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「ありがとうございましたー!」
最後の客を見送りして、安心した。
バイト初日はなんとか事なきを得た。
「じゃあどんどん下げて、中にいる裕司にパスしてください。あと、明日のセットするまでが閉め作業です。明日の予約表はこれ。これと照らし合わせてセットしていってください。」
そう言うと秋山さんはフロントにあるパソコンとにらめっこをし始めた。どうやら事務作業があるらしい。
「あのー、忙しいところ申し訳ないんですが、セットの仕方教わってません…」
「あっ、そうか。そうでした。そうだなぁ。
(インカム)西尾さん西尾さん、フロントに来れますか。」
と、今日一緒に働いていた西尾さんを呼び出した。「はい。」と返事と共に、西尾さんがやって来た。
「なぁにぃ。」
西尾さんは綺麗な女性で、裕司と話してるところを見ると、気さくでちょっと面白い人だ。
ただ、何故怪訝な顔をしてやって来たのかは謎。
「秋山さんにセットの仕方教えてやって。それだけだからそんな嫌そうな顔して来ないで。」
「あっ、お願いします。」
軽く会釈をした。
「はーい。じゃあこっちに来てください。」
そういう西尾さんについていった。
セットの仕方を大体教わったら、同じようなテーブルが6つ並んでいたので、そこのセットを任された。
「どうもありがとうございます。」
「そういえば一平からすごい無茶振りされてましたよね。初日からハンディ打つ人なんて初めて見ました。」
やっぱりスパルタじゃねーかよ。
「きつかったけど、秋山さんフォローしてくれてなんとかなりました。きつかったけど…」
そんな感じで西尾さんと話しながらセットと片付けをしていると、裕司がやって来た。
「耕一、今週の金曜出勤だよな?営業終わってから飲みに行かないか?歓迎会をしようと思って。」
「出勤なのかなぁ?まだシフト決まってないはず、俺がなんも提出してないから。」
「え?明日も明後日も金曜もお前の名前あったけど?」
裕司は片眉をあげて不思議そうな顔をした。
「え?本当に?何それ聞いてない。」
お返しにこっちも不思議そうな顔をしてやった。
「高尾さんだ…」
西尾さんが顔を反らし呟いた。
「あー、高尾さんの仕業か。もう耕一を育てまくるつもりなのな。高尾さんに確認してみろよ。今レジ〆やってるはず。」
急いでレジに駆け込んだ。
「高尾さん、僕のシフトできちゃってるんですか?」
「お!耕一お疲れ様!出来てるぞ、月曜以外は出られるってことで、人足りない日は入ってもらってる。あっ、はい、シフト表。」
そう言って手渡されたシフト表には俺の名前も追加されていて、週4ペースで入れられていた。
「秋山さん、大丈夫ですか?高尾さん勝手にシフト入れちゃったみたいですけど、無理なものは無理と言ったほうがいいですよ。」
そう言うと秋山さんは高尾さんの方を見た。
見られた高尾さんはバツの悪い顔をした。
「だ、大丈夫です。予定入ってる日はシフト入ってないみたいなので。」
ただ三連勤とかきついからやめて欲しかったのが本音。
とりあえず金曜も出勤なことを確認した俺は裕司に歓迎会に出ることを伝えた。
「歓迎会久しぶりだー。存分に飲もうぜ!飲みの席でこそ輪は広がったりするもんだ。」
ふと、思った。秋山さんは来るのだろうか。
「なぁ、秋山さんも来るのか?」
「来ると思うぞ。あいつ飲むぞー。淡々と緑茶ハイ飲んでる。なんだ、一平と話したいこととかあんのか?」
「あるよ。謎が多いんだよ。」
「まぁな、まっ、とりあえず参加了解。予算は3000円ってところだから。」
「裕司、これ最後のバッシングー。」
西尾さんが気怠そうに運んで来た。
「あいよー。西尾も来るだろ、金曜の歓迎会。」
「行くよー。」
