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- 13/1/6(日) 3:42 -
体がでかくて
器がでかくて
見た目が雄っぽい
これが俺のタイプだった。
今まで付き合ってきた、というよりエッチをしてきた男はこの3つが当てはまっていたし
何より、俺自身の見た目がそうである。(とある事情により、器の方は自信がないが・・・)
いわゆる「ジャニ系」だとか「中性的」「ショタ系」というタイプは好きでも嫌いでもなかったが
話す機会がなかったし、見た目的にも親戚の甥っ子感というか、つまり欲情しない。
そんな訳で、今まで全くと言って良いほど、そういう系とは関わりがなかった。
ちなみに俺のプロフは180*73*26。ようやく社会に慣れ始めた社会人4年目。性欲の方もまだまだやりたい盛り の男である。
今日は金曜日。仕事が終わったら職場の飲みを断り、一刻も早く会いたい奴と飲む予定である。
本当に、ある意味、今一番会いたいやつかもしれない。
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- 13/1/6(日) 3:44 -
19時。新宿の居酒屋で待ち合わせる。
この居酒屋はガラス張りのカウンターで景色も良く、週末でも時間制限がないため落ち着いて話すことができる。
たまたま金曜に予定が合ったが、別に平日でも良かった。
それぐらい、今俺はそいつに会いたい。
店に着くと向こうはまだ来ていないようで、俺だけ先にカウンター席へ座る。
俺はおしぼりで手を拭き、メニューを眺めていると店員がツレを案内する声が聞こえてきた。
「おーお疲れ!待った?」
「 いや、待ってない俺も今来たとこだ。」
そんな挨拶もそこそこに、生中を2つ頼む。
お通しとビールが出され乾杯する。いつも通り、金曜の夜が徐々に熱を帯びていく。
この金曜の夜の熱は独特だと思う。連休の初夜というのか、世の中全体がぼやぁっと解放されていく。
もちろん平日休みの方もいるだろうが。
そんなことを思いながら俺はジョッキを3分の1ほど飲み干す。
相手のジョッキを見ると同じペースで減っている。
相手は179*70*26と、やはり俺と同じような、俺の好みの体型。
同じスーツの社会人である。
俺が学生の時、就活が終わった頃からの付き合いだから、もう長い付き合いになる。6年くらいだろうか。
こいつとは何 回か、そういう関係になったことがある。
正直体の相性はそんなに良くなかった。お互いタチだったのがいけないのかもしれない。
最初数回やったが、その内やってても友達のじゃれ合いみたいになっていき、
しまいには飲みの後にどちらかの家に泊まってもやらずに爆睡。
次の朝起きてシャワー浴びて自分の家に帰っていく、という付き合ってもいないのにセックスレス状態になっていた。
「でさ、シュウ。俺が言ってたような子が見つかったってほんとかよ?」
俺は待ちきれず、相手を促す。シュウは隣にいるやつの名前。
ちなみに俺はカズマで、カズと呼ばれることが多い。
「あぁ笑 いたいた。俺もカズが言い出した時はそんな都合の良い子いると 思ってなかったんだけど。」
と言いながら、携帯の写真のフォルダを探す。
「いた、これ。この子」
シュウは俺に携帯画面を見せる。全くタイプではない。
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c
- 13/1/6(日) 3:48 -
「うん、確かにタイプじゃない。タイプじゃない。話したことないからわかんないけど。」
画面に写っていたのは、身長170センチ前後、体重はわからないが肩幅はそんなにない。
運動してそうな爽やかさはあるが、いわゆる「ショタ系」に分類される童顔の男の子がいた。
「だろ?カズは絶対こういうの関わりすらしないもんな。」
シュウは少し得意げに言う。相手の好みを当てた得意感だろうか。
そんなシュウの顔を見てから俺は
「でもよ、ほんとに 俺の言ってた条件全部クリアしてるのか?そこが一番重要なんだが。」
「してるしてる。」
そう言ってシュウはビールに口を付ける。
今は9月中旬。そろそろ夏のビールのうまさも陰りを見せてくる頃である。
「まず相手のプロフな。身長167センチ体重55キロ21歳 大学3年生。
ルームシェア希望理由は、就活による交通費の削減、と家庭の事情、により
今よりも都心に引っ越したいとのこと。家庭の事情は詳しくは話せないが、
迷惑がかかる事情ではないそうだ。シェア期限は就活で内定が貰えるまで。
大学院に進む予定はないから、まぁ内定が出るのを5、6月だとして今から9ヶ月とかそんなもんだな。」
シュウが一気にそこまで 言ったところで、頼んでいたつまみが来る。なんこつ、手羽先、田楽。
「で、だ。一番重要な所だが、向こうにもカズの写真を見せたが、向こうも全くタイプじゃないようだ。
これは、まぁ何人か共通の知人に聞いた話だが、今まで片想いしてた相手とか好みだと公言してる男からしても
カズのようなタイプは一人もいなかったらしい。」
「むん。なるほど。確かに、俺の望む相手そのまんまだな。」
「で、お前はどうなの?ほんとにタイプじゃない?」
「あぁ、全くと言っていいほどだな。一緒のベッドに寝ても間違いは起きないわw」
「まぁそうだろうな笑 じゃぁ俺からまた話つけとくよ。一回面会してみる?」
「どうすっかなー。シュウはその子のこ とどう思う?」
「いたって普通の子だよ。ノンケの世界いてもゲイって気づかないくらい。素直だし、むしろサークルとかの後輩にいたら可愛がったね。
内定ももしかしたら4月とかに決まるんじゃない?」
「じゃあ、この子にするわ!もう選んでらんないしな!」
「おし!決まり!・・・じゃあ今日は同棲・・・じゃねぇな笑」
「おいw」
「ルームシェアの相手が決まったことに祝杯だな!」
「おーう!紹介料として、今夜はおれのおごりなー。好きなだけのめのめ!」
そんな訳で、来月からの俺のルームシェアの相手が決まった。
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- 13/1/6(日) 3:51 -
説明が遅くなったが、俺は今ルームシェアの相手を探している。
今年の6月、2年間ルームシェア をしていた相手が、突然の転勤となり、俺は一人残された。
そいつと俺は付き合っていた。同い年、体も俺と同じくらい、短髪、ヒゲ、切れ長の一重と
俺の好みをもろに具現化したような男で、体の相性も良かった。
どちらかというと、俺の方に熱があって、尽くしていた。
「会社の命令だから。」
とトシ(そいつの名前)は言っていたが、多分二つ返事で転勤の話を承諾したと思う。
そんな奴の転勤話とともに、遠距離が無理な俺らの2年の恋は終わり、今まで二人なら払えていた家賃を俺一人で払うこととなった。
正直、その支出は厳しく、かと言ってこの物件を手放すのは惜しかった。
景色もよく、地の利も良かった。駅から近いし、もし恋 人ができた時は同じ様にここで暮らしていきたい。
そんな願望があった。昔の男と住んでた所でまた新恋人と過ごすのもどうかと思ったが、手放すのはもう少し考えようと思ったのだ。
そんな俺が出した解決策が、期間限定のルームシェア相手を探すというものだった。
その条件として
●こっち(ゲイ)の人間であること。
●期限(一年以内)を決めてシェアできること。
●生活力がある普通のやつ
そして一番重要だったのが
●お互いがタイプではないこと。
であった。
というのも、向こうが俺に惚れてしまった場合、期限が来た時にいろいろめんどくさくなりそうだったため
相手が俺に惚れないというのは絶対条件だった。
そして、俺が 相手をタイプではない、という条件は、俺自身が今はひとりで心を整理する時間がほしいため
シェア相手にそういう要素はできるだけ持ち合わせていてほしくなかった。
つまりまぁまとめると
「ゲイで清潔に家を使って、俺の心の整理がついて恋人ができるまで家賃を払ってくれる人。」
という、なんとも都合の良い条件なわけだ。
我ながら、あまりの都合の良さに自己嫌悪を感じたが、まぁ言うだけならタダと思い、シュウに飲みの席で話したのである。
シュウは意外にもその話を覚えており、俺すら持ちかけを忘れていた頃に
「シュウが言ってた条件に当てはまる子、いたよ。」
と火曜日、仕事中にメールを送ってきた。
俺は一瞬呆けた後 に、記憶を取り戻し、トイレに行って
「一刻も早く紹介してくれ。」
とメールを送る。
「おっけーw じゃあ今週金曜の夜な。今夜と水木はちょっと都合悪い。」
というわけで、先ほどの展開になった次第だ。
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ちなみに金曜の夜はシュウは俺の部屋に来たが、何もやらずにお互い爆睡し、やつは朝方帰っていった。
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- 13/1/6(日) 3:52 -
シュウと飲んだ次の日ににその子からメールが届き、その夜に引越しの日取り、荷物の量を教えてもらった。
