それが高2の冬の出来事だった。
それからタクヤさんとは楽しく付き合っていくことができた。
しかしタクヤさんの束縛は厳しく、起きた、学校に向かう、昼休み、今から部活、帰る、家に着いた等々の報告連絡をしないととても機嫌が悪くなった。そのうち高校の友達と遊ぶのにもいい顔しなくなり、僕としては窮屈な思いをすることが多かった。二人でいるときは楽しい時間を過ごすことができたので、束縛に関しては気にしないようにしていた。
そんな感じで一年が過ぎ、僕は受験生まっただ中であった。正直地元から離れた大学へ行きたい気持ちもあったけれど、タクヤさんのこと家族のことを考えて、地元の大学へ進んだ。自分の学びたい学科もあったし、学費事などあり最善の選択だったと思う。
大学では、勉強、バイトと忙しいけど充実した日々が続いた。しかし、大学の友達と遊ぶ頻度が増えた僕にタクヤさんが不満を持ち始めたのは事実だった。会う度に「友達と俺とどっちが大事なの?」や「お前は俺に飽きてきたんだ」など言うようになり、始めはきちんと向き合おうとしていたが、少しずつうんざりしてきていたのも事実であった。この時からなにか僕ら間違った方向へ進んでいたんだと思う。
大学一年の夏、僕らは地元の夏祭りに出かけた。お互いにビールを飲み、会話し、楽しい時間が流れた。打ち上げ花火を見るために少し人気の少ないところで並んで座り、夏休みに大学の友達と海へ行く計画があることを話したとたん、タクヤさんの顔色は変わり「そんな計画俺は認めない。だから絶対に行くな」と言った。僕はタクヤさんの豹変ぶりに驚きつつもできるだけ冷静に「どうして?嫌な計画かな?」ときいてみた。すると突然僕の左頬に痛みが走った。タクヤさんに殴られたのだ。一瞬なにが起こったなか理解できなかったが、少しずり理解し、僕はあまりに驚いて「今日のことちゃんと話し合いたいけど、今は駄目だから時間をちょうだい」というのが精一杯で、その言葉を残してその場を後にした。
続きます。