「集まって飲み自体久しぶりだよな。」
「なぁ、何人くらい集まるんだ?」
「んーとそうだなぁ。30人前後ってところかな。」
「結構集まるのな。」
「おう!楽しみにしとけ!」
単純に楽しみだった。みんなでワイワイ飲むのも好きだし、秋山さんと話してみたいとも思っていた。
ふと、一瞬、澄乃のことが頭を過ぎった。
「最近会ってない。」
これからバイトで忙しくなっていく中、澄乃には今度いつ会うのだろう。
いつ会いたいと思うのだろう。
いつ言い訳を止めるのだろう。
「耕一、どうした?ボーッとして。」
「…いや、何でもない。」
とりあえず働こう。セットして早く帰りたい。
全ての閉め作業が終わったのが0時15分で、その日はヘトヘトになりながら家路を辿った。
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「それじゃ、耕一と清水さんと岡部さんにいらっしゃいの…」
『かんぱーい!!』
なんだかんだ幹事は裕司がすることになったらしい。仕切り屋みたいで、テキパキと働いている。
さて、俺はというと…
「すみません、緑茶ハイおかわり。」
ものっそいハイペースな秋山さんの隣に座っている。今なら色々聞けるかも。んー、でもどのタイミングで聞けばいいのやら。
「そういえば一平、耕一がこの機会に色々聞きたいんだって。」
裕司、ぶっこんできたな。まぁ着火しないと埒があかないよな。
「なんですか?なんでも聞いてください。」
またニコニコしだした秋山さんを見るとたじろいでしまう。どうしようか。
「あの…まずおいくつですか…?」
ぶふぉ!と裕司が吹き出した。
つられて他の人たちまで。
「20歳ですよ。」
え?
また裕司が吹き出した。
え?なんかの冗談?これはつっこんだ方がいいのか?でも本当だったらどうしよう。
「年齢ですよね?ハタチですよ。」
また言った!言い直した!
その時裕司を含めた何人かが声を出して笑った。
「耕一…聞きたいことって…そっからかぁ。一平は本当にハタチだよ。俺たちと同い年だ。」
笑いながら言う裕司をまだ信用していなかった。
「やっぱりそこ疑問に思うよね。私も一平もっと年上だと思っていたもん。」
同じく笑いながら西尾さんがそう言った。
「え?本当に?同い年?秋山さん同い年なんですか!?」
「本当ですよ。よく二十代後半とかに見られますが、まだハタチです。あっ、緑茶ハイ頼みたい、店員さん呼んで。」
そう言うと煙草を吸い始めた。
なるほど、だから裕司は呼び捨てであんな態度だったのか。納得した。
と、同時に疑念を抱いた。もしかして…
「秋山さん、出身は何処ですか?」
「東京です。」
なーんだ、全然思い違いだった、あの秋山一平とは違う人だった。俺の思い過ごしか。ってかそんな偶然ある訳ないか。
「ぶー、ダウト!一平、お前東京出身じゃないだろ!」
そう言ったのは、初日にシャツを貸してくれた(勝手に借りた)堀口さんだった。
「りょーちん、余計な事言うな…」
そう言って秋山さん、いいや、秋山は堀口さんを睨んだ。
「確か一平って北海道出身じゃなかったっけ?」
そう言ったのは西尾さんだった。
なぬ、北海道!?
「北海道のどこですか!?」
「・・・北見市です。」
秋山は嫌そうに答えた。
北見市!!それじゃあ。
「秋山一平!!北見市立小山中学校!」
興奮して名詞しか出てこなかった。
確かめたかったんだ。目の前にいる秋山一平は、俺の知ってる秋山一平かどうか。
「・・・ふぅ。そうだよ。」
やっぱり!
「何々、どういう事?」
周りがよくわかってなかった。
「同じ中学校だったんです!こいつと俺!出席番号1番と2番!」
秋山さんからこいつになってしまっていた。
そんなことはどうでもいい。こいつは初めましての時に俺なんか知らないと言った。それは嘘だったのか?
