もう一話UPします。
ですので今日の更新状況は、第29話と30話になります。
ドシドシご感想コメントお待ちしてます!僕も霧斗も、皆さんのコメントを読む事が、投稿の原動力になってる状態です(笑)
それと併せて、第29話の冒頭でお知らせした事に関してのご意見もお待ちしています。
ちなみに、今までもそうですが、今回も作り話ではありません。
今回の最後の方に書かれている話は、僕悠太が実際に経験した事です。
わざわざ注意書きをさせて頂いた理由は、お読み頂ければ多分ご理解頂けると思います。
続き・・・
ばあちゃんに昼ごはんまで作ってもらった俺は、腹も心も大満足。
ホントにばあちゃんの料理って美味しいもんなんだなぁ。
優しい味の親子丼は、俺の作るどんな料理よりも、もしかしたら母の料理よりもどこまでも心と体にしみわたった。
もちろん、じゃがいもの味噌汁は世界一。
昨日の夜も、今日の朝も、そしてこの昼も、必ずお代わりしちゃったおかげで、ばあちゃん家での味噌とじゃがいもの消費量が跳ね上がったかも知れない。
そんな感じで美味しく腹に収め、俺はばあちゃんと洗い物をしていた。
俺「ばあちゃんの料理もしばらくお預けだなぁ・・・。」
父婆「これから忙しくなるもんねぇ。」
俺「うん・・・でも埼玉近いから、連休とか遊びに来て良い?」
父婆「えぇえぇ、いつでもいらっしゃいね。その時は霧斗君も連れといでねぇ。」
俺「え・・・うん!」
きいちゃん、ばあちゃんの味噌汁食ったら卒倒しちゃうかもな。^^
父婆「さぁて、もう良いわよ。あとはおばあちゃんがやるから、居間でゆっくりしておいで。」
俺「うん、わかった。ごちそうさま。」
=====
TVでみのさんが何か色々しゃべってる脇で、俺は今まできいちゃんからもらったメールを何となく読み返していた。
――――――――――――――
学食にいるから後でな〜^^
今日はカツカレーマジウマそう
だぜ!
――――――――――――――
――――――――――――――
バイト終了!^^
今から行っても良い?
――――――――――――――
――――――――――――――
オヤスミ^^/
大好きだよ。本気だからな^^
――――――――――――――
他愛のないメールから、ラブメールまで、何通もある。
そしてその中には、あのメールも。
――――――――――――――――――
ゆう、ホントゴメン。
俺メチャクチャ後悔してる。
今の俺じゃゆうを愛してるって言っても
上っ面にしか聞こえないから・・・俺は
お前と別れたくないけど、今は距離置こ
う。
年明けてから、まだゆうが俺を好きでい
てくれるなら、もう一度やり直そう。
マジ自分勝手でゴメン。
新年は実家に帰るだろうから、ゆっくり
過ごしてね。
――――――――――――――――――
あの浮気未遂事件・・・まだ鮮明に覚えてる。
初めて・・・一瞬でもきいちゃんを大嫌いになった時だな・・・。
きいちゃんに距離を置きたいと言われて、思わず殴り飛ばしたあの日。
拳に感じる痛みより、心に感じる痛みが苦しかった。
実家に帰って母に見透かされた時に言われた言葉も、一字一句、今でもしっかりと覚えてる。
「ああいう心優しい子って、他人を傷つけちゃうと自分も傷つくのよ。悪く言えば勝手に傷ついてるってなっちゃうけど、言い方を変えたらね、それって、他人の痛みを人一倍分かってあげられるって事なのよ。」
今じゃその意味も良く分かる様になった。
そして・・・
―――――――――――――
こちらこそありがとう。^^
―――――――――――――
昨日のメール。
きいちゃん、ホントありがとう。
今こうやって笑顔でいられるのは、お前のおかげなんだよ。
父婆「やっぱり居間はあったかいねぇ。」
片づけを終えたばあちゃんが居間に戻ってきた。
ストーブの焚いてある居間にホッとした様子だ。
俺「お茶飲む?」
父婆「そうねぇ。いただきたいわねぇ」
俺「じゃ淹れるね。」
=====
俺「他に手伝える事ある?」
父婆「えぇ、もう大丈夫よ。」
俺「そっか。」
父婆「本当に昨日から大助かりだよ。ありがとうねぇ。^^」
俺「どういたしまして。^^」
熱いお茶を飲みながら、俺とばあちゃんは、派手にレポーターが騒ぐ、お昼のワイドショーを見て、色々おしゃべりして。
時を忘れてばあちゃんと団欒してたら、あっという間に4時も大きく過ぎていた。
徐々に西の空が暗くなっていく。
