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- 10/8/20(金) 0:51 -
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改札には予定の30分前に着いた。
そんなに早く着く必要はなかったのだけど、次の電車にすると、乗り換えの関係で予定の5分前になってしまう。
今日は真面目な印象を相手に与えなければならない。遅刻なんかしたら、ルームシェアの話もなくなってしまうかもしれない。
彼の投稿を最初に見たのは3日前の6月になったばかりのころだ。
ルームシェアできる人を募集する専門のサイトで彼の投稿を見つけた。
他の投稿とは少し条件が異なっており、それが俺の目に止まった。
俺は学校に近く、相手が男ならば良かったが、ただ彼の投稿を見ると少し特殊で
・家賃は支払わなくて良い。
・ただその代わり、特定の家事をこなしてもらう。(料理は除く)
・お互いにあまり干渉しない。
というのが条件だった。
ルームシェアというと、知らない人同士の交流という目的をもってのぞむ人もいるようだが、そういう人はお断り、ということだろうか。
また、最後の特定事項の覧で
「投稿主は男の同性愛者です。なので、女性でも、安心して共同生活できると思います。男性の方でも同性愛に嫌悪感がなく、また家事がこなせる方なら歓迎いたします。詳しくは直接話します。」
と書いてあった。
できることなら、普通の男とルームシェアをしたかった。
俺もゲイだけど、やっぱめんどくさいことにはなりたくない。
ルームシェアと言っても同棲目的ではない。
が、なんせ家賃を払わなくて良いのだ。そして学校からも近い。
これ以上ない好条件の物件だった。即俺は申し込んだ。
幸い、主が投稿してすぐだったため、おれが第一応募者だったようだ。
メッセを送って5分くらいしてから返事が来る。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxy1150.docomo.ne.jp>
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- 10/8/20(金) 0:54 -
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“初めまして。募集していた。テツです。突然で申し訳ないのですが、今夜スカイプかなんかで直接話せますか?”
という、なんとも事務的な感じの返信。
まぁ、募集条件の「お互い干渉しない。」という部分からして、あまり仲良くできそうにないのは予想していたが。
“返信ありがとうございます。応募したマサです。スカイプ大丈夫っすよ。22時くらいにどうでしょう?”と俺。
“了解しました。ではアドレスを載せておきますので、以降はこちらで連絡を取ることにしましょう。”
そういってヤフーアドレスが送られてくる。
俺は面倒くさかったので、携帯で返信をする。
“わかりました。22時には話せるようPC起動させておきます。”
そんな感じで初のコンタクト終了。おれはバイトがあるので、一旦家を出ることにした。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxy1153.docomo.ne.jp>
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- 10/8/20(金) 1:02 -
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俺が今住んでいるところは学校から片道2時間半かかる。
本当は近いところに一人暮らしをしたかったのだが、県人寮で生活することが、我が家の上京の条件だったため、やむを得ず、往復5時間の学生生活を送っていた。
だが、理系ということもあり、レポートの量はハンパなく、さらに勉強だけで学生生活を終わらせたくない俺はサークルにも所属していた。
なんのサークルかは伏せるけど、一応運動系のサークル。
高校までバスケをしていたから、体力にはそこそこ自信あったし、実際気の合うヤツらにも出会えたから、辞めるつもりはない。
加えて、社会勉強もしたかったため、アルバイトもしているから、今の生活は正直言ってしんどい。
まだ入学して2カ月しか経っていないけど、試験が始まる前におれは今の状態をどうにかしたく、毎日ルームシェアや、物件雑誌とにらめっこをする日々が続いていた。
まぁそんなのが俺の背景。一応、なんでルームシェアを探していたかの説明にはなったと思う。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxy1108.docomo.ne.jp>
<DoCoMo/2.0 SH08A(c500;TB;W30H18;ser359419024179755;icc8981100010317268333f)@proxy10008.docomo.ne.jp>
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- 10/8/21(土) 10:32 -
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バイトから帰った俺は6月の湿気から解放される為にシャワーを浴びて、パン一でPCを起動させる。
ちょうど22時5分前。
そういやまだID聞いてねえなーと思っていたら、相手からメールが。
“IDはxxxxxxxxなので、いつでもコンタクトして下さい。”
とのこと。
ちなみに、おれが携帯で送ったからか、相手も携帯からメールを送っている。
一応その辺は気遣う人間のようだ。おれは返信すべきか迷って、結局直接スカイプでコンタクトを取ることにする。
まずはチャットから。
“マサです。見えてますか?”
“見えてます。テツです。早速ですが、発信しても良いでしょうか?”
展開早いな、と思いつつも
“どうぞ。”
と俺。
5秒くらいしてテツさんから着信。
「もしもし?」
「あ、もしもし。初めまして。マサです。」
「テツです。あの、いきなり通話を要請してすいません。」
「良いですよ(笑) そっちのが早いっすもんね。」
テツさんの声は低かったが、どこか幼さの残る声だった。
声変わりしてちょっとした頃の声っていうのかな?じゃっかんショタっ気のある声。
これは、少しヤバいかもしれない。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxyag087.docomo.ne.jp>
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- 10/8/21(土) 10:34 -
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「あ、お互い自己紹介とかまだしてないですよね。佐山テツって言います。今年19歳になります。社会人です。」
年下かよ。しかも社会人か(汗
「おれは山川マサトです。今年20歳になったばかりで、今大学一年生です。」
「えっと、この他にお互いのことでなんか知っておきたいことありますか?俺は大丈夫ですが。」
さすが、干渉し合いたくないだけあるな。
「いえ、どうぞ。お話を進めて下さい。」
おれも住めればなんだって良いのだ。一人暮らしと思えば良い。
家賃を払わないのだから、一人暮らしよりも絶対に良い。おれは良いルームシェア物件を見つけたに違いない。
「わかりました。ではシェア条件の詳細について話します。」
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxyag088.docomo.ne.jp>
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- 10/8/21(土) 11:12 -
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シェア条件はまとめると、こんな感じだ。
●家賃・光熱費・水道代は全てテツさん持ち。
●その代わりおれはトイレ・風呂・家全体の掃除・電球の交換やエアコン等の故障トラブル対応・生協の取り入れなどをこなす。
●料理・洗濯は各自で行う。料理は冷蔵庫にあるものは自由に使ってよい。足りない食材や、外食・弁当は各自持ち。
●テツさんは特に潔癖ではないが、言った通りに整理整頓してほしいとのこと。
●門限は特にない。風呂も好きな時間に入って良い。
●駅から近いので騒音が少し気になるかもしれない。
●マサトさんの境遇については一切聞かないから、マサトさんも俺のことは何も聞かないでいてほしい。なぜ、こんな条件でルームメイトを募集しているのかも、聞かないでほしい。とテツさん。
そして最後に
「マサトさんが男性ならば一番重要なことなのですが、募集要項にも書いた通り、俺は同性愛者です。その辺は大丈夫ですか?」
と聞いてきた。
大丈夫も何も、おれ自身が同性愛者である。
付け加えるならば、ショタ声フェチという少し変わった属性も持っている(これだけで欲情することはない。)。
が、特に言う必要もないだろう。
テツさんは自己申告する必要はあっても、おれは言う必要はない。
おれはその辺は全く問題無いことを伝え、むしろそちらこそ俺で良ければ、という旨を伝えると、
「わかりました。それでは実際に家に来てもらって、それで住めそうだと思ったら、ルームシェアをすることにしましょう。」
というテツさんの快諾。
会うのは3日後の、土曜日昼13時ということになった。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxyag065.docomo.ne.jp>
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- 10/8/21(土) 11:15 -
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そして話は冒頭に戻る。おれは30分前に着いた。
出かける時にコンタクトにしようか、メガネにしようか迷って、やっぱメガネの方が真面目に見えるかな、と思いメガネにした。
身長は177p。顔はサークルの女先輩いわく「向井理をイケメンにした感じ。」らしい。
向井理ってそう言われる対象か??とりあえず、向井理系らしい。
見た目は完全に草食系だ。で白いYシャツ。にベージュのパンツ。
いたってシンプルな格好だ。どっからどう見ても奇麗に家を使う人間だな、と窓ガラスに映った自分を見ていると、向こうからガラス越しにテツさんらしき人が歩いてくるのが見えた。
向こうもおれに気付いたようで軽く会釈。
テツさんの見た目の第一印象は、やんちゃな高校生だった。
そりゃ、この前まで高校生だったんだもんな。年的には。
「どうも。マサさんですか?」無表情のテツさん。
目はぱっちり二重の、真面目そうな感じ。
薄い唇や小さくて高い鼻など輪郭も含めて、パーツが整っている顔だ。
おれも小顔らしいがテツさんもだいぶ小顔だ。
「はい、マサです。」とおれは笑っとく。
「乗り換え、迷わなかったですか?」
「はい、この駅通学で通ってるんで、大丈夫でした。」
「なるほど。では、行きましょう。」とテツさんは歩き出す。
とりあえず、一緒に暮らせそうな人物なことに安心する。
テツさんも招こうとするってことは、とりあえずおれもOKなんだろう。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxyag065.docomo.ne.jp>
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- 10/8/21(土) 11:17 -
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歩きながら、テツさんが簡単に周辺地域の説明をする。
「ここのスーパーは24時間営業なので、食料に困ることはないと思います。本屋は踏切の反対側にあります。TSUTAYAは少し歩きますが、この道をずっと行った所にあります。学生さんが利用できるような美容院はちょっとないのですが・・・着きました。ここです。」
近い。めちゃくちゃ駅から近い。徒歩3分なんてレベルじゃない。
駅を出て横断歩道を渡っただけ。駅直結と言っていい。そしてマンションだった。
「ここの1009の角部屋がシェアする部屋になる俺の家です。」
「あの・・・ここ何階建てっすか?」
「14階建てです。」
・・・。おれは正直5階建てくらいの小さなアパートを想像していた。
そして“駅から近い”ってこんな近いと思わないだろ。
テツさんは淡々と歩を進めていく。特徴のない歩き方。
エントランスホールに入ると、警備員室みたいのがあり(管理人室?)、オートロックの自動ドアを開けるとエレベータが2つあった。
まぁ予想とは違ったけど、そこまで腰を抜かすほどのマンションではない。
テツさんが“1009 佐山”のプレートの部屋の扉を開ける。ここが、暮らすことになる場所か。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxyag066.docomo.ne.jp>
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- 10/8/21(土) 11:18 -
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リビングに招かれる。
ソファーと低いテーブルの食卓。部屋は中々奇麗に片付いている。
「とりあえず、荷物を置いてマサさんが使うことになる部屋に行きましょうか。」
「あ、はい。」
テツさんは年の割にかなり落ち着いている。いや、落ち着いたふりをしているような気がする。
口調がしっかりしている。これが社会人と学生の違いなのか、と思いつつもテツさんの後についていく。
おれより一回りくらい小さい体だ。身長165pくらい。
「ここです。」
通された部屋は8畳くらいの部屋だった。今の寮で使っている部屋より広い。
そして眺めもいい。ここまで良い物件とは良い意味で予想外だ。
「どうですか?とりあえず、試験的に一カ月使ってみて、それでお互い何も問題無ければ、決定ということにしたいのですが。」
テツさんはいたって事務的な口調である。
おれはというと、まさかのこんな物件に巡り合えたことで、少し興奮していた。
「いえ、おれはもう全然大丈夫です!もう今からでもここに住みたいです!」
「そ、そうですか?」
あまりの身の乗り出し方に少しのけぞるテツさん。
と、おれは顔が近くなっていたことに気付いて、少し離れて深呼吸した。
「おれまさかこんな所だと思わなくて、ホントに。だから、掃除とかなんだってしますので!」
そういうとテツさんは初めて少し笑って
「わかりました。では、お試し期間とかも関係なく、好きな時にいらして下さい。ルームメイト募集も打ち切りますので。」
よっしゃ!!交渉成立!!!
