たまに考える。
もしも僕が女ならって。
中3の春。
僕はクラスの男子に恋をした。
僕もその人も同じ部活。
でも、遊んだことはなかった。
学校でしか会話は無かった。
メールはしてたけど。
毎日学校で会って話すのが楽しみだった。
毎日メールするのが楽しみだった。
ある日のメール。
『今日、彼女と別れたんだ』
『いたんだ。初耳だなぁ』
『一年の頃から付き合ってたんだけどな』
『へぇ〜。どこまでしたの?』
『何もしてねぇよ』
『そんな付き合っててキスもしてないの?』
『してねぇ。てか、お前、自分からできんの?』
『できるよ。してあげよか(笑)』
僕はクラスでゲイって告白してた。
初めて言ったのは好きな人…悠にだった。
『遠慮するわ』
『そう。残念』
こんとき、内心イライラしてた。
付き合ってたことに気づけなかったこと。
そもそも付き合ってたこと。
その二つに。
『お前が女だったらなぁ…。付き合って欲しいよ』
『なんだよ〜』
『だってお前、女だったら可愛いと思うぞ』
『どこがだよ』
『顔とか性格』
『ばか。お前に言われても嬉しくねぇよ』
嬉しかった。
それに、悲しかった。
初めて女になりたいと思った。
『お前、誰好きなの?』
『そうだなぁ…カズかな』
本当は悠って言いたかった。
『カズかぁ。イケメンだもんな』
『悠もカッコイイよ』
『お世辞はイイから。今日はもう寝るわ。また明日学校で。おやすみ』
『おやすみ☆』
そのあと風呂で泣いた。
ベッドで泣いた。
どうして僕は女じゃなかったんだろう…。
夏の終わり。
僕は決心した。
告白しようと。
「悠、話しがあるんだけど」
「なに?」
「放課後、話そ」
「わかった」
あとから聞いたけど。
このとき悠は気付いてたらしい。
「あのさ…」
「なに?」
「…好き…です」
顔を見れなかった。
もうダメだって分かってたから。
勝手に涙が出てきた。
「ありがと。でもゴメン。気持ちだけは受け取っておく」
「僕が…男だから…?」
「まぁ…な」
「だったら。僕が女だったら付き合ってくれた?」
「そうだな」
「だったら…もし僕が手術して女になったら、付き合ってくれる?」
我ながら、いろんな意味でバカな発言だったと思う。
「無理だな」
「なんで…?」
「体イジッてるような奴イヤだし」
「でも…僕、そうじゃないと好きになってもらえない…」
「俺はお前のこと好きだよ。だから、お前が女だったら付き合ってもイイって言ったんだ。だけど、もし自分の体イジるようなことしたら、お前のこと嫌いになる」
「じゃあ…。僕はどうしたらイイんだよ!」
ワガママだった。
告白するまでは『フラらたら笑って済まそう』と思ってた。
でも、いざ告白したら、想いが止まらなくなってた。
「僕…嫌われたくない…」
「だから嫌いじゃないよ」
「でも…僕…男だから…」
「…だったらさ…俺の命令聞ける?」
「え?」
「好きだったら聞けるよな」
「…いいよ」
「脱げ」
「…わかった」
二人でトイレの個室に入った。
「好きなら脱げよ」
「…うん」
上から脱いでく。
Yシャツ。
中に着てたTシャツ。
そして、ベルトを外しズボンを脱ぐ。
「ほら、全部脱げよ」
「……」
トランクスに手をかけた。
恥ずかしくて。
苦しくて。
だけど、好きだったから。
ゆっくり下ろした。
「待て」
毛が見え、もう見える寸前で止められた。
「なんでそこまでするんだ?」
「好きだから」
「…馬鹿みてぇ」
そう言って出て行ってしまった。