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さよならの向こう側には1〜7 長編編集部φ(..) 07/6/22(金) 17:47
さよならの向こう側には8〜12 長編編集部φ(..) 07/6/22(金) 19:36
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さよならの向こう側には【涙の受験編、前編】40〜44 長編編集部φ(..) 07/6/26(火) 0:46
さよならの向こう側には【涙の受験編、前編】44〜48 長編編集部φ(..) 07/6/26(火) 23:20
さよならの向こう側には【涙の受験編、前編】48〜51 長編編集部φ(..) 07/6/27(水) 0:36
さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編】1〜5 長編編集部φ(..) 07/6/27(水) 21:31
さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編】6〜9 長編編集部φ(..) 07/6/27(水) 22:55
さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編】10〜12 長編編集部φ(..) 07/6/28(木) 11:36
さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編】13〜14 長編編集部φ(..) 07/6/28(木) 13:02
さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編】15〜17 長編編集部φ(..) 07/6/28(木) 13:55
さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編】18〜20 長編編集部φ(..) 07/6/28(木) 15:00
さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編】21〜24 長編編集部φ(..) 07/6/28(木) 16:29
さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編】25〜28 長編編集部φ(..) 07/6/28(木) 17:05
さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編】29〜32 長編編集部φ(..) 07/6/28(木) 18:02
さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編】33〜35 長編編集部φ(..) 07/6/28(木) 20:06
さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編】36〜40 長編編集部φ(..) 07/6/29(金) 10:44
さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編】41〜43 長編編集部φ(..) 07/6/29(金) 11:37
さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編】44〜47 長編編集部φ(..) 07/6/29(金) 12:20
さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編】48〜50 長編編集部φ(..) 07/6/29(金) 18:26
さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編】51〜54 長編編集部φ(..) 07/6/29(金) 19:30
さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編】55 長編編集部φ(..) 07/6/29(金) 19:43
Re(1):さよならの向こう側には1〜7 はやと 07/6/23(土) 13:08

さよならの向こう側には1〜7
 長編編集部φ(..)  - 07/6/22(金) 17:47 -
俺は都内の大学に通う21歳4年生。ただし6年生大学なのでまだ就活ではないし、気分的には大学生活を楽しんでいる口かもしれない。
そんな俺もここまで来るまでに、いくつかの出会いや別れを繰り返してきた。寂しかった別れもあれば辛かったのもあった。
何度となく繰り返したさよならの後には、なにが残ったのかなって最近ふと思ったりして…。
なんとなく振り返りたくなったので、ゆっくり思い出してみようかなって思った…


俺が『男も好きかな』って思うようになったのは中学生半ばだったかな。
その頃の俺って、成績は常に良かったみたいだった。部活は特にやってなかったけど、夏だけ存在する陸上部は強制的にやらされてた。まぁほどほどって感じで。
しかも富士山と湖がある田舎町で、同級生ばかりか学校のほとんどの生徒がどんな家庭かってお互いわかっちゃってるくらいの田舎だし、真面目にしていないと親の顔に泥を塗る事になるから、ただただ大人しく真面目にしていたと思う。
だからかな、好きになるタイプは自分にないワルな感じで…苦笑。クラスの不良グループを遠巻きに見てるだけってな生活だった。みんなにも『真面目君』で通っていたと思う。
だから楽しみは体育の時の着替えと修学旅行の風呂くらい。覚えたオナニーもそんな時に見たを想像してやってたくらい…。ホントつまんない中学生活が過ぎて行った。
高校受験になって、その地域では歴史のある隣町の公立校を選んだ。
合格はしたものの一つ難関がある。二つの公立校が一緒に受験して、成績順にどちらかの学校に振り分けられるんだ。同じ学校からはたくさん合格したのに、いざ蓋を開けたら、同じ学校に進んだのが俺を含めて3人だけ。しかも残り二人は女子じゃん!友達できるかなーって先行き不安なまま高校に入学となった(ちなみに、俺には一つ上の兄と、三つ違いの妹がいるけど、三人とも同じ高校に!笑)

高校でクラスが決まったけど、俺にとっては転校生みたいな気分と同じ。クラスの誰も知らないんだからね。
でも俺には救われる事があった。同じ中学の奴がいないって事と隣町って事で、真面目にしてる必要がなくなった!すごく肩の荷が下りた感じがして、自分でも弾けちゃえーって思った。

いろんな学校から集まってきてるクラスだったけど、なんとなく仲の良い奴って徐々にできてくるもんで…。真面目な感じ、ワルぶった感じ、自然に色々なグループになっていった。
俺はと言えば、やっぱりワルな方に気が引かれていく。学ランもちょっとルーズに着たりしてたからかな、いつのまにかワルグループに取り込まれていく形になった。俺はグループの中で、見た目からか、結構みんなに可愛がられるって存在だったみたい。
学校は全部で一学年8クラス。4クラスずつ2棟に分かれていて、これは各学年一緒。他に実験棟とそれ以外の棟の全部で4棟。他に体育館と部室、グラウンドって感じ。自然に囲まれたきれいな学校だ。
一年の最初はクラス5人くらいのグループだったけど、夏休み、秋の学園祭などを過ぎて、段々と別クラスの友達も増えてグループも発展して行った。
そんな中で一人気になる奴がいた。別棟のクラスのアイツ、光(ヒカル)だ。
ヒカルは178cmくらい。173cmの俺よりちょいデカい。茶髪でミディアム。今思えばちょっと小栗旬みたい(誉めすぎかな笑)。別棟のクラスなんで、俺は秋までヒカルに会った事がなかった。

ある日クラスの仲間の仁(ヒトシ、あだ名はジン)と一緒に帰ろうとした時だった。
仁「もう一人別の奴が一緒に帰るよ。初めてだろうから紹介してやるぜ」
俺「どんな奴なん?」
仁「鋭い目つきの見た目通り、ありゃ学年一のワルだな〜」
紹介される前にそんな事を聞かされたから俺はちょっと緊張してた。そして玄関まで行ったところで…。
仁「お〜い、こっち〜!」
ジンに呼ばれ黙って俺達に近づいてくる奴。目の前に来てまっすぐに俺を見て向かいあった。ホント怖い目だ…。それに無表情でいる。
仁「お互い初めてだろ?こっちがヒカル。こっちは俺と同じクラスのシュウ」
ヒカルはなにも言わずじっと俺を見ていたが、いきなり右手を出してきたので一瞬殴られるかと思った。一瞬身構えたが、殴るんではなくて俺の左頬を軽く引っ張ってきただけだった。
光「可愛いじゃんか」
一言だけ無表情で言った。
俺「…グニっ…」
唐突な出来事に俺は意味不明な声を出す。
俺「手を離して!」
ようやくそれだけを絞り出した。
直ぐに手を離してくれたけどまだ無表情で俺を見ている。俺も頬の痛さに気づかず無表情で見返し、しばらく睨み合いが続いた。
仁「まぁまぁ帰ろうよ、なっ」
これがヒカルとの初対面だった。

その日は近くの駅まで3人で向かう。ジンが真ん中で、場を和ませようと話す。
仁「お互いに、前もって俺が話しといた事で間違いなかっただろ?笑」
光「まぁな」
そっけない表情だ。
俺「なんてヒカル君に伝えたの?」
仁「かわいい顔してるって」
ちょっと照れくさくなって俺は顔が熱くなった。そんな俺の顔を、ヒカルがチラッと見た様な気がした。
光「また頬をひっぱりたくなってきたな。俺の事は、なんてジンから聞いてた?」俺を見ずに、前を向きながら質問をしてくる。
俺がジンの顔を見ると、ジンは目配せをしてきた。
俺「怖そうだけど、ホントは優しい奴だって」
ジンの様子から判断して、そう即答した。
一瞬、俺にはヒカルの口元が緩んだように見えた。それを見てなんとなく盛り上げてみたくなる。
俺「でも女の子に対してはすごい遊び人だって言ってた」
笑ってそれを付け加えた。
ヒカルはジンの顔をいきなり睨みつけて、ケツに軽くケリを入れた。
ジンは明るい性格なんで、俺の冗談やヒカルのケリにも笑ってごまかしてるだけだった。
そんな感じで駅につき、ヒカルだけ別の方向だったんで別れる事になった。
その後ジンと二人で帰りながらヒカルの事を聞いてみた。
中学でバスケをやってた事、無表情はいつもの事、喧嘩早いって事、怒ってる風に見えても根は優しい奴だって事、かなり女の子にモテるけど怖いから近寄る人があまりいないって事、最近まで彼女がいたらしいって事…。
家に帰ってからその夜も、俺はベッドの中でヒカルの事を考えてた。
クールな性格、ちょっとキツいけどかっこいい顔立ち、長身で締まってるであろう身体。
『どれをとっても女の子が放っておくわけないだろなーまぁゲイでもバイでもないだろし、友達ってところか…』
そんなことを考えていて、その日はいつのまにか眠ってしまっていた。

