一度鬱になると癖になるっていうか
きちんと治療しないと完治しないっていうか聞いたことがある。
サトシ・・やっぱりあの日以来何もかもに憶病になってたんだね。
俺は根っからの天然ポジティブ思考だけど
サトシはどっちかっていうとネガだったりしたからな・・・
あの日から定期的に鬱になることが多くなった。
何度かそんな症状が続いたころには、なんかハレものにでも
触るような感じでサトシに接してた。
あるとき結構サトシの体調(心も)がいい時があって
思い切っていろいろと話し合ってみた。
心療内科に行ってみたらどうか?とか
俺のことウザくはなってないか?とか
何かしてほしいこととかない?とか・・・
サトシは「医者には行きたくない。マサトにはホントすまないって思ってる。
ただ・・もっと強く怒ってほしかった・・・」と
そう声を絞り出すようにつぶやくとサトシの目からは涙が溢れた。
次から次へと溢れ出る涙・・・
俺はほっときっぱなしにしたことをすっげー後悔した。
そのうち良くなるだろなんて医者でもねえ俺が・・
甘すぎた・・・
その日から鬱病について徹底的に調べ上げた。
サトシのように几帳面で真面目な性格の人ほどかかりやすい病気だってこと。
楽天的で俺みたいな人間はかからない病気らしい。
今はいい薬があって薬でだいぶ改善されること。
なにより大切なのは今まで通り普通に接するってこと。
周りの人間が気を遣いすぎちゃったりすると
かえって悪化しちゃうことがあるみたい。
ある日二人でテレビを見てた時のこと。
アメリカのドキュメンタリー番組だったと思うけど
ゲイのカップルのかたわれがエイズ発病してしかも末期で・・
そんな二人のことをやってて
力なく衰弱していくパートナーに彼が歌を捧げたんだ。
You Are My Sunshine
You Are My Sunshine
My only sunshine.
You make me happy
When skies are grey.
You'll never know, dear,
How much I love you.
Please don't take my sunshine away
その間俺達はずっと、そしてギュッと手を握ってた。
いまだにサトシの心の闇は消えてないけど
なんとか俺の気力・命が続く限り傍で抱きしめてあげたいよ。
俺の気持ちもこの歌と同じだから。