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じゅんき
- 10/7/25(日) 17:19 -
俺は3年になった。
塾もやめて、勉強に身が入らないまま高校最後の夏休みがとくに思い出もなく終わろうとしていた。
この時期にはもう進路についての話も具体的になり、担任との面談で俺はなんとなく、そこそこ名の知れた大学を希望した。
「お前、あの大学はけっこうレベル高いぞ。大丈夫か?」
俺の担任は野球部の顧問もしている。
「あ、はぁ」
俺は弱気な返事をした。
「まぁ、これからの頑張りしだいだな。そういえば、山本もあの大学行くって言ってたぞ。野球部におっただろ?転校してしまったけど…」
俺は顔を上げて、まっすぐに担任を見た。
山本なんて名前を聞くのも久しぶりだったし、それがコウスケのことだったから。
「…まぁアイツは体育学部のほうだけどな。それにしてもホンマにすごい奴だよ。この前野球部で県外の大会行ったら、アイツに会ってな、しっかりチームをまとめとったわ。天性の才能なんだろうな。みんなを惹きつける才能っていうんか。わしも見抜いとったけど…」
コウスケが俺と同じ?
あの大学に行くのか?
「先生、それ本当なんですか?」
俺は担任の目に浮かぶコウスケを見つめて言った。
「ん?もちろん。アイツの才能は初め見たときから…」
「そうじゃなくて、僕と同じ大学を目指してるんですか?山本」
「あ、ああ。あの大学は野球も強いからな。お!そうだそうだ。その時に山本もお前のこと聞いてきたぞ…」
そうか。一緒の大学か。また会えるのか?
ん?コウスケが俺のことを聞いてきた?
「…なんか真剣な顔で、吉田は元気にしてますか?って聞いてきたぞ。だからわしが今担任しとるって…」
コウスケ…
俺のこと覚えてるのか…
心配してくれてるのか?
俺の中で何かがじわりと沁み込んで、締め付ける。
たまらなく会いたくなった。
「…そしたらショートのやつがエラーするわ…」
「先生、俺、じゃなくて、僕、塾あるんでそろそろいいですか?」
俺は担任の返事を待たずに立ち上がった。
「失礼しました」
俺は担任に軽く頭を下げて職員室を出た。
この締め付けを緩めようと、深く息を吸ってみる。
やっぱり締め付けはおさまらない。
しかしそれはだんだんとある希望に変わっていった。
また会えるかもしれないという希望に。
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じゅんき
- 10/7/25(日) 17:20 -
俺は勉強に励んだ。
その大学に行けば、コウスケに会える。
そのために勉強した。
そのためにランニングを続けた。
コウスケに会い、また一緒にランニングできるように。
それに……謝らないとな
3月になった。
俺は無事合格した。
大学は住宅地を離れた、ほどよく自然に囲まれたところにある。
部屋も見つかった。独り暮らしだ。
そこは良い街だった。
落ち着いた雰囲気で、都会とはいえないが、少し行けばオシャレな店もあるし、電車も混まない。なにより、道が広くて、ランニングには最適だった。
毎回新しいコースに見つけては、コウスケの姿を探した。
そして、入学式前日。
俺はいつものようにランニングするために夜8時に家を出た。
今日も俺は大学の周りを走ってみた。
そのコースは大学生の寮が並んでいて、大学の所有するテニスコートやサッカー場、そして野球場がある。
だから俺はもう何度もここを走っていた。
コウスケが本当にこの大学に進学しているのかなんて確信はなかったが、そう信じて走っていた。
ちょうど野球場のそばを走っていると、ポツポツと雨が降り出した。
雨が激しくなる前に帰ろうと思い、スピードを上げたその時だった。
野球場から足早に走ってくる人影がこちらに近づいてきた。
暗くてよく見えなくて、俺はそのまま通り過ぎるつもりだった。
しかし俺は足を止めた。
相手も同じように立ち止まった。
……コウスケだった。
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じゅんき
- 10/7/25(日) 17:22 -
「コウスケ……」
俺の声は雨の中に消え入りそうだった。
今俺の目の前にいる人間がコウスケなのか…
俺は確かめるようにつぶやいていた。
「……コウスケ?…」
「ジュンキ……」
俺は暗闇の中で一心にコウスケを見つめた。
コウスケと目が合う。
暗くて表情までは読み取れないが、驚いているのはわかった。
「…あ、俺、その…なんていうか、俺も…ここなんだ、大学…」
突然すぎて、俺は他に言うことができず、慌てて言った。
そりゃ驚くよな
俺は無理やり笑顔をつくった。
コウスケはまだ信じることができないようだ。
コウスケはただ俺をじっと見たまま止まっている。
「えっと…だから、俺……」
なんて言えばいいんだ?
