時は平成になって間もなく
場所はとある都会の片隅にある中学校。
この4月に中学生になったばかりの秋月好太。
この中学校は正直ガラが悪い事で有名で上級生達は不良ばかり。
大人しい性格の好太は上級生達に絡まれないかと毎日戦々恐々の日々を過ごしていた。
そんなある日、好太は昼休みに友人達と鬼ごっこをしていた。
必死に逃げ回って使用されていない空き教室に潜り込んだ好太。
しかしこの部屋は3年のスケバン達の喫煙所と化していた所だった。
間もなくケバくてスカートの長いスケバン達が入ってきた。
ヤバイと感じた好太は「す、スイマセンでした」といって出ようとした。
するとスケバンの一人が優しく問い掛けた。
「1年生? カワイイねぇ。お姉ちゃん達とお話ししようよ。」
むしろ恐怖心が増した好太は「い、いやあ友達待ってるし。」
「そんな怖がらなくてもイイじゃん。」
「いや別に。」
「じゃあ今度会ったらゆっくり話しようね。」
「は、はい。」
逃げるように立ち去る好太。
「あ〜怖かった〜」
取りあえず無事に午後を迎えた好太。
授業を終え、たまたまこの日は一人で帰宅することになった。
自宅がある団地の公園を通り過ぎようとした時、「あっ、昼休みの時の子じゃん。」
声を掛けてきたきたのはあの時のスケバンだった。
内心ヤッベーと思う好太。
「あ、あ〜どうも」「家、この辺?」
「え、え〜 あっちのB棟です。」「そうなんだ。うちと近いじゃん。」
「うちおいでよ〜。お話しよって言ったじゃん。」
「え、え〜? ぼ、僕は・・・」「えっ?僕は何?」
ちょっとだけ怖い顔をするスケバン
完全にビビった好太は「何もないです。」
「じゃあおいで〜」
「は、はい。」
渋々スケバン宅に行くハメになった好太。
「そんなに怖がらないでよ〜。こんな格好してるけどちょっと不良に憧れてやってるだけよ〜。」
「そうなんですか?」
少しずつ話をしている内にそんなに悪い人じゃないと思えてきた好太。
「私、中1の時に大阪からこっちに引っ越して来てね、仲良くなったコがみんなヤンキーになっちゃって私も一緒にヤンキーになっちゃった。」
「へえ〜。 あっそうだ、僕、秋月好太って言います。」「私、三井真理子」
「兄弟とかいないんですか〜?」
「うん、中1の時に親が離婚して母親と2人暮らしだよ。それで母方のおじいちゃん、おばあちゃんが近くに住んでるここに引っ越してきたの。」
Aへつづく