いつものように、バイトが終わったことをタクヤさんに報告しようと電話した。すると、タクヤさんではない男が電話に出て「タクヤはシャワーに入っているから後でかけ直すように伝える。」と言われ、意味がわからず「ああ、わかりました」と僕は答えて電話は切れた。浮気か?頭をよぎった、でもとりあえず連絡を待つことにした。30分後、タクヤさんから着信があり、タクヤ「バイト終わった?」、僕「うん、さっきの人だれ?」、タクヤ「話すと長くなるから明後日会った時に話す」と言われ、僕は応じた。タクヤさんと電話が終わり全然腑に落ちていない僕がいた。するとまた電話に着信があり、とても懐かしい人からの電話だった。タクヤさんを僕に紹介した彼だ。「久し振り、番号変わってなくてよかった、タクヤのことで話したいことがある、久々に明日飲まないか?」とのことで、さっきのこともあるし、会う約束をした。
僕と彼が連絡を取り合うことをタクヤさんが嫌がったため、もう3年くらい会うことはなかった。当日、久々に会った彼は3年前と変わらない笑顔で俺を迎えてくれた。お互いの近況(仕事や大学のこと)を報告しあい、彼は本題に入った。
昨日電話に出たのは彼であること、タクヤさんと彼は定期的に体の関係があり、僕とタクヤさんは1年くらい前に別れたと聞かされていたこと、昨日偶然タクヤさんの電話の着信画面に僕の名前が表示されるのを見て正直焦ったことを話した。
彼「タクヤはこういうこと聞くと感情的になるから、お前らが今どういう状況なのか、お前から聞いておきたくて」と言った。
僕は今でもタクヤさんと付き合っていることを話した。ただ、暴力のことは彼がタクヤさんの同僚であること、また後日タクヤさんにどのような仕返しをされるか考えると怖くて話せなかった。
彼は「お前のことは弟ように思ってるし、知らなかったとはいえ今回のことは本当にごめんな。タクヤとは切るよ。こんな立場で言えることじゃないけどちゃんとお前ら話し合った方がいいよ。」と言った。
僕はうなずくしかできなかった。お互い次の日仕事や学校だったのでその日は早めに別れた。遅くなったのでタクシーで家路につくと「今家か?」とタクヤさんからメールが入った。すぐに「うん家だよ」と返信して、なんだかタクヤさんが浮気をしていた事実と、それでも僕を束縛しつづける彼の姿、でも怖くて逆らおうとしない自分、いろいろなことが一気に押し寄せてきて涙が出てきた。涙は止まらず子供のように泣いた。運転手さんが「お客さん大丈夫ですか?」と声をかけてくれたが、まったく反応する余裕がなく降りるまで泣いていた。
続きます。