あれだけ考えていたのに…
言葉が浮かんでこない。
いざ実際にコウスケを目の前にして、俺は嬉しいという感情よりも、空虚感に覆われて言葉に詰まる。
沈黙だ。
雨が激しくなってきた。
そうだ、謝らないと
俺は沈黙を破ろうと、再び口を開く。
「コウスケ…俺…」
「とりあえず、来いよ…ここだと、濡れるやろ……俺の家、すぐそこやから…」
片言でコウスケが言った。
やっぱり怒ってるのだろうか
その声の調子から、俺はそう思った。
コウスケは俺から目をそらして、寮がある方へ歩き出した。
俺は黙ってそれに従い、その背中についていく。
コウスケは振り返ることなく、無言で、足早に歩いていく。
コウスケの部屋に着いた。
コウスケは何も言わないまま、部屋の中に入っていき、タオルを2枚持ってきて、戻ってきた。
俺はどうしていいかわからず、玄関に突っ立っていた。
「タオル…」
そう言って、コウスケは俺にタオルを渡した。
その声はやはり片言だった。
部屋の明かりでコウスケが無表情なのがわかった。
俺をまっすぐに見ようとしない。
コウスケに何と思われてても、俺は謝らないと
俺はタオルを握ったままで、このままだと再び沈黙が訪れてしまう気がした。
俺は唾を飲み込んで、口を開いた。
「ごめん…コウスケ……」
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じゅんき
- 10/7/25(日) 17:24 -
「ごめん…コウスケ…」
一心にコウスケを見つめて、俺は言う。
「俺…わかったんだ……コウスケがいなくなって、何も手につかなくて…コウスケのことしか考えてなかった…」
俺は必死に訴えるが、コウスケは目を合わせてくれない。
「俺さぁ…後悔しか残ってなくて……俺の変なプライドのせいで、コウスケの気持ちに全然応えれてなかったんだなって…もっと素直になれてたら、もっと変わってたんだろうなって…」
俺の声にだんだん力が込もっていく。うつむいているコウスケに俺はただ必死に言った。
「…俺…会いたかった……会って、どうしてもコウスケに謝りたい……だから、その…コウスケがこの大学行くって聞いて…そのために俺……会いにきた…」
言いたいことがありすぎて、上手く言えない。
1年前には言えなかったこととか、素直に言わないと…今言わないと
「なぁ…コウスケ……俺、前みたいにコウスケと……走れないか?」
これを言うためにここに来たんだ
コウスケと一緒に走りたい
もっといろいろ言いたいし、聞きたい
もう失いたくない
俺は必死に言った。
それでもコウスケはずっと黙っている。
何か言ってくれよ…
俺はさらに力を込めて言おうとした。
「なぁ…コウスケ…また一緒に俺と走っ…」
「遅いんや……」
うつむいたままコウスケが言った。
「全部遅いんや……ジュンキは…遅すぎる……今さらもう遅いわ……」
力ない声で、コウスケは言い放った。
遅いって、もう無理ってことか?
もう一緒に走れないのか?