その後冬休みから三月へと、寒い冬もあっという間に駆け抜けていった。
ヒカルとはたまに学校ですれ違う時に挨拶するくらいで、なにも進展しないまま春休みを迎え、二年生へと進級していく事となる。
進級前の春休みに、俺は初めてジンの家に遊びに行った。俺だけが隣町だから今まで知らなかったが、最近ジンの家に仲間で集まる事が多くなってるらしい。
メンバーは俺を入れて5人。俺とジンとヒカルに残り2人(この5人は、これから卒業するまでいつも一緒にいる仲間となる)。
この時に初めて聞いたが、俺とヒカル以外は進級とともに同じクラスになったらしい。しかも別棟でだ。
俺は元々進学クラスを選んでたから1人になる事はわかってたけど、俺と同棟の別クラスにヒカルだけが1人となった。
ヒカルは一匹狼みたいな性格だから『1人がいい』なんて言ってるが、本心なのかどうかはわからない。
仁「ワルさをするグループのうちの、特にヒカルだけをわざと俺らから遠ざける先公の策略だな。一番のワルだからな」
俺『ホントこいつら集まると悪い事ばっかするんだからさ』
それについてはまんざらでもないかなって俺も思うが、クラス編成だけは受け入れる以外にどうしようもない。
みんなブーイングだったけど、今まで黙ってたヒカルが騒ぎにまみれて話しかけてきた。
光「俺ら一緒の棟だな。よろしくな」
そう言って握手を求めてきた。素直に笑って手を出す俺。
俺『ちょっとハズいな。顔が熱いや』
そう思ってチラっとジンを見ると、俺らの様子を見て一瞬驚いたようだったが、その後薄っすら笑みを浮かべていた。
夕方になり2人が先に帰り、残っってしばらく話をしていたヒカルと俺も帰る事になった。
ジンの家を出てしばらく歩くが、お互いに、というよりヒカルが無口なんで2人でいても会話がまるでない。
そんな中ヒカルが唐突に話しかけてきた。
光「俺さ、原チャリ買ったから、今度シュウの家まで遊びに行ってもいいか?おまえ1人が田舎者だから、俺が行ってやるよ」
俺『このカタブツが、そんな事自分から言うんだ…』
そんなことを思いながらも、ちょい嬉しくなる。
俺「ゴールデンウィークでもくれば?」
そう笑顔で返してみる。
光「おぅ!行くぜ」
無表情だがヒカルはいつもより明るく答えた。
その日はこれで別れる事になった。

その日の夜、ジンからメールがあった。
仁『おまえと一緒だと、ヒカルは明るくなるよ』
なんかいろんな事がすごく嬉しかった日だ。ジンからの携帯メールをずっとニヤニヤ眺めながら、いつのまにか眠りについた。

そして新学期が始まりそれほど経たない4月中旬、ついにあの日がやってきた。

新学年になると俺のクラスは男ばかりになった。何人かカッコいい奴もいてすぐに友達になれた。ただ全体的に流れる雰囲気は『勉強一色』って感じ。『ここは勉強する場所』みたいな…。まぁ仕方のない事ではある。
唯一の楽しみは、昼飯を食べ終わる頃になるとほぼ毎日ヒカルが遊びにくる事だ。この頃のヒカルは相変わらず無表情だが、少しずつ笑顔を見せるようになってた。
俺『いつもの5人メンバーがいないと、素直な明るい顔をするのかな』
密かにそんな事を考えていた。

ある日の昼飯後、いつものようにヒカルがやって来た。
光「おまえさぁ、次の授業サボんない?」
俺「無理っしょ」
光「いいじゃんかよ。たまにはさ」
これでもいつもより多弁な方だ。
ただ実際には俺も疲れていた。ちょうど午後からは理系の俺にはあまり関係ない文系授業だ。
俺「何するの?」
光「図書館行ってダラ〜って感じで」
俺「分かった。でもなんか一つだけ願い事を聞いてくれたらね」
光「いいよ?なに?」
俺「週末に原チャリでどこかに連れてって?」
光「2人乗りなんて原チャリじゃ無理だよ。しかも警察に捕まったらどうする!」
俺「ヒカルの口から、警察を怖がるセリフがでるとは思わなかったな〜(笑)」
それを聞いてヒカルはちょっとムッとした顔になった。
光「わかったよ。おまえン家の近くでならな」
元々ヒカルと週末に一緒に居たかったわけだから、それでOKした。

俺の学校の図書館は、やたらと立派だ。本の多さはかなりのもので、中二階まである。そこを上がっていくとどこからも見えなくなるトコがあって、しばしば3年の不良の溜まり場になる。
ただし今は授業中なんで誰もいない。二人でそこに入っていき、俺は椅子に座り、テーブルで何となく本を読んでいた。ヒカルは後ろで腕立て伏せなんかをしている様だった。
20分くらい経って、昼過ぎという事もあり眠くなってきた俺は、腕を上げて伸びをした。
俺『ふぅ』
そのまま椅子の背もたれに、エビ反りになるように伸びを続けた。ふと、後ろで立っていたヒカルのケツに手が当たる。筋肉質な感じが手応えとして感じられた。
ヒカルもそれに気づくと、いきなり俺の両手を押さえてきた。
俺はエビ反りのまま固定されてしまう。
俺「あっ!痛い!痛いって!離せよ」
光「いいよ、ただしお願い事を一つ聞いたらな」
さっきの逆だ。
俺「いいよ、何?早くして!」
ヒカルは俺の顔をじっと見てる。俺もヒカルを下から逆さまの状態で見つめた。その状態でしばし無言が続く。

