例えばケイゴにセフレが100人いたってイイ。
ケイゴの俺に対する愛情が、100のままで
少しも減らないのであれば。
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乱暴、自己中、ナルシスト。
それが、ケイゴを表すのにぴったりの名詞。
分からない…部屋の掃除をしながら、俺はぼんやりと考えた。
どうしてこんな男を好きになってしまったのか、
俺は今でもよく分からない。
顔は確かにタイプだ。
サル顔でソフモヒ。元水球部だけあって、体つきはイイ。
でも、それだけのこと。
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「お前さ、俺に抱かれたいんやろ?」
ケイゴに初めて会った日、俺はそう言われた。
季節は夏で、ケイゴは白のTシャツを着ていた。
黒く健康的な肌に、その白いシャツはよく映えた。
「は?勘違いしないでください。俺はヤリ目的とかじゃありません」
俺はそう答えたけれど、ケイゴは小馬鹿にしたように笑った。
「そうなの?珍しいね。まさかショタ専?」
「違います。たとえ俺がケイゴさんのことがタイプだったとしても、エッチはしません。そういう目的で掲示板にメールしたんじゃありません」
「そーなん」
「そーなん」「うぜぇ」「なんでもいいよ」は、ケイゴの口癖だ。
それから俺とケイゴは居酒屋へ行った。
ケイゴの体からはシトラスの香りがいつもする。
その後、酔っ払ったケイゴを部屋まで送った。
アルコールで1.5倍くらい膨らんだように見えるケイゴの体は
熱くて、重かった。
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部屋の掃除を終えると玄関のチャイムが鳴り、
出ると、表にいるのはケイゴだった。
部屋に入ってきて、どかっと座る。
シトラスの香りが、俺の鼻をかすめる。
ケイゴは何故か異様に苛立っていた。
むすっとした表情のまま、煙草に火をつけようとし、
ライターが切れていると分かると、それを壁に投げつけた。
そして俺の腕をぐいと引っ張り、
両手首を、ケーゴは右手だけでつかんだ。
大きくて熱いケイゴの手。
強引にキスをされ、左手でシャツの中をまさぐられた。
俺は素直に従った。
一方的で全然気持ち良くなかったけれど、
感じているふりをした。
そうすることで、ケイゴの異常な苛立ちが収まることを
俺は知っていたから。
続。