物件を見に来なかった理由の一つに荷物の少なさもあるのだろう。
俺の部屋にある物の総量の3分の1にも満たない量だった。
手続きやら何やらを済ませて 家にやってきたのが、飲みから2週間後。
インターフォンが鳴ったのでドアを開けると、画像で見た子が立っていた。
やっぱり男としてはぴんとこない。思ったより肩幅はあったけど、童顔で少年って感じだった。
「あ、初めまして。西野シンタロウです。」
そういうと、頭をペコッと下げる。お互い電話でもう名乗り合っていたが、会うのは初めてなので一応自己紹介をする。
「どうも、中瀬カズマです。よろしく。」
「よろしくお願いします。」といって握手を交わす。俺の方が手も大きく、なんだか親戚の子が長期休暇に泊まりに来た感覚だった。
部屋にあげると、窓からの眺めとか自分が住むことになる部屋(今は何も荷物がない空き部屋)をせわし なく見て回っている。
引越しってわくわくする気持ちはわかる。
一通り見て回って、トイレに行ったりしたあとに
「なんかすげー良い物件見つけちゃった。」
と言って俺に笑いかけた。さわやかな笑顔だったし、多分落ちる人はこれだけで落ちるんだろうな。
ソファの背もたれに腰掛けながらそんなことを思った。
俺もなんとなく、一緒に過ごすのには全然問題無さそうなことを感じ安堵する。性的な魅力を感じないことにも安堵する。
そうこうしている内に引越しの荷物が届く。業者の人が玄関まで入れてくれ、それを彼が自分の部屋に運んでいく。
俺も少し手伝おうかと思ったが、必要ないくらい量が少なかった。
ちなみにうちは、共有リビン グ、個人部屋2つ、トイレ、キッチン、風呂という間取りになっている。個人部屋をそれぞれ俺と相手が使う。
家賃は折半。向こうが払わせて欲しいとのことで今月から払ってもらうことにした。
水道光熱費等は、元恋人と住んでた時ののルールを適用し、相手が学生、俺が社会人ということもあり、俺の方が若干多めに出すということで落ち着く。
まぁ、部屋の広さと立地の割には良すぎる物件だったし、話はあっさりまとまった。
水道光熱費の話のまとまりと同じくらいに引越しや荷物の整理もあっさり終わり、あっさりと彼はこの空間に溶け込んでいった。
引越しの夜は本当は引越し祝いかなんかで夕飯でもおごってあげようかと思ったが、俺に外せない用事があること を伝えると
相手も用があったらしく、まぁ二人での食事は延期。
相手も俺もお互いタイプじゃない、ということからして延期と言いつつ、二人での外食は実現されないままルームシェアの期限が来てもおかしくないことを感じていた。
それくらいお互い、別世界の人間 という感覚を肌で感じていたと思う。
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- 13/1/6(日) 3:55 -
俺は別にこういうタイプが嫌いというわけではなかった。
ただ、学生時代にしても今の職場やこっちの世界にしても、関わる機会がなかった。
どうしてもつるむ仲間が同身長、同体重の奴らになってしまう。
別に選んでいるわけではないのだが、縁というやつだろうか。
たまたま最初の席が前後左右してたり、たまたま忙 しくない時期にメッセが来て続いてリアルにつながったり
無意識の内に選り好みをしている可能性も否定できないけど、特に意識しているわけでもない。
だからシンタロウみたいなタイプは何を考えているのかがよくわからない。年の差があれば尚更だった。
仕事だったら、適当に話を合わせて適度な距離感に落ち着けるけど、一緒に住むなら、短期間といえどそんな無理はしたくなかった。
だから、最初にシンタロウが越してきた時に話をした時以降、1ヶ月ほどまともな会話はしなかったと思う。
というより、俺が次の恋に進むために心の整理をつけていたこともあって、ルームシェアをしていることすら忘れつつあった。
俺は社会人だから朝から晩までいない が、相手もなかなか忙しいらしく、朝たまにリビングで会うくらいだった。
その時もお互い朝はテンション低いから
「・・・はよっす。」
みたいな挨拶のみ。
この辺の距離感というかテンションが合ったのは助かった。逆に
「どこ行くんですかー!」みたいなテンションだったらちょっとうんざりしたかもしれない。
夕飯は相手はまかないが出る所でバイトをしているらしく、ほぼ外食。
毎日バイトをしているわけではなさそうだが、バイトでない日もうまいこと節制して外食をしているようだった。
おかげで俺はたまに料理したり、相手に気遣うことなく夕飯を食べ、食べながら心の整理をつけることができ
次第にシェアをしていることすら 忘れていった訳である。
で、まぁ俺も1ヶ月ほどすれば大体の整理がつくわけで、そろそろ十分かなと思っていた11月の夜だった。
突然シンタロウに話かけられる。
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小説の中に引き込まれてしまった。続きが楽しみです。
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c
- 13/1/6(日) 22:47 -
いつものように考え事をしながら飯を食い終わってキッチンで洗い物をしていた。
来年の5月までだからまぁゆっくり相手を探す時間はあるよなーなんてぼんやり考えていると、突然
「あの、中瀬さん」
と話しかけられる。
俺は気配に気づかなかった為、ちょっと驚きながらも
「んっ、何??」
と振り返る。が、振り向いた先に相手の顔がない。そうだった。今まで付き合ってきたやつの癖で、ついそこに顔を探してしまう。
俺はちょっと視線を下 げる。シンタロウもやや顔を上げている。
「あの、俺パソコン壊しちゃって、ちょっと直し方わからないから修理に出すか、買おうか迷ってるんですけど。」
そこで一旦区切る。続けて言いにくそうに
「リビングにパソコンあるじゃないっすか。あれって、使えないですか?」
そういって、リビングのパソコンを指す。
俺は指した方に視線を向けながら、随分使っていないパソコンの存在を久しぶりに思い出す。
確かトシと住んでいた頃に共有していたが、その内お互い一つずつ持つ様になり、プリンター接続専用としていたやつだった。
プリンターもお互いそんな使わないことから、布を被せたまま長らく放置してあった。
「あぁ、良いよ。OS確かXP だったかな。多分使えると思う。」
「ほんとですか!助かります!」
「うん、シンタロウ君の好きな時に使って良いし、なんなら部屋に持ってって良いよ。」
俺がそういうとさすがにそれは断り、
「ついでなんすけど・・・、下のプリンターも使っていいですか?就活でエントリーシートを印刷したい時あるんです。」
「あぁ良いよ。インクもうだめになってるだろうから交換しないと使えないと思うけど、全然良いよ。」
そういうと彼はぱっと笑顔になり、
「まじですかー!ほんと、ありがとうございます!」
と礼を述べる。
初めて顔を間近で見たが、一重の割に目が大きかった。黒目も大きい。
いつだったか、黒目が大 きい人は幼い印象を与えると聞いたが、そのせいで童顔な印象を与えるのかもしれない。
俺が見てた時間が思っていたより長かったのか、相手は???という顔をし始めたため
俺は慌てて話題を戻す。
「一応起動させてみてな。だめだったら最悪直るまで俺の貸すし。」
「や、それはさすがに大丈夫です。それより、」
と言ってから
「シンタロウ君て長くないすか?シンとかシンタローとか呼び捨てでいいですよ。」
「おーまじで笑 いいの?じゃシンタローも中瀬さんとかじゃなくて名前で呼んで良いよ。」
「はーい。じゃぁカズさんで!」
そういうとパソコンのスイッチを入れにパタパタ向かう。しばらくPCがシューーーココココという音 を立てていたが、うまく起動したようだ。
「これからリビングで作業してることが増えると思うんですけど、よろしくお願いします。」
「ほいほい。まぁ俺も部屋にいること多いし、気にすんな。就活頑張ってな。」
「ざっす。」
そんな感じで久しぶりに会話をした。
が、また数週間話さない期間が続いたりする。シンも思ったよりリビングで作業することはなかった。
後で知ったが、気を使ってできるだけ学校や友達んちで作業をしていたようだ。
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- 13/1/6(日) 22:48 -
11月中旬になると俺も気持ちも仕事も落ち着いて、学生時代の友人と遊んだりするようになる。
トシはもう東京いないし、まぁ俺の失恋も一先ず懸念することは皆無となった。
今な らトシとも爽やかに会える。と思う。
が、懸念点がひとつだけある。
学生時代の友人の間での遊びとして、みんなで酒を飲みながら映画を観る、というのがあったのだが、
どうもホラー映画の人気が高く、結構な頻度でホラー映画を観ることになっていた。
俺はホラー映画が大の苦手だった。
器の大きさにイマイチ自信がないのもこれが原因で、トシがいた頃はまぁ見ても家に帰って一緒にトシを抱えて寝れるから、問題はなかった。