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さよならの向こう側には8〜12
 長編編集部φ(..)  - 07/6/22(金) 19:36 -
じっと見つめるヒカル。ゆっくりと顔が近づいてきた。
俺「願い事って何?」
そんな事どうでもいいのにドキドキしながらも問いかけてしまう。
光「なら動くな!少しの間だけでいいから」
そう言いながら、さらに顔が近づいてきた。
光「おまえいい匂いがするな…甘い匂い。女みたいだな。かわいい…」
いきなりお互いの顔が90度の角度になる形でキスをしてきた。ソフトに唇が触れる。何度も離れては触れてくる。
俺『初キスか…』
されてみると意外に冷静に頭の中で考えられたが、舌が入ってきたところで再び狼狽えた。俺の舌にヒカルの舌が絡む。
俺「ぐっ…」
ちょっと苦しくなり軽く声が出たところでヒカルが離れた。
光「ごめんな。でもおまえかわいいし、つい…」
俺「女が好きなんでしょ?モテるし。俺男だから…」
肩が痛いのも忘れて聞いていた。
光「俺もよくわかんねぇよ。ただ苛めてやろうとして手を掴んだら、なんとなくかわいくて…したくなった…」
ヒカルはちょっと赤くなってそう答えた。その言葉が俺にとってはすげぇ嬉しく思えた。
俺「肩が痛いから離してよ!」
少しだけ冷静になってそう言ってみたが、ヒカルはただ考えている様子だったので、意味もなく少し間が空く事になった。
光「…俺は今考えてたけど…今だけの勢いだけじゃなくて…なんかずっと…おまえとしたかったっていうか…おまえイヤだろ?だから無理矢理でもしたいから離したくない…」
俺「…俺は優しくして欲しいよ、ヒカルに…。ってか俺こういう事するの初めてだから…」
光「男と?」
俺「…女も…」
なんか急にヒカルの目が輝いた様だった。
光「そっかそっか!」
笑顔になり、ようやく手を離してくれたので、一息ついた。
俺『あ〜肩も背中も痛かったぁ…』
そう思うのも束の間、今度は俺の太股の上に、跨ぐようにして向かいあって座ってきた。
俺「今度は足が痛いよ、もう!」
光「このくらい近くで見ていたいんだよ。いいだろ?…俺さぁ、おまえの事好きになっちまったかも。今は女なんていらないよ。…おまえは?」
俺「…俺もヒカルの事が好きだよ…」
ハズいけどそう言ってしまう。
光「そっか。よかった!」
そう言って両頬を引っ張る。
俺「全く!俺をモテ遊ばな…」
言葉が終らないうちにいきなりキスをしてきた。再度舌が絡む。さっきよりもさらに本気でしてる事がわかる激しさがあり思わず声が出てきてしまう。
俺「あぁ…」。
それがスイッチだったように、ヒカルの手が学ランのボタンをゆっくり外しだす。キスされたまま身動きできず、下までボタンを外され、Yシャツの上から両乳首を指の先で触られる。
ピクっと俺の身体が反応した。
俺「うっ…あぁ」
また声が出てしまう。間違いなく俺の身体中で血液がスピードを増して駆け抜けて行くのが感じられる。
光「その声、最高だな。もっと声が出るには…」
そう言いYシャツのボタンに手をかけて来た。
俺は、今までの人生の中で、感じた事のない快楽の世界に落ちようとしていた。

ヒカルの長い指が器用にYシャツのボタンを外しにかかる。その間もずっとキスをし続けていた。舌を入れてきたり、優しく唇を吸ったり、蕩けるようなキスに思わず背筋がゾクゾクっとする。
右手でボタンを外しながら、左手がシャツの中に入ってきた。
胸板を這う生き物の様な手は、餌を探すように動き回っている。獲物を見つけたのか一点に集中してきた!五本の指の先で、乳首を四方八方から攻める。
俺「あぁぁ!」
一段と反応し声を出してしまった。
光「ここが感じるんだな」
ニヤっと不敵に笑っている。
ボタンを外し終わり、いきなり俺の両腕を掴むと、腕を背もたれの後ろに回され固定された。自ずと学ランとシャツの前が広く肌ける。ヒカルはちょい距離を離して、露わになった上半身をじっくり見つめていた。
光「かわいいのは顔だけじゃないな。綺麗な身体してる…今まで誰にも触れてないなんて勿体ないよ」
腕も足も固定されてるので、俺は頭だけを動かして自分の身体を見た。全部脱がされてるよりも確かにイヤらしい。しかも俺だけ脱がされてる屈辱感に顔が熱くなる。
ヒカルは大きな手のひらで胸の左右から挟み込む様にして、親指だけで乳首を弄り出す。
俺「ぐっ…はぅっ…あぁ」
出すなって頭で考えてても、気持ち良さに自然に声が出てきてしまう。それをヒカルがニヤニヤしながらじっと観察している。
俺『コイツ間違いなくSだよ』
痛ぶられる様な視線が、さらに快感となって気分を高揚させる。俺は目を瞑るしかなかった。
再びキスをしてくる。そこから徐々に首筋へと舌が這っていく。イヤらしく攻めながらも、手は優しく身体を両脇から包み込む感じで心地いい。ヒカルの手は、ただ大きいってだけではなく、それ自体が安らぎを与える道具になっているみたいだ。
ヒカルは俺の上から足の間に膝間付いて、段々下に向かって舌を進めていき、ついに乳首に到達した。
舌先で突いたり、円を描くように舐め始める。
俺「ヒカル…気持ちよすぎ…はぁっ」
ヒカルが軽く歯先で乳首を噛み、その度に俺の身体に電流が走る。
今度はベルトを外しにかかってきた。
この時俺は気づいた。ボクサーパンツの中でビンビンに勃ち、はち切れそうな自分のモノを。しかも我慢汁が出ている感覚がある。
俺「お願い…俺だけ…ハズいから辞めて…」
ヒカルがそんな言葉で辞めるわけがない。逆に拍車をかけるだけだ。
遂にベルトを外されファスナーが下ろされて、上半身と同じように微妙に肌けた姿で広げられた。
俺は恥ずかしさの中で狂いそうな気分でいた。
光「見てみろよ、これ」
俺もヒカルもびっくりだ。ボクサーの前の部分がかなりのシミになっている。後でわかったが、俺の先走りの量ってハンパじゃないみたい(汗)。
俺「ごめん…」
恥ずかしさに、つい俺はそう言っていた。
光「いっぱい感じてるからだろ?謝んなよ。感じてるおまえが一番かわいいぜ」
冷やかされてるのかどうか分らない言い方だ。
俺「俺ばっかりこんなに恥ずかしい格好させないでよ。ヒカルのも見たい」
するとヒカルは学ランのボタンを自分ではずし、再び俺の上に座った。後ろに回された腕を解放されて、俺はヒカルのシャツのボタンを外し出した。
露わになった上半身は、うっすらと盛り上がった胸筋に割れた腹筋。男らしさと微妙な少年ぽさを兼ね備えたきれいな身体だ。
俺はゆっくり指でなぞって、跳ね返る肌のハリに酔いしれていた。ヒカルは上からその指の動きをじっと見てる。
さらに胸に顔を埋めてみる。ヒカルも両腕で俺の頭を包み込んできた。ヒカルの体温を感じる。その温もりの中で目の前にある乳首を舐めてみた。
光「うっ…そうだよ、舌を使って…うん、気持ちいいぜ」
俺は段々と舌先に力を入れて突起を突く。
光「うわっ…あぁ…いいぜ、うまいよ」
俺はそのままヒカルの股間に手を当てた。
すごい!ギンギンになったモノは明らかにデカい。
光「そっちも、おまえを虐めたがってるみたいだな」
ヒカルの顔を見ると、ニタっと笑っている。その笑顔を見ていると、今からどんな風に虐められるかを想像し、少し怖くもあり、ゾクっとしてしまう。
ヒカルはいきなり座ってる俺の前に立ち、自分でベルトを外してきた。堪えきれなくてファスナーに手をかけ下ろす俺。ズボンもボクサーも一緒に下ろしてしまう。ゴムに引っかかったモノは、解放されて上に弾き飛んだ。デカすぎだ!
光「バカ!気をつけろよ。舐めてみな」
俺は躊躇したものの、ヒカルを感じさせてやりたいと思い、勇気を出して頭の部分を咥えてみた。なんかヌルヌルしている。もう少し奥までさらに咥える。
光「むぅ…温かくて気持ちいいな。もう少し力を入れて!…あっ、そ、そうだょ…」
感じている様だ。俺の頭を掴んで腰を振り始める。デカさに苦しみながらも、俺もヒカルのリズムに合わせる様に舌を動かす。
光「あぁ…すげぇいい」
しばらくして口から抜くと、座ってる俺のボクサーを一気に脱がし、俺の足の間にヒカルも座ってきた。
なにも言わず、ヒカルの大きな手で俺のモノと自分のモノを握り、上下に動かし始める。
俺は、ヒカルより一回り小さい自分のモノに恥ずかしさを覚えて俯いた。
そんな俺に気づいたのか、顎を持ち顔を上げてキスをしてきた。蕩けるような甘いキスだ。優しさが感じられる。そのキスだけでも身体に力が入らなくなってくる。
さらに2本をシゴく手の動きのイヤらしさが加わり、別の快感に喘ぎ声が出てしまう。
ヒカルもいつもの無口さからは想像できないくらいの言葉を吐く。
光「くぅ…あぁ…シュウのモノが裏スジを擦って…こんなの味わった事ない…」段々と握る手に力が加わった。
あまりの気持ち良さに耐えられなくなったのか、手を離し今まで下にいた俺を持ち上げ、逆にヒカルが椅子に座る。椅子に跨がる様に俺を立たせると、ヒカルの顔の前にちょうど俺の股間が突き出る。
ヒカルは、右手でギンギンになった俺のモノを掴み、観察するように言う。
光「我慢汁がすごいな」
そう言って舌で舐め上げてきて、思わずおれも声を上げてしまう。
俺「あぁぁぁ」
光「毛が薄いな。シュウらしい」
左手で俺の陰毛を触れてくる。
光「ここもかわいいな」
俺の玉を軽く揉み、一舐めした。
俺「んぐ…」
際どい快感に奥歯を噛みしめた。
光「ほら出てきたぜ」
さらに溢れ出てきた我慢汁にヒカルが笑い、掴んでる右手の親指で亀頭に塗りたくる。
俺「だめっ…あぁ」
敏感な部分を指でなぞられ、思わず腰が砕けそうになる。ヒカルの左腕が俺の腰にまわり身体を支える。
突然俺のモノを咥えてきた。確かに温かい。いきなり根本まで一気に咥え、ゆっくりと頭を引いていく。また一気に咥えゆっくり引く。今度は裏スジを舌でなぞられる。足に力が入らなくなるが、ヒカルの左腕ががっちりケツの後ろにまわり俺の身体を支えてくれる。2度3度と同じ様な動きで攻められ、俺は両手でヒカルの肩に掴まりながらも頭を仰け反らせてしまう。
俺「ヒカル、すごぃ…俺だめ…だめだって…あ…っ」
掴んだ肩に力が入り、一瞬ヒカルが痛そうな顔をしたが、構わずペースを早めていく。
俺「あぅ…んぁあ…いぃ…」
意識が跳びそうな感覚。耐えているがそれを上回る快感に理性もなくなる。ヒカルの攻めに耐える事に限界を感じ始めていた。初めての感覚に、なにもかもヒカルに預けてもいいかなと思う。
俺「もうダメ…我慢できないょ…イキそ…」
さらにペースが上がり、このまま絶頂に昇りつめてイキそうになったその時、いきなり大きな音で授業の終わりを告げるチャイムが鳴って、二人で飛び上がった。
光「なんだよ、いい時に〜!」
俺「急いで制服着なきゃマズいよ」
ヒカルも仕方ないって感じでボクサーとズボンを履き出す。
光「このままじゃイヤだろ?どうする?家へ行って続きしようぜ」
そう言うヒカルのキツい目に嫌らしさが混じっていた。
俺も急いで身支度を済ませた。
俺「俺、担任の授業だから休めないよ」
光「そっか。アイツうるさいだろうしな。じゃそれが終わったらどうだ?」
俺「…うん!」
光「しばらく親旅行で俺ン家1人なんだ」
そう言ってから、誰にもバレないか、お互いの服装のチェックをして図書館を出た。
廊下を歩きながら、なんか恥ずかしくなり無口になってしまう。
ようやくヒカルの教室の前まできた時に、なにか少しの間なのに離れるのが寂しい様な気分になった。
光「じゃ帰りに玄関で待ってるぜ。授業中思い出していっぱい濡らすなよ」
そう耳元で囁いた。ムッとした顔をした俺に、ヒカルは笑顔で軽く手を振る。
俺「ヒカルだって一年分くらい喋ったり喘いだりしたから、喉が痛くなったんじゃない?」
俺の言葉に反応し、ヒカルはいきなり片方の上履きを脱いで投げつけてきた。間一髪飛んできた上履きを避けて、笑って手を振りながら教室に戻った。