「うぉーい!秋山!ってか一平!どういうことだ!?最初、俺のことなんて知らないって言っていただろ!なんでそんな嘘ついたんだ!」
もう興奮状態だった。そんなこと余所目に、緑茶ハイを飲んで煙草を吸ってる奴は開き直ったかのように言った。
「知らないなんて言ってない。俺が言ったのは『秋山耕一という友人は俺にはいない』と言ったんだ。何も嘘なんてついていない。」
「一平…相変わらず性格が曲がってる…」
西尾さんがそう呟いた。
確かに一平とは接点が全然無かった。友人とは言い難いのかもしれない。それでもそんなひた隠しにしなくてもいいじゃないか。
「なんだよぉ。言ってくれればいいべや。いつ東京に出たんだよ。高校卒業してか?」
「あぁ、そうだ。」
ぶっきらぼうに一平は答えた。
「お前だけ制服が違うのなしてよ?」
「俺はトレーナーだから制服が違う。ついでに時給も違う。」
なるほど、トレーナーとはバイトの上の方ということかな。
「時給なんぼよ?」
「1350円。」
「げっ、200円も違うのかよ。はぁ、でもわかってよかった。俺お前に萎縮してたぞ。いっつもニコニコしちゃって、無茶振りするし。」
「あぁあぁ、悪かったよ。でも別に俺は嘘はついていないし、仕事での教え方はあぁなるんだよ。実際出来ただろ。」
「さっき東京出身だって言ったくせに…」
「あれは勢いだ。」
「まぁまぁ。その辺にしておいて。今日は歓迎会なんだから、一平は耕一を歓迎しなさい。」
そう言って裕司が仲裁に入った。
「わかったよ。これからよろしく、耕一。」
「おう、よろしく。」
この時は、辻褄(つじつま)があったり、合点があったりで、納得してなんだか安心していたんだけど、一平の方は違ったみたいだ。
本当に、出来ることなら知られたくなかったんだと思う。
例えばそれが、どんなに無理な話であろうと。
例えばそれが、どんなに都合の良い話であろうと。
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2時間半後ーーーーーーーーーーー
周りを見渡すとみんな大分お酒が入って盛り上がっているようだった。
そんな中、一平は本当に淡々と緑茶ハイを飲んでいた。
「なぁ、なんで緑茶ハイ?ビールは飲まないのか?」
ふと疑問を抱いたので聞いてみた。
「炭酸と安い酒が嫌いなんだ。本当は専ら日本酒党。」
なるほど。炭酸が苦手と。
「お前、彼女は?」
少し下を向いて、でもこちらを向き直してはっきりと言った。
「俺はゲイだから、女に興味が無い。」
!?
衝撃的な告白をさらっと言いやがった。
本当なんだろうか、こんなみんながいる前で言えることなんだろうか。
「本当だよ。みんな知ってる。」
一平がそう言うと周りは頷いた。
「初めはビックリしたけどな。どうやら本当らしいんだよ。全く女に興味無いでやんの。勿体無い、モテるのに。」
裕司は恨めしそうに一平を見た。確かに一平はモテそうだ。
向かいの席に移動していた一平の顔をよく見てみる。
幅の広い二重の目、高い鼻すじ、薄い唇、整った顔をしていた。可愛いと言えば可愛く、格好いいと言えば格好よく映った。
「何じろじろ見てんだよ。」
「いや、なんでもない。じゃあ彼氏は?」
「いない。今は自分のことでいっぱいいっぱいだからそんな余裕無い。」
「ふーん、どうやって知り合うんだ?」
「ゲイ専用のネットの掲示板があったり、あとは新宿二丁目に行ったりだな。俺は滅多に行かないけど。」
なるほど、新宿二丁目は聞いたことがあるぞ。確か同性愛者達のお店が沢山あるところで、ゲイがよく集まる場所だったはず。
「滅多にってことは行ったことはあるんだ?」
「あぁ、あるよ。つっても殆ど同じ店にしか行かないけどな。」
「へぇ、今度連れてってくれよ。」
何故そんな事言ったのかは分からない。興味本位だったのか、それとも一平と親睦を深めたかったのか、何故だか、連れてってくれと口走っていた。
「気が向いたらな。あっ、店員呼んで、緑茶ハイ。」
驚いた、絶対に断られると思ったのに。意外だった。
その後も宴は進み、終わりの時間は5時だった。
俺は疲れと共に、謎だった秋山さんのことがわかって楽しいと思える飲み会だった。
そういえばその一平だが、結局最後まで緑茶ハイで、大した酔っ払ってる様子も無かった。強いんだなぁ。
明日の予定は特に無かったからか、まだ帰りたくないと思った。
でもそんな気持ちとは裏腹に、家路を辿っていた。
<Mozilla/5.0 (iPhone; CPU iPhone OS 8_4_1 like Mac OS X) AppleWebKit/600.1.4 (KHTML, like Gecko) Version/8.0 Mobile/12H... @pw126152218126.10.panda-world.ne.jp>
つづき楽しみにしてます。
▼耕一さん:
>2時間半後ーーーーーーーーーーー
>
>周りを見渡すとみんな大分お酒が入って盛り上がっているようだった。
>
>そんな中、一平は本当に淡々と緑茶ハイを飲んでいた。
>
>「なぁ、なんで緑茶ハイ?ビールは飲まないのか?」
>
>ふと疑問を抱いたので聞いてみた。
>
>「炭酸と安い酒が嫌いなんだ。本当は専ら日本酒党。」
>
>なるほど。炭酸が苦手と。
>
>「お前、彼女は?」
>
>少し下を向いて、でもこちらを向き直してはっきりと言った。
>
>「俺はゲイだから、女に興味が無い。」
>
>!?
