夏の匂いの風と強い日差しが夏を感じさせる7月の前半の平日。
学校に行きサークルを終え、家に帰った。
オートロックを解除し、部屋に入るとかなり蒸し暑い。
とりあえ冷房をつけてシャワーを浴びて汗を流して楽な格好に着替えて、リビングに戻るとテーブルの上に置いたケータイのメール着信をつげる緑のランプが点滅していた。
ソファーに腰掛けてケータイをチェックすると教授からだった。
件名:○○クラス前期お疲れ飲み会の案内
本文:クラスのタカシくんから○○クラスのメンバーで飲み会をしようと提案がありました、私も参加するので是非みなさんも参加してくださいね(^o^)v
日にちは○○、場所は○○駅(大学の最寄駅)前の居酒屋です。
俺(「前期お疲れ飲み会」って、結局そのネーミングなのかよ、ってか教授ノリノリだな(笑))
なんだか教授に好感を持ってしまうじゃないか。
早速「参加します」と返事を送った。
それから、アッという間に、気がつけば飲み会の当日になった。
飲み会の時間は8時からで、8時ちょっと前にワクワクしながら、俺は戸締りをして指定された居酒屋に向かった。
その居酒屋は大学の最寄り駅のすぐ近くにある大手居酒屋チェーン店。家から近いので5分ほどで時間ぴったり到着。
到着すると授業でお馴染みのメンバーほぼ全員+教授が待っていた。もちろん、俺の大好きで爽やかな友達、優も♪
優がいるだけで俺のテンションは自然と上がる。
優「啓祐、今日は飲もうな!」
ビールを飲む真似をしながら、これまた爽やかに言った。
優がやれば何でも絵になるから不思議。
俺「おーう!!」
マユも隣で「めっちゃ飲もうなー!」とおどけていた。
するとタカシが大きな声で
タカシ「じゃあ全員揃ったし中入ろうか!」
その掛け声を筆頭にゾロゾロと中に入っていく。
店内は華の金曜日だからか、かなり賑やかだった。
店員達は忙しなく料理や酒を運んでいる。
こちらに気付いた一人の店員が尋ねてきた、すかさずタカシが
タカシ「20人で予約してた○○です」
と答えると元気の良い居酒屋のお兄ちゃんが「こちらへどうぞ」と案内してくれた。
案内された席は広めの座敷席でテーブルにはお箸や、おしぼりが綺麗に人数分並べられていた。
入った人からみんな席について行く。俺はもちろん優の横をキープ。
しばらくして席が埋まり、みんなが荷物を置いて注文を聞きにきた店員に飲み物を頼む。みんな近くの席の人と会話しているとドリンクが揃った。
それを合図に生ビールの入ったジョッキを持ちながらタカシが立ち上がり
タカシ「今日は○○クラスのみなさん集まってくれて、ありがとうございます。なんたらかんたら…、それでは教授から一言!!」
優やマユが「いいぞー!」と野次を飛ばす。
すると教授がビールを持ちながら立ち上がり
教授「今日はなんたらかんたら…、レポートは期日までに提出するように!それではかんぱーい!!」
全員がグラスを持ち上げ、「かんぱーい!!」と言ったあと周りの人とグラスを交じわす。
優と乾杯とグラスを交じわすとき、なんとなくキスを連想しまった俺はどうしようもない馬鹿です(笑)
コース料理がどんどんと運ばれてきてテーブルを埋める、みんな若いので食べまくり。周りの人と談笑しながら、どんどんグラスを重ねる。
アルコールの力であまり仲良くなかった人とも、仲良く話せる。
周りもみんな楽しそうにしゃべっていた。
優「みんな超良い奴じゃん、もっと早く仲良くなっとけばよかったな、啓祐」
俺「うん、ほんとに!!あっ店員さん!!生もう一杯!!」
授業の話、サークルの話、将来の話、久しぶりの楽しい飲み会だった。
飲み会開始から1時間ほど経ちみんなのテンションも上がったころ、一気ゲームなども始り最高に盛り上がっていた。もちろん教授も仲良く参加(笑)
ライ、ラララライ、ラララ、ライソレ、ライソレ、イケイケゴーゴー♪
ドドスコスコ、ドドスコスコ、飲んで♪
一気コールが飛び交い、グラスはどんどん空いていく。席は入り乱れ、次々運ばれる酒、料理、オレンジ色の照明、周りの雑踏、隣には優、どんどん酔いが回っていく。最高に楽しかった。
そんなとき、タカシと優が飲み比べを始めた。2人でどんどん飲んでいく。
回りも一気コールを振りまくる。
浮遊する意識の中、飲みまくっている2人を見比べながら、やっぱり優のが1000倍カッコイイと再認識した。
そんなこんなで2時間はあっという間に過ぎて10時の退店時間になった。
タカシはかなり飲んでいるのにやたら元気(笑)
タカシ「じゃあ、みんなそろそろ外でよー!!」
その掛け声にみんな荷物を持ってゾロゾロと店から出始める。
優を見ると酔ってかなりフラフラのようだったので肩を支えるふりして、さりげなくボディータッチ(笑)
お互いは薄いシャツだから、優の筋肉が体に当たりドキッとする。
店のそとで20人で円になり
タカシ「今日はお疲れ様でしたー!!○○クラス最高ー!!」
みんな「いえーい!!」
教授「お疲れさまー!!!」
相変わらずノリノリの教授。
タカシ「じゃあ今日はここで解散で!!お疲れさまでしたー」
その言葉を合図に駅に向かう人、家に帰る人、しばらくしゃべってる人、みんな解散していった。
すると俺の肩にもたれてた優が
優「あー、やべー、飲みすぎてかなりしんどいわ」
ちなみに俺も酔っ払ってちょっとフラフラ
俺「あんだけ飲みまくったんだからしょうがねよ!!」
優「だなー!ってかタカシ、あいつ酒強すぎだろ!!」
優も野球部で普段飲まされているはずだから強いはずなのだが、タカシは生ビール20杯以上飲んでるのに平然としていた。
優「ってか啓祐、たしか一人暮らしだったよな?帰るのしんどいから今日泊めて〜♪」
優が頬を赤くし、トロンとした目で見つめながら言ってきた。
口角は相変わらず上がっている。担いでいるから顔が近い。
普段はハキハキしてるしゃべり方なのに、なんか可愛い。
まじまじと見ると相変わらずカッコイイし可愛いし爽やかだし、全く非の打ち所がない。
優と仲良くなって、何度も何度も悩んだけど、ノンケだから恋したら自分が辛くなるだけって割り切って絶対に好きにならないように意識を保ってたんだ。
だって小説みたいな出来事なんて現実であるわけないと思うじゃん?
最初に見てから同じ授業になって、仲良くなれた、これだけで十分だってやせ我慢しながら自分に言い聞かせてたんだ。
優「啓祐ー行っていいの?」
優の言葉で意識が戻る。焦って答える。
俺「おっ、おぉ、全然いいよ。ここから5分くらい歩くけど」
すると優は急に顔を近づけテンション高めに、甘い声で
優「やったー!啓祐大好き!!」
と言いながら抱きしめられた。
明らかにノンケの冗談ノリだけど
啓祐大好き!
ケイスケ、ダイスキ
何かが壊れた音がした。
俺の中に禁断の恋が落ちてきた。