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OB
- 14/5/8(木) 14:40 -
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「やべ、今日バイトか……」
俺は一通りのやることを終えて時計を見ると、もう6時を過ぎていた。
今日は日曜日。清掃のバイトを入れていたことを思い出した。
気持ち良さそうに寝ている同居人を尻目に、昨日のことを考えないよう、
制服やら何やら必要なものを鞄につめこんで家を出た。
……。
集合場所。東京駅近くのどこぞのオフィス街。
朝8時前、平日ともなればスーツ姿のサラリーマンでごった返すのだろうが、
今日は休日ともあって閑散としている。
観光客、休日出勤、その他ちらほら。
まぁ、田舎に比べればそれでも人が多いけど。
俺は待ち合わせ場所にちょっと早めに着いてしまった。
正直、苦楽の差が激しいこのバイト。
汚いところやものが溢れたところ、無駄に広いところなんかが担当のときはげんなり。
逆に凄く楽なときは、これで良いの?と思えるときもあった。
ただ何より、このバイトで最近良かったなって思えることが一つ。
一緒に働いている仲間が良い奴だってこと。
まぁ、上司の中にはどこぞの頑固親父みたいな口うるさいやつもいて嫌にもなるが……。
「おはようございますー!」
一人の男が爽やかな挨拶をしながら、俺に近づいてくる。
バイト仲間の明智君に、俺も笑顔で挨拶を返す。
一つ年下の専門学生。スポーツ専攻らしく、サークルではサッカーをやっている。
体育会系らしい爽やかなルックスは長身でガタイもよい。
おそらくそこまで飛び切りのイケメン!ってわけではないのだが、
俺的には見ていてとても気持ちよく、目の保養だった。
つい最近入ったこの子は、イマドキなのにイマドキらしくない。
なんと説明していいのか難しいが、とにかく良い意味で変わってる子だった。
「良い天気っすねー」
あはは、と笑いながら暢気に話しかけてくる。
袖と裾をまくり筋張った腕と脚は、よく見ると代謝が良いのか汗ばんでいた。
でも不思議と不快な感じがしないのは、普段からよく汗を流しているからだろうか。
その健康的な雰囲気とチラリズムが相まって、妙なセクシーさに思わずドキッとした。
「相変わらずの着こなしだね」
「へ?何がっすか?これ、私服じゃないっすよ?」
俺の飛ばした発言に、きょとんとした顔が面白い。
からかってやると、真面目ながらも天然ボケなのが俺にとっての癒しだった。
「べっつにぃ」と意味深に言ってやると、膨れっ面をして突っかかってくる。
なんとも他愛無いやりとりをしていると、社員の人たちも何人か集まってきてバイトが始まった。
今日はオフィスの清掃、比較的楽なのでホッとした。
……。
休憩中、誰もいないオフィス内のロビーに設置してあったソファに横たわっていると、明智君もその横にかけてきた。
「ねぇねぇ、センパイ」
「ん?」
どことなく嬉しそうにして話しかけてくるときは、たいてい……。
「オフィスって、なんかエロいっすよね?」
こんなネタだった。
「お前なぁ、AV観過ぎ」
他人に言えた俺ではなかったけど。
「だって、なんつーかこう、スーツと制服姿がオフィスで…こうっ…わかりますよね!?」
妙な身振り手振りを交えて熱弁してくるこいつはアホらしくて笑えたが、
そこはグッと堪えて、そうだねーと冷たく返してやる。
ノリ悪いっすねー!とぶぅぶぅ言いながら、止まらず俺に話しかけてくる。
入ってからシフトがかぶることが多く、教えてやることも多かったからか妙に懐かれたようだ。
「あ、そうだ。センパイ、今日終わったら飯行きましょうよ!」
「んー、金ないからなぁ」
突然の嬉しい誘い。でも現実もそこにはあった。
「おごりますよー!俺、臨時収入があったんで……」
にしし、という効果音がつきそうな笑みを浮かべて嬉しそうに言う明智君。
「えー?……でもまぁ、丁度いいか。今までの教育費として、お言葉に甘えようかな?」
「教育費?あー!そうっすね!センパイには手取り足取りいろんなこと教えていただきましたし!」
「手も足もとった覚えは無いけどな」
すかさず突っ込むと、二人でアハハと笑った。
こいつとのこんな風に流れる時間が、やっぱり心地よかった。
「あ、でもでも。モップのかけ方とか、後ろからスッと手握ってきて、耳元で『こうするんだよ……』って、俺すげぇードキドキしたんすよー!」
俺は一瞬脳内がフリーズし、そのあと顔が一気に熱くなった。
時間にして約0.3秒。どこぞのガンマンなら標的を打ち抜いている。
「う、うるせぇ!ああするしか、ほ、他になかったんだよ!ってか、そんな言い方誰がするか!」
「あはは、センパイ、顔が赤い!かわいー!」
俺は言葉に詰って、そっぽを向くくらいしかできなかった。
「あはは、すみませんって!飯、良いところおごりますからー!