あとで聞いた話、テツはあまり直感というものを頼りにしないそうだが、この時ばかりは直感で試験的に住まわせなくても大丈夫と判断したそうだ。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxyag066.docomo.ne.jp>
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- 10/8/21(土) 11:19 -
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さて、おれは明日にでも移りたかったが、現実はそう甘くなく、引っ越しの手続きやら、住所の変更やら、親への説明などを学業・アルバイト・サークルと同時並行していたため、結局荷物を全て移動させることができたのは、一ヶ月後だった。
その間、テツさんとは特に連絡を取らなかった。
向こうからもこなかったし、おれも連絡を取らなかった。
ただ、いざ住み始める日が決まった一週間前くらいはさすがに挨拶をしにいった。
その時もテツさんはいつも通り静かにわかりました、と言い、そして合い鍵を渡してくれた。
テツさんは、俺の周りの友達に比べ、かなり落ち着いている。
最初は社会人だからかな、と思ったけど、そんなの関係なく、静かだった。
落ち着いている、というより、壁がある。踏みこませない感じだ。
そして、こんなマンションに一人で暮らしていることも、ルームメイトを募集したことや募集条件など、かなり謎が多かったが、聞かないのが約束なので、おれはおれの生活に専念することにした。
聞いたら俺は住めなくなるのだ。特に知る必要もない。
学校からは10分。駅からは近いし、外泊する時も寮主さんに何か言う必要もない。
嬉しかったのが、テツさんちにはプリンターがあること。
理系なので、レポートも多く、今まではUSBに保存して学校で印刷、ということが多かったのだけど、これからは自宅(?)で出来るのだ。
ちなみにプリンターはリビングにあるので、レポートが溜まった時は例の8畳の部屋よりもリビングで生活することの方が多かった。
そんな俺の生活にもテツさんは文句を言わなかった。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxyag065.docomo.ne.jp>
自分もこんなルームメイトとルームシェアしてみたいです(笑)
このあと、どうなるか超気になります!
<DoCoMo/2.0 SH08A(c500;TB;W30H18;ser359419024179755;icc8981100010317268333f)@proxyag098.docomo.ne.jp>
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- 10/8/23(月) 1:33 -
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そんな感じで7月からスタートしたルームシェア生活だが、予想以上にテツさんとの接触はなかった。
住み始めて4カ月くらいはまともに話さなく、お互い姿を見る事もあまりなかった。
それもそのはずで、おれもテツさんも家にあまりいない。
平日のテツさんは朝7時半頃家を出て、早い時は18時過ぎ、遅い時は日付をまたいでかえってくる。
おれはおれで、朝は寝ているか授業だし、夜は泊まったりすることが多かった。
冗談抜きで話したのは、新聞代金の事と、家の掃除のこと、あとはポストに入っていた俺宛の手紙についてのことぐらいだ。
その他は帰ってきた音が聞こえれば「あぁ帰ってきたんだな。」と思うし、革靴が玄関にあれば、今日はもう帰ったのか、というそんな感じ。多分向こうも同じ感じだったと思う。
そんなこんなで、10月までは全くホントに何も接触がなかった。
恐らく、最初にシェア条件について話し合った時がおれらのピークだったと思う。
土日はお互い外に行ってしまうし、本当にここまでのすれ違いっぷりは想像していなかった。
今考えればテツも無防備なやつだ。何か盗まれるとか思わなかったのだろうか。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxy1176.docomo.ne.jp>
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- 10/8/23(月) 1:35 -
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おれは夏休みは旅行にバイトに忙しかった。
免許も合宿で取ったし、サークルも合宿があったし、友達とも旅行にいった。
ほとんど部屋には帰らなかった。
そのおかげで掃除は少し手を抜いてしまったし、生協の取り入れもできなかったが、そこは事前に説明したら、こっちもお盆休みがあるので全然大丈夫とのことだった。
物件もさることながら、家主も文句なしだ。おれは人生こんな甘くて良いのかと思ってしまうほどだった。
9月には恋人ではないけど、良い感じの人もでき(こっちの人)、本当に学生生活って感じだった。
一つ厄介なのが、友達にルームシェアのことがばれて、家に来たがるようになったことだった。
サークルの飲み会でつい言ってしまったのだけど、やっぱりおれの状況は少し変わっているらしく、また学校も近いから、軽いノリで行こうぜーみたいな話が出てくるようになった。
おれはさすがにこれ以上テツさんに迷惑はかけれないと思い、全力で阻止しようとしたのだけど、今度は女との同棲疑惑になり、ますます厄介になるのだった。
まぁ贅沢な悩みだ。
そんな中、初めて距離が縮まる日が来る。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxy1173.docomo.ne.jp>
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- 10/8/23(月) 1:36 -
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10月も終わる頃だった。
1週間おきに台風が接近していて、落ち着かない日々だった。
夜、おれはリビングでレポートを作成していると、テツさんが部屋から出てきた。
キッチンで軽く焼きうどんみたいのを作って、珍しくリビングで食べ始める。
テレビをつける。台風ニュースが見たいようだった。
おれはテツさんとこうして一緒の空間にいるのが嬉しく、思わず声をかける。
「台風、最近やばいですね。」
「ですね。電車止まったら困ります。」とテツさん。
仕事何しているんですか?とサークル友達のノリで、聞きそうになり、少し焦る。聞いちゃだめだったんだ。
にしてもこうして考えると、お互いのことを知らないって、かなり会話につまる。
実際そのあとも台風情報をBGMにテツさんがもくもくと焼うどんを食べ、おれはカタカタレポートを打って・・・という10分が過ぎていった。
おれはせっかく話せる状況なのに、このまま終わるのが嫌だった。
いくら干渉し合わないと決めたとは言え、4カ月同じ所に住んでいればちょっとは話したくなる。
ルームシェアは初めてだったけど、実際一緒の部屋で暮らしてみると、全く無接触という状況は、やっぱ打破したくなってくる。
ていうかまず敬語とテツさんという呼び方をどうにかしたかった。
テツさんは見た目はどう見ても高校生なのだ。さすがにちょっと違和感がある。
「あの・・・。」と俺
「?」
「提案って言うか、おれの希望なんですけど、お互い敬語、やめません?あと、呼び方!そっちがよければ、テツくんかテツって呼びたいんだけど・・・。」
「・・・。」
「あ、そっちも敬語なしで、おれのことマサって呼んでも良いからさ!」
「良いですよ。」
「えっ?」
「おれは年下なんで、敬語はすぐには抜けないと思いますけど、マサさんがそうしたいなら、良いよ。笑」
「マジで!?やったっ!」
おれはまさかの承諾に本当に嬉しくなった。だってテツとの距離の縮め方ホントにわからなかったんだもん。
喜ぶおれを見てテツは笑っていた。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxya121.docomo.ne.jp>
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- 10/8/23(月) 1:38 -