が、トシがいなくなった今、一人で耐えられるだろうか。
一応人と住んでるが、相手は家に居ないことも多いし、何より一緒に寝て抱かせて欲しいという申出なんて
最初の「お互いタイプじゃないこと」という条件を家 主が破ることになりかねない。てか、ほぼ破ってる。
俺としては何か抱ければ、この際女性でも良いから抱きかかえていたいのだけど、向こうは当然そうは感じないだろう。
そもそも、こんなホラーが苦手なのは、俺が幼少の頃、霊感が強かったことが原因である。
親戚公認の強さの霊感は時として、寝ている時にも目をつぶっていても映像としてあらわれ、
見かねた親がどこかの寺か神社(この辺よくわからないが)へ除霊をしにつれていってくれた。
その除霊以来きれいさっぱり霊感はなくなったが、逆にそれがリアルで、いまだに俺は霊を信じている。
そんな事情もあり、俺はひとりでホラー映画(の余韻)に耐えられるかどうか、それが最近唯一の悩みとなっ ていた。
それ以外は仕事もまぁまぁ、食欲の秋で、恋も徐々に前向きな感じな日々が続いていた。
シンタローの方は顔を合わせることはなかったが、家賃は払われていたため俺も気にしていなかった。
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- 13/1/6(日) 22:50 -
結局ホラー映画の企画はのらりくらりとかわし、SFとかアクションに(俺が)もっていきつつ、恒例の映画鑑賞会は事なきを得ていた。
大体ホラー映画は結構見たのだ。俺も時間が経てば恐怖は和らぐし、恐怖感が更新されなくて良かった。
季節は12月。もうだいぶ年末が迫ってきている。親からも帰省するのか、というメールが来ており、まぁ俺は帰省することとする。
実家には10個下の妹がいる。俺が大学で上京した時は8歳だったけど、今は16歳。
久しぶりの帰省だからお年玉とか上げた方が良いのかな。なんて考えながら家に帰ると、シンタロウが珍しく家に居る。洗濯をしているところのようだ。
「あ、おかえりなさい。」
「ただいま〜。」
なんとなく、久しぶりのやり取りにほっこりする。やっぱ人がいるって良いな。
俺は一応シンタロウの年末の予定を聞いておく。
「年末、どうする?実家に帰んの?」
「あー俺帰んないっす。こっちに残ります。」
「そっか。じゃあ戸締りとか気をつけてな。」
そんなやりとりをしつつ俺は一旦部屋に戻る。
戻ってマフラーを外しながら、一応実家の住所知らせておこうと思い直す。
住所を紙に書いてリビングに戻る。冷蔵庫に貼り ながら
「これ、俺の実家の住所と電話番号ね。なんもないと思うし携帯もあるけど、なんかあったらここ連絡して。」
「はーい。カズさんて北関東出身なんですね。」
と言いながらシンタロウが俺の横に並ぶ。やっぱり小さい。
「そだよ。シンは?」
「俺山梨です。」
「あー山梨なんだ。親の顔見なくていいの?」
と俺が聞くと、ちょっと変なテンポがあってから
「ん・・・だいじょぶっす」
と小さめな声での返答。なんかあんのかな。まぁいいけど。
「そっか。まぁそんなわけで、俺30日から1日までここ空けるからよろしくな。」
「わかりましたー。」
シンタロウがそう返事した直後に洗濯機終了の音が鳴る。シン タロウは洗面所へ向かう。
なんだか、俺ら、もともとそんな気が合わない方ではないような気がしてきた。
兄弟とかいたらこんな感じなのかな。特に気まずかったり、気遣う感じじゃない。
会話もなんも考えなくてもスルスル出てくるし、沈黙になっても別に良い。
話しかけられてもうざいとか思わない。なんだか初めての人間関係に触れた気がした。
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c
- 13/1/6(日) 22:53 -
クリスマス直前、俺は学生時代の友人と宅飲みをする為に、友人の家へ向かう。
まぁこの時期だから忘年会の代わりみたいなものだろう。仕事の方は忘年するほど必死な1年でもなかったけど、失恋を完璧に忘れるって意味では忘年だ。
以前はうちでやることも多かったが、今はシンタロウがいるため 俺が断った。
なんとなく、シンタロウの就活の邪魔になっちゃうんじゃないかなという、なんか余計な親心からだった。(トシの時は気にしなかった)
で、18時スタートの飲み。今年どんな年だったかとか年末歌番組の出演歌手を見て知ってる知らないとかそんな年末の会話が続いていたはずの21時。
突然友人の一人がDVDを取り出す。
「なーなー。久しぶりにホラー見ようぜw 俺持ってきたんだけどw」
げ!
「あーいーね!なんか最近ノー天気な映画多かったし、久しぶりに見よーぜ!」
そんなわけで、まさかのホラー映画の鑑賞会となった。。
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c
- 13/1/6(日) 22:54 -
帰り道。
駅から近いのが助けだった。夜道を歩くことになっていたら、確実に タクシーを使っていたと思う。
半端なく怖かった。周りの連中はとにかく面白がって見ていたが、幼少期のトラウマがある俺は笑いごとではなく
みんなに忠告してやりたい気分だった。
最後の方は俺だけテンション下がってて、体調悪いと適当に言って先に帰ったのだった。
てか、今日シンタロウいなかったらどうすんの俺。泊まれば良かったが、あのDVDがある部屋にはいたくなかった。
帰りに明日の朝飯を買って、家に着く。玄関を空けるとリビングの明かりがついてた。良かった。シンタロウ帰ってきてる。
「あ、早かったっすね。おかえりなさい。」
リビングのソファでパソコンをいじっていた。メガネをかけている。初めて見た。
「ただいま。 うん、ちょっとね。ってか、ビール飲んでんの?」
テーブルの上には缶ビールが置いてある。エントリーシートの草案、酒飲みながら作ってんのか。
「いや、これは書き終わったら飲むぞっ!っていう目標です笑 これ見て頑張ってます笑 明日は遊ぶ予定なんで!」
そゆこと。なんとなく、日常に戻ってこれたようで安心する。
今は夜の12時5分前。
「そか。そのまま寝て風邪ひかないようになー。」
「はーい。もうすぐ書き終わるんで♪」
俺はなんとなく安堵し、ご機嫌な感じで部屋に戻る。
今日は多分大丈夫。シンタロウがリビングで作業している内に風呂入ってこよう。
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c
- 13/1/6(日) 22:57 -
風呂に入る前には確かに起きていたシンタロウが風 呂から出たらソファでくかーっと寝ていた。
え、まさかもう書き終わったのか?ビールが空になっている所からすると、無事終わったのだろう。
が、今はそれどころじゃない。なんで寝てるんだ。俺一人じゃん。
風呂から出たら話相手がいると思ってたのに、俺一人じゃん。
若干パニックに陥る。誰かが寝てしまった二人きりの空間は、一人の時とは別の恐怖感があったりする。
起こそうと肩に手を伸ばしかけて、とどまる。
この30分で眠りにつくほどシンタロウ疲れてたのか・・・。
そう考えると俺の恐怖の緩和剤として起こすのはためらわれる気がした。
しかし、ここで寝かすと風邪を引く。迷った挙句、今夜は俺のベッドで一緒に寝ることにす る。
俺は実はダブルベッドを使っている。
(引越しをしぶったのも、一つにダブルベッドがしっくりくる物件を探すのがめんどくさいという理由があった。)
そのため、二人は余裕で寝れる。今夜は申し訳ないが隣で寝てもらおう。勝手に部屋に入るのも悪いしな・・・と都合の良い言い訳を考えてみる。
ソファで寝てしまったシンタロウのメガネを外し、お姫様抱っこで俺の部屋に運び、奥の方へ寝かす。全然起きない。
俺は歯を磨き、照明を落として布団に入る。
隣でシンタロウの寝息が聞こえる。やっぱり隣に誰かが寝てるだけで全然安心感が違う。
が、やはり恐怖感は完全には拭えなかった。もう忘れて寝よう。てか、明日のシンタロウへの説明を考えない と。
そんなことを考えながら徐々に眠りに落ちていった。
----------------------------------------------------------------
その夜久しぶりに怖い夢を見た。
映画の影響か知らないが、やけに音量が大きい夢だった。
耳に音がこびりついて離れない。現実ではありえない世界も、俺にとってはありえる世界。
そんな夢を見た。
後で話を聞いたが、うなされてはいなかったらしい。
その代わり
朝起きると俺はシンタロウを抱きしめていた。
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c
- 13/1/7(月) 0:59 -
「あの、カズさん・・・」
シンタロウの声ともぞもぞした動きで俺は意識を取り戻す。
うぁっ。夢だったのか。良かった。
・・・・・・ってなんだこれ。
俺の腕にはシンタロウがすっぽりおさまってい る。まさか俺やっちゃったとか?いや服を着てる。良かった・・・。
ってよくない!