「なんで?……こうやって会えただろ?ならまた一緒に走れるじゃん…遅いって…なんでだよ?」
「ジュンキが変わったように…俺だって変わったんや…俺は前みたいに、ジュンキの気持ちに…応えてやれん……」
正直俺は、俺が素直になれさえすれば、やり直せると思っていた。
会って、謝って、素直に言えば、コウスケとまた走れると信じていた。
でも実際はそうじゃないのか?
もう二度とコウスケは俺と走ってくれないのか?
遅すぎるって、俺が変わるだけじゃダメなのか?
なんでだよ?遅すぎるって何だよ?
「なんでだよ?俺もっと素直になるから…走ってくれよ…俺と。なぁ…コウスケ?」
コウスケは目をそらしたまま。
「必要ってわかったんだよ…俺にはコウスケが必要なんだって……なぁ、コウスケ……ひとりで走っても……俺…楽しくねぇよ……」
必死に言う俺の口から、俺の気持ちが素直に出ていく。
それでもコウスケには届かなかった。
「傘やるから……もう…帰れよ」
俺の中で全てが崩れていく。
「コウスケ……なんでだよ………」
俺の声に力はなくなり、体は静かにドアを開けて、外に出ていた。
もちろん傘なんて持っていない。
ドアがゆっくりと閉まっていく。
コウスケは最後まで俺と目を合わさなかった……
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じゅんき
- 10/7/25(日) 17:27 -
気付いたら次の日になっていた。
俺は髪も服もまだ濡れたままの状態で、ベットの上にいた。
あの後の記憶が全くない。どうやってここまで帰ってきたんだ?
今のこの状態からして、だいたい予想はついた。
俺は雨に濡れながら帰ってきて、そのままベットに倒れこんだ。
起き上がると、頭がガンガンと痛む。寒気も感じる。
どうやら風邪をひいたようだ。
俺はふらつきながら風呂に行き、シャワーを浴びた。
あいかわらず頭は痛むし、寒気もおさまらないけど、意識がしっかりしてきた。
鏡に自分の裸体が写っている。
いつだったか、リレーでこけたときの傷の跡が俺の目にとまる。
ジュンキが変わったように…俺だって変わったんや…俺は前みたいに、ジュンキの気持ちに…応えてやれん……
コウスケの声が俺の中で響く。
俺は俺の気持ちをコウスケに伝えられたと思う
それでもコウスケは俺を拒んだ
これ以上俺は何をすればいい?
コウスケが俺の気持ちに応えられないってどういうことだよ?
変わったって、何がだよ?
今度は頭ではなく、俺の中身が痛んだ。
俺はこんな状態だから、入学式には行かずに、布団にもぐりこんだ。
打たれ弱い自分を情けなく思った。
昼ごろ、腹が減ってきたから飯を食おうと思い、ふたたび起き上がったのだが、状態はさらに良くないようで、熱を測ると38度を超えている。
おまけにすぐに食えるものがなくて、あるのは米、野菜、肉といった調理が必要なものしかない。
独り暮らしの洗礼をこんなに早く味わうとは思わなかった。
俺は、地元が同じで一緒にこの大学に来た、西田にメールした。
『俺、風邪で動けない。俺を助けれるのはニッシンだけだ。頼む、すぐに食えるものを買ってきてくれ。金は倍にして返すから』
より危機感を表現するために、片言な内容で送った。
ニッシンとは西田のことだが、俺の家を知ってるのはニッシンだけで、俺はこの頼みの綱を当てにして、ふたたび眠りについた。
起きたら夜の8時になっていた。
まだ頭は痛むし、寒気と気持ち悪さも感じる。
横になったまま玄関を見ても、食料らしきものは届いていない。
携帯を見ても、ニッシンからの返信はなし。
俺は舌打ちして、携帯を閉じた。
軽いものでもいいから、自分で調理しようと覚悟を決めて、重い体を起こしたその時だった。
「ピーンポーン」
チャイムが鳴った。
さすがニッシン!少々遅い気もするけど、ナイスタイミングだ!