引用なし

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さよならの向こう側には12〜15
 長編編集部φ(..)  - 07/6/22(金) 20:40 -
今日最後の授業は全く頭に入らなかった。クラスみんなは何も知らないでいつものように授業を受けている。そんな中で、わずか1時間前から俺はとんでもない経験をしていた。別れ際にヒカルが言っていたように、思い出すだけで身体が熱くなり反応してくる。
心の中では、今までもずっとヒカルの事が気になっていたんだ。もちろん男が好きな気持ちは前からあったが、俺はすんなりヒカルのキスを受け入れていた。
『ヒカルはどうなんだろ。本気だったのかな…。アイツ日頃から口数少ないから考えてること分かんないし。でも前にジンが言ってた。楽しいことをやってるその時だけは、ヒカルはジンだけにはよく喋り捲くってたって。やってる最中は何を言ってただろ』
色々と考えていると、ヒカルの軽い言葉攻めやニヤニヤ笑ってた事を思い出し、また反応してしまっていた。
考え事をしてたら、また終了のチャイムが鳴り、本日2度目のビクっ!
『この学校のチャイムって音大きいな。あとで生徒会に言っておこう』
授業が終わり、そんな事を考えながら急いで玄関まで行った。ヒカルはまだいない。反対側からジンが1人で歩いてきた。
仁「よっ!1人?」
俺「ヒカルを待ってる」
仁「そっか。じゃ3人で帰るか」
俺『大丈夫かな』
そう思ったけど、直ぐにヒカルが合流し、イヤな顔をしていなかったので3人で帰ることになった。

帰り道はまたジンが真ん中。
仁「お前ら仲いいよな」
俺達2人を見ながらの一言。図書館での事があったから、俺も返事をしにくかったので黙っていた。ヒカルはいつも通り無口でいる。
仁「ヒカルとシュウって、最初に3人で一緒に帰ったとき以来、あまり話とかしなかったんだろ?でもヒカルと2人で帰る時は、いつもシュウの話で盛り上がっていたんだぜ!」
光「おまえ余計なこと言うなよ」
仁「春休みに俺ン家に集まった時に、シュウを呼ぼうってコイツがさぁ」
光「うるせぇよ!」
笑ってるジンの首をヒカルが絞めてる。
仁「俺買い物あるからここでな」
一頻りジャレ合ったところでジンと別れた。

2人になるとなんか気まずい。
俺「もっと早く色々話せば良かったね。あまり話もしないまま、いきなり今日みたいな事になっちゃった(苦笑)」
光「イヤだったか?」
俺「そうじゃないよ、すごく嬉しいし」
またしばらく無言になる。
光「なんかさぁ、最初に会ってからおまえのことが気になってきて…」
ヒカルが話し出したので、俺は無言で次の言葉が出るのを待ってた。
光「やっぱり男だしおかしいだろ…そう思うのって。そう思えば思うほど声をかけにくかったから…。だからすれ違ってもそっけなくしてたんだよ」
俺「そっか。俺はヒカルがモテることも知ってたし、仲良い女の子がたくさんいるだろって思ってた。だからヒカルにはそういう気持ちを持っても意味ないと思っていたから、考えないようにしていたんだと思う」
光「おまえって男も好きになれるのか?」
俺「…うん」
光「女は?」
俺「…嫌いじゃない程度」
ヒカルは少し笑う。
光「じゃ俺達つきあうって事でいいよな?」
その言葉に俺は無言で頷いた。
やっぱり今日は俺の方が言葉が少ないや。というよりヒカルが喋りすぎだ。
コンビ二でドリンクを買い、少し歩くとヒカルの家に着いた。
ちょっと緊張し始めてくる。

ヒカルの家は二階建てになっている。家族構成は祖母と両親に兄が一人。兄は大学生で、都内に一人暮らしをしてるらしい。二階はこのおばあちゃんと兄の部屋になっていて、空いてる部屋がない。てことでヒカルの部屋は別棟になっていて、後から造られたらしい。元の家屋とは一応繋がってるみたいだが、扉2枚があるだけでほぼ隔離されている。いつも家の玄関も使わず、ほとんど直接部屋に出入りする。今日はおばあちゃんがいるが、いてもほとんど部屋から出てこないらしい。