俺は勢いよく、シンタロウから体を離す。
「ごめん!シンごめん!!これ、マジ違うんだ!ちゃんと理由、あって!」
俺はベッドからすらも降りて謝罪する。
シンタロウは起き上がりベッドの上であぐらをかく。頭をかいている。顔がぽーっとしている。
シンタロウもあんま状況がわかってない。お互い朝が弱くて良かった。
「え、俺昨日ソファで寝ちゃって、・・・そのあとなんでカズさんの部屋にいんの?」
「うん、うん、それも説明する。」
俺は何か飲んで落ち着いた方が良いと思い
「とりあえずなんか飲もう。飲みながら説明する。」
俺らは野菜生活をコップに注いで飲んだ。
徐々に頭が目覚めてきたシンタロウは明らかに俺に対して不信な顔をしていた。
一瞬「中瀬さん」に呼び名が戻りかけた時、俺はことの重大さが思った以上な物なことを思い知らされた。
が、俺も申し訳ない気持ちと名誉のために、必死に説明する。ホラーが苦手なこと、幼少の頃の話、
なんならシュウに聞いて貰って構わないから!と第三者の証言があることも示唆した。
シンタロウもとりあえず納得し
「風邪の心配してくれたんだよね。ありがとう。」
とむしろお礼を言うぐらいに誤解は解けた。余談だが、この日からシンタロウはタメ語になった。
もうクリスマスイブの1日前。俺が帰省する1 週間前のできごとだった。
<Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.0; Trident/5.0) @p3066-ipbf3404marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp>
お待ちしています
- 13/1/8(火) 20:47 -
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久しぶりに読んでて夢中になってしまいました。続き待ってます(^_^)
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- 13/1/15(火) 2:10 -
12月31日。
俺は実家に帰省している。地元の友達と久しぶりに会って飲んで、ぐうたらな年末を過ごしていた。
今は家である。自分の部屋でゴロゴロしながらシンタロウのことを少し考えていた。
あの朝は若干事件な感じがしたが、次の日にはシンタロウはけろっとしていた。
「お互いタイプではない。」からか、まぁ友達同士の過ち程度に捉えてくれたのだろうか。
だとしたら俺も助かる。あれで変に目覚めてしまったら当初の予定が狂ってしまう。
越してきた時は全く考えることのなかったシンタロウのことを、離れた土地で考えているというのはなんかおかしかった。
やっぱり愛着が湧くもんなのかな。
明日俺は東京に帰る。なんとなく、家にいてほしい気がした。
そんなことを考えていると、階下で
「ただいまー。」
と若い女の声。妹だ。
そのまま階段を上がって行き、自分の部屋に入っていく音が聞こえた。
俺は逡巡してから、妹の部屋に向かう。
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- 13/1/15(火) 2:47 -
ノックをすると、中からはーいと返事がしたため一応「開けるぞ」と断ってから開ける。
扉を開けると驚いた妹の顔がそこにあった。
「なんだその顔・・・笑」
「いや、お兄から話かけてくるの珍しいから・・・」
俺らは歳も離れてたし住んでる所も離れてたため、ほとんど会話をしたとがない。
この年代の女の子と何話して良いかわからなかったから俺が避け てたってのもあるが。
「なぁ、お前ほしいものってある?」
俺がそう聞くと、妹は少し考えてから
「DSかな。学校でみんなやってる。」
「ん、わかった。」
と言って扉を締める。
えっ。そんだけ?という声が中から聞こえた。
俺はその足で電気屋へ行った。
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- 13/1/15(火) 2:48 -
東京へ向かう電車で、俺は今朝のことを思い返していた。
お年玉の代わりに、妹にDSとソフトを渡すと、妹はかなりびっくりした顔をしていた。
ありがとうを言うのがやっとで、その後は本当に嬉しそうな顔をしていた。
このことは両親も驚かせたらしく、後で妹がいない時に
「あの子本当はお兄ちゃんともっと話したいみたいよ。ゲー ムも嬉しかったみたいだけど、気持ちが嬉しかったんじゃない?
もっと顔見せなさい。」
と母親にこっそり教えてもらったりもした。
なんだろう。俺って今まで付き合う人間関係狭すぎたのかな。
同類以外の人達のことを考えずに生きてきたのだろうか。
東京の家に帰るとシンタロウはいなかった。
今日はなんとなく、会いたかった。会ってなんでも良いから話がしたかった。
自分でもちょっと心境の変化にびっくりしていると、メールがくる。
シュウからだ。
「1月飲みにいかん?」
俺は即OKを出す。シュウも紹介した手前、共同生活が気になってるのだろう。
1月第3週の金曜に飲みに行くことになった。
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- 13/1/15(火) 2:50 -
「あけましておめでとう だな。」
「だな。」
と言いながら乾杯をする。
今日はシュウとの飲み。新年も明けて3週間が経つ。
「で、どうよ?ルームシェアは。ってかお前シンタロウ君抱いたんだって?」
といきなりぶっこまれ、俺はむせる。
「ゴホッゴホッ っお前、聞いたの!?」
「あぁ笑 聞いたよ。年末シンタロウ君からいきなりメールが来て、なんか霊感の話とか
ほんとにタイプじゃないのかとか、そんな話、相談された。」
「くぁ〜やっぱ納得してねぇよなぁ。でもあれ、ほんと違うから!」
「わかってるわかってる笑 俺もちゃんとフォローしといたから。
でもな、シンタロウ君ちょっと動揺したみたいよ。気 をつけた方が良いぜ。」
「あぁ・・・、気をつける。これから当分映画鑑賞には参加しないようにするわ。」
まぁこの前のは不可避だったわけだが。
「てかお前は何、ほんとにシンタロウ君には何も感じないの?もう一緒に住んで3ヶ月近く経つけど。」
「あぁ、ないよ。どっちかつーと弟かな。お年玉あげようかと思ったくらい。」
「ふーん、弟ねえ。。抱いた感想はどうだったん?」
「だからお前その言い方!」
「ごめんごめんw ちょっと意地悪したw」
そう言いつつ、時々俺はあの朝のことを何回か思い出している日がある。
シンタロウは前の家で使っていたシャンプーを今も使っているからか、頭からはなんか知らない良い香りがして いた。
あの朝はそれどころじゃなかったが、ふさふさした髪の毛からした香りを思い出すと今でも若干ぼんやりする。
ただ、それはやっぱり性的などうこうじゃないと思う。
今までの俺のセックスからして、そんなソフトな趣味はないはずだ。
なんというか、もっとがっつり雄っぽいものにフェロモンみたいのを感じたりする。
「別に。普通に実家で飼ってた犬抱いてた感じだよ。哺乳類抱いてたって感覚。」
俺はわざときつめな言い方をする。
「哺乳類って、お前ひどいなぁ。」
シュウが苦笑する。
「てかさ、シンタロウとシュウはなんで知り合いなの?」
「ん、知人の紹介だよ。お互い一人ずつ連れて4人で飲んだ時に知り合った 。」
「そういうことか。年上好きなのか?」
「そういうわけじゃないと思う。こういう出会いは珍しいって言ってた。」
なるほど。ほんとじゃぁ慣れない男との共同生活で不安だった矢先にあんなことしちゃったのか。
ほんと悪いことをしたな。
そんなことを考えていると、
「あ、てかあれシンタロウ君じゃね?」
とシュウ。
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- 13/5/24(金) 16:48 -
俺がシュウの視線の先に目をやると、確かにいた。何やら複数の男女に囲まれている。
そういえば今日はバイトの送別会とか言っていたな。
就活が始まるからバイトを辞めるとか言ってたけど、送別会の場所、この店だったのか。
偶然に驚きながらも
「例の飲食店のバイトか。なんか結構長いし充実してたみたいだよな。」と俺。
「へー。俺全然シンタロウ君のこと知らない。」
「なんかまかない出るからってんで、夕飯ほとんど外食なんだよ。」
「そうなんだ。」
少しの間、二人でシンタロウ観察をする。向こうは全くこっちに気づかず、
楽しそうに周りの人間と話をしていた。楽しそうに話しながらもきりっとした雰囲気はあった。
「ほんとノンケ生活って感じだなー。」
「そだな。俺もタイプじゃないってのもあるけど、一緒に住んでてもゲイとして意識してない。」
「お前ノンケ抱きしめてたらやばいからねw」
「だからそれはもういいじゃねーかw」
確かにシュウの言う通りで、多少はゲイとしての甘えはあるかもしれなかった。
そんな感じのやり取りをしていると、シンタロウが最後の挨拶をするっぽい流れに。
どんな挨拶をするのだろう。せっかくだから聞いてみよう。
シンタロウが立つと、周りのバイト仲間の視線がシンタロウに集まる。
「えー、僕が・・・」
と話し始める。結構声が大きかった。声はここまで届いた。
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- 13/5/24(金) 16:50 -
「僕がここで働かせ頂いてから3年とちょっとになります。」
シンタロウの話し方は堂々としていた。真っ直ぐに周りの仲間を見つめている。
「働く前の僕は、人から何かを命令されたり、言われたことをただこなすっていうことが多かったのですが、
ここの職場では、僕のやりたいことを店長、チーフをはじめとした色んな方が、聞き入れてくれ、そしてそれが実現するという職場でした。
何か改善したいことがあるたびに僕は提案をしたんですが、多分、実現されなかったことはないんじゃないかっていうくらい僕の意見をしっかりと受け止めてくれる職場でした。
自分で何か変えるとか、改善しようと思ったものが形になるって、すごい自信につながったし何より、働いているっていう実感を持つことができたと思います。