俺はそう思って、フラフラと歩いていき、ドアを開けた。
「サンキュ!ニッシン……」
目の前にはニッシンよりも背の高くてガッシリとした体があった。
そしてまた、コウスケは突然現れたのだった。
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じゅんき
- 10/7/25(日) 17:30 -
「コウスケ……」
この状況を飲み込めない。
「入学式の後、西田に会った。そしたらジュンキのこと頼むって言われて、西田の代わりに俺が来ることになった。ジュンキが風邪にいたんは、俺のせいや思うし」
コウスケはあいかわらず俺に目を合わせないし、ボソボソと言った。
見ると、コウスケの右手には、いつかのボロバックがぶら下っている。
「レンジでチンすればすぐ食えると思う。今夜の分と、明日の分もある。あと水分とるとええから、スポーツドリンクも」
俺を拒んでおきながら、どうしてまた俺のためにここまでしてくれるんだろう
なつかしのボロバックは重そうに膨らんでいて、食べ物や飲み物がたくさん入っている。
急に目の前がぼやけてきた。
なぜだか俺の目は涙で溢れ出した。
涙はどうしようもなく流れ出て、肩の震えも止まらない。
俺は感謝の言葉ひとつ言えずに、泣いているのだ。
なんでなのかは俺自身わからない。
ただコウスケを感じて、泣いてしまう。
「お、おい……ジュンキ?どしたんや?」
久しぶりにコウスケと目が合う。それなのに、涙でにじんでぼやけてしまう。
「いや……なんでもないって…ただ俺……」
この後の言葉を言ったら、コウスケはどう思うだろう
また拒まれるだろうか
それでも俺は言ってしまいたい
俺は声が震えるのをこらえて言った。
「……必要だ…コウスケ……」
俺の弱い弱い本音が涙とともに流れていった。
すると、俺の体は一気に包まれた。
「すまん、ジュンキ。ホンマにすまんかった。俺やっぱ、ほっとけん、ジュンキのこと。なぁ、泣くなって」
俺を包むコウスケが俺に囁く。
久しぶりに聞く、優しい声だ。
それがまた俺を泣かせる。
コウスケは震える俺を強く抱きしめる。
それがまた俺を泣かせる。
コウスケの体は温かくて、それがまた俺を泣かせる。
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じゅんき
- 10/7/25(日) 17:32 -
しばらくの間、コウスケは震える俺を何も言わずに抱きしめてくれた。
その温かさを全身で感じているうちに、高まった俺の気持ちはしだいに落ち着いてきた。
こんな風に甘えきってる自分には嫌気がさすけど、今はただこの懐かしさを一心に感じていたい。
「ジュンキ?良うなったか?お前は今は休んどけ」
俺の落ち着きに気がついて、コウスケが俺の顔の覗き込んで言った。
俺は急に恥ずかしくなって、涙を拭いた。
他人にこんなにも感情をさらけ出したのは初めてだった。
「おし!飯は俺が作ったる!ジュンキは横になっとけ。風邪悪化したら困るやろ」
そう言って、コウスケは白い歯を見せて微笑んだ。
食料を届けてもらった上に、これ以上コウスケに世話をかけるのは気が引ける。
「いや、俺もう大丈夫だから。コウスケは明日大丈夫なのか?」
「ジュンキがこんな状態やのにほっとけるわけないやろ。飯作ったるけど、そのかわりに俺も食ってええか?(笑)」
昔と同じ笑顔だ。
その笑顔につられて、俺も少し微笑んだ。
「おっしゃ!台所借りるで。即行で作ったる。鍋でええやろ?」
そう言ってコウスケは台所に向かった。
頭痛はやっぱりひどいから、俺はベットに横になり、黙々と作業をするコウスケの背中を眺めることにした。
今こうやって、コウスケが目の前にいることを改めて実感する。
俺は自然に口を開いていた。
「コウスケ。ありがとう」
俺の声は死に逝く病人のようだったかもしれない。
コウスケは背中を向けたまま、少し照れくさそうに返事をした。
