「ハァ〜・・・気持ちいい〜〜・・・!!」
白浜温泉の中心地に在るこのホテル。温泉が格段に心地良い。
すんごく温かい。お湯に包まれて癒される。
霧斗「やっぱ温泉サイコーだ〜・・・。」
俺「だなぁ〜・・・。」
霧斗「ここに住みてぇ〜・・・」
俺「お前そのセリフ2回目だな^^」
霧斗「にかいめ〜??」
俺「近所の銭湯行った時もおんなじ事言ってたじゃん。」
霧斗「あぁ〜!お前が告った日だ!」
俺「おい声大きいよ!」
霧斗「良いじゃん^^ 露天風呂俺達だけだし。」
俺「ハズいだろ・・・!」
今思い出すと、すごく思いきったよな・・・。
霧斗「でもさ。あの日お前がそうしなかったらどうなってたんだろな。」
俺「ん・・・う〜ん・・・」
霧斗「未だに悩んでたんじゃね?」
俺「かも・・・ね・・・。」
霧斗「早かれ遅かれ告ってた?」
俺「分かんない・・・多分・・・する勇気無かったかも。」
霧斗「じゃあ・・・今だから聞くけど。」
俺「何であの日出来たかって?」
霧斗「そう。」
俺「ん〜・・・多分・・・あの体勢と・・・酒の勢い・・・かな?」
霧斗「あの体勢??」
俺「ほら、俺がよろけたのを支えようとしてベッドに倒れ込んだだろ?まるで俺が・・・お前をさ・・・」
霧斗「押し倒した?(耳元で囁く)」
俺「ん・・・うん。そう。」
霧斗「そっかぁ。」
俺は、この流れで、聞いてみたい事を聞く事にした。
俺「じゃあ逆に質問。」
霧斗「なに?」
俺「抵抗とかねえの??俺とこういう関係になって。」
霧斗「気になる?」
俺「うん。」
霧斗「聞きたい?」
俺「うん。」
夏休みの途中から付き合い始めて早4ヶ月とちょっと。
キスもセックスもデートもフツーにきいちゃんと出来たし、きいちゃんからも誘って来る事があるし。今回の温泉旅行だってきいちゃんの誘い。
元からノンケなきいちゃんが、俺がいくら喘ぎまくっても、フェラを夢中になってしても、全然引いたりしてない。むしろそれを見てより一層激しくだってなる。
男同士の恋愛形態を、信じられない位おおらかに受け入れてくれてるわけだ。
でも、そう簡単にノンケを卒業だって出来ないはずだと思うし、そう思えば思うほど、きいちゃんの受容力があまりにも凄過ぎて、すんなりとしてた。
信じろって言われてるけど、陰で悩んだりしてたのかどうか、最近沸々と気になってはいたんだ。
霧斗「隠してるつもりはなかったけど、話す機会も無かったしな。」
俺「俺きいちゃんの事信じてっけど・・・そこはやっぱ気になってたから・・・。」
霧斗「分かってる。いつ聞かれるかなって思ってた。ホントに聞きたい?」
俺「覚悟みたいなんは出来てる。」
霧斗「聞きたくなさそうな事も全部ぶっちゃけるぞ?」
俺「うん。」
霧斗は一度深呼吸した。
霧斗「ぶっちゃけ・・・抵抗あった。」
俺「やっぱ・・・そうだよな。」
霧斗「無理矢理キスされてマジあの時は引いた。」
俺「うん・・・」
霧斗「ゆうが俺の事好きって知らなかったし、ウソだろって・・・パニクったよ。」
俺「うん・・・」
霧斗「お前の事大嫌いになった。」
俺「・・・。」
初めて聞いた、大嫌いっていう言葉に、俺は心臓をキュッと握りつぶされそうになった。
霧斗「もうこのままシカトして縁切ってやろうって思ったりした。」
俺「うん・・・」
覚悟は出来ていたはずなのに、やっぱり辛辣。聞きたくなさそうな事って、これか・・・。
霧斗「でもな、俺お前と縁切れないって思った。2年半もほっとんど一緒に遊んでたし、勉強もしたし、何でもかんでもいっつもお前と一緒にやってたじゃん?」
俺「うん。」
霧斗「それでさ、今度は逆に自分が嫌になってきた。ほとんど一緒にいたのにお前が俺の事で悩みまくってんのなんて気づけなかったし。」
俺「うん。」
霧斗「親友だとか以心伝心だとか言ってたのがメチャバカバカしくなってな。」
俺「でも俺がお前好きだなんて、フツーなら分かんねえし・・・まさかってなるだろ?」
霧斗「そういうのに甘えたくない。便利な言い訳俺イヤだし。」
俺「そっか。」
霧斗「ネットで同性愛の事も調べた。」
俺「そうなの?」
霧斗「そりゃあネットがあるなら分かんねえ事も調べられるだろ?」