俺の友達が働いている定食屋があるんすけどね、安くて美味いんすよ!」
「ふーん……。まぁ、今日は許す。次はないからな」
「いえっさー!……でも、もし次やったら?」
真顔で聞いてくるその言葉に、
「んー……お仕置き?」
そう真顔で返すと、今度は明智君がフリーズした。
「……やべっ、今の言葉」
「は?」
俺はこのとき明智君が何を考えていたのか瞬時に理解できなかった。
後ろから蹴りを入れてどついたのは、バイトが終わってからのことだった。
「足と言えばセンパイ、脚細いっすよね?ちゃんと食べてます?」
「うるせぇな、食べてるよ」
休憩中、明智君と同様にまくった裾から出ていた俺の脚を見て、明智君は興味津々に聞いてくる。
俺は大した運動もしてないが、無駄に歩くのが好きなので結構ひき締まっている。
そのわりにふくらはぎは柔らかくて、よく喜一にもまれていた。
「ちょっと触っていいっすか?」
明智君も何かを良いものを発見したかのように俺のふくらはぎに手を伸ばす。
俺の返事も待たず、遠慮がちに触りだす。
ごつごつしてるが綺麗な男らしい手が、俺のふくらはぎをもんだり撫でたりしてくる。
「んっ……」
やばい、気持ち良い。
「すげぇ、ぷにぷにしてる……。なんか良いっすね、コレ」
「はっ……、大して変わんねぇだろ」
と理性を保ちながら、明智君のふくらはぎに手を伸ばすと、
「かたっ!」
驚くほどの引き締まりようだった。
「ははは、そりゃサッカーやってますから」
見ると、確かにまるでフライドチキンのようにおいしそうな脚だった。
「なんか今、変な感想持たれた気がしたんすけど……」
「へ?き、気のせいだよ」
そんなやり取りはしながらも、揉むのは止めない明智君。
「んっ……」
さっきよりも妙に手つきがエロく、しっとりと汗ばんでいるのが分かる。
彼の表情を見ると、まるで何か面白いものを見つけたときの幼い子供のように無邪気で、それがなんとも無防備で……。
なぜか今までの彼とのやり取りがエロい形で蘇ってきた。
そして、俺のアソコが反応しかけたそのときだった。
「おーい、休憩終わりだぞー!」
社員の声が奥のほうから聞こえた。
その言葉にハッと我に返って手が止まる。
二人してちょっと恥ずかしげに笑うと、また残りのバイト時間に戻っていった。
俺と明智君は別々のところを担当するらしく、別れ際に彼が、
「今度は俺のもマッサージしてくださいね!」
何の含みも無く、爽やかに言い残していった。
まさかそれが、あんなことになるとは……。
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康平
- 14/5/9(金) 0:07 -
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OB
- 14/5/10(土) 6:54 -
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「はぁー、終わった終わった」
「お疲れさーん」
本日の業務終了、これで日給8000円。
比較的楽だったし、やっぱり綺麗になったのを眺めると心なしか気分がよかった。
「さーてと、それでは飯に行きますか!」
「おう!場所は?」
伸びをしながら楽しげに言う明智君につられるようにして聞くと、彼は新宿っす!と言って東京駅から中央線で新宿へと移動した。
行ってみると定食屋のわりには綺麗な店構えで、それでいて価格もリーズナブルでどれも美味そうだった。
「今日はおごりっすから、なんでもどうぞ!」