ヒカルの部屋に入ってみると、意外にきれいに整頓されている。TV、PC、コンポ、ベッドなど一通り揃っていた。ベッド脇に等身大の鏡が備え付けられている。
部屋に入るとすぐに後ろからヒカルが抱きついてきた。
4月でもまだ寒いが、今はヒカルの温もりを感じる。向かい合ってお互いの身体に腕を回す。目が合うとキスをしてきた。ヒカルとの心地良い一瞬。ふと目を開けて横を見ると鏡に2人の姿が映ってる。
4月の身体検査で、俺の身長は176cm位に。同年代では背が高い方で、ヒカルに追いついたかなと思えば、そのヒカルも成長して179cmになった。だけどこの差が数字以上に思える。
鏡に映った姿を見ても、肩幅や腕の太さ、身体の厚みは、やっぱりヒカルが上回っている。抱き合っていても、いつも俺を外側から包み込んでくれる感じだ。
光「誰もいないし、一諸に風呂に入ろうよ」
俺「うん」
夕飯は食べないってことをおばあちゃんに伝えてから風呂に向かった。
脱衣場でヒカルはすぐに上半身裸になり、それを確認してから俺も脱ぎ始める。今までクラスも別だったから、着替え等一緒になった事がない。図書館でも上は着たままだったから、今初めてヒカルの身体の全体像を見る事になる。やっぱりきれいな身体だ。無駄な毛も生えていない。しばし見惚れてしまう。
光「あまりジロジロ見るなよ。また濡れるゾ」
そう言って薄笑いを浮かべる。
光「脱がせてやるよ」
ちょっと困っている俺を見て、ヒカルは俺のベルトに手を掛けた。嫌がる俺を無視して、ズボンもパンツも一気に脱がす。ヒカルは自分で脱いで、俺の手を取り風呂に入った。
すぐにお互いの身体を洗い流した。股間は自分で洗うって言っているのに、有無を言わさず後ろから手を伸ばし、俺のモノに泡をつけて洗ってくれた。それだけですでに興奮状態になってしまう。
光「全くかわいいな」
俺とは違いヒカルは余裕な態度だ。
湯船は、親の趣味とかで2人が入ってもゆとりがあるくらい広い。しばらくゆっくりと浸かってから一緒に上がった。
そのままバスタオルだけで部屋に行きベッドに座ると、いきなり押し倒されてしまった。
光「我慢できないから…」
お互いのバスタオルを取り素っ裸になると、いきなり乱暴にキスをしてくる。舌が強引に入ってきて口の中で暴れ回る。
両手首を捕まれ、ヒカルの左手で頭の上に固定された。力では叶わないことは判っている。無防備にされた上半身をヒカルの右手が攻め始めた。かなり乱暴に胸を鷲掴みにされる。
キスをしていた口で反対の乳首を攻めてきた。舌先で突いたり、軽く噛んだりしてくる。
俺「ぐっ…くぁ…あぁぁ…」
いきなりの乱暴さで始まった攻めに、俺は我慢できずに声を上げ、身体を捩って喘いでいた。
ヒカルの激しい攻めに歯を食いしばり耐える。
足が動くのが気に入らないのか、一旦攻めるのを中断して顔を上げ、俺の両膝を揃え外側から自分の両足で挟み込むようにしてきた。これで手も足も固定され、身動きできなくなる。がっちり押さえ込まれてしまい、俺はヒカルの顔を頼りなく見上げた。
まるで獲物を捕らえた獣のような目。どうやって料理してやろうか考えている鋭い眼差し。思わず恐怖を感じゾクッとする。
少ししてヒカルは目を逸らさずにゆっくりと頭を下ろしていった。
俺の顔を見ながら右乳首を一舐めする。感じるが声が出ないように俺は耐えた。もう一度窺うように大きくゆっくり舐める。声は出なかったが、快感に身体がピクッと反応した。それに対して、動けないように足で締め付けてくる。そしてまた一舐め。動けば締め付け。何度もそれが繰り返される。俺も唇を噛み、声だけは出さないように必死に耐える。負けられない戦いの様だ。
また一舐めするのかと思ったその瞬間、いきなり方向を変え左乳首を貪りついて来た。激しく吸い上げたり、強く噛んだり、舌のザラつきで突起を刺激する。
俺「くあぁぁぁ…うぅぁ」
そこまで我慢してた俺も堪え切れず声が口をついて出てしまった。我慢してた分、吐き出すように声を荒げた。
光「俺に勝負を挑んで勝てると思ったのかよ」
ヒカルは、薄笑いして言った。さらに意地悪く乳首を攻め捲くる。
俺「んぁ…あぁぁ…くぅ」
俺は助けを求めるように、次々と声を出してしまう。
かなり長く乳首を攻められていた。10分くらいだろうか。急に頭を上げヒカルが言った。
光「これ見てみぃ」
ヒカルの視線の先には、ギンギンに勃った俺のモノがあった。その先から先走りが糸を引いて滴り落ちている。鼓動に合わせヒクヒクと動きながら、先走りが今も流れ出ているようだ。腹の上はすでにかなり濡れている。
光「イヤらしい奴だな」
そう言って俺のモノの裏スジを下から上に舐め上げる。
俺「あぁぁ」
もう我慢なんてできない。俺の負け、完敗だ。
ヒカルも察したのか頭の上の手を離す。観念したことを示す様にヒカルの両手を探し握りしめてもらう。この大きな手の温もりがたまらなく気持ちいい。
足も開放され、M字に開くと、逆にヒカルがその間に正座するように入ってきて、俺のモノをゆっくり咥え始めた。ちょっと粘着質な舐め方だ。
俺「あっ…いぃ…気持ちいいょ」
頭の動きにあわせて快感が一歩一歩迫ってくる。たまに舌が中で動き、裏スジや鈴口を刺激してくる。少しずつペースが上がってきて、先走りもかなり出てくる感覚が自分でもわかる様だ。
俺「ヒ、ヒカル?…もうダメかも…」
無視するように口で刺激され、マジやばくなって声を荒げたその時、口を離し急に根元を強く握り締めた。激しい攻めにヒクつき、先走りが大量に出てきたものの、根元で押さえつけられイケなかった。
光「まだまだ簡単にイカれちゃうとつまんないよな」
そう言って先走りが絞りでる様子を見ている。
いきなり立ち上がり引き出しからロープを出してきた。
俺『コイツなんでこんな物を持ってるんだろ』
なんとなく俺はボーっと考えていた。
戻ってくる時、まっすぐ上に反り返ったヒカルのデカいモノがチラッと目に入る。そのモノとロープとで、今からどんな事が起こるのかを想像し、少し恐怖を感じてしまった。
徐々に日が長くなっているものの、すでに日は落ち部屋の中は真っ暗だった。ヒカルがいきなりライトをつける。眩しさに目が痛む。
ヒカルは、さっき使っていたバスタオルを手に取り大きな鏡の前に敷いた。いきなり俺の手首を取り、引きずるように鏡の前に強引に引っ張っていく。
光「鏡に向かって座りな」
少し棘のある言葉だ。躊躇してると、いきなり肩を押さえ込まれ座らされる。両腕を取られ、ロープで手首を縛られる。後ろ手ではなかったので手首以外には痛みは感じない。
後ろにヒカルが座る。俺の足を広げさせ、膝の裏に手を入れ持ち上げ、M字のようにされた。同じ様に後ろにヒカルが座る。
光「見てみな。この恥ずかしい姿を」
そう耳元で囁かれる。
確かに大好きなヒカルの前で、鏡に向かわされてじっくり見られるのはハズい。モノはギンギンになったままだったので、思わず縛られた両手で隠した。
ヒカルは後ろから両腕を伸ばし、包みこむように抱きしめる。
俺「ヒカル……ハズいよ」
光「そうか?かわいいのに淫乱な姿ってのは最高だよ!」
話しながら両乳首を摘んでくる。
俺「あぁ…辞めてよ」
感じて思わず顔を背ける。
光「ダメだよ、ちゃんと一緒に見てなきゃさ」
俺の顔を正面に向けさせる。それでも脇に顔を背けると、強烈に乳首を抓られた。
俺「痛いよ!!」
光「じゃ優しくするから正面を見ような」
言葉は優しいけど、行動は完璧にSだ。
光「きれいな肌だよな。俺のモンだと思うとたまらないよ。俺ほどじゃないけど、筋肉もついてるし」
片手は乳首、片手でゆっくり腹筋をなぞる。ちょっとゾクッとして声が出る。言葉と手の動きだけで感じてしまっていた。
光「今からずっと俺のモンになってくれるか?」
甘い言葉で囁いてくる。
俺『やってることは乱暴だろ』
頭の中で考えながらも感じる乳首に反応し、先走りがジワっとでてきてしまう。
俺「…俺もヒカルと…一緒にいたいよ」
光「そかそか!」
お礼とばかりに後ろからキスをしてきた。舌が入りイヤらしく中で動く。左手で乳首、右手は軽く股間を刺激し、熱いキス。3箇所で感じてしまい、思わずヒカルに身体を預ける。重いはずなのに全く気にしていないようだ。かなり長くこの攻めが続いた。