本当にここの職場で働けて良かったです。
僕は就活が始まるので、辞めてしまいますが、ここで得た経験、知識、とあと自信を無駄にしないよう、精一杯生かして将来の仕事につなげていきたいと思います。」
ここで一旦言葉を区切る。
「で、僕がここで辞めても、別に皆さんとの関係が終わったとは思っていません。
またいつか違う形で皆さんと出会うかもしれないし、またここに僕が戻ってくるかもしれません。
その時に、こいつ成長してないな という風に思われない様に、これからも全力で、頑張っていきたいと思います。
本当に3年と4ヶ月の間お世話になりました。」
そう言ってシンタロウは挨拶を締めた。
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- 13/5/24(金) 16:51 -
俺は帰りの電車の中で、先ほどのシンタロウの姿をずっと思い出していた。
なんというか、すごい、男らしかった。
話した内容自体は、普通のよくあることだったかもしれないが、シンタロウの堂々とした話し方、声量、表情、それら一つ一つが忘れられなかった。
シンタロウが言葉を締めた後は拍手があったのだが、ただの別れの挨拶に対しての拍手にしては若干大きめな気がしたし、
多分、バイトの仲間も少し感動したのかもしれない。
周りの違う席の関係ない客も思わず聞き入っていた。
それくらい、人を惹きつける何かが、あの時のシンタロウにはあった。
俺シンタロウのことばっか考えてる。別にいいんだけど、なんかもやもやする。
シュウからメールが来る。
「今日はさんきゅ!シンタロウ君かっこよかったな。俺ちょっと狙ってみようかと思った笑」
「ちょっと意外な一面だったな。手出す時は俺に許可取ってからな!」
そう返信して携帯をしまう。
シュウのやつ本気なのかな。あいつも俺とタイプ似たりよったりじゃなかったっけ。
そんなことを考えながら地元の最寄りについて、家へと向かう。
多分シンタロウは家にいないだろうから先に寝てよう。最近まともに話してないから、明日の朝話せたら話してみよう。
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- 13/5/24(金) 16:52 -
次の日起きるとシンタロウはまだ部屋で寝ているようだった。
あのあとまた飲んだのかな。まぁ主賓だったし飲まされたんだろうな。
そんなことを考えながらシャワーを浴びに洗面所へ向かう。
暑いシャワーで目を覚まし、腰にタオルをまく。最近ウエストがたるんできた気がする。鏡で腰周りを確認してから脱衣所を出ると、
シンタロウとばったり出くわす。
「あ、おはよ。シンもシャワー浴びる?」
「おはよ。。うん。。」
まだ完全に目覚めてないようだった。
「朝飯食う?用意するけど。」
「あ、じゃあお願いします。」
そういって服を脱ぎ始める。よく見ると体は綺麗だった。良い感じに筋肉も乗ってる。
越してきたすぐの頃に何回か裸を見たけど、すごい勢いでぴんとこなかった覚えがある。
なんか運動してたのかな。
俺はトーストと目玉焼きを作る。
作り終わった頃にシンタロウが出てくる。
「あー良い匂い。お腹すいてきた!」
シャワーで目が覚めたのかいつも通りのテンションに戻ってる。
なんかすげー可愛い。昨日の凛々しさはどこいったんだよ。
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- 13/5/24(金) 16:53 -
「うん、簡単なものだけど食ってな。」
「食う食う!いただきまーす」
そういや家で一緒に食事するの初めてだ。なんか面白い。
シンタロウもその感覚に気づき始めたのか、はにかんだりもじもじしたりしてる。
「一緒にくうの初めてだよな。」
俺がトーストをほおばりながら言うとシンタロウもうなずいてトーストを飲み込む。
「お互い、なんか忙しいしね。俺これからもうちょい忙しくなるけど。」
就活か。俺もやったんだな。俺の時とは多分だいぶ対策とかも変わってるんだろうけど、なんかアドバイスできることとかないかな。
「シン今日予定あるの?暇だったらどっか行かん?」
言った俺がびっくりしてた。俺結構考えなしに口が先に動いてることがある。後先考えてない。
「えっ、今日?」
シンタロウもびっくりしてる。俺と遊ぶなんて想定の範囲外だったのだろう。俺だって予想外だ。シンタロウと一体どこに行けばいいのか。
「あー。。日中はちょっと空いてないや。夜なら空いてるけど。。」
なぜか俺は少し安心する。
「あーそっか。じゃまた今度だな。」
何がまた今度なのかちょっと自分でも混乱してた。
しかし、シンタロウは土日も結構午前から出かけている。毎週毎週どこに行ってるのだろう。
「どっか遊び?」
「ん、まぁ。」
短めに言葉を区切るシンタロウ。なんか年末の予定聞いた時のことを思い出した。あまり触れないほうが良いのだろう。
「まぁ気をつけてな。食器、俺が洗っとくから。」
「あ、それは俺やる。」
「良いって良いって。俺今日暇なんだから。」
といってシンタロウの空の食器をひょいっと持ち上げる。
「じゃあお願いします。」
といってシンタロウは照れ笑う。あーなんだこのもやもや。
30分後くらいにシンタロウは出かけていき、俺は部屋の掃除をする。年末掃除できなかった分、ちょっと雑巾とかかけてみる。
シンタロウがいる時にやったらあいつ手伝いそうだしな。外出させられなくなりそうだ。
そんなことを考えてると、シュウからのメール。
"今日家に遊びに行ってもいい?^^"
シンタロウ目当てかな。
"いいけど今シンいないよ。"
"まじか!じゃあまた今度にしよかな"
こいつ・・・。
"夜は帰ってくるみたいなこと言ってたけど"
"じゃあ夜行く。酒買って19時に行くから!"
そんなわけでシュウが来ることになった旨をシンタロウに伝える。
"今晩シュウが来ることになったから!"
"おー初めての来客!w 了解です。"
そんなわけで3人で遊ぶことに。てか泊まるのかなあいつ。
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- 13/5/24(金) 16:57 -
シンタロウは夕方頃に帰ってきて、リビングでパソコンを打っていた。
遊ぶ前にやることやってしまうらしい。そういうとこ好きだ。時間の使い方がうまいやつは友達でも恋人でも好感持てる。
で、19時ちょっと前。シュウが家に到着。
「おじゃまします。この家も久しぶりだな。」
シンタロウを紹介した夜以来だから4ヶ月ぶりくらいか。
適当につまみを出して酒飲みながらマリカとかなんかいろいろゲームして過ごした。
シュウがシンタロウを気にかけてるのがわかる。酒も進み、ゲームも白熱してきた。
俺がシュウの嫌がらせにちょっと頭にきて腕で首を絞めたりする。
それをシンタロウは面白そうに見ながら
「二人は付き合ってないんですか?」
と聞いてきた。
俺はどうしようか迷って絞めてるシュウを見る。見たら無表情だが顔が赤い。酒じゃ赤くならないこいつが赤いってことはそゆことか。
これは体の関係があったこと言わん方が良いのかな。
「あぁ。付き合ってないよ。ノンケの幼馴染みたいな感覚だな。」
と切り返す。シュウもそれにうなずいてる。正解だったみたいだ。
シュウが話のそらしも兼ねて聞きたいことを聞く。
「シンタロウ君は、好きな人いないの?」
シンタロウはじゃっかん顔を伏せて
「いないっすねー。」と言って笑う。
「へー。ってかどういうのがタイプなん?」
こいつ酔ってるな。
「タイプかぁ。俺と身長同じくらいで、学校の友達みたいな人かなぁ。」
確かに俺らはシンに比べてデカすぎる。
「そぉかぁ。」とシュウ。
こいつまだ諦めてないし、自信もありそうだ。
「じゃさ、俺とカズだったらどっちタイプ?」
さすがに俺は慌てる。
シンタロウもちょっと困ってる。多分俺らに差はないんだろう。悪い言い方をすればどっちもどっちってとこか。
「俺、あんまりカズさんとかシュウさんみたいなタイプと今まで話したことなくて、だからよくわかんないんです。」
俺はちょっと意外なことを聞いたと思った。
俺と同じ理由でお互いタイプじゃないって思ってたのか。なんだろう、この感覚。
何かつかめそうでつかめない。
「そっか。まぁこれから知ってけば良いよ。」
と、シュウが良くわからないことを言いながら危ない手つきでコントロールを握る。それを見て俺は
「そろそろ風呂にしようよ。いい時間だし。」
ちなみにシュウが泊まることは聞いてある。もちろん俺のベッドで寝るはずだ。てか寝かす。
「そうだなー。」
そんなわけで一旦休憩。
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- 13/5/24(金) 16:59 -
夜。俺とシュウはダブルベッドで寝ていた。
いい感じに酔って、もうあとは寝るだけだった。
風呂のあとはちょっと話をした。シュウが送別会を見たことをシンに伝えると
シンはじゃっかん照れていた。
俺もかっこよかったぞーなんて言うと、シンはウヘヘと笑ったりして、ほんとサークルの後輩にほしい感じ。
シュウは今にもシンの頭をなでたりハグしたりしそうな勢いだったので、俺はそこでお開きにした。
まぁ健全な飲みだな。
「なぁ。」
シュウに突然話し掛けられる。まだ起きてたのか。
「ん、何?」
「シンタロウ君ってさ、カズのこと好きなんじゃないの?」
俺はちょっと動揺した。
「え、なんで?」
「なんでって、なんか見た感じ。俺じゃなくてお前のこと頼ってる感じだし。」
そうだったっけ。
「それは、俺が一緒に住んでるからだろう。」
ふーんと言って背中を向けるシュウ。
今までの俺だったら、なんか拗ねてるっぽいシュウが可愛くて後ろから抱いてたかもしれない。
だけど、そうしなかった。気分になれなかった。
「お前はさ、」とまたシュウ。
「ほんとにシンタロウ君に対してなんも思ってないの?」
ちょっと、てか、かなり間を置いてから
「なんもねぇよ・・・」
とだけ返事をする。その間とその後の沈黙で、俺は初めて自分の気持ちに気づき始めていた。
なんもないとか嘘だ。今間があったのも、シュウを抱けないのも、全部ーーーーー