>衝撃的な告白をさらっと言いやがった。
>本当なんだろうか、こんなみんながいる前で言えることなんだろうか。
>
>「本当だよ。みんな知ってる。」
>
>一平がそう言うと周りは頷いた。
>
>「初めはビックリしたけどな。どうやら本当らしいんだよ。全く女に興味無いでやんの。勿体無い、モテるのに。」
>
>裕司は恨めしそうに一平を見た。確かに一平はモテそうだ。
>向かいの席に移動していた一平の顔をよく見てみる。
>幅の広い二重の目、高い鼻すじ、薄い唇、整った顔をしていた。可愛いと言えば可愛く、格好いいと言えば格好よく映った。
>
>「何じろじろ見てんだよ。」
>
>「いや、なんでもない。じゃあ彼氏は?」
>
>「いない。今は自分のことでいっぱいいっぱいだからそんな余裕無い。」
>
>「ふーん、どうやって知り合うんだ?」
>
>「ゲイ専用のネットの掲示板があったり、あとは新宿二丁目に行ったりだな。俺は滅多に行かないけど。」
>
>なるほど、新宿二丁目は聞いたことがあるぞ。確か同性愛者達のお店が沢山あるところで、ゲイがよく集まる場所だったはず。
>
>「滅多にってことは行ったことはあるんだ?」
>
>「あぁ、あるよ。つっても殆ど同じ店にしか行かないけどな。」
>
>「へぇ、今度連れてってくれよ。」
>
>何故そんな事言ったのかは分からない。興味本位だったのか、それとも一平と親睦を深めたかったのか、何故だか、連れてってくれと口走っていた。
>
>「気が向いたらな。あっ、店員呼んで、緑茶ハイ。」
>
>驚いた、絶対に断られると思ったのに。意外だった。
>
>
>その後も宴は進み、終わりの時間は5時だった。
>俺は疲れと共に、謎だった秋山さんのことがわかって楽しいと思える飲み会だった。
>そういえばその一平だが、結局最後まで緑茶ハイで、大した酔っ払ってる様子も無かった。強いんだなぁ。
>
>明日の予定は特に無かったからか、まだ帰りたくないと思った。
>でもそんな気持ちとは裏腹に、家路を辿っていた。
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「なぁなぁ、いつか決めたか?」
退屈な授業の最中にそう話しかけたのは学科とサークルが同じ成澤だった。俺は成(なり)と呼んでいた。
「いつって何が?」
「ディズニーにみんなで行こうって話があったろ、それお前さん
が幹事じゃなかったか?」
すっかりと忘れていた。やっぱり俺じゃない誰かが進めたほうがいいんじゃないだろうか。
何より、俺自身が乗り気じゃない。
澄乃とあのやりとりをしてから二週間、まともに連絡を取っていないことにも気付いた。
澄乃に、会いたくない。
いや、正確には会いたくない訳ではない。会って温度差を感じるのが嫌なのだ。思ってくれている分だけ、思い返してあげられないことに直面したくないのだ。
成とは大学からの付き合いだが、誠実な人柄で同い年だが尊敬に値するくらい信頼していた。だから、澄乃との距離感を相談してみようと思った。
「成、ちょいと相談なんだが。」
「ほう、なんだね。」
「実は澄乃とうまくいってないっぽいんだ。」
「ディズニーの話からそう来ましたか。澄乃ちゃんとうまくいってない理由は?」
なんとも答え難かった、何があった訳でもない。何が悪い訳でもない。だけど漠然と好きになりきれないという思いがある。
「俺…かな。」
「ふむ、お前さんの何が原因なんだ?」
「うまく言えないんだけど、好きじゃないのかもしれない。」
「ありゃ、いつからそう思った?」
