快速に乗り換えて、7時半過ぎに家に着いた。
一日外出してると、夜には部屋がひんやりする。
ちょこっとだけ暖房を焚いて、洗濯物を取り込んで、部屋着に着替えてTVを付けた。
俺は待ってた。
きいちゃんが話す気になるまで。
ソファに2人、ぴったりとくっついて座ってた時、きいちゃんが俺の手を握ってきた。
指を絡めてしっかりと。
霧「そろそろ話しても良い?」
きいちゃんの目には、優しさと哀しみが入り交じってる様な気がした。
俺「うん^^」
霧「その前にキスしたい。」
俺「うん^^」
俺の返事と同時に、きいちゃんは唇を重ねて舌を入れてきた。
俺もそれに応えて、かなり濃厚なキスを、かなり長くしてた気がする。
やっときいちゃんが唇を離して、その口を開いて話し始めた。
ユキちゃんの豹変ぶり。
完全にヤリマンと化して、きいちゃんに体だけを求めてきた事。
全てを事細かに話すきいちゃんに、俺は静かに耳を傾けた。
霧「あいつはお前のせいにしてるけど、お前はこれっぽちも悪くないんだからな。」
俺「ホントに・・・?」
霧「俺が悪いんだ。」
俺「何できいちゃんが悪いんだよ。」
霧「どっちも傷つけたくないからって、どっち選ぶかって答えるのが怖かったんだ・・・。ユキもお前もおんなじ位大事だったから。」
俺「・・・。」
霧「それをあいつは分かってくれなかったから俺はあいつにフラれたんだよ・・・。結局あいつを傷つけたんだ・・・。」
きいちゃんは天を仰いだ。
涙が溢れそうになったのかな・・・。
霧「欲張った俺がいけないのかな・・・。グス・・・。」
俺「きいちゃん・・・俺の意見言っても良い?」
霧「ング・・・うん。」
俺「恋人と親友って同じなのかな・・・?」
霧「え・・・?」
俺「恋人がいるから親友がいちゃダメとかおかしくない?」
霧「・・・うん・・・。」
俺「どっちか選べって言われても無理じゃん?」
霧「そう・・・だけど・・・。」
俺「俺がいっつもお前といるってユキちゃんは気に入らなかったと思うけど・・・それでもさ・・・絶交しろって言われたら俺もイヤだし・・・。」
霧「・・・。」
俺「俺も少しは悪いはずだけど・・・ユキちゃんが自分勝手すぎたんじゃないかなって思うけどな。」
霧「・・・そう・・・かな・・・。」
俺「ユキちゃんがお前に悪態付いたのだって、その・・・ヤリマン・・・になったのだってユキちゃん自身の問題だし。それを全部きいちゃんのせいだって言うのっていくらなんでもムチャクチャ過ぎるよ。」
霧「・・・。」
俺「少しずつで良いから忘れた方がいいよ。」
霧「・・・あ・・・のさ・・・。」
俺「ん?」
霧「もう一つだけあるんだ・・・。」
俺「何?」
まだ何かひっかかってるのかな・・・??
霧「俺って優しすぎんのかな・・・?」
俺「え・・・??そりゃあもう世界一優しい男だと思ってるよ^^」
霧「ユキがな・・・俺の優しさは周りの人をダメにするって・・・。」
俺「そんな事まで言ってきたの・・・?!」
霧「うん・・・。」
俺「そっか・・・。ん〜・・・確かにお前が優しいからっていっつも俺甘えちゃうけど、俺は優しすぎるきいちゃん大好きだよ?^^」
霧「え・・・?」
俺「甘やかすとダメになる人は、自分を持ってない人だって思うけどな。」
霧「・・・。」
俺「甘えさせてくれるからそれで良いやって思っちゃうからダメになるんじゃね?」
霧「・・・じゃあ・・・俺はゆうをダメにはしてないんだよな・・・??」
俺「おかげ様で^^ 俺結構甘えたさんだけど、ちゃんと自立心はあるし^^ 結構きいちゃんには支えてもらってるけどね^皿^」
霧「・・ンフ・・・^〜^」
俺「きいちゃんの一番良いところって、その優しすぎるとこだし、俺はそれに惚れこんでるんだから。」
霧「・・・そっか・・・。」
俺「優しさって、受け取り方間違えると致命的だって俺思ってるから。ユキちゃんはちょっと間違った受け取り方しちゃってたのかもね。」
霧「・・・うん・・・。」
俺「俺はちゃんと正しく受け取ってるつもりだから、これからも優しいきいちゃんのままでいて欲しいです^ー^」
霧「・・・うん^ー^」
俺「ほら、ハグハグ必要だろ??^〜^」
握ってた手を離して、俺はきいちゃんを抱き寄せた。
きいちゃんも俺の背中に手を回して、ギューっとハグし返して来てる。
俺「きいちゃんももーっと俺に甘えて良いんだからな。」
霧「・・・ありがと。」
俺「俺もその分きいちゃんに甘えちゃってるんだから♪」
霧「フフ^^ そうだな。」
しばらくずーっとハグしたまま、お互いの体温を感じ合って、お互いの鼓動を感じ合って、少しずつ俺はきいちゃんの辛さを吸いだしてあげた。
霧「ゆう。」
俺「ん?」
霧「お前で良かった。」
俺「え?」
霧「お前と付き合って良かった。」
俺「何だよいきなり。照れちゃうじゃん。」
霧「でもホントの事だから。」
俺「・・・分かってる。俺もきいちゃんと付き合えて幸せだよ。」
霧「ありがと。」
俺「こちらこそありがと。」
霧「俺・・・ユキの事全部忘れるよ。」
俺「少しずつで良いんだからな。」
霧「いや、もう何か嫌な事しか思い出せなくなって来たからすぐ忘れちゃいたくなってきたよ。」
俺「そっか・・・。」
霧「その分スペース空くから、これからもっと良い思い出詰め込んでいきたいな。」
俺「それって・・・俺と?」
霧「他に誰がいるんだよっ。」
俺「分かってるって。試しに聞いただけ。」
霧「ハハ^^ こいつっ。」
俺「ンフ^^」
ずーっとハグハグしたまま、顔は見えなかったけど、ある意味見えてた気がする。
きいちゃんの柔らかな笑顔がね。
<続きます。>