「なんか、俺シンタロウ君のこと好きだけどさ。」とシュウ。
「今日お前らのやり取り見てたら、なんか俺じゃないなって思った。
まだそこまで本気になってない段階で、今日遊びに来れて良かったわ。」
俺はシュウの言ってる意味をすぐには理解できなかったが、なんとなくシュウはシンタロウを諦めたんだろうなってことはわかった。
ただそれがわかった所で、励ますのも変だし、肯定するのもさっきと矛盾してる気がする。
「もう今日は寝るぞ。酔っててよくわからん。」
結局それだけ言って俺も背中を向けた。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
次の日俺とシュウだけで朝飯を食った。
シュウは家を出る時、笑いながら「またメールする。」と言った。
どっちかというとニヤニヤした感じ。むかつく。
その1時間後にシンが起きてきた。
シュウが帰ったことを伝える。
シンもちょっと残念そうにしてたが、まぁまた会えると思ったのだろう。いつも通りの日曜に戻っていった。
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- 13/5/24(金) 17:00 -
2月下旬の土曜夕方。俺は夕飯の買い出しに行く準備をする。
結局シュウが泊まりに来た次の週から仕事が徐々に忙しくなり始め、あまりシンともシュウとも関わっていなかった。
それでも、家にいる時は俺は無意識の内にリビングで活動するようになっていた。
おかげでリビングの暖房を使うので先月ちょっと電気代が高くなっている。
ソファに座ってテレビを見たりしてると、風呂上りのシンが腰にバスタオルを巻いたままで隣に座る。
すげー癒される。トシとは違う感じだ。
なんだろう俺の好み変わったのかな。ムラムラしかけている自分がいる。
濡れた体のまま、全裸のシンを抱き寄せたかった。が、自制する。
シンは全然そんな俺の様子に気づかずに熱を冷ましているので、
「風邪ひくぞ。」
なんて言いながら俺は席を立つ。これ以上はちょっと離れた方が良い。
シンの方も俺に懐いてるっぽかった。俺と同じように、一緒の時間を過ごそうとしている気がする。
これは俺の勝手な解釈かもしれないけど。
そんな事を考えながら家を出る。お隣さんと出くわす。
隣は確か学生くらいの男二人が住んでる。ここもルームシェアかな。
片方は身長が大きいのだが、いわゆる草食系な感じであまりタイプじゃない。でもまぁ良さそうな人だ。
もう一人の方はシンと同じ背格好の童顔の子である。
今日会ったのは童顔の方。整ってる顔つきだけど、やっぱり俺はこういうタイプには欲情しなかった。
頭を下げると向こうも下げる。お互い騒音出さないし、これからもこんな近所付き合いだろう。
向こうにも向こうの共同生活があるんだろうな。
俺はスーパーで買い物を済ませる。ちょっと多めに買ってしまった。
駅前のバスロータリーにバスが何台か来て、乗客が降りていく。
その中にシンの姿があった。
「シン!」
俺が話し掛けるとシンが顔をこっちに向ける。
「あ。。」
なんとなく元気がない。
「もう家帰んの?」
「うん、帰るよ。」
俺らはそのまま一緒に帰る。駅から近かいからすぐ着くが、その間も沈黙だった。お腹空いてんのかな。
「飯どうすんの?」
「あー。。なんも考えてなかった。」
「じゃあ俺今日作るよ。」
「え、いいの?」
「うん、買いすぎたし。親子丼とかで良い?」
「うん、ありがとう。」
そう言って家に着くとシンタロウは部屋にすいーっと戻ってパタンと扉を閉じた。
話、聞いた方がいいのだろうか。
飯を作ってる間に風呂に入ってもらったりして、まぁ夕食の時間。
親子丼を食いながらシンに聞いてみる。
「元気なくない?就活?」
「や、就活はそんな。普通だよ。落とされたりもするけど。」
元気がないことは確かなようだ。
「そっか。まぁほかにもあるならいつでも俺聞くよ。」
というとシンは黙って頷く。
それからしばらくテレビを見ていると再びシンが
「あのさ、」と言う。
「うん?」と俺が促す。
「迷惑にならないといいんだけど」
俺は頷く。テレビの音量を少し下げる。
「俺の友達がね、ちょっと病気してて。そこの病院に入院してて。」
近所に総合病院があった。シンが降りてきたバスは確かにそこを経由している。
「で、容態が、その、最近あんまり良くないらしいんだ。」
俺は色々思い出してみる。土日出かけていること、年末こっちに残ったこと、ルームシェアの希望理由の「家庭の事情」。
「あー、そうなんだ。それで。。」
「うん。そう。」
俺はなんて言おうかと迷っているとシンが
「就活の悩みとかは先輩とか学校の人に言えるんだけど、この話はちょっと誰にも言えなくて、で、今日話したんだけど。迷惑じゃなかった?」
「全然迷惑じゃねーよ。むしろシンが落ち込んでる時に理由がわからない方が辛い。話してくれて良かった。」
ちょっと言い方きつかったかなと顔を見ると、シンは笑って
「そっか。なんか今までそう思ったことあった?」と聞く。
「うーんまぁ何度かあったけど、多分違う理由で落ち込んでた時もあっただろうしな。
これからもなんかあったら話してよ。無理にじゃなくていいけど。」
「うん、わかった。ありがとう。」
そう言って
「カズさんもなんかあったら俺に話していいからね。」
と言って笑った。
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- 13/5/24(金) 17:01 -
その日以来、シンは病院にお見舞いに行く時は「病院に行く」と言う様になった。
ちょっと気は楽になったのかな。俺もそれを見て、就活で疲れてんのに大変だなぁと思ったりした。
就活やらお見舞いやらで忙しそうな所で俺がシンに手を出したら、シンがブッ倒れそうな気がするので、俺は我慢する。
ほんとはちょっと関係を進めたいし、進められそうな場面もあったりする。
シンが俺の部屋のダブルベッドが前から気になってるっていうんで、寝転がせてみたりとか、
ネクタイ貸す時に、お互いの結び方を教え合ったりとか、ぶっちゃけ襲おうと思えばいつでも襲えた。
が、俺は我慢した。そんな時はシュウに愚痴をぶつける。
シュウも最初の方こそ
「お前いつの間に好きになってたの。」
なんて言ってたりしたけど、最近は慣れたらしい。我慢した方が良いとアドバイスしたりもしてくる。
こんないちゃつき寸前の生活してるのも、ひとえにシンが「俺がシンをタイプではない」
ということをいまだに信じ続けているからであるが、とっくにそれは崩壊している。
シュウの話では、半々の確率でシンを俺が襲っても抵抗しないとのことだが、まぁせめて就活が終わるまで待とう。
そんなもやもやな生活が続く中、ある日二人で晩飯を食ってるとシンが
「俺もうすぐ内定出るかもしれない。まだわかんないけど。」
4月中旬の話だった。
「あ、そうなの?良かったじゃん!あと少し頑張れよ〜。」
「うんありがとう。だから、カズさんもそろそろ次の相手探し始めた方が良いかも。」
そう言われて俺は固まる。そうだ。そんな話だった。
俺が持った茶碗を見つめたまま箸の動きを止めてるのを見て、シンは
「どしたの?俺なんか変なこと言った?汗」
と不安そうな表情。俺は一呼吸置いて
「いや、なんでもないよ。ちょっとその条件俺が忘れてたw」
「そっかw なんか俺も馴染んじゃったもんなw」
「就職は東京でするのか?」
「うん、その予定ー。転勤も無い職場選んでる。」
なんて話をしながら、俺は考えていた。
シンが就活が終わってもルームシェアは続くもんだといつの間にか思っていた。
確かに最初の話では、シンの進路が決まり次第、シンは出て行く。なぜなら俺はいつか恋人とここで住みたいからだ。
だから今のシンの話におかしな所は一つもない。おかしいのは俺のシンに対する気持ちと、シンの認識のズレである。
俺は今シンが好きだ。
契約延長の打診をここでするということは、俺がシンに気持ちを伝えることと一緒であり、でもそれはシンの就活終了まで待つという今の方針に反する。
今、結構瀬戸際に立っているかもしれない。
早くしないと、シンは就活を進めつつ、引越しの準備もしてしまうかもしれない。
ちょっと軽くで良いからシンの気持ちを確かめておく必要がありそうだった。
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- 13/5/24(金) 17:03 -
俺らはそのまま飯を食べ、片付けをする。今日はシンが洗ってくれている。
直接聞く前にちょっと探りを入れてみよう。
シンの真上に戸棚がある。そこに色々収納している。
俺は探し物をするフリをしてシンの後ろから戸棚を開ける。
「うわっ、びっくりした。探し物?」
「あぁ、ちょっとな。」
結構密着してて、じゃっかん不自然だった。
「言ってくれれば俺探すのに。」
と言いながら俯いて食器を洗ってる。んー表情が見えない。
てか俺がたってきた。
「なかったわ。いきなりごめんな。」俺は席に戻る。
「んーん。大丈夫。」
シンが振り返る。若干緊張してるように見えなくもない。いつも通りにも見える。
思い切って言うことにする。
「あんさ、さっきの話だけど。」
「ん?」
「別に就活終わってもしばらくはこの家いていいんだぞ。」
シンは俺を見たまま黙っていた。もうちょっと言葉が欲しいのだろう。
「いや、その、シンが住まいのことばっか気にして就活に専念できなかったら嫌じゃん。」
「そっか。いいの?」
「うん。むしろそうしてくれ。」
「わかった、じゃあとりあえず、いきなり引越しとかは考えないようにする。」
内定もらえてから引越し考えるよ。」
「うん、それで良いよ。最初に変な条件つけてごめんな。」
「カズさんが謝ることじゃないよ。」
そう言ってシンは部屋に戻っていった。
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- 13/5/24(金) 17:04 -
その日からシンが内定貰えるまでそうかからなかった。
メールで
"内定出た!"
と来て俺は嬉しくなった。シンが頑張ってたことを知ってたから純粋に嬉しかったし、
これからゆっくり話ができることが嬉しかった。
"おめでとう!良かったな!!今度内定祝いだなー!"