「付き合った当初は告白されたことが、自分のことが好きなんだとわかっただけで嬉しかったんだけど、最近かな、ちょうど春休みが終わったあたりから、澄乃への思いが本当なのかわからなくなった。」
「うーん、学校が始まって澄乃ちゃんに構ってる余裕が無くなった?」
「俺さ、最近バイト始めて、忙しくなってることに安心してる。これじゃあ澄乃に会えなくてもしかたないよなって。連絡も、ほとんどとってない。」
その時終鈴がなった。
先生や生徒たちは皆片付けをしている。
「あー、(小声で)やっぱこの授業つまんねーな笑 耕一、この後授業は?たしか無かったよな?」
「あ、うん。無いよ。」
「じゃあ肴屋(さかなや)行こうや、そこで話を聞こう。」
肴屋は大学の最寄駅である渋谷駅からすぐ近きにある居酒屋で、安い上に旨く、そして早くやっているところで、よくうちの学生がお世話になっている。
「マジか、流石成、付き合いがいいねぇ。」
俺たちは鞄を持ち肴屋へ向かった。
<Mozilla/5.0 (iPhone; CPU iPhone OS 8_4_1 like Mac OS X) AppleWebKit/600.1.4 (KHTML, like Gecko) Version/8.0 Mobile/12H... @pw126152218126.10.panda-world.ne.jp>
実は誰も読んでないんじゃないかなぁって思ってて、誰かコメントしてくれたら書こうと思ってました笑
すみませんね、こんなんで( ̄▽ ̄)
またコメントしてくださーい。
<Mozilla/5.0 (iPhone; CPU iPhone OS 8_4_1 like Mac OS X) AppleWebKit/600.1.4 (KHTML, like Gecko) Version/8.0 Mobile/12H... @pw126152218126.10.panda-world.ne.jp>
澄乃は優しい。いつだって気遣いが出来て、人に優しく出来る。今回俺が煮え切らない時でも、責め立てず待っていてくれる。
それに、どう見ても、俺と釣り合わないんじゃないかってくらい可愛い。原宿を歩いていると雑誌のカットモデルやらないかと声がかかるくらいに可愛い。
そんな内面も外見もいい澄乃の何が問題なのか。
「つまりセックスが出来ないのな。」
成はジョッキを持ってそう言った。
俺は成の目を真っ直ぐ見て、強く頷いた。
そう、そうなのだ。ただそこが問題なのだ。
「なんで急にセックスレスになった?」
「んー、ぶっちゃけ興奮しないんだよね。俺童貞だったけど、澄乃と初めての時も興奮より好奇心の方が強かった気がする。」
成は何度か頷いた後、空気を切るかのように切り出した。
「お前さんゲイなんじゃないかな?」
へ?ゲイ?
「まさか、そりゃないよ。中高と野球部で男達に囲まれてきたが、そこに性的興奮を覚えたことはないよ。」
むしろむさ苦しいと思っていたくらいだ。
「いやさ、そう思うのもわかるし、俺自身ゲイじゃないからなんとも言いようがないが、遅れて気付く人もいるらしいよ。女性とセックスしてみて、なんか違うなーって思って男とやってみたらそっちが正解だったって人もいるらしいんだよ。」
「どっからその『らしい』は出てくるんだよ。」
「兄貴情報。兄貴の友達にそういう人がいて。」
自分がゲイかもしれないなんて考えたことも無かった。ただ、言われて合ってるのは、俺が澄乃に興奮しないということ。
「鳥の唐揚げお待たせいたしましたー。」
店員の声が木霊して聴こえる。
俺がゲイ?この俺が?