「ん?お、おう」
風邪をひいているのと泣いたことのせいなのか、俺はいつもより意識がぼんやりとしてて、自然と思ったことを言えてしまう。
「なぁ、コウスケ?俺が昨日言ったこと、信じてほしい」
俺は背中に病人のような声で話しかけた。
一瞬コウスケの動きが止まったが、すぐに作業に戻った。
「おん。信じとるよ。信じとるし、なんや、嬉しかったわ」
その背中はまた照れくさそうに、優しく言った。
「ならよかった。なぁ、コウスケ?風邪治ったら、一緒に走ってほしい。俺、コウスケが転校してってから、毎日走った。またコウスケと一緒に走れるようにって。やっぱりダメか?」
少しの沈黙の後、コウスケが言った。
「あんな、ジュンキ。俺、ジュンキに謝らんといけんって、昨日あの後気付いたんや」
コウスケは背中を向けたまま、ゆっくりと話し始めた。
「俺、転校してもジュンキのこと忘れれんくて、ずっと後悔しとった。何も言わずに去ったやろ。それで俺、イライラしとって、それを紛らわすために、俺、出会い系に走ってしもうたんや。ジュンキを忘れるために、ようわからん奴とヤッテしもうた。俺、最低やろ……やから、ジュンキの気持ちには前みたいに応えられん思う」
そうだったのか
だから昨日あんなこと言ったんだ
コウスケも俺と同じように後悔してたのか
コウスケの気持ちは痛いほどわかる。
「俺、コウスケのこと最低なんか思わんよ。今こうやって、充分応えてくれてるだろ?最高だよ。なぁ、また走ってよ」
「ええんか?ジュンキ。俺、こんなんやぞ?」
コウスケが振り返って、俺を一心に見た。
「俺、好きだから。コウスケのこと。だから、どんなんでもいい」
今夜の風邪は俺に魔法をかけているようだ。
俺は初めてコウスケに好きだと言った。
それは自然に言えていた。
そして、コウスケの表情は緩んでいき、おなじみの白い歯を見せた。
「ジュンキ、変わったな。俺ますます好きになったぞ(笑)」
コウスケは笑顔を輝かせながら、俺に飛びついてきた。
重くて動けないけど、その重みが心地いい。
コウスケは俺の上に乗って、俺は唇を重ねた。
抱きしめる腕はさらに強くなり、俺もそっと背中に腕を回した。
俺もコウスケもお互いをいままでよりもいっそう強く感じた。
台所の鍋からは、いつかのリンゴがほのかに香っている。
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じゅんき
- 10/7/25(日) 18:35 -
俺は保守的で、少々消極的で、かなりの奥手で、必要以上のプライドを手放せず、下手なつよがりをしてしまうようだ。
コウスケに出会ってから、俺は俺の性質を思い知らされた。
それは「性格」ではなくて、「性質」といえるほど、俺の中に頑固に居座っていて、俺はこの性質をたやすく変えられそうにないということも、コウスケと関わっていくうちにわかってきた。
ただ俺は、あの日(コウスケと1年ぶりに再会を果した日)以来、変える努力はしている。
コウスケもそれを少しは感じてくれているようだ。たぶん。
「ピッピピ、ピッピピ、ピッ」
俺は手探りで携帯を探し出し、アラームを切った。
眠たい目をこすりながら、ゆっくりと上体を起こす。
閉め切ったカーテンの隙間から、朝日が漏れている。
その光の先には、精悍で男らしい、整った寝顔がスヤスヤと寝息をたてている。
「なんでこいつは起きないんだ?(笑)」
俺はひとりでつぶやき、俺の左足の上に乗っかっている鍛えられた右足をどかす。
俺もコウスケも素っ裸だ。俺の部屋のひとつしかない俺のベットに2人で朝を迎えている。最近はこんな感じだ。
今日からこの大学も夏休みらしい。
初めて経験する、大学での夏休みだ。
「コウスケ、起きろ」
返事はない。あいかわらず、寝息をたてている。
俺はこの寝顔が好きなんだと思う。
俺のそばで、安心して眠っているコウスケをなんだかかわいいと思えてくる。
