1.市民プール
オレ、高橋春樹。元水泳部出身のオレとしては、夏休みの市民プールの超混雑の中ではさすがに泳ぐ気がしない。それで、さっきからプールの隅を行ったり来たりしているのだけど、
「あれっ、あいつ、岡田の弟のタケシじゃないか!」
ごった返すプールの中に一人のブルーの競パン姿の青年を見つけた。
(まちがいない、タケシだ!)
S大水泳部の同輩だった岡田の弟のタケシだ。何度か会ったことがあるので覚えている。それにタケシ、イケメンの上、鮮やかなブルーのビキニの競パン姿がごった返すプールの中で一際目立っているのだ。
咲:「ねえ、見て。あの男の人、ちょっとエロくない?ブルーの水着よ、すっご
いビキニ穿いてるわ!」
由美:「えっ、どこ、どこ?」
咲:「ほら、あそこにいる、あの子、背の高い、けっこうイケメンよ!」
由美:「あっ、ほんとだ!すごい!ブルーって格好いいね。腹筋締まっててさ、触
ってみたくなるわ!」
咲:「もう由美ねえさんったら、触りたいのはそこだけじゃないでしょ!」
由美:「へへっ、咲ちゃんも同じこと考えてたんだ」
そんな若い娘たちの黄色い声が聞こえて来るぐらいなのだ。
タケシは浅黒く日焼けし、腰高の丸いヒップに張り付いたブルーの小さい布地が周りの女子たちの熱い視線を浴びている。
咲:「やっぱ、ビキニ似合う男の子って格好いいよね」
由美:「ふふっ、あたしのタイプよ。誘っちゃおうかな〜」
咲:「えっ、ダメだよ、由美ねえさん。あたしが先だよ!」
そんな女子たちの声を背中に聞きながら、タケシの方に向かって行くオレ。
「タケシ〜!お〜い!」