春になると、目的をもった者たちが色んな方向へ流れ出す。
僕も中学を卒業し、が、特に目的も目標もないまま地元の私立高校へ進学した。
桜が咲き乱れ、空は春にしか見せない色をしていた。
僕は校門の前に立っていた。特別な夢も希望もない、春には似合わない雰囲気を出して。
地元の中堅私立高校だけあって、生徒数はかなり多い。
第1志望校に落ちて来た奴や、学力奨学生で入学して来た奴、部活動の特待生として来た奴、ただ何となく入って来た奴など様々だ。
体育館の入り口に、クラス編成表が貼り出してあった。
その面子を見ても、同じ中学の連中は3、4人だった。
同じ中学といっても、初対面同然の奴等ばっかで、もしかしたらまだ同じ中学の奴がいるのかも知れない。
どちらにしろ、あまり変わらない。
マンモス校だから、バラバラになるのは覚悟の上だった。
元々仲良しグループだった奴等は、みんな違う学校だったから、そんなにショックでもなかったし。
なんにしろ、また一から人間関係を作りなおすのは、人見知りな僕にとってとても面倒臭いことだった。
体育館へ入るよう促すアナウンスが流れ出した。
一体どんな高校生活が始まるのだろう。
僕は、期待も不安も入り交じらない気持ちで体育館へと入った。