ゲイと言えば一平がいたな。あいつはどうだったのかな?こうやって誰かから言われて気付いたのかな。
いやいや、待て待て。俺はゲイじゃないっつーの。気持ち悪いとかそういう感情はないが、納得が出来ない。初恋だって女の子だったし、他にも気になる女の子は今までいた。
ほら、違うよ、僕はゲイなんがじゃないよー。
「なんだ、なんでフリーズしてんだ?」
「ゲイと言えばな、この前こんなことがあつたんだ。」
俺は話題を変えようと一平の話をした。
「・・・っで、そんな感じで衝撃的な告白をされた。本人は当たり前のように言っていたけど。」
「そいつは面白い奴だな。」
「そんで今度機会があれば新宿二丁目に連れてってもらうんだ。」
「それだ!」
成はジョッキを抱える手の人差し指をこちらに向けて言った。
「知ってみようぜ、ゲイの世界を。」
「別に俺はそんなつもりじゃないんだが…」
「でも現に澄乃ちゃんとうまくいってないんだろ?んで、他の女の子を好きになる訳でもないんだろ?」
「んー、そうだな。」
俺もジョッキを抱えて言った。
「ゲイに偏見が無いなら知っておけよ。損はしないはず。」
なんだかそんな気持ちになってきてしまった。もしかしたら自分はゲイなのかもというわずかな可能性が生まれてしまったような…
「まっ、わからんけどな。とりあえず澄乃ちゃんとどうするかだ。」
「別れようかな…」
下を向いて囁くように言った。
「なんて言って?」
まるで試すかのように成は言った。
「それがわからない…」
顔を上げられずにそう答えた。
「このままじゃ、お互い傷付いていくだけだよ。」
そうなのだ。今のままでは何も良くならない。いつまでも澄乃を避けていられない。このまま傷付いていくのは、俺はいい。でも澄乃が…
「澄乃が可哀想だ。」
ゆっくりと顔を上げた。それだけはいけないと思った。
「そうだな。じゃあ決めないとな。」
何て言えばいいんだろうか。どんな嘘をついても後味の悪さが残りそうで、どんな風に本当を言えばいいのか言葉を探した。
自分が傷付かない方法は探せなかった。自分を守る分だけ、澄乃を傷付けてしまう気がして。
成と別れた後、家までの道で、澄乃との思い出が頭の中で浮かんでいた。
それにどんな終わりを告げればいいか、澄乃の笑顔を思い出す度に、わからなくなった。
<Mozilla/5.0 (iPhone; CPU iPhone OS 8_4_1 like Mac OS X) AppleWebKit/600.1.4 (KHTML, like Gecko) Version/8.0 Mobile/12H... @pw126152218126.10.panda-world.ne.jp>
待ってました
他の人見てるかは分からないですけどおれは読んでます 話の筋が面白いです
前の投稿が随分前ですよね?
▼耕一さん:
>澄乃は優しい。いつだって気遣いが出来て、人に優しく出来る。今回俺が煮え切らない時でも、責め立てず待っていてくれる。
>
>それに、どう見ても、俺と釣り合わないんじゃないかってくらい可愛い。原宿を歩いていると雑誌のカットモデルやらないかと声がかかるくらいに可愛い。
>
>そんな内面も外見もいい澄乃の何が問題なのか。
>
>
>「つまりセックスが出来ないのな。」
>成はジョッキを持ってそう言った。
>
>俺は成の目を真っ直ぐ見て、強く頷いた。
>そう、そうなのだ。ただそこが問題なのだ。
>
>「なんで急にセックスレスになった?」
>
>「んー、ぶっちゃけ興奮しないんだよね。俺童貞だったけど、澄乃と初めての時も興奮より好奇心の方が強かった気がする。」
>
>成は何度か頷いた後、空気を切るかのように切り出した。
>
>「お前さんゲイなんじゃないかな?」
>
>へ?ゲイ?
>
>「まさか、そりゃないよ。中高と野球部で男達に囲まれてきたが、そこに性的興奮を覚えたことはないよ。」
>
>むしろむさ苦しいと思っていたくらいだ。
>
>「いやさ、そう思うのもわかるし、俺自身ゲイじゃないからなんとも言いようがないが、遅れて気付く人もいるらしいよ。女性とセックスしてみて、なんか違うなーって思って男とやってみたらそっちが正解だったって人もいるらしいんだよ。」
>
>「どっからその『らしい』は出てくるんだよ。」
>
>「兄貴情報。兄貴の友達にそういう人がいて。」
>
>自分がゲイかもしれないなんて考えたことも無かった。ただ、言われて合ってるのは、俺が澄乃に興奮しないということ。
>
>「鳥の唐揚げお待たせいたしましたー。」
>
>店員の声が木霊して聴こえる。
>
>俺がゲイ?この俺が?