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呼び方一つで距離がだいぶ縮まった。
例えば、帰った時に玄関に靴があると、素直に嬉しかった。
以前は、喜ぶことがいけないことのような気がしたのだ。
家に帰った時に誰かがいるっていうのはやっぱり嬉しいし、いないっていうのは寂しい。
テツと呼ぶようになってから、そこを素直に喜べるようになった。
ただやっぱり同居人として、ってことで恋心とかはなかったけど。
相変わらずすれ違い生活は続いていたが、おれはできるだけ家に帰るようになった。無意識の内になんだけど。
こうして家に帰ってみると、テツと話せる機会は結構ありそうだった。
まぁ何話して良いかわからないから、結局話すことなんてないんだけどね。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxy1147.docomo.ne.jp>
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c
- 10/8/23(月) 1:42 -
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金曜日のこと。
今日は金曜と言うこともあり、サークルの後ちょっと大きめの飲み会もあったが、おれはどうしようか迷っていた。
今日は家帰ったらなんか話せるかもしれない。最近は家のこと(テツのこと)中心に考えをしている気がする自分に気付いて苦笑する。
サークルが始まる前に話しかけられる。
「マサ今日飲み会行くんー?」
「ん〜迷ってる。」
「またか。自宅の彼女にぞっこんだもんな笑」
「いやだから違うって。」二重の意味で違う。
「よし、じゃあ今日はその話をサカナに飲むか。」サカナも何もあらざらい話したんだが。
「まぁ行こかな。最近飲んでないし。」
そんなこんなで今日は飲み会に行くことになった。サークル活動は詳細書けないので割愛。
で、飲み会スタート。
「で結局さー、彼女と同棲なんしょ?」とさっきから絡んでくるこいつは同じ一浪組だから一番仲が良いやつ。
「だーかーらー!ルームシェアしてんの。」おれは何度言ったかわからない事実を言う。
「ルームシェアってのはさ、家賃折半が普通だろ。全部向こう持ちって、向こうさんになんのメリットがあるのよ。」
「それは・・・。」
「そこが何回聞いてもわからん。お互い干渉し合わないって言ったってなぁ?なんか裏あると思うぜ。」
「テツはそんな人じゃないと思う。会えばわかる。」
「あれ、前までテツさんて言ってなかったっけ?」
「この前呼んで良い?って聞いたら良いって言ってた。」
「へ〜(と言って俺を凝視)・・・。想像つかん・・・。おし、おれは今日は終電をなくす。だから泊めなさい。」
「今から終電なくすっておかしいだろ!帰れよ。」
「いやいや、マジでなくす気がする。」顔は笑っているが、目が本気だ。
「ほら、一応さ、家主に聞いてみなよ。迷惑かけたくないったって、数か月に一度くらいは良いだろ。」
まぁこいつなら騒がないし良いかもしれない。
「じゃ一応聞くけど、テツがだめって言ったらだめだかんな。」
「おー!」
そしてメールで聞いてみる。
“今日、友達が部屋見てみたいって言うんだけど、入れても良いかな。多分泊まりになりそうです。そんなに騒がしいやつじゃないし、今回だけなんで。”
と送信。
数分で返信が来る。
“大丈夫ですよ。”と一言の返信。
むむ、これだけじゃ快諾なのかしぶしぶなのか読み取れん。
「良いってさ。」
「マジ?おっしゃ!でも良いってことは彼女路線は消えたんだよなー・・・。まぁ良いやどっちにしろ楽しみ^^」
「絶対騒ぐなよ!あとテツのこと珍生物みたいにじろじろ見んなよ。」
「ういうい♪」
そんなこんなで“こいつ”が来ることになった・・・。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxy1171.docomo.ne.jp>
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- 10/8/23(月) 1:42 -
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飲み会は終わり、場所は変わっておれの家。
“こいつ”は来る時も駅から近いだの、マジでマンションだだの騒がしく、ちょっと黙らせるので大変だった。
まぁおれも最初興奮して相手をのけぞらせたから人のこと言えないけど。
「おじゃましま〜・・・って暗っ。」
「まだ帰ってないみたい。」
「マジか。まぁ帰ってくるんだろ?」
「うん、あんまあの人外泊しないから。」
「じゃ部屋で飲みながら待ってようぜ♪」
「おう。」
おれも残業か何かかな?と思いつつ、自分の部屋に友人を招き入れる。
「この辺TSUTAYAあんの?」
「うん、ちょい歩いたとこに。」
「ほんと至れり尽くせりだな。」
「今んとこホント不満はない。」
「いーなー。おれもここ住みたい。ってかDVDあるならDVD見ようぜ。」
「そうすっか。バイオハザード見る?」と、飲みながら映画を見つつ、テツの帰宅を待つ展開に。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxya112.docomo.ne.jp>
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- 10/8/23(月) 1:44 -
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12時過ぎ。おれらが部屋でDVDを見ていると、玄関の開く音。
そして荒々しい足音と、ドゴッっと人が壁に激突する音。
明らかにただ事じゃない。その後は静寂が訪れた。
おれらは目を見合わせる。おれだけ立ちあがり、部屋のドアを開けると、テツがスーツ姿のまま、うつぶせに倒れこんでいた。
寝ている。おれは逡巡して、声をかけてみた。
「テツ、テツ。大丈夫?」
「スー、スー・・・むぐっ・・・スー、スー・・・」だめだ。完全に寝ている。
テツがこんなに酔っ払って帰ってくるのは初めて見た。
今までにもあったのかもしれないが、おれは見ていない。
社会人だからそりゃ付き合いで飲みもあるよなぁと思いつつも、おれはテツと関わる機会ができたことを密かに喜んでいた。
「テツさん大丈夫?ってか飲ん兵衛?」うしろから友の声。
「いや、めったにない。むしろ初めて。」
「へぇ・・・。」
まぁとりあえず、部屋に運ぶか、と抱きかかえて気付く。
テツの部屋に入らない方が良いんだろうか?
テツは共に住み始めてからずっと部屋を閉めている。
一日一回換気はしているみたいだが、おれは部屋の中をちらっとしか見たことが無い。
少し迷って、おれの部屋に運ぶことにした。ってか軽いな。
かなりぐったりしている。
「マサの部屋で良いん?」
「うん、なんか勝手に入るの悪い気がする。」
「布団しこうか?」
「さんきゅ。よろしく。」
布団にテツを寝かせる。
とりあえず、上着だけ脱がして、ハンガーにかける。
上着の下はベストを着ていた。まるっきり男子高校生のようだ。
顔色は変わっていない。時々苦しげにまぶたが動いて、テツのまつ毛が長いことにおれは気付いた。
とりあえず、布団に寝かせて、まぁ明日は土曜だから良いか、と思いおれらはとりあえずDVDの続きを見る事にした。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxya138.docomo.ne.jp>
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- 10/8/23(月) 1:45 -
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夜中の2時。
DVDを見終わって、動画サイトでおれらのやっているスポーツの動画を見ながら話をしていた。
すると隣でテツがもそっと動く音がした。位置的には壁ぎわに布団。
おれがテツの頭のすぐ横で壁にもたれて座っている。
“こいつ”はテツとPCの間に座っていた。
「おはよ(笑)」
むくりと起き上がり、挨拶をしたおれを見て、次に“こいつ”の存在に気付き、そっちに目をやる。
そして、しばらく視線はそのまま固まっていた。 ん?どうした?
