僕の名前は「なつあき」。
中学〜高校と野球部でまぁまぁの選手だった。
高校卒業後は地元の企業に就職し、その傍ら少年時代に所属していた少年野球の指導をすることになった。
これは、そんな僕とこれから出会う「りょうすけ」との物語。
少年野球のコーチを始めた僕は…少年たちにとってはお兄さん的な存在のようで、みんなからは「なつコーチ」と親しく呼ばれていた。
和気あいあいとやっていたが、それでも試合では勝つことを大事にしていたし、それを目標に指導をしていく上では時には子供たちにキツい言葉も浴びせていたと思う。
全国大会に出ることを目標に頑張っている子供たちになんとか勝たせてあげたくて必死だった。
ある年のことだった…例年になく個々の技術が高く、正に全国に行くチャンスだった。
練習は日に日に厳しくなり子供たちを支えるので精一杯だった。
その年、キャッチャーを任せていた子の名前は「りょうすけ」。
身長は160aくらいで、目がクリっとした子だった。
練習では彼には一番ツラい言葉を浴びせていたと思う。
野球のポジションの中でキャッチャーというポジションはとても重要で、他の指導者の人も彼には言葉がキツかった。
時には頬を張り彼が流血することもあった。
今なら完全に社会問題だが、勝たせてあげることに執着していた。
念願叶ってその年は全国大会に初出場することが出来た。