俺はそう返信して仕事に戻る。今日は家いんのかな。
仕事を終えて家に帰るとシンは帰ってるようだった。
俺は着替えて夕飯の支度をしてると、部屋からシンが出てきた。
「おー!おめでとー!良かったな!」
「うん、ありがとう^^」
俺は思わず頭をくしゃくしゃした。それぐらいのことはもう我慢できない位にはなっていた。
できれば引き寄せてくしゃくしゃしたいが。ちょっと距離をとってのくしゃくしゃ。
シンはそれにちょっとびっくりしていたが、
「今日これから友達んち行ってくるね。多分泊まりだから。」
「ほーい。気をつけろよー。」
「駅近いしw カズさん父親みたいw」
そう言ってシンは出て行く。学生は良いな。
その週は俺も仕事で連日夜遅くなった。
今は金曜の夜に職場で飲み会。経理部との合同飲みだったので、普段話さない人と話す。
飲み会の中盤でメールが来た。シンからだった。
"カズさん今日帰ってくる?"
こういうメールは初めてだったから俺はちょっと嬉しくなる。
"帰るよ。11時くらい"
程なくして
"わかった。"と親指立ててる絵文字。
なんだろう。話、あんのかな。引越しの話かな。少し不安になってくる
俺は残りの飲み会中ずっとそわそわしていたが、まぁやまない雨はなく、飲み会も無事終わる。
じゃっかん急いだ足取りで俺は帰宅した。
玄関を開けるとリビングでシンがパソコンをいじってる。
就活終わったのに、ってか確か買い換えたんだよなパソコン。
「ただいま。どうした?」
「おかえりー。」
と浮かない顔。どうやら引越しの話では無さそうだった。
明らかに沈んでいる。
「・・・・。」
シンはぎゅっと口を結んでる。
俺はシンの隣に座る。
「飯食ったの?」
シンは頷く。頷いてから
「お風呂入ってきなよ。話したいことあるから待ってる。」と言う。
俺は話を聞きたかった。
「いや、良いよ。風呂は後で良いからさ。」
俺がそう言うと、シンは少し間を置いて
「入院してる友達がさ、明後日手術することになったんだって。」
そう言ってギュッと手を握る。また少し黙る。
外で救急車が通り過ぎる音がする。
「で、成功確率が100%じゃない手術なくて、失敗したら脚切断するし、最悪、し、死んじゃうかもしれないんだって。」
声が震えている。
そんなシンを見て俺は心臓がバクバクしていた。どうしたらいいんだろう。やっぱり俺器小さい。
「俺、縁起でもないから言わない様にしてたありがとうとか、ごめんとか、向こうが、全然忘れてるようなことかもしれない思い出に
一つ一つ言いたいことあるのに、もし、それ言えなかったら、俺・・・」
そこまで言って涙を流す。友達の前ではいつも通りに振舞ってた反動なのだろう。
俺は思わずシンを抱き寄せた。性的なハグじゃなくて、安心させたかった。安心するかどうかはわかんないけど。
「うん。」俺はハグしてから相槌を打った。
「俺言えなかったら後悔、すると思うけど、でも、やっぱ怖いから、い、言えないよ・・・。
そんなん、最後の時に言う、ことじゃん。」
泣きながらそう言った。
「俺明日も病院行くけど、顔合わすけど、何したら良いのかもう、わかんねぇよ。」
そう言って黙ってしまった。シンは俺には抱きついてこない。
俺はYシャツのままシンを更にぐっと引き寄せる。飲み屋のタバコの匂いとか少し汗の匂いで臭かったと思う。
「大丈夫だよ。シンは、シンはずっとお見舞い行ってたじゃん。
ありがとうとかごめんとか言わなくても、シンの行為で伝わってるものって絶対あるから。」
「うん。」
「俺詳しくはわかんないけど、シンがいたからその友達も闘病できたと思うし、
シンは言葉よりももっと大事なものを伝え続けていれたと思うぞ。」
「うん、うんっ。」
多分、誰にも何も相談できずに一人で頑張ってお見舞いに行って、それで手術なんてなって、
自分の行為がどこかで報われたかったんだと思う。
俺の言うこと一つ一つに頷いて、その度に涙を流していた。相変わらず手は膝の上だった。
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- 13/5/24(金) 17:07 -
そのままの体制でしばらく止まっていた。
シンが泣き止むまでこうしていたかった。
ようやく泣き止んで、くてっとシンの体の力が抜けた。俺は少し体を離す。抱きしめるにしては長すぎる時間だった。
シンを抱いていた所が若干汗ばんでいる。トシの時でもこんなことはなかった。
「ありがとう。ちょっと落ち着いた。疲れてるとこごめん。」
「良いよ。シンの方が疲れてるだろ。もう今日は休めよ。」
「うん、そうする。」
そう言ってシンは麦茶を注いで飲んでから部屋に戻っていった。
俺はソファに浅く腰掛ける。さっきまでシンを抱いていた部分の匂いをかぐ。
髪の匂いがうつってる。
頑張ってるシンの匂いだ。あぁいうひたむきな頑張りって俺したのいつだろう。
シンは健気でたまに堂々としてて、どこか懐かった。俺が惹かれたのはその懐かしさかもしれない。
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- 13/5/24(金) 17:09 -
手術の日、シンは朝からずっと病院にいた。
家にいてもやることなかっただろう。俺も病院に行こうか、と言ったが大丈夫と断られた。
俺が逆の立場でも多分断っていたと思う。
俺は日中は買い物に行き、夕方家に戻った。
家にある地図を開いて総合病院を探す。ここでシンの友達とシンは頑張ってたんだな。
日が暮れてきたので部屋の明かりをつけると、シンが帰ってきた。
「ただいま。」
「おかえり。どうだった?」
「うん、とりあえず、手術は成功した。脚も切らなくて良いって。」
「そっか。良かったな。」
「うん。」
だけど浮かない顔。多分今までも良くなる良くなるって言われて、でも手術になったから手放しで喜べないのだろう。
俺は晩飯を作り、それを二人で食べた。
食べている内にシンもちょっと明るくなってきた。朝から何も食ってなかったのかな。
「引越しの話だけどな。」
「あ、うん。」
「シンさえ良ければなんだけど、友達が退院するまで、居て良いからな。」
「え、あ、そんな。それはなんか悪いよ。」
「いや、良いって。」
「でも・・・、そしたらカズさん恋人探せないじゃん。」
素でそう言われて俺もちょっと悲しくなる。俺のことちょっとでもそういう目で見てくれないのか。
まぁ今までは就活。今はお見舞いだもんな。
「それは良いよ。」
俺は、なんなら という言葉を飲み込んで黙る。
それを怒ったととらえたのかシンは
「ごめん、せっかく親切心で言ってくれたのに。」
と少ししゅんとなっていた。可愛い。なんで今までこんなのと生活して何もしないで済んだのだろう。
俺は冷静に食事しながらやり場のないもやもやを抑えていた。
少ししてからシンは
「じゃあお言葉に甘えてそうする。就活も終わったし、俺がご飯作ったりする。」
「お、ほんとに?じゃあ楽しみにしてるわ。でも無理すんなよ。」
そんな感じで契約は延期となった。
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- 13/5/24(金) 17:10 -
それからしばらくはシンの友達の容態は良くなったり悪くなったり不安定な時期が続く。
今となっては、あの時シンが頑張って良かったと思えるが、俺もかなり心配になった。
身近な人が闘病生活をしているシンの様子を見て、俺もGWには帰省したりした。
妹にゲームを見せてもらった。お年玉でマリオカートを買ったらしい。
近所に家族で出かけたりもした。妹とは何話して良いかわかんなかったけど、
あの年代の女の子ってほんと喋り好きだし、話すのがうまい。
俺はただ相槌をしてるだけで良い時もあった。
両親とも久しぶりにゆっくり話したし、前は1年に1回も帰らない年があったりする息子が、
日をあけずに帰ってきたことを喜んでるように見えた。
シンにあんな偉そうな励ましをした俺だが、俺が周りの大事な人に伝えられてなかったんだな。
いつか俺も、あの時あぁ言えば良かったとか、あの時伝えられなかったとか、そう後悔する日が来るのだろう。
その悔やみは多分どれだけ言葉で伝え続けても、してしまうと思う。
具体的な行動とか姿勢で示していかないといけないんだな。
俺がそうしたくなったのって、やっぱりシンのおかげだと思った。どこか感じる懐かしさはこの辺りから来ているのだろうか。
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- 13/5/24(金) 17:12 -
俺がトシに振られてから1年が経とうとしていた。
その時は、1年後も相変わらず身長のでかい雄っぽい恋人とここで暮らせていることを願っていたが
願いに反して俺は独身。更に当時の俺では見向きもしなかった男と暮らして俺はそいつに片想いをしている。
ほんと、1年後のことって予想つかない。
最近ではシンの友達も、快方とまでは行かないが悪化はしないらしい。安定した日が続いてシンもひとまず安心している。
穏やかな日が続いていた。
いや、穏やかでない部分が一つだけあった。俺のシンに対する気持ちだ。
相変わらず、生殺しの様な共同生活は続いている。
俺はもう少し態度で示した方が良いのだろうか。最近シンが俺をちょっとゲイとして意識しているのではないか?