「ははは、それじゃ遠慮なく」
いらっしゃいませの挨拶とともに爽やかな風貌の定員さんがお水を持って来た。
「おう、おつかれ」
明智君が挨拶するとその店員さんは一瞬ぎょっとして、それからすぐに二人の談笑が始まった。
俺は腹が減っていたのでお構いなしに、メニューを一人黙々と眺めていた。
「決まりました?」
「うーん……。野菜炒めにしようかな」
悩んだ挙句、最近の野菜不足を考えて野菜炒めにしようとしたところ、
「駄目っすよ!」
と、明智君がいきなり俺の持つメニューを奪い取った。
「センパイはちゃんと食わないと!だからそんな細いんですよ?!」
「……は?」
俺が突然のことに一人唖然としていると、明智君はぶつぶつ言いながらメニュー眺めている。
そして、
「俺、しょうが焼き定食ね。あと、レバニラ定食一つ」
「は、はい。って、それで大丈夫なのか?」
爽やか店員さんは俺に気を使ってか、ちょっと戸惑い気味に聞き返してくれたが、
「おう!」
と意気揚々と明智君は返す。
おーい!と突っ込みたかったが、彼の予想外の勢いに俺は言葉が出せずにいると、
「か、かしこまりました」
そのまま俺と店員さんはなんとも言えない苦笑いとアイコンコンタクトをかわして、オーダーを伝えに奥へと入っていった。
「今の、俺の高校からの友達なんっすよねー」
「……」
そんな紹介を無視して、俺はじとーっと明智君を見つめる。
「俺に負けず劣らずのイケメンでしょ?でも最近彼女ができたらしくてー…、
って、センパイ……?どうかしました?」
「……」
やっと俺の視線に気づいた彼は、遠慮がちに聞いてくる。
が、俺は変わらず無言で見つめ続けた。
「いやー、俺のほうがカッコいいからってそんな見つめないでー…、
って、すみません、冗談です」
「俺には選択権すらないのか?」
低い声でぼそりと言うと彼の表情がまるで石化したように固まり、次の瞬間ガタッと席を立って「すすすすみません!」と勢いよく謝ってきた。
まわりの視線が一気に集まった気がして、かなり恥ずかしい。
「ば、ばか!すわれよ!声でけぇ!」
俺は慌てて小声で制すると、なにやら彼なりの言い訳を始めてきた。
レバーとニラの栄養がなんちゃらとか、味も美味しいだとか。
「あー!わかったわかった!ありがとう。気を使ってくれて」
「あ、ははは。いえ……」
明智君は頭をぽりぽりかきながら沈みがちに、また一つ頭を下げた。
実直……というかちょっと間抜けなその姿に、俺はぷっと吹き出して、
「よかったな、俺がレバニラ好きで」
「え?!マジッすか!よかったー!俺も好きです!」
そう言ってあげると、ようやく表情が明るくなって前のめりに迫ってくる彼。
「嫌いな奴も多いけどな」
と言って頭を小突いた。
でも実際好きだったのは本当だったし、何より俺のことを気遣ってくれたのことだから嬉しかった。
いってーと言う姿を見ながら、クスクスと笑いあう二人。
後にその爽やか店員さんいわく「傍から見てると、お前らまるで恋人同士みたいだったぞ」という、末恐ろしい感想を頂いてしまったのだった。
~~
コメントありがとうございます。モチベーションがあがるので嬉しいです。
相変わらず、なかなかエロいところまで行きつかなくてすみません。
気長にお付き合いいただければ幸いです。
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康平
- 14/5/19(月) 1:59 -
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