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さよならの向こう側には15〜18
 長編編集部φ(..)  - 07/6/22(金) 21:39 -
ようやく口が離れた時に、俺の口から感情のままに言葉が出た。
俺「ヒカル…イキたい…」
光「えっ?何?」
俺「…イカせて」
わざと言わせたという感じだ。
光「おぅ!判ったよ!でももう少しだけ見させてな」
ヒカルは攻め続けながら鏡の中の俺を隅々まで見つめる。
少しして乳首の攻めとシゴきが強くなり始める。俺もかなり声を荒げだす。首筋や耳を舐めながらも、なおもヒカルは鏡に映る俺の顔をじっと観察している。段々意識がなくなりそうになってくる。もう限界まで来て真っ白になりそうだった。
俺「ヒカル…もうだめ…ィ、イキそう」
光「いいよ。気持ちよくイキな」
そう言って、左手を膝の下に入れ俺の左足を持ち上げ、握った右手を加速させた。
俺「あぁぁぁぁ…イ、イク、イクよ!」
その瞬間、俺は頭を仰け反らせ、一気に放出した。2度3度とかなりの勢いで白い液を飛ばす。まだ出るのかって感じだ。7度ほど出た感覚があり、ようやくヒカルの手の動きが緩やかになっていった…。
呼吸を荒げ、ヒカルに凭れた俺はゆっくり目を開けた。自分の胸から腹、足、バスタオル、鏡にも精液が飛んでいた。鏡の中でヒカルと目が合う。優しい笑顔で俺を見ている。
俺は恥ずかしさも忘れ、ヒカルの笑顔をじっと見つめて、快感の中で至福の喜びを噛み締めていた。

ようやく縛られた手を解かれ、ティッシュで身体を拭いた。
光「あーあーこんなトコまで」
そう言って鏡に飛んだ白液を拭き取っている。初めてのエッチでの失態に顔が熱くなる。
そんな俺に気づいたのか再度俺を後ろから抱きしめる。とても温かくて心地良い抱擁だ。
鏡に写るヒカルの顔を見ながら考える。
俺『いつも無表情だし、エッチはかなりのS。だけどこうして温もりを感じる瞬間がある。乱暴に攻めてるけど、見えないトコで優しく身体を支えたり、大きな手で包む様に守ってくれる。これがきっとヒカルなんだ』
ヒカルに身体を凭れかけていたが、ふいに背中に当たるものに気づいた。
俺『自分の事ばかり考えてたよ』
慌てて座ってるヒカルに向き直り、開いた足の間に顔を埋める。
光「ちょっ…俺はいいから」
ヒカルは慌てて立ち上がりベッドに座る。
俺「?なんで?」
光「シュウは初めてだし、そんな事させたくない。俺また暴れるからさ」
俺「構わないよ。ヒカルが好きだよ。ヒカルが好きな様に扱ってくれて構わないから。それとも図書館でした時、俺ヘタクソだった?」
光「そんな事ないよ。気持ち良すぎてびっくりした。だけどイクところまでしたくないんだ……女としてても、一回もイッた事ないし…」
俺「イキたくないの?」
光「イキたいけど、イクのを見られるのがね…」
頑なに拒否してくる。
俺「気にしないでよ。とりあえずやってみよ?」
光「う、うん」
俺はベッドに座ってるヒカルの半勃ち状態のモノを口に含んだ。舌で転がすように亀頭を舐めると、みるみる口の中で大きくなっていく。
光「う、うっ…気持ちいぃ、たまんねぇ」
俺は段々とスピードを上げていく。ヒカルは立ち上がり、俺の頭を掴んで腰を振り出した。
光「あぁ…我慢できない…すごいよ」
そう言い激しく腰を動かしていたが、急に頭を離し、座ってる俺を立たせ抱きしめてベッドに倒れた。
俺「?」
光「もうこれで充分だから…」
ヒカルは俺の顔を自分の胸に埋め、堅く抱きしめたままじっとしていた。
ヒカルの顔も見えず、どんな様子でいるのかもわからなかった。このままでいいのかわからなかったけど、ヒカルがキツく抱くのでじっとしているしかなかった。
光「飯食べに行こう」
しばらくしてヒカルは起き上がっって言った。
このままで良いものが考えたが、仕方なくヒカルの言う通りにする事にした。

俺の家に向かう途中にファミレスがありそこで食べる事にした。食べたりしてる間はいつものヒカルと違い明るくはしゃいでる感じだった。エッチした事でなのか、自分がイカない事を誤魔化しているのか、その時にははっきりとは分らなかった。

ヒカルのいつもと違うノリを意識しながらも、その後家まで原チャリで送ってもらった。
家の前でバイクを降りた。
光「おーきれいな家だなぁ!約束通り、週末遊びにくるよ」
俺「うん!必ずね。楽しみにしてるから」
俺はもう一度聞いておきたい事があったが、今日は止めとこうと思った。
俺「今日は幸せだったよ!今後ともよろしくお願いします」
最後にペコっと頭を下げた。
光「なんだよ、固い事ヌキな。ずっと一緒にいるよ」
ヒカルは笑顔で答えた。俺も笑顔を返す。キスの一つもしたかったが、ヘルメットを最後まで脱がないから仕方ないかと思った。
光「じゃ明日学校でな」
そう言って手を振り原チャリを走らせた。
俺は角を曲がるまで見送り家に入った。
すぐに風呂に入り、出てから携帯を見るとメールが届いてる。家に着いたという連絡だ。無事に着いて良かったと心から思う。
なんか今日は疲れたし、ボーっと浮かれた気分でベッドに入り、今日の出来事を思い出していた。
いつからだろうか?多分ヒカルと知り合ってからか、布団の中で一日の反省会をするようになっていた。日記を書かない分、記憶に留めるのには良いかなと思う。
『朝家を出る時には、今日がこんな日になるとは思わなかった。昼まではいつも通りに淡々として過ぎていったのに…』
『図書館での出来事。ヒカルは、最初からあれが目的で誘ったのかな…』
ウトウトしながらも、ニヤニヤしちゃてる俺。
『ヒカルの激しさはハンパじゃないな…まるで俺は玩具って感じ…でもヒカルの行動に俺はかなり感じちゃってたな…てかクセになりそう…』
ニヤニヤ…
『ヒカルはなんでイカなかったんだろ……次は…リラックスさせて……一緒に…イキたいし……』
『…ヒカルと…ずっ…と……一緒にい…たい…』
こんな事を思いながらウトウト眠りについていった。

