何もかもが水に流れ、綺麗さっぱりで再び恋人関係に戻った翌日。
きいちゃんのすぐ隣で、爽やかに朝を迎える。
相変わらずの寝顔。
すごく可愛いし、すごく色っぽい。
思わずキスをした。
霧「ん・・・!」
俺「あ・・・起きちゃった・・・?」
突然のキスに目が覚めた。
まるで白雪姫・・・?^^;
霧「おはよ・・・^^」
俺「おはよ。^^」
今度はきいちゃんから唇を重ねてきた。
こんな感じで朝を迎えるのが、何だかすごく懐かしく思えてくる。
霧「今日はどうしたい?」
俺「ん〜・・・いったん俺んち戻って着替えてから考えよ。お菓子も持って来れるし。」
霧「え・・・またうなぎパイ持って来てくれたの?」
俺「だって好きだろ?」
霧「いや・・・実は・・・さ・・・そろそろ飽きちゃったかなぁ・・・みたいな・・・。^^;」
俺「・・・やっぱ?」
やっぱりな。
帰省の時も、母からの小包の時も、必ず付きものになってるし、さすがに毎回は・・・ね・・・。
霧「あ、でも食べるよ。せっかく持って来てくれたんだから。」
俺「マジ?無理しなくてもいいよ?」
霧「無理してないって^^」
俺「あ、そういやもう1種類あんだけど。」
霧「ナニナニ??!!」
俺「うなぎフロランタン。」
霧「出た変な横文字・・・!^^;」
俺「名前はまあ・・・あれだけど、めちゃくちゃ旨いんだぞ。あれは俺も好き。うなぎパイの100倍。」
霧「そんなにウマいの?」
俺「保証する。^^」
霧「そんなん言っちゃうとメチャ楽しみなんですけど^^」
顔に似合わず、甘いもの好きなんだよな、こいつは。^^
***
俺「はい。これ。」
霧「うなぎフロレンチン。」
俺「フロランタンだって。」
霧「でもスペル読むとフロレンチンじゃん!」
florentinって書いて、フロランタン。多分・・・発音から言ってフランス語系かな。
そのスペルを、ローマ字読みしてどうすんだよ・・・!
俺「じゃあこのボトルは何て読むんだよ。」
試しに俺は、たまに使ってるカルバンクラインの香水を見せてみた。
ちなみにスペルはCalvin Klein。
霧「カルビンクレイン。」
耳を疑う。
俺「これ・・・有名なブランドだぞ?」
霧「え・・・あ〜!カルバンクレイン!」
・・・きいちゃんは、語学には滅法弱いんです・・・。
俺「カルバンクラインだろ!」
霧「あ、そっか。つか俺ブランドって分かんないんだよなぁ。それにスペルはカルビンクレインだし!」
俺「あのさ・・・念のために聞くけど、去年の誕生日にあげた香水のブランド、分かってる?」
霧「え・・・ああ・・・何かBとかRがいっぱいあるよな、あの名前。」
御察しがつくだろうが・・・BURBERRY。
そのBURBERRYの、BURBERRY BRITっていう香水をあげたんだ。
確かにBとRは多いけど・・・。
霧「バーベリー?」
・・・きいちゃんは、語学には滅法弱いんです・・・。
まあ、ブルベリーって読まなかっただけマシです・・・。
霧「あ、違う違う。バーバリーだ!これは知ってた。」
俺「今のもギリギリセーフだぞ・・・お前ホント語学ダメダメだな!^^;」
霧「そうじゃねえよ。素直にスペルを読み上げただけ。^^」
俺「はぁ〜・・・」
霧「つか開けていい?」
俺「良いよ。」
きいちゃんは、“フロレンチン”の包装紙を丁寧に剥がし、箱を開ける。
霧「うわフロレンチンメチャうまそう!」
俺「俺も1個もらうよ。」
サクッとした生地に、キャラメルっぽいのが絡まったアーモンドみたいなスライスが乗っかってる。
多分この生地かキャラメルっぽいソースにうなぎの何かが入ってるんだろう。
とにかくメチャウマい!
霧「うわうわうわうわ何だこれチョーウマ!!!」
きいちゃんは、過剰気味のリアクションで、このフロランタンの美味しさにビックリしてる。
俺「ウマいだろ?」
霧「サイコウ!!ゆう、今度からはこっち欲しいな。」
俺「はぁ〜???ワガママ言うなよ^^;」
霧「いや、これは自分で買いに行ってもいい位だぞ!」
俺「そんなに気に入った?」
霧「大袈裟かもしんないけど、今まで食ったお菓子の中で一番ウマいと思う。」
案の定、気に行ったみたいだ。
母さん、今度からはパイじゃなくてフロランタンを送ってください。
俺の分もね・・・^^
霧「で、これからどーする?」
俺「ん〜・・・まだ10時前かぁ。つか福袋ってもう売ってないかな・・・。」
霧「今日はもう5日だからビミョーじゃん?」
俺「そっかぁ・・・。」
霧「つかさ、ゆうの冷蔵庫空っぽだろ?」
俺「うん。年明けてまだ何も買ってないし。」
霧「俺もそうだから、とりあえず買出し行かね?俺篠塚から車借りてるから。買出しついでにドライブも行こ。」
俺「マジ?つか篠塚さん車持ってたの?」
霧「ああ見えて結構お嬢様なんだぞ。駐車場付きのマンションに住んでるって。」
俺「腐女子お嬢様か(笑)・・・ん?つかきいちゃん免許持ってたっけ?」
霧「持ってるよ。メチャペーパーだけどな。」
俺「いつから??!!」
霧「大学入る前から。入学式前に合宿行ってたから。」
俺「ぜんっぜん知らなかった・・・。」
霧「まあ、話す機会も無かったしな。」
まだ知らなかった事もあったんだな・・・^^;
俺「免許見せて。」
霧「え・・・やだ・・・^^;」
俺「え〜・・・何で??」
霧「写真が・・・変だから・・・?」
俺「大学入る前の写真だろ?」
霧「いや、去年くらいに一度更新してあるから、結構最近のなんだけど・・・」
俺「でも見たいなぁ・・・?」
霧「・・・じゃあ・・・ゆうにだけな・・・。ゼーッタイに誰にも言うなよ?」
俺「分かってるって。」
そんなにひどいのかな・・・?