と思える場面があった。
と言っても、俺の風呂上りの姿を見て、チンポジを直したというなんとも押しの弱いエピソードなのだが。
俺はそのシンが可愛くて
「何ちんこいじってんの?」
とちょっと意地悪な感じに聞いてみると
「なんでもないよ。」
と言って怒った感じで部屋に戻ってしまった。可愛い。
それ以外にも、以前なら感じなかった違和感とかが少しずつ出てきた。
俺は反応を見て、反応次第では思いを伝えようと思うようになった。
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- 13/5/24(金) 17:14 -
木曜の夜。仕事から帰るとシンが飯を作ってくれていた。
就活が終わって、夜は家にいることが多くなった。てか今試験前か。ほとんど単位残ってないだろうけど。
「おかえり。」
「ただいま。飯さんきゅ。助かる。」
「うん。良いよ。俺も練習になるし。」
そう言って食卓に料理を並べる。
俺は着替えてリビングに戻る。
「いただきまーす。」
料理を始めたばかりだからか、1品ものが多かったが、結構うまかった。何事も要領良いのかな。
テレビを見ながら、シンの試験の話とか友達の話を聞いたりする。
就活終わってからゲイの友達遊ぶ機会も増えたようだ。俺もそうだったな。
話の流れでシンが
「俺もカズさんみたいにダブルベッドで寝る様な生活したいなー。」
と言い出す。俺はなんかチャンスの様な気がして、その話を拾う。
「ダブルベッド良いよ。シングルに戻れなくなるって欠点はあるけどな。」
「あはは。贅沢な欠点w 俺の布団で寝てみるか。」
寝たい。シンとだったら布団で寝たい。
そう思ったのを心の脇に置いて
「そいや、前もシンダブルベッドで寝てみたいって言ってさ。」
「うん。」
「あの時は寝転がっただけじゃん。今日は実際寝てみる?」
俺はちょっとドキドキしながら聞いた。
「寝てみるって・・・カズさんどこで寝んの?」
「ダブルベッドだし隣で寝るよ。」
「・・・・やめとく。」
あっさり断られ俺はがっくりする。そうか。
自意識過剰だったことを思い知らされる。
更にシンは
「起きたらまたカズさん抱きついてるかもしれないし。」
と小声で言う。
「抱きつかないってw ホラー見てないから。でもまぁ今度俺が外泊する時は寝てみて良いよ。快眠だぞ。」
そういうとシンは返事をしなかった。
その後少しシンは怒っている雰囲気で会話が続かなかった。
せっかく飯、作ってくれたのにこんな雰囲気になって俺は少し悲しかった。
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- 13/5/24(金) 17:15 -
飯が終わってそれぞれの部屋に戻る。俺はなんとなくショックから立ち直れそうになかったから早めに寝ることにする。
シンが不機嫌になったのもちょっと凹んだ。
思ったより向こうは意識してなかったんだな。気持ち言わないで良かった。
明日の予定を確認し着替える。明日は金曜だからシュウでも捕まえて飲みに行くかな。
そんなことを考えて布団に入って15分後。うつらうつらしているとノックが聞こえた。
俺は夢かと思ったが一応返事をする。入るよ とシンの声。
扉が空いて締まる。暗闇の中にシンのシルエットが見える。
俺はちょっとびっくりして目が覚める。
「遅くにごめん。」とシン。床で正座してる。
「どうした?」
「いや、ちょっとさ。」
ここで言葉区切ってから
「最近カズさん変。なんか俺のこと試してない?」
と勢いよく言い切る。少し怒っているようにも見える。
俺はいきなりそう言われて相手の真意が読めないのと、暗いのとで少し黙る。
確かに試してはいる。さっきの誘いもシンの反応次第では、シンに思いを伝えようと思っていた。
ルームシェアの相手だから慎重になってしまうのは仕方がないのだ。
で、それにシンは気づいていた。気づいてさっきみたいな反応だったってことは。
「あぁ、うん。まぁ。」
俺は思い切って肯定する。
「なんでそんなことすんの?カズさん俺のことタイプじゃないならそんなことする必要ないじゃん。」
俺はもう我慢できなかった。
「いや、好きだよ。俺シンの事が好きだ。」
言葉短めに言った。
シンは身じろぎをしたが、何も言い返さない。
「最初はタイプじゃなかったよ。てか今もシンみたいな子を他に見てもタイプとは思わない。
でもシンだったら、抱きしめたいと思うし、エッチもしたいと思う。
もっと言えば、ずっとここで暮らしていく恋人がシンだったら良いなって思ってる。」
そういうとシンは
「だ、そんな・・・」
「信じてくれないかもしれないけど、前、朝に抱きしめた時はそんなこと思ってなかった。
でも最近のシンの反応を試すような素振りは全部その為だ。
脈無いのに告白しても生活に支障きたすだけだからな。」
そういって俺は深呼吸をした。暗闇だけど、俺はシンを見て言ったし、シンもこっちを見てるのがわかる。
そのままお互い黙っていた。
次に口を開いたのはシンだった。
「俺も、俺もカズさんが好きだ。最初は違ったけど。俺もこれからカズさんとこれからも一緒に暮らしたい。」
シンプルな言葉だった。
俺はまさかこんなことを言われるとは思ってなかったが、話の途中で少し期待していた部分もあった。
だからすげー喜びたかった。だけど、暗闇がなんだかそういう雰囲気にさせてくれなかった。
人間が過剰に喜んだりするのは照れ隠しもあるのかもしれない。今は暗闇が、照れを紛らわしてくれている。
俺はそのまま黙ってベッドから降りてシンを抱きかかえ、ベッドに運ぶ。
シンの全身が熱くなっているのがわかる。ようやくここまできた。
俺は後ろからシンの耳にキスをする。
「して良いか?」そう聞くとシンは黙って頷いた。俺は久しぶりにこんなにドキドキしている。
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- 13/5/25(土) 0:24 -
シンをしばらくずっと後ろからハグしたり服の上から撫でていたりした。
いつからだったのだろう。俺が夢中過ぎて気づかなかっただけで、実はわかりやすかったのだろうか。
実際シュウは気づいていたし、俺が鈍感だったのだろうか。
シンは体を固くさせたまま俺の腕を掴んでいる。
俺が耳をかじってやるとびくっとする。あんま慣れていないのだろうか。もう苦しそうな呼吸だった。
服の中に手を入れて胸をまさぐる。突起した部分を触るとシンの腕を掴む力が強くなる。
完全にたった俺のちんこを背中に押し付けたりしてしばらくそんな状態が続いたが、
思いっきりシンの服を脱がす。自分だけ裸なのが嫌なのか、抵抗するが俺が軽くキスをするとふにゃっと力が抜けてしまった。
脇腹に舌を這わす。性的快感というよりもくすぐったさにシンは体をヒクっとさせる。
ほどよく筋肉が乗った胸筋を舐める。すでに勃起している乳首を舐めると体全体を痙攣させてる。
「カズさん・・・俺、恥ずかしいから脱いでよ。」
俺は自分も脱ぐと、勢いよくシンに抱きつく。すげぇ。すっぽりおさまる。
そのまま俺はシンの頭を抱き寄せキスをする。さっきより激しめにする。
シンも俺に抱きついてくる。愛おしかった。
俺はシンの頭を下に持っていきしゃぶらせる。少しずつS心に火が付いてきた俺はガンガンにつく。
シンが咳き込むのを見て体制を69にする。
俺とシンは身長差があるから俺が腰を曲げる。シンは下手でも上手くもなかったけど、俺はシンの口にしゃぶられていると思うと、興奮していきそうになる。
シンも息があがってる。シンは声を出して喘がないようだ。いつかケツ入れてみたいな。
「そろそろ、おれ、いきそっ・・・!」俺がそういうとシンも苦しそうに
「お、れもっ・・・!」
それを聞いて俺はシンを下にして兜合わせする。
お互いのチンコをしごいてほぼ同時にいった。
さすがにシンはいく時には声を出してて、それがまた可愛い。
俺らはしばらくそのまま放心していた。明日仕事じゃなかったら、今すぐにでももう3回位出来きそうだった。
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- 13/5/25(土) 0:26 -
次の日朝起きると俺はシンタロウを抱きしめていた。お互い裸だった。
俺は嬉しくなり、ぎゅーーーーーっともっと抱きしめる。
それにシンは目覚めて、おはよと笑いかける。その笑顔を見て俺は勃起しかける。
昨晩、あのあとは一緒にシャワーを浴びて、浴室でもう一回やった。
向こうはまさかここでやるとは思ってなかったみたいだが、まぁ若干俺が強引にやっちゃった感じだ。
最初っからこんな飛ばして嫌われないかな。俺は自分で言うのもなんだが、一途だが性欲はかなり強い方なのだ。
朝よっぽど仕事を休もうかと思ったが、
「行きなよw 俺ももう起きるよ。」
とシンに言われ俺は出社した。
結局俺の部屋で住む新恋人はシンになったが、今までの経験からしても、付き合うのにここまでかかった相手はいなかった。
期間もそうだし、会ってる回数からしてむしろこの期間の間に別れた相手だっていた。
そんな今までの恋人は全て、体が大きくて、器が大きくて、見た目が雄っぽかった。
シンはどうだろう。体は大きくないし、器は小さくもないけど大きくもない。見た目は童顔で少年っぽい。
だけど全然気にならなかった。俺が惹かれているのはもっと別の部分だ。
シンのおかげで気づけた部分がある。俺もシンを幸せにしてやりたいと思う。
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ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。
読みにくい文章ですみません。
何か感想を書いていただけると嬉しいです。全然どきどきしなかったとか、批判でも構いません。
また返信してくれた方、ありがとうございました。
最後まで書ききることができました。
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お疲れ様でした!
最後まで読みきれて良かったです♪(*^^)o
最後まで書き続けるのって本当に大変だったとおもいます。
その後の話も読みたいので、良かったら書いてくださいね(^ω^)
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