次の日、いつも通りにヒカルは昼に来た。天気もいいし校舎の屋上に行く。
俺たちの学校は屋上に上がる事が禁止されてる。まぁ俺とヒカルはそんな事はお構いなしだ。禁止されてるだけに誰も来ないから丁度良い。
俺「なんか不思議な気分」
光「なにが?」
俺「ヒカルと急にこんな事になっちゃって。今日は昼休みまでが長かったな〜」
光「俺もだよ」
俺「昨日図書館に誘ったのは、最初からあれをする目的の為だったの?」
光「あれは偶然さ」
俺「じゃなんで誘ったの?」
光「暇だったからさ」
俺『何この無表情!今までと変わんないじゃん…』
今までとなんら変わらぬ無表情に、俺は少しムっとした。
俺『ノー天気なのか無関心なのかさっぱりわからないけど、これがヒカルだと思えば良いさ。気にすることない』
そう考えながらしばらく無言でいた。俺の考えてる事がわかったのかヒカルが話しかけてきた。
光「おまえはずっと俺と一緒にいたいのか?」
俺「当たり前じゃん」
光「じゃ俺の好きな様に改造していい?」
俺「どんな風に?」
光「んじゃまず髪型かな。髪伸ばせよ」
俺「なんで?」
光「別に…似合うと思うからだよ」
俺『なんか裏がありそう…まっいいか…』
俺「じゃ頑張ってみるよ!」
そう言って屋上に座る。横にヒカルは寝ころんで目を瞑る。

当たりを見回してみた。風もなく日差しもあり、穏やかで気分が良い。
学校の周りは桜が咲き出した。この辺りでは4月中旬くらいに桜が咲く。ソメイヨシノはもちろんだが、ここ特有のフジザクラという高山系の山桜が咲く。木全体はあまり大きくならない。花は小さく品のあるピンク色に染まる。
その桜の向こうには富士山が聳え立っているのが見える。
桜に富士山…。緑も多くなってきて一番良い季節だ。
この屋上からの眺めは誰でも心を奪われるだろう。今年を入れてあと2回しか見れないなんてちょっと寂しい気がする。
『桜もいつまで保つのかな』
散り際の潔さが良いなんて言うけれど、そんな風には思えない。俺はいつまでも咲いていて欲しいって思う。

横を見るとヒカルがいる。
『腹一杯で寝ちゃってるのかな』
マジマジと顔を見る。
『…かっこいいな』
男なら憧れとして、女の子なら恋愛対象として、みんながコイツの外観を意識する。それが俺の横にいて無防備な姿で寝てるのが不思議なくらいだ。ずっとこのまま続いて欲しいって思う。桜みたいに散らないでずっとずっと横にいて咲き続けて欲しいって…。

チャイムが鳴った。
俺「ヒカル、行かないと」
光「ううぅ〜ん」
半分起き上がりかけたが、俺に凭れかかってくる。
俺「もう!酔ってるんじゃないんだし!」
光「置いていっていいよ」
俺「ダメ〜。ちゃんと授業にでないと!今から授業にコツコツと出て貯金を作っておかなきゃね。一緒に進級するんだからさ」
光「いいよ、おまえだけ進級しろよ」
俺「やだ、つまんないし」
なんとかヒカルの身体を持ち上げ、ようやく立たせる。俺の肩に腕を回しヨレヨレの状態で歩き出す。
俺「全く世話を焼かすんだから…」
ついブツブツと言ってしまう。
俺「先に進級しろなんて、よく言えるよ。俺の事を守るとか言ってたくせに。そう言ったヒカルがかっこよく見えたんだし、一生一緒にいようと思ってるのに」
そう言いつつヒカルを見たら、いつのまにか俺の顔をじっと見てニヤって笑っていた。

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さよならの向こう側には19〜21
 長編編集部φ(..)  - 07/6/22(金) 22:49 -
そんな感じで土曜日になり、ヒカルが家に遊びにくる日になる。
ヒカルは昼過ぎにバイクでやってきた。
俺の家族は両親に兄妹。兄妹は出かけていなかったものの、両親がいたのでヒカルを紹介しなければならない。
俺はちょっと緊張していた。というのも、家に友達がくるのが初めてだったからだ。ヒカルを紹介して、両親がどんな反応をするかわからなかったので、朝からずっと不安に思っていたわけだ。

兄妹3人が同じ高校だという事は前に話したが、実際には両親も同じ系列の高校出身である。今では公立校2つがまとめて入試をするが、以前は一つの学校で、一学年15クラス以上のマンモス校だった。増えすぎたクラスに対応しきれなくなった為、30年くらい前に2つに分けられ、俺達兄妹やヒカルは新設の学校に入学となった。両親はマンモス校時代に2つ違いの学年だった為、高校時代から顔見知りだったらしい。父親の友人何人かがよく話してくれる事だが、俺の父親は高校時代はかなりの暴れん坊だったと言う。今のヒカルみたいなもんかなとも思える。俺にも同じ血が流れている事を感じる時も多々ある…。

バイクの音が聞こえたので慌てて外に出た。父親が庭にいたからだ。俺のいないところで初対面の父親とヒカルが会うのは避けたかった。
ヒカルと合流して玄関まで誘導する途中、父親が気づいて振り返った。
俺「友達だよ」
光「初めまして。お邪魔します」
そう言って、礼儀正しく頭を下げた。
父「いらっしゃい」
笑顔で返す。たったこれだけだが、表情から察するにおそらく合格点だ。ホッとする。
玄関を入ったところで母親が出迎える。
光「初めまして。いつもシュウにお世話になってます」
母「いらっしゃい。こちらこそお世話になっていて。あら、ハンサムね」
光「お母さんもお綺麗です」
そんな会話がありお互いに笑顔。ここでもOKだ。
2人で俺の部屋に向かう。いやな汗かいて緊張してた俺に比べ、ヒカルの冷静な対応に感心した。
すぐに母親がドリンクと菓子を持ってきてくれた。母親が戻った後、ヒカルは俺の部屋をアサリ出す。
俺「変な物ないから!止めてよ!」
下着の入った収納を開け、にひひひって感じで中を見ている。俺は引き出しを強引に閉めながら、ヒカルの頭を軽く殴る。
俺『さっきの親に見せた態度とは大違いだよ』
一通りチェックが済んだのか、一緒にゲームを始めた。対戦ゲームだが、こちらは俺の方がうまい。負けず嫌いのヒカルが熱くなっているのを見るのは楽しい。可哀想だったから最後はわざと負けてやった。
気が済んだのか2時間くらいで終わり、湖の反対側まで行こうって事になりドライブに出た。
原チャリに2人で乗り込む。意外にパワーのある原チャリで、2人でもかなりのスピードが出る。ヒカルの背中に掴まり前からの風を受けて、気持ち良さを感じていた。
2人乗りはやっぱマズいので、できるだけ裏道を通る様にする。
湖の反対側に来ると小高い山がある。頂上まではバイクで15分くらいだ。さすがに上りはキツい。なんとか上っていくと中腹に見晴らし台があり、一旦そこにバイクを止めた。カメラを持った人が何人かいる。ヒカルもバイクを下り、見晴らし台の一番前まで行く。
光「すげぇな」
きらきらと光った湖が一望できるとともに、そのまま何の障壁もなく湖からスロープが延び富士山の山腹に至る姿がみることが出来る場所。俺もヒカルも小さい頃からこの地に住み、富士山があることが当たり前のようになっているが、改めてこうしてみると自然の雄大さを感じる。
ヒカルも黙って見入っている。軽く風を浴びて靡く長い髪、少し日焼けした顔。じっとその景色に酔いしれてる様だ。
光「近くにこんなきれいな場所があるなんて知らなかったな」
キツ目の顔も、この時にはなんとなく緩んでる様に感じられた。