こんなカッコいい顔してんのに・・・。
きいちゃんは、ポケットから長財布を取り出して、中から免許を出した。
指で写真のとこを隠しながら、そーっと差し出す。
霧「あ〜・・・やっぱヤダなぁ・・・。」
俺「もうそこまで出してんだから良いだろ〜。」
霧「・・・引かない?」
俺「多分。え、てかそんなにひどい顔なの?」
霧「一度弟に見せたら爆笑されたよ。兄さんこんな顔するんだって。」
俺「どんだけひどいんだよ・・・。」
霧「それ以来門外不出。次更新するまでゼーッタイ非公開って決めてたんだけど・・・もういいや!はい!」
ぶっきらぼうに突き出された免許証。
写真は・・・
目が半開きだった・・・
俺「ん・・・ック・・・!ク・・・ハハハハハハハッ!」
霧「そんなに笑うなって・・・!」
俺「ゴメンゴメン・・・だって・・・ハハハハハハハ〜!!半目剥いてんだもん!!」
霧「ひでーよぉ・・・−_−」
俺「でもよくある事だろぉ?^^ はい、もう封印しといた方が良いかもな・・・^^ ハハハハハ!」
霧「言われなくてもそうするし!ゆうのバカ・・・!」
ゆうのバカ・・・!って言うきいちゃんが、スンゴクスンゴク可愛く見えた。
俺「ゴメンゴメン、悪気は無かったんだ。」
霧「知ってる・・・。」
俺「怒んなよ・・・な。もう笑わないから。ほら、フロレンチン食べろよ。」
フロランタンの包みをむいて、きいちゃんの口の前に差し出すと、ガブリと噛みついた。
霧「ウマ・・・」
俺「な。ウマいな。もう忘れたから、はいスマイル。」
フロランタンの美味しさのおかげか、いいスマイルを浮かべた。
こういう所が、人に好かれるんだろうな。
俺「それ食ったら行こうか?」
霧「そうだな。」
俺「つかどこまで行くの?」
霧「こっからちょーっと離れてんだけど、結構安いらしいぜ。」
俺「へぇ〜。つか運転ダイジョブ?」
霧「大丈夫だと思う。意外と体って覚えてるもんだぞ。」
まあ、きいちゃんは高校時代はテニス部のキャプテンだったって事もあって、運動神経も動体視力も反射神経も優れてるし、大丈夫かな。
***
俺「何だ結構うまいじゃん!」
霧「フツーだよ。フツー。」
きいちゃんの運転は、案の定何にも問題無かった。スピードだって丁度良いし、右折に躊躇する様子も無い。
霧「さ、着いたぞ。」
俺「バック大丈夫?」
霧「大丈夫だって。」
俺が下りて誘導した方が良いかなって思ってるスキに、きいちゃんは難無く駐車場にすっぽり収めた。
俺「運転メチャうまいな。マジで。^0^」
霧「そんなに褒めんなよ。^^」
着いた先の大型スーパーは、結構混んでたが、先に進めないってほどの人数ではなかった。
俺ときいちゃんは、カートを押しながら、豚小間とか玉ねぎなどの食料品、洗剤とかティッシュ類をカゴに入れた。
俺「結構安いな〜。^^」
霧「だろぉ?」
俺「肉とか多めに買って冷凍しとけばかなり浮きそう。」
霧「そういや今日冷凍食品半額らしいぞ。」
俺「マジ?いいねぇ!」
一人暮らしの男にとって、冷凍食品というものは非常に重宝するんだ。
結局、冷凍分や保存食も合わせると、多分来月までは大きな買い物はしなくても良い位の買い出しになった。
車があるのとないのでは、買い出しの安心感が違う。
これだけの量は、いくら若いとはいえ、歩いて運ぶのはかなりキツイ。
霧「買ったなぁかなり!^0^」
俺「車があるってマジ便利だな〜^^」
霧「一旦戻って整理しようか。それからドライブ行こう。」
俺「OK!」
***
きいちゃんの上手な運転で無事帰宅した俺たちは、それぞれの購入分を冷蔵庫にしまい、もう一度車に乗り込んだ。
俺「つか何時ごろ車返さなきゃいけないの?」
霧「9時だよ。バイト先で篠塚と待ち合わせてる。」
俺「じゃあかなり時間あんだ。」
霧「そ。^^ つかそろそろ昼飯の時間だな。サイゼにでも行く?」
俺「そーしよ!^^」
サイゼリヤは、若者の味方。^^
さっきのスーパーの近くに駐車場付きのサイゼリヤがあるらしいので、俺たちはそこに向かう事にした。
<続く>