俺「じゃあ・・・そろそろ行くね。」
父婆「そうかい。気を付けて帰るんだよ?」
俺「うん。ばあちゃんも元気でね。」
父婆「えぇえぇ。ゆう君もこれから大変だけど、頑張るんだよ?」
俺「うん!じゃあまた遊びに来るね。今度は霧斗も連れて来て良いの?」
父婆「もちろんよ。2人でお泊りにおいでねぇ。」
俺「ありがと!じゃあ、またね。^^」
父婆「じゃあね。^^」
ばあちゃんにしばしの別れを告げて、玄関の引き戸を閉める。
夕方の寒さに耐えながら、俺は家までの道のりを急いだ。
特に急ぐ理由もないけど、何となく小走りだった。
=====
ラッシュアワーではあるけど、家路を急ぐ大勢のサラリーマンや学生とは逆方向なおかげで、大宮までの私鉄も、そこからのJRも、余裕を持って座る事が出来た。
しかし電車の乗客って、色んな人がいる。
子連れのお母さん。
デパートの袋を提げてるおばさん。
営業先から戻るサラリーマン。
そして、仲の良さそうな男女。
ドアの近くに体を突き合わせて笑顔で何かしゃべってる。
何だかそれを見て、無性にきいちゃんに抱きしめられたくなってしまう俺。
きいちゃん・・・。
明日・・・ギュッと抱きしめてくれよな。
明日・・・まで待てないかも知れないけど。
明日・・・会えるもんな。
=====
1時間ちょっとかかって、やっと慣れ親しんだ街に着いた。
帰宅する前に、駅前でちょっと買い物。
明日、ナスとひき肉のカレーを作って、きいちゃんの帰りを待つつもりだったから。
買い物かごに、ナス、合びき肉、固形の辛口カレー、鷹の爪を入れて、ついでに夕飯のおかずにお惣菜コーナーでコールスローとメンチカツ2つを買って、家路に着く。
すっかり日も暮れた住宅街。
あたりの民家からは光が漏れて、いい匂いがする。
この匂い・・・中華っぽいな。
街灯がチカチカしてる。
電球変えろよ・・・。
そんな感じでぼちぼち歩いてる俺。
・・・すると・・・何だか・・・背筋に刺さるような視線を感じる・・・。
後ろに気配をヒシヒシ感じる・・・。
気のせいかと思ったけど・・・気のせいじゃ無い・・・
何だ・・・?俺・・・まさか・・・
誰かに・・・つけられてんの・・・?
よく耳を澄ますと・・・かすかだが後ろから足音がする・・・。
皮靴とかハイヒールじゃない。
もしそうだとしたら音がもっとカツカツ聞こえるはずだ・・・。
スニーカーのゴム底と道路の砂利とが摩擦してズリジリ聞こえる。
ヤバイ・・・ホントにつけられてんの・・・?
試しに俺は、いつもは曲がらない角を曲がってみる。
すると・・・そのスニーカーの摩擦音は俺についてくる。
また別の角を曲がってみる。
すると・・・やっぱりついてくる・・・。
確信した。
俺・・・狙われてる・・・!!
一瞬振り返ると、ロングコートの男を視界に捉えた。
そして次の瞬間、俺は走った。
学生時代のスプリンター歴9年の俺。足の速さには相当の自信がある。
男も走って追ってくるが、生半可な足で俺に追いつくわけがない。
何とか周辺の道を知っていたおかげで、色んな角を曲がって奴を巻く事に成功し、さらに遠回りして自分のアパートにたどり着いた。
エレベーターのボタンを連打して、急いで部屋に飛び込み、鍵を閉め、チェーンもかけた。
ハァ・・・ハァ・・・ンク・・・ハァ・・・
何なんだよ・・・!クソ・・・!
足の速さに自信はあるものの、短距離選手故の持久力の乏しさのせいで、俺はメチャクチャ息が上がっていた。
買い物袋とバッグを放り出し、玄関先で仰向けに倒れ込み、俺は全身で息をしてた。
マジかよ・・・何で俺狙われたんだ・・・!?
徐々に息も落ち着き、心も落ち着きを取り戻すとともに、一時的に麻痺していた恐怖感がどんどん蘇って来た・・・。
同時に、恐怖からなのか寒さからなのか、体がガタガタ震えだした。
この街に約4年住み続けてから、いや、生まれてから22年、人につけ狙われるという経験が無かった俺。
あり得ない位の恐怖を感じ、体中の全てが委縮して震えてる・・・。
きいちゃん・・・!助けて・・・!!
俺はふるえる手でポケットをまさぐり、携帯を取りだすと、着信履歴からきいちゃんに電話をかけた。
<続きます。>
***
投稿するからには全て事実をと、一切の取り繕いをせずに書いていますが、今回の最後の方で、少々ゾクっとされた方及び不快な思いをされた方がいましたら、深くお詫び申し上げます。