大学生さんコメントありがとうございます。
なんで今ここにタクヤさんとのこと書いているのかというと、うまく説明できなくて申し訳ないのですが、タクヤさんとのことを僕の中で最近本当の意味で消化できたからだと思います。文章にすることで自分の中で整理できるかもしれないという思いもあります。もう少しで完結するので、読んでいただけている皆さんよかったらお付き合いください。では続きです。
前回の電話があって以来特に連絡はないまま2か月の月日が流れた。僕は特にタクヤさんのことを深く考えないまま、仕事、プライベートをいつも通り過ごした。そんなある日帰宅すると母親に「あんた宛てに手紙が届いてるよ」と封筒を渡された。紫色の封筒。最初ダイレクトメールかなと思った。年賀状以外友人から手紙なんてもろったことなかった。でも、今回のは手書きの宛名、差出人はタクヤさんだった。自分の部屋でネクタイを緩めながら封筒を机になげて、着替えながらすぐに読むかどうか迷った。その日は木曜日、明日も仕事であまり自分の気持ちを荒げたくなかったので、休みの土曜日に読むことに決め、その日まで封筒の存在を忘れた。土曜の朝に封筒の封を切る。なぜがハサミを持つ手が震えた。中には便せんが3枚、1〜2枚は大きな震えた字で書かれていて、3枚目は種類の違う便せんで奇麗な字だった。1〜2枚目を読んでみる。
手紙の内容
「○○へ(僕の名前)
この手紙をあなたへ送るべきか迷いながらも、気持ちが抑えきれずペンをとりま
した。最後まで勝手な私をどうかお許しください。先日の電話で、今さらながら
私の思いはお伝えました。思いを伝えられたこと、久々にあなたの声を聞けたこ
とで、私は少しほっとしました。これもとても勝手な思いだということは承知し
ております。
私は人生で本気で愛したのはあなたが初めてでした。愛おしく思うあまり私が あなたにしてきた仕打ちは、あまりにもあなたにとって酷なことだったと思いま
す。今でも私に暴力をふるわれた後のあなたの表情が脳裏に焼きつきはなれませ
ん。どんなに謝罪しても過去を変えることはできず、あなたを傷つけた事実を消
すことはできないですが、改めて謝罪させてください。本当にごめんなさい。
あなたは私にとってすべてでした。人生で愛する人に出会えることはそう多く
はないと感じてます。あなたの傍にいることは許されないですが、遠くからあな
た幸せを願っています。あなたらしく幸せになってください。突然のお手紙失礼
しました。
追伸 ここまで書いた私の字で異変を感じているかもしれません。実は、肺がん
を患い私の命はもう長くはありません。だからこの様な手紙を書いたとい
うわけではなく、ただただあなたには真剣に謝りたかったのが私の本心で
す。そこをご理解していただけると幸いです。
今でもあなたを愛しています。私のことなどこの手紙を機に忘れて幸せに
なってください。
3枚目の便せん
「○○様
突然のお手紙失礼いたします。
私はタクヤの妻のアヤと申します。夫は平成20年○月○日他界致しました。
夫の死後、遺品を整理している中でこの手紙を見つけました。内容を拝見しあな た様へ送るべきか大変迷いました。あなた様と夫の歴史を私は存じません。あな
た様のお名前を夫の口から聞いたことはあったのですが、お友達とばかり思って
おりました。夫はこの手紙を発送する機会はあったかと思いますが、どうやらそ うせずにいたようです。あなた様の思い、夫の思いを考えると、私がどうするべ
きなのか正直わかりませんが、夫が病床であなた様にこの手紙の内容を伝えたか
ったのかと思うと送らずにはいられませんでした。私の勝手な行動をお許しくだ
さい。
以上が手紙の内容でした。
僕はこの手紙の読んで、頭の中が真っ白になりただ呆然としていた。
続きます。