『好きな人いる??』
夏休みも近い日、部活終わりの何でもない帰り道。
突然聞かれた。ほんの一秒前まで部活の話してたのに。
正直こいつがそんな話をふることに驚いた。
驚きすぎて目を見開き口を開けたまま見つめてしまった。
そりゃそうだ。突然そんな話を切り出した張本人は普段は部活しか頭になく、女の子から告白のため呼び出されたとしてもシカト。恋愛なんて無頓着でこいつと恋愛は日本からブラジルくらいまで離れてあるのかと思ってた。
ちなみに背は低めだが筋肉質。でも顔は童顔。オレとは幼稚園以来の幼馴染み
『おい!ゆうと!シカトすんな』
びっくりしすぎてオレの中で時が止まった
『ってかなんでんなこと急に聞くんだし』
『いや、人を好きになるってどんなんかなぁって。なんか、恋をすると強くなれるってテレビでやってた気がする』
あぁやっぱり…こいつ……。強くなることしか考えてねぇ……
『いない……かな?リョウは?』
……そりゃまぁリョウが好きとは言えねぇし…
『なんか好きになるってどんな感じかわかんないけど、なんか心配って言うか、見ないとき気になるっていうか……ってやつはいる。たまに気になりすぎて部活に集中できないときがある』
『それが好きって言うんじゃない?ってかお前が部活に集中しない瞬間なんてあるんだ!!』
『たまにはね。好きになったらどうすればいいんだ?』
『気持ち伝えればいいんじゃない?思ってるだけって結構辛いらしいよ?』
……らしいよ。じゃねぇ……辛いんだよ…リョウ
『でも、なんか恥ずかしくね?受け止めてもらえる気がしないし』
『じゃあそのままでいいんじゃない?』
つくづくめんでぇ……こいつ。