“こいつ”もあいさつをしたのに、凝視をされてちょっと戸惑っている。
「・・・?・・・今何曜日?・・・ですか?」
「土曜の午前2時だよ。大丈夫?」
「うん・・・あー・・・。」と言って思い出したのかうなだれる。
「あの、迷惑かけてすいません。」
「いや、良いよ(笑)ってか酒飲まされたん?」
「はぁ・・・まぁちょっと・・・(苦笑)」と頭が痛いのか浮かない顔。
「水飲む?」
「いや自分でやります。とりあえず、ほんとすいません・・・。」
「いや、良いって(笑)なんか初めてルームシェアっぽくて面白かったし。」
俺がそう言うとテツは少し困ったような顔をした。あれ、なんかいけないこと言ったかな。
「おれ、その、寝言とか言ってなかったですか?」
「途中なんかむぐって言ったけど、それ以外は・・・。」
「そ・・・か。」と言ってやや沈黙。
その後テツはもう一度謝罪とお礼を言って自室に帰っていった。
部屋を出る際、全身鏡で髪をくしゃっと直していく所に、初めてテツに若者っぽいところを感じた。
その間おとなしく“こいつ”は見ていたが、部屋を出て行った瞬間、
「いや、マジで男だったんだな。」
「だから言ったろ。」
「うん、でもなんか、思いっきり高校生じゃん。なんでこんなとこで一人暮らし?ルームシェア?」
「だからそれは聞けねんだって。」
「ふーん。」と、納得していないが好奇心で満ち溢れている目。
「とりあえず、わかったろ。」
「うん。」
おれは話しながらも、テツは未成年なのにあんな飲ませるなんて上司もしっかりしろよ、とか、異様に軽かったこととか。体重気になるけど、これも聞いちゃいけないのかなぁ、など色んなことを考えていた。
次の日おれらが起きたらテツはもういなかった。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxya112.docomo.ne.jp>
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- 10/8/23(月) 1:46 -
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もう12月だった。
東京の冬は初めてで、イルミネーションのすごさに感動する。
ってか11月からクリスマスのイルミネーションってどうなのよと思いなが見つつ、一応今良い感じの人のことを考えていた。
相手は大学2年。身長はおれより低く、歳はタメで、魅力的な人なんだけど、夏休みあけてからはお互い自分の予定が忙しくて会えていない。
おれはクリスマスくらいは一緒に祝ってみたいと思っていた。
「おいーこれやっぱ送料ケチらないで送ってもらえば良かったんじゃね?」
話しかけてくるのは、先日もうちに来た例の友達。
サークルでクリスマスパーティをやるんだけど、ツリーがほしいと先輩が言いだし、それを買うのがおれの役になったのだ。
「うるせえな。ツリー運ぶから家に行きたいって言ったのだれだよ。」
事前に買って、おれの家で一時的に置くことになったのだ。
当日使ったらまた来年までおれに押しつけるつもりだろうか。今は良いが夏は邪魔だ。
「そりゃそうだけど、これちょっと重いしデカい。寒い。」
“こいつ”はおれのルームシェア先を異様に気に入り、あれ以来頻繁にまた行きたいと言いだすようになったのだ。
なんでそんな好きって聞いたら「自宅より落ち着いたから。」とのこと。
そういやこいつ実家生だからな。親元を離れた環境に憧れる気持ちはわかる。
「頑張れよ。運んでくれたら家でご飯食わしてやる。」
「マジで?やたっ。」
今日はテツに了承は取ってないけど、運んでくれたことを言ったら許してくれそうな気がする。
電車の中での痛い視線を感じつつ、到着。
17時半。今日もまだテツは帰っていない。
「テツくんて忙しいのな。」
「みたいだな。」
おれは考えても無駄なので、あまり想像しないようにしているが、やっぱり“こいつ”は色々気になるらしい。
「よし、ご飯作るからちょっと手伝って。」
「え〜、おれも作んの!?」
「皿出したり洗ったりする程度。お前も料理のレパートリー増やせば?」
「へいへーい。」
今日は仲良くこいつとご飯を食べる事に。
ほぼおれが全工程をこなし、19時ちょっと前。あとは盛り付けるだけだ。
ちなみに今日はシチューである。
やつはリビングでバランスボールにぶよぶよ乗りながらテレビを見ている。
おれがよそっていると、玄関の開く音。テツが帰ってきた。
靴を脱いで部屋のドアを開けて閉める音。
しばらくしてまたドアが開いてテツがリビングに入ってくる。
「ちーっす(照笑)」とこいつが馴れ馴れしい挨拶。おま、何そんないきなり距離縮めてんの。
「おかえり。あの、今日友達に荷物運んでもらったから、お礼にご飯作ってあげることにしたんだ。無断でごめん。」とおれが謝ると
「大丈夫ですよ。」と言って笑った。鼻が赤い。
“こいつ”の方を向くと
「お疲れ様です。ゆっくりしてって下さい。」と言った。
向こうもえへへ、と気持ち悪い照れ笑いをする。
それっきりテツはまたふいっと自分の部屋に戻っていった。
おれはもう慣れっこだけど、こいつはぼーぜんとしている。
「ご飯できたよ。」
「・・・。」
「おい、ご飯できたってば。」
「ねぇ、シチューまだある?」
「なんで?まだあるけど。」
「じゃ、テツくんも一緒にご飯食おうぜ。」
「え?」っとおれが聞き返すまでもなく、やつはテツの部屋に直行。
コンコン。とノックをすると、奥で「ちょっと待って。」とテツのくぐもった声。
やつは「あ、そのままで良いんですけど、ご飯作りすぎたんで、一緒に食いませんか?おれら、リビングで食べてるんで、テツくんも良かったら。」と直球。
向こうは少しためらって、わかりました、と返事をした。
それを聞いてから奴は戻ってくる。
「おい、良いのかよ。」
「良いって、何が?」
「いや、なんか誘うだけ誘った感じでさ。」
「良いんじゃね?」まぁ良いのかな。
俺らが先にシチューを食っていると、リビングのドアの開く音。
テツは黒のパーカー姿だった。着替えてたのか。
「あの、良いんですか?」と遠慮がちに聞くテツ。
「良いよ。こっちこそいきなりこいつがごめん。」
「あ、良いんです。中途半端な時間に帰って弁当にしようか迷ってたんで、助かります。」ありがとうございます。と言って自分でよそいに行くテツ。
その間おれがやつを見ると、やつはおれを見てにやにや笑っていた。
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- 10/8/23(月) 1:47 -
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やつは我が家のごとくテレビをつけてお笑いを見て笑っている。なんか一番リラックスしてね?
おれはテレビよりも、テツと一緒にご飯を食べていることに感激する。
予想外だ。
にしてもテツと距離が縮まる時はなんでこいつがいるんだろうな。
まぁ今日はこいつのおかげだけど。
そんなことを考えていると、
「○○(芸人)好き?」とやつがテツにいきなり聞く。
「割と好きです。」と答える。
「マジか〜。なんかツボ近そう(笑)」と言ってまたテレビに戻る。
おれはテツが芸人が好きな事が少し意外だ。
「テツもお笑いとか見るの?」
テツはテレビを見ながら、「うーん、ついてれば見るかなぁ。」
おれにはタメ語なのが少し嬉しい。
しかしこうして一緒にテレビを見ているとテツがどこで笑って、どこで食べる動作を止めてまで見入っているかなどが分かる。
今までは大人なのか子供なのか、趣味とか人間の色が全然わからなかったけど、こうして知ることもできるのだな。
別にプライベートなこと詮索してないし、こんぐらいなら良いのか。
おれはまた少し近づいた気がしてまたテツをちらっと見る。そこであることに気付く。
今テツと“やつ”のほぼ延長線上にテレビ画面がある状態なんだが、テツはテレビを見るふりをして、やつのことをぼーっと眺めている。
おれはこの前泥酔したテツが起きた時に、ヤツに視線を向けて停止したことを思い出した。
同時にテツが同じゲイだということを思い出す。
おれが初めて少しテツをゲイとして意識し始めた瞬間だった。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxya150.docomo.ne.jp>
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- 10/8/23(月) 1:48 -
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「最近テツくんどうよー?」
3人で食事した夜は結局食事しただけで終わり、やつは泊まっていった。
で、その時にこいつはテツをえらく気に入ってしまったらしい。
「テツくんはほんと良い奴。気使えるし。お前ほんとラッキーな。」
部屋でさんざんテツをほめちぎっていた。
その日以来、こいつはテツの様子をちょくちょく聞いてくる。
「相変わらずだよ。最近ちょいちょいタメ語使ってくれるようになった。この前でっかい蜘蛛出た時なんか『マサっ!』って思わず呼び捨てで俺のこと呼んでたし(笑)」
おれもこいつのおかげで距離が縮まったから、こいつにはだいぶ感謝しているし、テツとの仲良くなった報告はまんざらでもなかった。
「へ〜、良かったじゃん。おれには敬語だから徐々にお前とは信頼関係が構築されてるんだなw」といって意味深に、にやにやおれを見る。
この前の時もそうだったが、なんなんだこいつは。
こいつに話した通り、テツはだんだん素の顔を見せるようになった。タメ語も増えたし、
おれを頼るようになった。
っても季節外れのデカ蜘蛛が出た時だけだったけど。あの時のテツのびびり具合は中々可愛かった。
別におれから手を出そうとは思っていないけど、もしテツがホラー映画かなんかを見て寝れなくなり「一緒の部屋で寝たい。」などと言った際には一緒の布団で寝ることを提案するだろな。
そんな妄想をしてる時点でおれ結構やばい(色んな意味で)。
まぁでも間違ってもおれからは手を出さない。
それだけは誓える。おれもルームメイトと関係をもつことがどういうことか、わかっている。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxy1118.docomo.ne.jp>
俺ハマっちゃいました…☆
続き楽しみにしています♪
<DoCoMo/2.0 SH01B(c500;TB;W30H20;ser359421029608804;icc8981100000596334682f)@proxyag078.docomo.ne.jp>
ぼくもはまっちゃいました!! 胸がドキドキしますっ。続き楽しみにしてます。
<KDDI-KC3R UP.Browser/6.2_7.2.7.1.K.4.303 (GUI) MMP/2.0@07011022559941_mb.ezweb.ne.jp>
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- 10/8/23(月) 20:11 -
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とある月曜日。
月曜はテツは割と早く帰ってくる。
大体おれが学校から帰り、部屋でジャンプを読んでいると、テツが帰ってきて、おれはその音をBGMにしながらジャンプを読むというのが、最近の流れである。
その日も部屋でジャンプを読んでいると、テツが帰ってきてキッチンで片づけている音がする。
そういや、テツもジャンプとか読むのだろうか。
よく電車の中でジャンプやマガジンを読んでいるスーツリーマンを見るけど、テツもあんな感じなのかな。読み終わったらあげようかな・・・。
などと考えていると、台所から
ガシャーーン!