>ゲイと言えば一平がいたな。あいつはどうだったのかな?こうやって誰かから言われて気付いたのかな。
>いやいや、待て待て。俺はゲイじゃないっつーの。気持ち悪いとかそういう感情はないが、納得が出来ない。初恋だって女の子だったし、他にも気になる女の子は今までいた。
>ほら、違うよ、僕はゲイなんがじゃないよー。
>
>「なんだ、なんでフリーズしてんだ?」
>
>「ゲイと言えばな、この前こんなことがあつたんだ。」
>
>俺は話題を変えようと一平の話をした。
>
>「・・・っで、そんな感じで衝撃的な告白をされた。本人は当たり前のように言っていたけど。」
>
>「そいつは面白い奴だな。」
>
>「そんで今度機会があれば新宿二丁目に連れてってもらうんだ。」
>
>「それだ!」
>
>成はジョッキを抱える手の人差し指をこちらに向けて言った。
>
>「知ってみようぜ、ゲイの世界を。」
>
>「別に俺はそんなつもりじゃないんだが…」
>
>「でも現に澄乃ちゃんとうまくいってないんだろ?んで、他の女の子を好きになる訳でもないんだろ?」
>
>「んー、そうだな。」
>俺もジョッキを抱えて言った。
>
>「ゲイに偏見が無いなら知っておけよ。損はしないはず。」
>
>なんだかそんな気持ちになってきてしまった。もしかしたら自分はゲイなのかもというわずかな可能性が生まれてしまったような…
>
>「まっ、わからんけどな。とりあえず澄乃ちゃんとどうするかだ。」
>
>「別れようかな…」
>下を向いて囁くように言った。
>
>「なんて言って?」
>まるで試すかのように成は言った。
>
>「それがわからない…」
>顔を上げられずにそう答えた。
>
>「このままじゃ、お互い傷付いていくだけだよ。」
>
>そうなのだ。今のままでは何も良くならない。いつまでも澄乃を避けていられない。このまま傷付いていくのは、俺はいい。でも澄乃が…
>
>「澄乃が可哀想だ。」
>ゆっくりと顔を上げた。それだけはいけないと思った。
>
>「そうだな。じゃあ決めないとな。」
>
>
>何て言えばいいんだろうか。どんな嘘をついても後味の悪さが残りそうで、どんな風に本当を言えばいいのか言葉を探した。
>自分が傷付かない方法は探せなかった。自分を守る分だけ、澄乃を傷付けてしまう気がして。
>
>成と別れた後、家までの道で、澄乃との思い出が頭の中で浮かんでいた。
>それにどんな終わりを告げればいいか、澄乃の笑顔を思い出す度に、わからなくなった。
<Mozilla/5.0 (iPhone; CPU iPhone OS 8_3 like Mac OS X) AppleWebKit/600.1.4 (KHTML, like Gecko) Version/8.0 Mobile/12F70... @pw126210147083.5.kyb.panda-world.ne.jp>
随分前に投げ出したものをまた書いてみようと思いまして笑( ̄▽ ̄)
今回は投げ出さぬように頑張ります!
<Mozilla/5.0 (iPhone; CPU iPhone OS 8_4_1 like Mac OS X) AppleWebKit/600.1.4 (KHTML, like Gecko) Version/8.0 Mobile/12H... @pw126152218126.10.panda-world.ne.jp>
頑張つてください^ ^
アムレルタやラブマスターに負けない様に
▼耕一さん:
>随分前に投げ出したものをまた書いてみようと思いまして笑( ̄▽ ̄)
>今回は投げ出さぬように頑張ります!
<Mozilla/5.0 (iPhone; CPU iPhone OS 8_3 like Mac OS X) AppleWebKit/600.1.4 (KHTML, like Gecko) Version/8.0 Mobile/12F70... @pw126214049034.1.panda-world.ne.jp>