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みんな知らない5
 啓祐  - 10/1/6(水) 9:13 -
それから数週間、他の授業はダルくてさぼっても、水曜日の優と一緒の授業だけは必ず出るようにしていた。週を追うごとに優とも親しくなっていく。
授業なんて一切聞く気なし。この授業で優と話すことに、俺の存在意義がある気がしていた。
他のメンバーとも馴染み始め、授業が終わったあと、次の授業が終わるまでの間の教室の前での談笑もお決まりになっていた。


季節は巡り新緑の緑が目に優しい初夏になっていた。
前期の授業が終わるまであと少しだ。

ちなみにこの授業は1年通してなので、後期になっても安心(笑)

そんな少し蒸し暑い初夏の水曜日。
授業が終わった後は教室の前でみんなで話していた。

高い気温と、湿度にジンワリと嫌な汗をかくが、優が目の前にいるので全くもって嫌な気分にはならない、むしろ快適だ。

授業のメンバーは全員で20人ほどだが、仲の良いメンバーは6人ほどだ。
その中のタカシが突然言った。

タカシ「ってかさ、もうすぐ前期も終わるし、試験前にこのクラスのメンバーで前期お疲れ飲み会してみたくない?」

タカシはいわゆる面白キャラで、授業中の発表もウケを狙いに走り、いつも失笑を買っている。色黒で見た目は少々残念な感じだ。

マユがすかさず言う。

マユ「え!?超いいやん!!絶対楽しやん!!やろうや!!」

マユはちょっと天然な関西弁の女の子。夜のバイトをしてるせいか見た目は派手。ちなみに結構可愛い。

優「いいな!!ってか『前期お疲れ飲み会』って、ネーミングセンスなさすぎ(笑)ってかメンバー全員ってどうやって誘うんだよ。」

いつも話してる6人は仲が良いが、違う人たちとはまだ話したことすらないから優が言うのも当然だ。

俺「うんうん、全員って(笑)この6人だけで良くない?」

と俺が言うとタカシは身を前に乗り出し鼻の穴を広げて力説し始めた。

タカシ「啓祐あのな、前期の間苦労を共にしたメンバーで全員でやるから意味があるんだよ。というわけで全員でやるの!もちろん教授も誘うぞ!!」

タカシの力説に、優やマユ、違うメンバーはふんふん、なるほどな、と関心している。

俺「まぁ、多い方が楽しいもんな(笑)」

そうするとタカシは、よし行くぞとさっき出てきた教室に向かっていった。
きっと行動派のタカシのことだから今から教授に言いに行くんだろうと、みんな悟ったのかゾロゾロと後ろについて行く。もちろん俺も。

教授は次もこの教室で授業があるから、授業が終わっても休憩にいかずにずっと教室でレジュメを揃えたりしているのだ。

冷房の良く効いた教室に入る、トントンと教室の前の方でレジュメを整理している教授は6人がゾロゾロと自分の方に向かってきたので何事かと少し目を丸くしていた。

タカシが教授の席の前につくと、おもむろに言った。

タカシ「教授、今度このクラスのメンバー全員で飲み会を提案したいと思っているのですが、是非教授も参加していただけませんか?」

タカシが意外と礼儀正しい言葉遣いをしていることに、普段とギャップを感じる。

教授は30代後半くらいだろうか、少し色黒な短髪でホッソリしていて教授にしては爽やかだ。俺はあと10歳若かったらイケるんだけどなぁ、なんてバカな考え事をしていた。

すると退屈そうにレジュメを整理していた教授、嬉しそうに

「おぉ!!いいじゃないか!!やろうやろう!!」

かなりノリノリだった。オマケに教授がクラスのメンバー全員に飲み会のメールを送ってくれることになったのだ。

そういうわけで、このクラスの最後の授業の週の金曜日、メンバーで飲み会をすることが決定したのだ。
冷房の効いた教室から再び外に出た。

湿気を帯びた熱が体を包む。

タカシ「それにしても教授ノリノリだったな(笑)」

マユ「うん、なんか意外だったね(笑)」

他のメンバー達とギャーギャー騒いでいる傍ら優が

優「楽しみだな、啓祐。」

爽やかな笑顔で微笑んでくれた。

俺「うん、飲みまくろうな。」

優の笑顔に日に日に強くなっていく日光が当たり輝いている。

夏はもうすぐだ。

まさかこの飲み会が優との関係を友情から違うものに変えてくれるとはこの時は思ってもみなかった。


引用なし

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みんな知らない1 啓祐 10/1/2(土) 7:39
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