と皿の割れる音。おれは思わず顔を上げ、部屋を出てキッチンへおもむく。
「大丈夫?」
「うん・・・、なんかこれが蜘蛛に見えてびっくりして落としちゃった。」といって黒い塊をさす。
「そっか(笑)あ、ってか触んない方が良いよ。今新聞と袋持ってくる。」
そう言ってテツをそこで大人しくさせる。
おれは新聞とビニール袋を取って戻る。最近はこうして共同生活っぽいことをするのが一々嬉しい。
俺は破片を新聞に載せながら「蜘蛛だめなん?」と聞く。
「うん、虫はあんま好きじゃないけど、蜘蛛は特に。」
実際この前出た時も、テツは勢いよくのけぞりすぎて、壁に頭を強打していた。
頭を押さえながらおれの後ろに隠れるテツはぶっちゃけキュンときた。
「へ〜。そうなんだ。」
「あとは、ゴキブリも。ここはあんま出ないけど。マサはゴキブリ倒せる?」
と、例の低音声変わりしたてボイスで聞いてくる。疑問調のとこで少し声が裏返る。
「うん、なんとか。おれの実家は普通に出たからなぁ。毎年ホウ酸団子作る母ちゃんが夏の風物詩(笑)」
そういうと、テツも少し笑って緊張していた顔がほぐれる。
おれはなんの気なしに
「田舎はすごいよ。蜘蛛がゴキブリ食うんだぜ(笑)」
と言ったのだが、これがテツの想像力をかき立てたらしい。
破片を片付ける手元を見ながら、懸命に想像してしまう自分と、想像しないようにしている自分とで葛藤している表情だった。
またそれが可愛く、おれは悪いことをしたと思いつつも、一瞬ちょっと本気でテツに惚れそうになっていた。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxyag069.docomo.ne.jp>
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- 10/8/23(月) 20:13 -
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おれがテツに惚れるということは色んな意味で避けるべき事態だ。
まずおれは今恋人がいるのだ。会えてないけど、会えないからって理由で浮気をしていたら、この先どんな人とも上手くやっていけない。
絶対会えない期間が出てくる以上、そこは越えるべき壁だ。
第二に、おれとテツはうまくいけば、3年は暮らしをともにするルームメイトだ。
テツの最初の条件はではないが、干渉しすぎるというのは、やっぱり良くない。
互いにある程度の距離を置いといた方が良い。
そもそも、おれがもしテツに告白するとして、おれがゲイであることをまずカミングアウトしなければならない。
最後の理由は、これはおれの推測だけど、テツは先日の客のことをどうも好きかもしれないということだ。
最初に会った時も見つめてたし、この前も堂々と見れば良いのに、テレビをカモフラージュにしてまで、盗み見ていた。
テツはあぁいうちょっと馴れなれしいヤツが好きなのか?
おれがテツのことを考える時、今の恋人よりも、ルームメイト云々よりも、そこが一番気になっていた。
実は最近はテツと夕ご飯を食べることが多い。
誘えば向こうも嫌がらずに一緒に食ってくれる。
一応おれの手料理をおいしいとも言ってくれるし、正直テツが食べてるとこを見るだけでおれは満足だ。
この感情は弟や子供を持つとこんな感じなんだろうか・・・。
だいぶ話もするようになった。相変わらず、突っ込んだとこは聞けないけど、テツがジャンプとマガジンを読んでることがわかったし、映画が好きなこともわかった。
今度一緒に見ようぜって言ったら、リビングのDVD再生機壊れたまんまだよっていうから、じゃおれの部屋で見ようということになったりもした。
いつだったか、なんでこんな金ありそうな家なのに大学に行かないのって思わず聞いたことがあったんだけど、その時テツは意外にも、大学は今でも少し考えてるという、拒絶でない返事をしたのだった。
おれは聞いた瞬間はしまった、と思ったが、そこまで過剰に反応することもないんだな、と思い知らされた。
おれらはホントに話すようになった。
おれもサークルのことを話すし(テツはあんま仕事の話はしなかった)、一緒にテレビも見るようになった。
なんだ、普通にテツと仲良くなれんじゃん。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxyag070.docomo.ne.jp>
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- 10/8/23(月) 20:15 -
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そんな日々が続いて、ある日おれは“あいつ”のことを聞くことにした。
それとなく「なんか“あいつ”また来たいって言ってるんだけど。」と切り出す。
「良いよ。居座られたら困るけど、そんなことしそうにない人だし。」いや、しそうなんだが。
「テツが良いなら良いけど。嫌だったら嫌って言って良いからな。」
「全然嫌じゃないよ。」
「なんか、最初に来た日、テツあいつのこと見つめてちょっと困ってた顔してたじゃん。」とおれはさぐりを入れてみる。
平常心を装いつつも心臓バクバク。
「あぁ、あれか・・・。」と言うとテツは黙ってしまった。
ちょっと切なそうな顔。その顔、まさか・・・?
おれはここまできたら最後まで知りたくなり
「あいつも早く彼女とか作れば良いのになー。そうすればそっちに行ったっきりになるのに。」
またさぐりを入れるとテツは引き戻されたかのように
「あはは、そうだなぁ(笑)」と言って明るくなった。
ん、さっきの表情は別のとこに原因があるのか?
その様子を見ておれは、
「テツ、あいつのことが好きなわけじゃないん?」
と明るく平常を装い冗談っぽく聞いてみた。心臓バックンバックン。
「へ?おれが?好きじゃないよー。」
と初めてゲイネタに触れられて恥ずかしいのか、顔を伏せる。
そして
「マサ勘違いしすぎ。男なら誰でも良いってわけじゃないよ。」といって笑った。
おれはなんだか一番気がかりなところが杞憂に終わった安堵か知らないが、次の瞬間、こんな事を口走っていた。
「はは、そりゃそうだ(笑)おれも男なら誰でも良いってわけじゃねーもん。」
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxyag069.docomo.ne.jp>
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- 10/8/23(月) 20:25 -
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「おれマサが男好きだってこと知ってたよ。」
今は12月の寒い夜。場所は俺の部屋。
テツがおれを押し倒して両腕を抑えつけている。ちょ、ちょ、なんでこんな展開になったんだっけ・・・。
そうだ。あの夜おれがまさかのカミングアウトをして、テツは意外にも冷静ってか、あっさり受け入れて、おれだけテンパって、夕飯後それぞれの部屋に戻ったんだ。寝てたら、テツが珍しくおれの部屋に来たと思ったら無言で押し倒されて、でそのまま・・・。
「え、な、なんで?」
「いや〜、見てればわかるっしょ(笑)なんつーの、なんか同じ匂いがしたんだよね。」
そういっていたずらっぽくにやりと笑う。
「おれのとこルームシェア来たのもコレが目的だったんじゃないの?」
「そ、そんなことな、!んむっ」
テツがキスをしてくる。完全にテツ主導な状況に混乱する。いや、まさかおれがやられるなんて。おれ普段タチだぞ。
おれがぐるぐる考えている間にもテツはおれの唇を激しく犯す。
テツ見かけによらずこんな激しいキスすんのかよ。両腕をの力が案外強い。
おれ運動してんのに抵抗できない。
おれもおれで体は抵抗してるのに、口はテツの舌を受け入れている。
最初から舌をおれのに入れてきて、おれの舌をなめたりしている。
最後にテツの唾液をおれに流してきた。おれが飲み込むまで口を離さないつもりかよ・・・。
・・・ようやく口を離す。
「マサのここめっちゃたってんじゃん(笑)」
そういっておれのチンコを布の上からわしづかみする。
「うっ・・・いってっ・・・。マジでやめろっ・・・。おれ別にテツとこんなことしたくねぇ。」
「(笑)」
またにやりと笑うと一気にズボンをぬがしにかかる。
「めっちゃたってるよ?」
低音ショタボイスでそう言われるとますます興奮する。確かに俺のチンコはギンギンにおったっていた。我慢汁も垂れている。
ホントはこの声を喘がせたいんだが・・・。
おれが混乱していると、乱暴におれの両手首を持ちあげる。
「つっ・・・」
どっから出したのか手錠で拘束する。
「これで今晩はしばらく過ごしてね(笑)」
と、意地悪そうに言う。
おれは下は真っ裸で上は着衣、手錠という情けない姿。テツは上を脱いで、ズボンを下ろす。
「ほら、くわえなよ。」
そういってテツがちんこをおれの顔の前に出す。サイズはおれの方がデカいが、きれいな形だった。おれが何か言おうと口を開くと強引につっこんでくる。
「ゲホッ、ぐふっ!」
おれがむせてるのもお構いなしにテツは腰を動かしてくる。なんだこのドSなテツは。よく読む後輩に犯される体験談ってこういう感じか。
「あー、やっべ。マサの口ん中きもちいいっ。んっ、はぁっ、はぁっ。」
と言いながらピストンしてくる。おれはその状態を保つのがきつく、若干涙目だ。見上げるとテツの胸が見える。良い具合に胸筋がうっすらついていて、乳首はピンク色だ。くっそ、ほんとはおれがこの乳首を責めてあの低音ショタ声を喘がせたいんだよ。
「泣くのかよ。」
そうテツは言い捨てると、おれの口からチンコを抜く。おれの唾液が糸を引いて垂れる。それをテツがなめる。
「こんなことしてごめんね(笑)おわびにケツ入れてやるよ。」
「はぁ!?いや、マジでやめろ。ほんとに!」
テツは聞いていない。
「ローションなくてさー、家に蜂蜜しかなかったんだよ。これで我慢してな?」
「おい!マジで入れさせねぇからな!」
「そんなこと言って、ここがスイッチなんしょ?」
といっておれの乳首を舐める。確かにそこはおれのスイッチである。
「んっ・・・ぅあぁ・・」テツが舌を堅くさせて突いてきたり、全体を使ってとろけるように舐めたりしてくる。
「うぅ・・・・・・あぁっ!?」
テツがおれの乳首を噛む。上目遣いにおれを見てにやりと笑う。おれを上目で見ながら蜂蜜をアナルに塗っている。おれは恥ずかしさのあまり目をそらす。もうダメだ。なんだよケツに蜂蜜って・・・。
「ほらちゃんとおれの眼見てよ。」
見れるもんか。
「見ないとおれ何するかわかんないよ?」
そういっておれの両足首を持って持ちあげる。おれは仰向けになり、ケツの穴を見せる状態になる。
「おい、なにすんだよ!」
「ケツなめてやるよ。」
「は!?」こいつ変態か!
