2.競パンタッチ
「タケシ〜!」
オレの声に気がついたタケシ、プールの縁に沿って近づいて来た。
タケシ:「あっ、春樹先輩じゃないですか。久しぶり!」
春樹:「おおう、やっぱタケシだったんだ。どっかで見たことあるなと思ってた
よ」
タケシ:「偶然ですね。でも、元水泳部の春樹先輩がこんな市民プールに来てるな
んて、珍しいですね」
春樹:「そうだな。この人ごみは意外だったけどなあ。ところで、岡田は元気に
してるか?さっぱり音沙汰ないんだけど」
タケシ:「あ、兄貴ですか?うん、毎日仕事に追われて大変みたいですよ」
春樹:「そうか。でも、元気に働いてるみたいだな。安心したよ」
そう言いながら、春樹の視線は前に立っているタケシの競パンに落ちている。
春樹:「兄貴も元気そうだけどよ。タケシ、タケシも元気そうじゃないか。そい
つでみんなの視線集めてよ」
タケシ:「えっ、何のことですか?」
春樹:「何のことって、タケシ、女子たちの熱視線、すごいぞ!」
タケシ:「えっ、熱視線?」
春樹:「何だよ、とぼけちゃってよ。すげえ似合ってるけどよ」
タケシ:「あっ、この水着のことですか。ボク、いつもこれ穿いて来るんですけ
ど。でも、春樹さんだって、その黒の競パン、格好いいですよ」
春樹:「そんなことないだろ。これ、昔水泳部時代に穿いてた古いやつなんだ」
タケシ:「昔の競パンって、K色が締まって見えるし、けっこうピッチリしてるん
ですね。泳ぎやすそうです」
春樹:「そうか。でも、オレの競パンより、そっちのブルーの競パン、新素材だ
ろ?」
タケシ:「うん、軽くてソフトな穿き心地ですよ」
春樹:「そうか、、、どれっ」
タケシ:「わっ、先輩、なにすん、、、」