俺は、この無防備な頬を軽くつねった。
「起きろ。おい、コウスケ」
コウスケの体がゆっくりと動き出し、かすかに目を開けた。
「ん、んお?ジュンキ、おはようさん」
かすれた声がまだ眠そうに言うと、突然俺は引き寄せられて、その唇に俺の頬がぶつかった。
「うお!?おい!コウスケ!?放せって!ウッ、臭っ!」
どうして寝起きなのにこんな力が出せるんだ?こいつ
寝ぼけてるのか?ていうか、酒臭い
あいかわらず、コウスケの力には対抗できず、俺はもがきながら、ようやくその突然すぎる抱擁&キスから逃れた。
「なんやジュンキ、お目覚めのキスや。そんなビビらんでもええやろ(笑)」
コウスケはそう言うと、大きく欠伸をして起き上がった。
「そんな酒臭いキスがあるかよ(笑)お前は突然すぎるんだよ」
俺は頬を拭ってベットから降りた。コウスケは俺の裸体をニヤニヤと見つめている。
「ジュンキ、お前興奮しすぎやぞ(笑)」
コウスケは俺のアソコを指差して笑った。
見ると、俺のアソコは朝立ちをしている。全裸だからそれははっきりと目立っている(笑)
俺は恥ずかしくて、すぐにコウスケに背を向けてパンツをはいた。
そして俺も負けじと背を向けたまま言う。
「コウスケも言えんだろ?俺より激しいぞ(笑)」
俺は勘で言ってみたのだが。
「おお!ホンマや(笑)気付かんかった(笑)」
ほんとにそうだったようだ(笑)
「もういいから(笑)早く着替えろよ」
俺はズボンをはきながら言った。
「おう。このチンコがパンツに収まったらな(笑)」
「はいはい、ええから早くしろ」
こんな感じで、俺たちは朝を迎えた(笑)
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じゅんき
- 10/7/25(日) 18:37 -
俺たちは無言で走るだけ。
ただお互いの呼吸を隣で感じて、同じペースで並んで走る。
コウスケが野球で夜も練習してるから、夜8時からのランニングは早朝6時にすることになっていた。
最近は毎晩のように練習で疲れたコウスケが俺の家に泊まって帰るから、俺たちは共に朝を迎えて、そのままランニングに入る、というかたちが続いている。
やる夜もあれば、ただ寝るだけの夜もある。
どっちにしろ、1つのベットに男2人が寝るのは少々不都合ではあるが、俺は満足している。
ランニングコースは山の中腹にある神社まで。
この前コウスケと見つけた場所で、そこからの眺めが気に入って、俺らはここ最近ずっとこのコースだ。まだ気温が低く、かすみがかった街を見渡せる。
「そろそろここも飽きてきたな。ほれ、コウスケ」
俺は神社の横にある自販機で缶コーヒー2本買い、街を眺めているコウスケに渡した。
「おお、サンキュウ。そうか?俺はずっとこのコースでもええけどな」
俺はコウスケの横に腰を下ろし、コウスケと同じように眺めに浸ってみる。
「青春やな。山から眺める朝の街並み。手元には缶コーヒー。隣には、ジュンキや」
横でコウスケが言った。たまにコウスケはこういう臭いセリフを言う(笑)
そして俺に同意を求めるように、俺の肩に腕をのっけてくるのだ。
「青春…まぁ、確かにいい眺めだよな。俺らのどっちかが女だったら、完璧なのにな」
俺は冗談で言ってみた。俺たちは女を好きになれない。
そんなことはわかっているのに、最近たまに俺は不安になることがある。
「なんやジュンキ?痛いところ突くなや(笑)まぁ俺はジュンキを女やと思って接しとるけどな。愛しとるぞ(笑)」
笑いながらコウスケはそう言って、俺の肩に乗せた手を俺の頬に移してきた。
その指が優しくなでるから、くすぐったい。
「はいはい。くすぐったいから(笑)」
俺はその手を掴み、コウスケと向かい合った。
「なぁ。青春って時期過ぎたら、俺らただのオッサンになるんだよな」
オッサンになれば、こんなこといつまでもできないだろう。
「さあな。そんなことより、ここでキスしたら、完璧や思わん?恋愛青春ストーリー(笑)」