そう思ったのもつかの間
、テツはおれのケツをなめ始める。
「うぅ・・・。」
最初は表面だけだったが、舌をねじりこむようにおれの肛門へ入れてくる。
「テツ汚い!おれホントやだ!」
おれはじたばたする。
「マサのケツ甘くてうまいよ(笑)」
「蜂蜜ぬったから当然だろ!この変態!」
「マサのケツね、こんな味だよ。」
そういって上からテツの顔が覆いかぶさったかと思うと、キスをされる。甘い。当たり前だが甘い。
「んーっ、んっ。」
くちゅくちゅとおれとテツと蜂蜜の合わさる音がする。こんなプレイしたことねぇ・・・。ほんとにテツか?おれの口角から唾液が垂れる。
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- 10/8/23(月) 20:28 -
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「へへっ」
ひとしきりおれに味あわせたテツは口をぬぐってまた意地悪そうに笑う。すると耳に口を近づけ、
「今からおれの唾液と蜂蜜混ぜたのローションにして入れてやるよ。」
とささやく。低音ショタ声におれは鳥肌がたつ。
「ちょ、こっち移動。」
そういって全身鏡をおれの前に置く。まさか・・・。
「マサが犯されてるとこ二人で見ようぜ。」
「嫌だ!」
おれは移動しようとしたが、テツが馬乗りになる。そして手のひらに蜂蜜をたらし、そこにテツが口を近づけ唾液を吐きだす。それをおれのケツにぬりたくる。
「一本入れるよ(笑)」
ぬるっと入る。
「あぁっ!っ!」
「おぉ、入るじゃん。じゃ二本いくか。」
「んあぁっ!」
そんな調子でおれのケツはあっという間に指3本飲み込んだ。
「すげー。マサのケツが3本飲み込んでるぜ。鏡で見てみろよ(笑)」
「ふざっけんっ、あぁっ!」
マサがおれのケツの中をかき回す。
「マジでやめっろって!」
前立腺を刺激されおかしくなりそうになる。
「ここで、、やめるわけ、、ねぇ、だろ!!」
そういってテツが後ろに回りおれを持ちあげ、下からぶち込んでくる。
「うぐぅう・・・あぁ!」
「良い声出すじゃん。」
そういってテツは動かしてくる。最初はゆっくりだったが、途中からかなり速く下から激しく突き上げてくる。鏡にはおれの焦点の定まらない顔と177センチの体、後ろには高校生みたいなテツが雄の顔でおれを突き上げているのが見える。
高校生に犯されてんのかよおれ。
「あぁっ、あっあっ、んあっ、んはぁんっ。もっ、やめっ、てっ。」
「ほんとはしごいてっ、ほしいんじゃねえの?」
そういってテツがおれのをしごく。テツのチンコが前立腺にあたり、しかも、例のローションでおれのチンコをしごいてくる。
「うあああっ、んっんっああああぁぁ!だめ、も、い、イクっ。」
「いけよ。」
テツがこのセリフだけ、溜息混じりにささやく。それが決定打となっておれははてた。トコロテンなのかわからないが、普段のおれはこんな早漏じゃない。年下にこんなことされるなんて。めっちゃ屈辱だ・・・。つーかおれのルームシェア生活どうなんだよ・・・・・・・。
という所で目が覚めた。
おれはしばらく頭がぼーとしていて、状況を把握するのに時間がかかった。
夢精していたことにもしばらく気付かなかった。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxyag069.docomo.ne.jp>
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- 10/8/23(月) 20:36 -
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時計を見るとまだ7時半過ぎ。
起きる予定じゃなかったが、夢精したから洗たくしなきゃならない。
おれはパンツについた精液を風呂場で流し、他の衣類と一緒に洗たく機を回す。
待っている間に、すこし外の空気を吸いにいく。
体をきゅっとさせる冷気が目をさまさせる。
いくらテツをゲイと認識しはじめたからってなんだよこの夢は。しかも蜂蜜ローションって・・・。
苦笑すらできず、うなだれる。部屋に戻って朝食を食べて、終わった洗たく物を干す。
今日は刺すような風がよく吹いていて乾きそうだ。
洗たくかごを持ってリビングのドアを開けると、そこにはテツがいた。
おれの脳裏には一瞬にして昨日のドSテツがフラッシュバックし、かなり動転する。
「あ、おはよう。」
テツが何の気なしに若干低テンションであいさつする。
「うぉ、おはよう・・・。」
テツはおれの横をすり抜け、コップに水を注いで飲んでいる。
おれはかなりドキドキしていた。
「、会社は?」
「有給取って休んだ。」
「そう、なんだ。。」
いつものおれなら、朝のテツはかなり低テンションなことに気付いたかもしれないが、この日はちょっとそれどころじゃなかった。
おれはそそくさと洗たくかごを脱衣所に置き部屋に戻る。
夢が夢だけに意識するなんてレベルじゃない。
もはや落ち着くまでは会いたくない。
おれは朝早いけど、出かけることにし、結局夕方まで外にいた。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxyag070.docomo.ne.jp>
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- 10/8/23(月) 21:35 -
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あの夢を見て以来おれだけ変に緊張している。
テツが風呂に入っている時間はそわそわする。テツの方はいつも通りなのが、実はSなんじゃないかと思わせる。
ってかおれこんななってこれからどうしよう・・・。
つーかおれ好きな人いるじゃん。
思い出したように、彼に電話をかける。
夜九時。コール三回で向こうは出る。
「もしもし?」
「あ、もしもし」
「どした?」
「いや、最近会ってないじゃん。」
「あぁ、寂しかった?笑」
「そっちこそ寂しかったんじゃねーの?笑」
彼と話すことで少し落ち着いた。
心のどこかでは彼に満たされてないし、自分は彼を満たしていないに気付いていたが、今は見て見ぬふりをして他愛もない話を続けた。
いくら核心に触れないでいたって、限界が来ることを知りつつも、避けた。
おれはクリスマスまでニ週間切っていた事に気付く。
思い切って誘ってみよう。
「あんさー、24日空いてる?」
「あー、ごめん。その日はバイト・・・。てかその前後連勤なんだわ。年末商戦休んだら、来年から働けない^^;」
「そっか。わかった。まぁ初もーでは行こうぜ。」
「おうよー。ごめんな。せっかく誘ってくれたのに。」
「良いよ良いよ。稼いでこい。」
「うん、さんきゅ。」
「じゃそろそろ切るわ。」
「おう、電話ありがとな。嬉しかったよ。」
「(笑)おやすみ。」
「おやすみ!」
・・・・。
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- 10/8/23(月) 21:36 -
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24日の予定が決まらないまま、12月は過ぎて行った。
サークルの例の企画は23日だし、おれはどうしようか思いあぐねていた。
思い切って帰省しようか。
テツがいるなら別に家にいても寂しくないんだけど、何しろ未だにそういうことは聞けないから、もしいなかった時が寂しい。そもそもおれが避けてたからか、最近あんま話していない。
“あいつ”家に入れてあいつに聞いてもらおうかな。
いや、でも怪しまれるかな。なんかあいつにやにや見てくるし・・・。おれへたれだな。24日の予定くらい聞いても良いよな・・・。
そんなことを考えていても、いざテツと話そうとしてもこんな時に限ってテツは捕まらない。
年末は仕事が忙しいんだろうか。
最近家にすら帰っていない気がする。
ついこの前までは会うのも気まずかったけど、今は無性に会いたくなっていた。
恋人と会えないからテツに走ったんじゃないの?と言われたらそれまでなことに気付く。
おれは年下を利用して寂しさを紛らわせたいだけなのか・・・。
おれは腹をくくって、テツが24日いようがいまいがこの家にいることにした。
もしいなかったら一人で寂しく過ごそう。
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- 10/8/23(月) 21:48 -
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覚悟を決めてからは割と時は早く過ぎて行った。
23日、おれはツリーを先輩の家に持っていく。
他の先輩が車で駅に迎えに来てくれたので、10階から下におろすだけだった。
家を貸してくれるOBの先輩の家には、ツリーももともとあったんだけど、子供がいて、一回り大きいのがほしくなったとのこと。
サークルの会費で買うなよ。
まぁでも毎年場所を提供してくれているらしいので良しとする。
いつもどおり飲み会だった。
明日予定がある人もない人も今日は楽しめたんじゃないかな。
こういうイベントの参加率が高い所もこのサークルの好きなところだ。
「マサやんは明日誰かといる予定あんのー?」
女の先輩が話しかけてくる。
おれはなんて返そうかと思ってとっさに「ありますよ。」と答える。
「マジマジ!?マサやんいるとか初耳なんだけど!誰?」
どうしよう。うそついたらあとあとめんどくさい。
おれはゲイが備えておくべきうそつきスキルをまだ備えていない。すぐばれる。
「あの、ルームシェアしてる人と過ごすんです。」
実際まだ決まってないがこの際こう言うしかない。
「おー!やっぱ例のルームメイトこれなん?これなん!?」
「違います(笑)」
久々のやり取りをしていると、“あいつ”がにやにやした目で見ている気がしたが無視。
とりあえず、おれは仕事を終えたので、パーティを楽しむことにする。
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- 10/8/23(月) 21:51 -
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結局その日も帰ったけど、テツはいなかった。
おれは寒さの中歩きながら、色々考えていた。
全くどんだけ忙しいんだよ。
まだ19歳だろ?友達とゆっくり過ごしたいだろうにな・・・。
酔っていたせいもあるが、おれは泣けてきた。
酒はあんな飲まされるし、この時期も働かされるし、ってか秘密ごとしてまでルームメイト探す境遇ってなんだよ。グスッ。
思えばテツはずっと働いている。
今まで考えないようにしてきたが、何から何まで謎だ。
いや、本当は予想がついている。ただ、それはあまりにも残酷な予想なのだ。
こんな普通のサラリーマンだってローンを払うのに何年もかかりそうなマンションに19歳が一人で住む理由なんて、そういくつもあるもんじゃない。
家の中にも痕跡を残さないようにしているようだが、昔家族がここにいたことはなんとなくわかる。
おれにだって、本当はある程度予想はついていた。
だけど、テツが聞かないでほしいというから聞いていないし、考えないようにしていた。
おれだって自分がテツの悩みを全て一緒に背負える人間だなんて思っていない。
まだまだ自分のことで精一杯だ。
だが、テツと一緒に暮らすようになって、最近はお互いタメ語で話すようになって、最初は赤の他人だったテツがおれのことをマサって呼ぶようになって・・・・。
ようやく仲良くなり始めたんだ。
おれらはもう、どっちがいなくなっても寂しいんじゃないだろうか?
