高校の3年間、ずっと、フィーのことを見ていた。
見ていただけの愚か者でもあった自分。
「フィー」とは、自分だけが呼ぶことを許された、彼の呼び名。苗字の漢字を英語にして、そこから出てきた単語の発音をとって「フィー」。彼はそれを許してくれた。
クラス委員で、バスケ部で、真面目で優しくて、ちょっと抜けてるフィー。
胸の中に、ずっと言葉はあった。
「ずっと側に居たい」
ただ、時間を無駄に過ごすように、彼を眺めるだけだった。
「片思いならしてるよ」と、フィーとする恋愛話。
知られぬように必死に隠していた「好き」という真実。
別れが来るまでに、伝えれなかった、伝えようとしなかった言葉。
夢を見ているように過ごしていた時間。
忘れたくは無い時間。
自分の中に残る記憶と、最後に撮った一枚のツーショット。
笑顔で並んでいる二人が、その3年間の全ての結果だったと、そう思ってしまう。
過去に戻れるなら、自分はあの関係をやり直したいと、言葉を伝えたい、声に出していたいと思うのだろうか。
否。
時間が流れても、あの時間は、あの関係は、あの写真は、ずっと二人を繋げていてくれると。
そう信じているから。
高校3年間の思い。フィーへの想い。未来に繋がっていて欲しいと思う。