俺「そうだな・・・。」
霧斗「ウィキペディアにも同性愛の記事があったし、色々読んでみたらな、俺、同性愛に偏見持ってるって気づいてさ。」
俺「うん。」
霧斗「おんなじ人間なのに、ただ同じ性別の相手を好きだからって否定するっておかしいだろ?」
俺「きいちゃんはそう思ってんの?」
霧斗「調べてるうちにそう思ってきた。それまでは頭のどっかで否定してたっぽい。」
俺「うん。」
霧斗「だって同性愛を否定するってお前を否定する事にもなっちまうし。俺お前の事マジ最高の親友だって思ってたし、ただ男が好きだって事で他が全部ダメなわけない。」
俺「うん・・・」
どこまで心が広いんだよ・・・きいちゃん・・・嬉しいよ・・・そこまで考えてくれて・・・。
霧斗「お前は俺に告った後全然メールして来なかったし、気まずくなって相当ヘコんでんだって思った。」
俺「うん。食欲も無かったから・・・」
霧斗「最初は連絡来てもシカトするつもりだったけど、逆に来なかったから心配になったんだぞ・・・。」
俺「ゴメ・・・ン・・・。」
霧斗「直接お前に会う事も出来たろうけど、中途半端な気持ちで会っても無駄だしな・・・。それに俺はどーしてもお前と気まずい関係になりたくなかったんだ。」
俺「うん。」
霧斗「俺がもしNOって言ったら、ゆう絶対俺を避ける様になりそうだったし。だろ?」
俺「う・・・ん・・・避けて卑屈になってたかもしれない・・・実際なってたし・・・。」
霧斗「だからメチャクチャ考えて、やっぱ俺がOKするしかないって思ったんだけど、それだけじゃお前の勇気に対して失礼だって・・・感じた。まるで俺がしぶしぶ妥協し
たみたいになるし・・・。」
俺「うん・・・。」
霧斗「だから、OKするからにはお前の気持ちをしっかり受け止めなきゃダメだと思った。」
俺「うん・・・。」
霧斗「やっぱり俺にしかお前の気持ちを受け止められないだろなって。」
俺「うん・・・。」
霧斗「で、実際付き合い始めて、お前とキスしたら、全然違和感無くなってたんだ^^」
俺「最初っから?」
霧斗「そ。OKした後にキスしたろ?あの時既に。」
俺「そっか。」
霧斗「分かんないけど、お前となら上手くやれそうな気もしてきたんだ。で、初めて・・・セックスするってなった時も、男とホントにヤれんのかなってチョット心配だったけどな。」
俺「きいちゃんスゲー緊張してたもん・・・。」
霧斗「そりゃな・・・ちゃんと勃つかとか・・・ゆうが喘ぐの見て引かないかなとか・・・でも全然そんな事なかったけどな。」
俺「俺思ったんだけど。」
霧斗「うん?」
俺「途中から自然体だったな・・・^^」
霧斗「かもな・・・^^ 多分・・・お前にしゃぶられてるうちに吹っ切れたんじゃん?」
俺「そんなにヤバかった?」
霧斗「ぶっちゃけ・・・一番・・・?^^;」
きいちゃんが俺をすんなり受け入れる事が出来たのは、何よりも、親友として付き合ってきた2年半があったからなんだ。
2年半の想いが通じたのは、その2年半で築き上げた信頼関係と友情があったからなんだ。
霧斗「このまんま男に目覚めるんだろうな^^;」
俺「無理にゲイにならなくても良いんだぞ?」
霧斗「無理になろうなんて思わねえよ^^ つか自然となってきてるっぽいし。別にだからって後悔もしてねえしな。^^」
好きな相手の本音を全て聞く事が出来た。なんだかすっきりもしたし、改めて安心感を覚えたんだ。
きいちゃんも今まで以上に全部ぶっちゃけてくれたし。
俺「ありがと。」
霧斗「なにが?」
俺「ハッキリ言ってくれたからすっきりした。^^」
霧斗「きつくなかった?」
俺「ん〜・・・チョットな^^;でも覚悟してたからさ。」
霧斗「もう心配ないな?」
俺「うん^^」
霧斗「よし^^ つかそろそろ出る?マジ腹減ってきた^^;」
俺「俺も〜^^ その前にのぼせそう^^;」
霧斗「ハッハッ!じゃあ出るぞ^^」
露天風呂から上がると、外の温度差が逆に気持ちいいくらいになってた。
俺もきいちゃんもあと少しで茹でダコになる位まで浸かって、上がって浴衣着た後も汗がジンワリ。
芯まで温まって、心も温まって、俺は幸せな気分ってやつに体中埋め尽くされてた。