テツは知らないが、少なくともおれはそうだ。
突然この部屋におれ一人残されて、ずっと一人で暮らしていきなさい、なんて状況になったら、おれはどうしていいかわからない・・・。
そこまで考えて、ようやくおれは気付いた。
なぜ、テツがこんな条件でルームメイトを募集していたのか、たまに見せる人なつっこいテツの一面、そして“あいつ”がずっとおれのことをにやにや見ていたこと。
くっそ“あいつ”のくせに物わかりよすぎんだよ。
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- 10/8/23(月) 21:52 -
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24日は曇りだった。
ホワイトクリスマスなんてこっちじゃ滅多にないよって昨日の飲み会で言われていたけど、やっぱり大都会のクリスマスに雪が降ったら思い出に残ると思う。
おれは午前中はだらだら過ごしていた。
やっぱり足が重い。
おれは今一番大事な人のために、大事な人を傷つけようとしている。
待ち合わせ10分前に、待ち合わせの場所に着く。
相手はこれからバイトだけど、その前に会う約束をしてもらった。
クリスマスにこんな話するなんて、向こうにとっちゃほんとに最悪だろうな。
向こうの方から、おれの初めての恋人がやってくる。冬服見るの何回目だっけ・・・。
「おまたせ。」
「おう。あー、じゃちょっと店入ろうか。」
「・・・いや、良いよ。公園行こう。」
おれはどきっとして、こういうのは確かに公園のが話しやすいな、と場違いに学習していた。
駅近くの公園。
「で、話って何?」
「、単刀直入に言うと、友達に戻りたい。」
「・・・。」
「やっぱ会えないのはきつい。おれもあんま誘わなかったからおれにも責任あるけど・・・。」
「ほんとにそれが理由?」
「え?」
「いや、ほんとに別れる理由は会えないから?」
相手は優しく笑っていた。これがほんとに同い年か。
「わかれるにしても、最後は自分に正直になってほしい。おれのためにも、マサのためにも。」
「・・・すまん。ほんとはすげえ大事な人ができた。まだ好きかどうかは微妙なんだけど、支えていきたいって思える人。」
「・・・そっか。」
「ほんとごめん。」
「・・・。」
しばらくおれらは黙っていた。
やっぱ向こうも納得しないかな。こんなんじゃ。
などと考え事をしていると
「おれの方こそごめんな。あんま会えてなくて。マサがあんま満足してなかったことも知ってた。でもおれはこの距離感がちょうど良かったりしたんだよな。」
続けて、「いや、今日話があるって言われた時にちょっとこのパターン考えたから、そんなショック受けてないから大丈夫(笑)」
「ほんとごめん。今日クリスマスなのに、こんな話して・・・。」
「いや、良いよ。むしろ来年に持ち越さなくて良かったんだよ。」といってニコっと笑う。
おれの方が身長高いけど、器はこいつの方が全然でかい。
付き合った密度はあんま濃くなかったけど、この人と付き合えてよかった。
「よし、寒いから戻るか。駅まで一緒に歩こう。」そう言って立ち上がる。
おれも立ち上がる。辺りはうす暗くなっていた。
駅に戻る途中、さっきもだけどマサは嘘がばれやすいからな。そこんとこ注意しろよ。自分に正直にな(笑)、と注意された。
おれはおう、と苦笑し、彼とは改札で別れた。来年の初もうでは彼の幸せを祈ろう。
おれは電車に乗る。時刻は17時。今日くらいは居ると良いんだけど。
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- 10/8/23(月) 21:55 -
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家に入ると、玄関に靴があった。テツだ。テツが帰ってきている。
ついでにリビングの電気がついている。珍しくリビングにいるのか?
おれがそっとドアを開けると、何か音楽が流れていた。
ん?珍しくテツ客を招いたのか?
更に歩を進めると、リビングにはテツ一人、ソファにもたれて、目をつぶっていた。そして机の上にはアルバムがあった。初めて見る、小さめのアルバムだった。
おれはどうしようか迷う。起こすのもためらわれるし、ただいまってのもタイミングが難しい。
そんなことを考えていると、テツがゆっくり目を開けて、そしておれに気付いてかなりびっくりしていた。
「え、あ、今日サークルのパーティじゃないの!?」
「いや、それは昨日・・・。それより今日誰か来る予定だった?」
テツは立ち上がり、CDを止める。
静寂が訪れる。
「いや、おれ、一人だよ。」
視線をそらしてそう答えるテツは顔が真っ赤だった。
さっきの穏やかなテツの顔を思い出す。
もう隠さなくて良いんだよ。おれにだってわかるよ。いや、詳しくはわかんないけどさ。
おれはテツにどう言いだそうか迷っている。
テツが口を開く
「あの、これ、その・・・おれの家って・・・!?」
おれは最後まで言わせたくなかった。
おれは気付いたらテツを抱きしめていた。
「いや、良い。テツがなんで今こうしてたのかとか、なんでルームメイトを募集してたのかとか、全部わかってる。いや、全部はわかってない。でも、大体わかる。早く気付いてやれなくてごめん。」
「っ・・・!」
「もう大丈夫だから。一人にさせねぇ。おれ卒業までここにいるし、卒業してもここにいる。テツが許してくれる限り、ここにいるから。もう一人で寂しい思いはさせねぇ・・・。」
「っ・・・くっ・・・ふっ・・・」
テツはおれの腕の中で嗚咽を漏らすと、おれを力強く抱きしめてきた。
「うぅ・・・。うあぁぁ・・・!」そう叫ぶとテツは泣き崩れた。
しゃがんで、顔を伏せて、ずっと泣きじゃくっていた。
おれも一緒にしゃがみ、テツが落ち着くのを待った。
「うっ・・・えぐっ・・・あんさ・・・おれの・・・おれの家族・・・。」
テツがとぎれとぎれに言いにくそうに話し始める。
おれはそれが辛そうで遮ってしまった。
「いや、良いよ。今無理に話さなくて良い。もっと心の整理ができてから話してくれれば良い。」
「マ・・サ・・・。」
「だから、もう大丈夫だよ。」
そういうと抱き寄せた。おれはコートのまま、テツを抱きしめた。
テツは相変わらず泣いていた。
恐らく、今までずっと溜めていたものが噴き出したのだと思う。
おれは静かにテツが気の済むまで泣き終わるのを待っていた。
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- 10/8/23(月) 22:05 -
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その後、おれがコートをかけに部屋へ戻ると、テツがおれの部屋に入ってきた。
「どした?向こうに戻るつもりだったんだけど(笑)」
ついてくるテツが、ペットのような、年下の恋人のような可愛らしさがあってほほえましかった。
「いや、こっちの方が良い。」
そういってテツはおれの布団の上に座った。おれは隣に座る。
そこからテツが話してくれた話は、まぁおれが想像してたのとあまり変わらなかった。
結論から言うと、昔ここで共に暮らしていたテツの家族はもういない。二度とこの家には帰ってこない。
ルームシェアを募集していた6月は、最後の頼みだった母親がもう戻ってこないことがわかって1カ月した頃だった。
家のローンは払い終わっていたことが幸いだったが、でもまぁ今まで親がしてくれていたもろもろの手続きを一人でやらなければならず、さらに仕事もあって、正直家の中がぐちゃぐちゃだったという。
一人で家にいると精神もふさぎこんでくるし、かといって仕事以外で人間関係を作る気力はもう残って無くて、そこでルームメイトを募集したそうだ。
テツ自身もルームメイトを募集した前後のことは、あまり覚えていないという。
お互い干渉しない、というドライな条件をつけていれば、とりあえず大丈夫、という思考能力しか残ってなかった。
会った当時は確かに歳の割に暗いのが気がかりだったのはもう疲れてたんだな。
ちなみに、“あいつ”のことを見つめていたのは、起きた時に誰かの話し声がすることや、一緒にテレビを見るということが久しぶりすぎて、家族を重ねていただけだという。
「じゃホントに好きじゃなかったんだな。」
「だから言ったじゃん(笑)マサならわかると思うけど、ノンケに恋はしないよ。」
その時、じゃあおれは?と聞きそうになって、これはもう少ししてからにしよう、ととっさに思ってしまったおれはやっぱりヘタレなルームメイトだった。
テツは仕事をしていないとどんどん引きこもってしまいそうだから、という理由で、無理やり社会に出た強い人間だ。それに比べておれは・・・。
話をしていると、テツは連日の勤務からか、眠そうだった。
「テツもう寝た方がよくない?」
「うん、ちょっと眠い・・・。」
そう言って立ち上がる。
おれは手をつかもうか迷った。
正直さっきリビングでテツを抱きしめていた時、いつかまた抱きしめてしまいそうな自分に気付いていたのだ。
迷っていると、テツはさっさと部屋を出ていく。
「おやすみ。今日はありがとう。」
「・・・うん、おやすみ。」
テツは笑ってドアを閉めようとする。
「待って!」おれは呼びとめる。
テツは怪訝そうな顔で振りむく。
「今日、一緒の部屋で寝ない?クリスマスだし・・・さ。」
いつだったか、敬語をやめようと言った時をおれは思い出した。
「別に良いけど、マサも寂しがりなんだなぁ(笑)」
そういってテツは
「じゃ布団持ってくるから待ってて。」だめだ。伝わってない。
「いや、あの、一緒の布団で寝たいんだけど。」
そう言うとテツはびっくりした顔をしていた。
おれはもう黙ってテツのところまで行って、抱きかかえた
「あ、っちょっと・・・。」
「今日は一緒にこれで寝よう。」
そういって布団まで運ぶ。後ろから抱くようにして布団に入った。
テツはかなり疲れているのか、
「なんだこれ(笑)でも眠いから今日はこれで良いや。」
というとそのまま目を閉じた。いっぱい泣いて、眠くて、もう今どんな状況かあんまわかってないような感じだった。
テツの匂いがする。テツの体はかなり熱い。
おれもなんだか眠くなってそのまま寝てしまった。
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- 10/8/23(月) 22:17 -
