・・・。」
悠「俺は・・・逆にさ・・・きいちゃんが俺の顔見たくないからって思ってたんだよ・・・?」
俺「そっか・・・じゃあ・・・俺が勝手に決め付けてたんだな・・・。」
悠「俺も・・・。その・・・ゴメン・・・。」
俺「何で謝んだよっ・・・。ゆうはこれに関しちゃぜーったい悪くないんだよ。」
悠「でもさ・・・俺があの時しつこくしたからだろ・・・?」
俺「俺が素直じゃなかったのがいけないんだよ。」
悠「・・・そう・・・なの・・・?」
俺「ゆうは俺の事心配してくれたんだろ?」
悠「うん。」
俺「なのに俺がクソ野郎になったせいでこんな事になったんだよ。だから、ゆうは悪くないからな。絶対謝んなよ?」
悠「ん・・・うん・・・分かった。」
俺「俺、これからはもっと素直になるよ。もっともっとゆうの事も想って、大事にする。」
悠「・・・うん^ー^ あ、俺ももっと素直になるね。」
俺「じゃあ・・・お互いもーっと素直になって行こうか^ー^」
悠「そうする^〜^」
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素直な気持ち。
これこそが、幸せになるスパイスの中でも重要なやつだと思う。
自分に素直にならないと、相手の事を心から想う事なんて出来っこない。
隠し事、嘘、ひねくれた気持ち。
こんなのがあって、ずーっと2人で幸せに暮らせるかっていったら、出来っこないだろう。
素直な気持ち。優しい気持ち。愛する気持ち。
この3つが揃って初めて、真の幸せが待ってるんじゃないか。
今回の事は、素直な気持ちが欠けていたせいで、優しい気持ちまで失ってしまった。
でも心のどこかで、愛する気持ちが1かけらでも残ってくれていたおかげで、残りのかけらの存在も消えること無く、元に戻って、優しい気持ちも、素直な気持ちも、同時に取り戻す事が出来たんだ。