おなじみの白い歯を見せて、コウスケは俺の肩を両手でつかむ。
「お前は結局そこに行き着くのかよ(笑)今のセリフも臭すぎ(笑)」
そんなことを言いつつ、俺は周りに誰もいないか見渡して、目をとじる。
俺の体はグッと抱き寄せられ、温かいものを唇に感じた。
こんな時、俺は不安になる。
青春っていつまでも続かないだろ?
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<Mozilla/5.0 (iPhone; U; CPU iPhone OS 2_2_1 like Mac OS X; ja-jp) AppleWebKit/525.18.1 (KHTML, like Gecko) Version/3.1.1 Mobile/5H11 Safari/525.20 @pw126228009170.24.tik.panda-world.ne.jp>
文章にテンポがあって凄く読みやすく、じゅんきさんの心情も伝わってきました。お二人が再会した辺りからじーんときて涙がでました。続きが楽しみです。
<KDDI-CA3F UP.Browser/6.2_7.2.7.1.K.4.306 (GUI) MMP/2.0 @05001010232841_aa.ezweb.ne.jp>
久しぶりに読ませてもらって、感動しました。続きも楽しみにしてます
<KDDI-SH3E UP.Browser/6.2_7.2.7.1.K.3.350 (GUI) MMP/2.0 @07061070359954_mb.ezweb.ne.jp>
久しぶりに見れて、めちゃうれしかったです このストーリーがあるんを忘れてしまっていましたが 、また続きが読めると思うとすごくワクワクしますo(^-^)o
更新楽しみにしてます
<DoCoMo/2.0 N906i(c100;TB;W24H16;ser359941010187161;icc8981100000700481544F) @proxybg022.docomo.ne.jp>
一揆に読みましたが、とても暖かくていい話で感動しました。
<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1; SV1; .NET CLR 1.1.4322) @39.51.44.61.ap.yournet.ne.jp>
やばいです…この話の意味というか…すごく分かる気がします!!(>_<)続き期待してます
<KDDI-SA39 UP.Browser/6.2.0.12.1.4 (GUI) MMP/2.0 @05004033363097_gw.ezweb.ne.jp>
TAKU
- 10/7/26(月) 20:17 -
じゅんきサン、最高ッス
マジ最高ッス
じゅんきサンの心が痛いほど凄くわかります 泣いてしまいました
自分も同じような思いしたことあります
もし続きがあるならお願いします
<DoCoMo/2.0 SH04A(c100;TB;W24H12;ser353684024842795;icc8981100020516645892f) @proxybg001.docomo.ne.jp>
うわ…最後の一文やばいリアル(^^;)
それも含め面白かったす。
<KDDI-SA3D UP.Browser/6.2_7.2.7.1.K.1.5.1.119 (GUI) MMP/2.0 @07012310311771_vm.ezweb.ne.jp>
何度も読み返しました。最高!!エロエロも混ぜてください!!これからの続きも楽しみにしてますのでよろしくお願いしますm(_ _)m
<DoCoMo/2.0 F706i(c100;TB;W24H17;ser357023012518875;icc8981100000560102321f) @proxy20040.docomo.ne.jp>