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その日を境にテツは少しずつ明るくなった。
きっと誰かに話して泣きたかったんだろう。おれもテツとは距離が縮まった気がした。
縮まった、というより、色んなことを共有できるような気がした。
多分、喧嘩もできるし仲直りもできる。
いまだに喧嘩はしたことないけど、一緒に暮らしていく以上、いつかそういう時が来ると思うが、そんな時でも大丈夫と思える。
正直、テツの境遇を知ってから、家族のことが気にかかっていたが、テツが頑張り続ける限り、おれも触れないことにした。
今徐々に良い方向に向かっているのは明らかだったから、余計なことはしない方が良い。
いつか、落ち着いたらテツの家族がどんな人たちだったのか聞いたみたい。
テツは結局ニ浪ということになってしまうが、大学へ行くことにしたらしい。務め先を辞めて、今は勉強中だ。
おれもやっぱりお金があるならば、行った方が良いと思う。
テツの経済状況は詳しく知らないけど、大学で四年間過ごしてみるのは悪くない。
何しろ、おれがいるから、もう引きこもる心配もない、とちょっとうぬぼれてみる。
テツが家にいる時間も、暇な時間も急に増えたから、“あいつ”も混ぜて、一緒に遊んだり、テツに勉強を教えたりしている。
テツはあいつにもたまにタメ語を使うようになり、あいつはその度に喜んでいる。
そしてあの夜以来、おれはたまにテツと一緒の布団で寝ている。
おれはあんな夢を見たから、もうアレなのかと勝手に思ってたけど、実はテツはこっちの経験がないのだ。
だからおれの部屋で勉強を教えている時に、おれがちょっかいを出しても、テツはあまり誘いに乗ってこない。
こんな可愛い顔して経験ないとか・・・。
おれは我慢できない時は後ろからがばっと抱きしめて、テツをくすぐったりいじったりしてテツに甘える。
テツが眠い時はそのまま一緒に寝てくれるのだ。
勉強がまだ残ってる時はすぐに勉強に戻っちゃうけど。
やっぱりテツは強くて、魅力的なルームメイト。
おれはホントにラッキーだと思う。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ここまで駄文を読んでくれた方、ありがとうございます。読みにくいところもあったと思います。
何か感想を書いて頂けると嬉しいです。読みにくい、とかエロシーン全然興奮しない、とかでも大丈夫です。
一馬さん、まささん、ふみたかさん、書き込みありがとうございます。三人がいてくれなかったら、最後まで書ききることはできなかったと思います。
<DoCoMo/2.0 SH06A3(c500;TB;W24H14;ser353699021253275;icc8981100000328841731f)@proxyag069.docomo.ne.jp>
読みやすかったし 引き込まれました(^O^)
後半はちょっと展開が速かったりしたけど…
テツとマサのその後気になるし(>_<)
よかったらその後の特別編待ってますp(^^)q
幸せになれますように☆
<DoCoMo/2.0 SH01B(c500;TB;W30H20;ser359421029608804;icc8981100000596334682f)@proxyag020.docomo.ne.jp>
すごい胸がキュンキュンしました。よければお二人のその後をまた読みたいです。
<DoCoMo/2.0 SH906i(c100;TB;W24H16;ser358034019666749;icc8981100000371122526f)@proxyag004.docomo.ne.jp>
最初から読んでいましたけど、初めてコメントします。
じんわりと心にしみる内容で、読んで良かったって思える話でした。マサさんもテツさんも元彼さんもみんな良い感じの人で…そして「あいつ」君もなかなか印象に残る良い人ですよね。
話としては完結してますが、もしよかったらその後のことも書いてください。その時を楽しみに待ってます☆
<DoCoMo/2.0 N905i(c100;TB;W24H16;ser355288011316876;icc8981100010332074815F)@proxy1137.docomo.ne.jp>
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shuu
- 10/8/25(水) 14:19 -
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とても読みやすく、心にしみる文章でした。
一気に読んじゃいました。
実は僕の相方も少しテツくんと似た境遇というか、過去を背負っているところがあり、とても感銘を受けました。
最近、彼に対してなにもしてあげられない自分に嫌気がさすこともあったりしますが、今回の投稿を拝見し、なんだか少し心が軽くなりました。
僕もマサさんがテツくんに優しい時間を作ってあげているように、そういうことを意識してみたいと思います。
どうもありがとうございました。
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最後までおつかれ様でした!!
毎回毎回更新されるたびに、マサくんたちの世界に引き込まれていく気がして感動しました(>_<)
エロシーンもよかったです(笑)
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ふみたか
- 10/8/27(金) 16:07 -
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お疲れ様でしたー。
ぼく自身、テツくんに共感する部分がすごーくすごーく多くて、自分と時たま重ねながら読んでました。
最後まで感動の作品でした。ありがとうございました。
気が向いたら、続編書いてくださいね♪
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Railgun
- 10/8/30(月) 21:30 -
|
すごい面白かったです!
また何かあったら是非書いてくださぃね↑
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☆ウエ☆
- 10/8/31(火) 18:17 -
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めっちゃ良い話しだったです!恋愛が自分は恐くなってなってしまったけどなんかこんな風になれたら良いと思います♪
<KDDI-SN3O UP.Browser/6.2_7.2.7.1.K.5.183 (GUI) MMP/2.0@05004018337068_ey.ezweb.ne.jp>
やばいやばい!!
なんか感極まるというか
胸にすごい「何か」が込み上げる話でした。
一気に読めて素敵な内容です☆
やっぱり背負っているものが大きいと与えられるものも大きいんだなと思います。
恋愛に対して今すごく恐怖症じゃないけど奥手になっていた自分にとっては
なんか考えさせられることのあるものです。
誰かと暮らすのは無理だなぁとかいつも思ってましたが悪くないじゃないかなとも思いましたし。
お二人に今以上の幸せが訪れることをお祈り致します。
読ませて頂きありがとうございました。
よければその後の後日談でもあればまた読ませてほしいですね。
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おもしろかったです!
実体験ならば、うらやましいっすね。
創作だったとしたら、次の作品を期待してます!
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泣いちゃいました。本当に感動で涙が止まりません。これからも良い関係で居れることを心から願います!ありがとうございました!
<DoCoMo/2.0 SO905i(c100;TB;W24H18;ser356766013101189;icc8981100020723439048f)@proxy30066.docomo.ne.jp>
思いっきり遅レスですみません。
あっという間に引き込まれて、一気に読みました。
出てくる人、ひとりひとりがみんな魅力的で、
温かいのが、すごく心に残りました。
皆さんの幸せを祈っています。
<Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; InfoPath.1)@222.222.118.219>
おもわず一気に読んでしまいました。
過剰に卑猥だったり無駄な要素がなくて、すごく素敵な話だった。
読んでる人はたぶん、なんかあったまったんじゃないかな。
それと、ちょっとそれぞれの想いに対する想像をかきたてるようなエロいニュアンスもあったりして面白かったです。…ありがとう。
<SoftBank/1.0/943SH/SHJ001/SN359302031114330 Browser/NetFront/3.5 Profile/MIDP-2.0 Configuration/CLDC-1.1@w42.jp-t.ne.jp>
ひきこまれて一気に読みました!
その後が気になります\(^o^)良かったら続き書いてくれると嬉しいです。
素敵なお話ありがとうございました!
<Mozilla/5.0 (Linux; U; Android 2.2.1; ja-jp; SC-02B Build/FROYO) AppleWebKit/533.1 (KHTML, like Gecko) Version/4.0 Mob...@s720099.xgsspn.imtp.tachikawa.spmode.ne.jp>
話しに引き込まれました!これが恋愛なんだなって33年間生きてきて初めて知りました!自分のこれ迄は、色々あってこんなあったかいもの一度も体験した事はありませんでした、常に闘い続けていく事が宿命なんだと諦めていたから見えなかったんだと確信する事ができました!間接体験でも久々にドライな日常から離れ、安らぎを得られました、ありがとう。事実か創作かわかりませんが、素晴らしかったです。
<SoftBank/1.0/740SC/SCJ001/SN354715033061305 Browser/NetFront/3.3@w11.jp-k.ne.jp>