しばし眺めた後に再びバイクに乗る。一応山頂まで行ってみる事になった。
湖側から上ると車がすれ違うくらいは余裕にある道幅も、山頂に近づくにつれ一台分の幅しかない為に、ほとんど車が通ることはない。知らずに山頂まで上ってきても、車だとほとんどUターンしてしまうことになる。また山頂は木々に囲まれている為、景色も全く見えないので眺めを期待してもあまり意味がないわけだ。
その山頂に着くとわき道があり、少し奥まった所に電波塔がある。その道を入って行くことにした。人が常駐してるわけではないが、侵入者を防ぐ為か硬い鉄製の門がありそれ以上は進めない。そこでバイクを止めた。
夕暮れにはもう少し時間がある。鳥の囀りや水の流れる音、風がそよぎ葉の擦れる音。そんな音しか聞こえてこない。
ヒカルはそこでバイクを下り、メットを外した。
座っている俺に近づきそっとキスをする。いつもの優しいキスだ。顔を離し目が合いお互い笑顔になる。俺は手を取られ門の所まで連れて行かれた。
門に俺を寄りかからせて、向かい合って立ち再びのキス。今度は熱い。舌が中で絡む。何かを探すように俺の口の中で動く。
キスをしながら俺のジャンパーのジッパーを下ろし、シャツの前のボタンを外していく。相変わらず手馴れている。肌が露わになると、ヒカルは背中に腕をまわし俺を抱き寄せる。その弾みでジャンパーとシャツが肩からずり落ち、肘で止まる。上半身がほぼ脱がされた状態となった。
ゆっくりと口から首へとヒカルの顔が下りていき、さらに下へと進み乳首を吸い始めてきた。我慢できず俺は声を出してしまう。
俺「うっ…うぅん」
攻めが激しくなり、声を荒げた。
光「あっ、そう言えば忘れてたよ」
ヒカルはいきなり俺のベルトを外し、一気にジーンズとボクサーを膝まで脱がした。
光「先走りがすごいから、パンツを濡らさないように早く脱がさないとな」
そう言ってモノを握って確認している。
光「ほら見ろよ、もうヌルヌルじゃん。オイルいらずだよな」
言われて俺は赤面してしまう。
しばらく乳首を攻められ、さらにヒカルの手でシゴかれる。
大きな手に包まれてイヤらしく攻められ、すぐにイキそうな感覚が迫ってきていた。
俺「ヒカル…ペース速いよ…イッちゃいそう」
それを聞くとヒカルは一旦攻めるのを辞め、俺のジーンズとボクサーを片足だけ完全に脱がせた。
後ろ向きにさせられて、門に両手をつく。やや足を開かされ、後ろにヒカルが立ち再度右手でシゴいてきた。
右手はモノをシゴき左手は乳首や玉を弄る。さらに後ろから耳元でヒカルが囁く。
光「乳首がコリコリしてる。あ〜玉もキュンて上がっちゃってるよ」
俺は多分後ろからシゴかれることにすごく弱いんだと思う。さらにヒカルの喋りで耳に息がかかり感じてしまう。
俺「あぁぁ…いぃ…いきそう」
あっというまに限界が近づく。
光「いいよ、豪快にな!」
一段と強く握られ、シゴキが早くなり頂点に達した。
俺「あぁぁぁ!」
真っ白な意識の中、一気に出した。門の扉に向かって何回も放った。俺のは先走りも多いみたいだけど、精液もかなり多いらしい。5発6発といつまでもホースから水が出てくるように、ヒカルの手に合わせ放出する。かなり飛ばしてしまっている。
光「あーあー相変わらずすごいね〜。貯めてるわけでもないのにイヤらしい」
そう言って、出し尽くした後のモノを咥えてくれた。敏感に感じてしまい腰を引いたが、ヒカルは構わず残りの液を吸いとる。そして立ち上がり俺に優しいキスをした。
キスを受けながらヒカルの股間に手を当てると、かなりビンビンになっている事が分かったので、ベルトに手を掛けて外そうとした。
光「俺はいいって」
俺「なんで?こんなになってるのに?」
光「シュウのイクのを見てるのが好きなんだからさ」
そう言ってバイクの方にそそくさと歩いて行ってしまう。
俺も急いでジーンズを穿き、ヒカルに追いつく。
俺「俺もヒカルがイクのを見たいしイカせて上げたいよ。だからやって見ようよ、ねっ?」
光「いいって言ったらいいんだよ!」
振り返ったヒカルの顔は、かなりキツい目をして怒っている様に見えたので、それ以上は言えなかった。
俺『なんで怒るのさ…』
光「さっ、帰ろう。乗って」
気まずい雰囲気が残りながらも、仕方なくバイクに乗り家に戻る。そのまま家で下ろしてもらい、ヒカルは帰ることになった。
光「じゃまた学校でな!着いたらまたメールするから」
いつものヒカルに戻って笑顔で言う。
俺「気をつけてね。事故って死んだら後を追わなくちゃならないから」
そう言って手を振り別れた。
俺『なんであそこまで頑ななのかな。理由がわからないとどうしていいかわからないよ。でも理由を聞いたらなんかキレそうで、これからも聞きにくい雰囲気になっちゃったな』
俯き、考えながら家に戻った。

それからは、特に変わったこともなく学校でもヒカルと普通に会っていた。
GWはヒカルが家の手伝いってことで会えず、ほとんどメールだけ。学校の帰りなどには、いつものメンバーで遊んだり騒いだりするくらいだった。ヒカルと2人で帰ったりもしたものの、誰にも見えないところでちょこっとイチャつくくらいで、変わった進展があったわけではない。
ジトジトした梅雨ももう少しで開ける。
『きっと来年は受験に向けて忙しくなるだろうし、今年の夏が楽しめる最後のチャンスかもな』
俺としてはそう思っていた。

この頃、いつもの5人メンバーで遊んでいても、それほど悪巧みをするって事もなかった。というよりも休みの日なんかにはいつも俺だけが呼ばれない状態になっていた。ちょっと仲間はずれ的に思って苛つくこともあったし、寂しい思いもしていた。
仁「家もおまえだけ離れているし、急に呼べなかったから」
そんな言い訳をされるだけだ。スッキリしない時には、大概ヒカルが慰め役になる。そんなヒカルに当り散らすこともあったが、何も言わず慰めてくれるだけだった。
ヒカルとの事、友達との確執など、梅雨の天気のように今一つスッキリとせず、この時期は時間だけが過ぎていくだけだった。

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さよならの向こう側には【涙の受験編、前編】...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/23(土) 0:54 -
梅雨の末期は長雨が続く。しかも大雨が多い。
今日も雨だ。たまには雨の音でも聞いてロマンチックな気分に…なんて気持ちには、今はとてもなれないでいた。疲労感や何よりも孤独感がそうさせている。
『独りか…』
実は、いつものメンバーの俺以外の4人が謹慎処分となったのだ。3年生に絡まれて喧嘩になったって事らしい。
俺には同じ学校に一つ違いの兄がいる。だからだろうか、俺がいる時には3年の奴らもほぼ手出ししてこない。
それなのに、最近みんなが俺と一緒にいる機会が少なくなった時に、ついにやらかしてしまったのだ。悪いのは3年の方だったらしく一週間の停学。巻き添えだったものの喧嘩両成敗って事でメンバーは3日の自宅謹慎処分となった。
みんなの事を心配しながらも孤独感に苛まれる。ヒカルにメールをしても、元気だって返事が返ってくるだけだった。
『なんで俺だけここにいるの?なんで呼ばれなかったんだろ?みんなと一体感を持ちたいのに…』
昼休みだが隣にヒカルはいない。それで仕方なく独りでボーっと外を眺めてる……。

例年より早く梅雨明けしたその日、謹慎が解けみんなが戻ってきた。嬉しい反面俺の中では疎外感が強く残り、朝からみんなに会わないでいた。
昼休みになっていつものようにヒカルがやって来た。クラスの奴らがヒソヒソ話しているのが感じられるが、ヒカルはそんな事は構わず堂々としている。雰囲気が悪かったので教室から出る事にした。
なんとなくブラブラと無言で2人で歩いていたが、知らないうちに日頃あまり使われない実験棟に来ていた。誰もいない教室を選んで入った。
中に入ったもののまだしばらく無言でいた。そんな雰囲気に我慢できなくなったのかヒカルが俺のそばに来てキスをしようと抱きしめてきたが、俺はそれを軽く振り解いた。
光「なんだよ。しばらく会わないうちに嫌いになったのか?」
俺「嫌いじゃないよ。でもなんでみんな俺ばっかり相手にしてくれなくなったのさ。俺の方が嫌われたみたいじゃん」
光「そんな事ないよ。みんなおまえを大事に思っているはずさ」
俺「なら俺だって謹慎になっても良かったから、みんなと一緒にいたかったよ」
光「おまえがいなくたって俺達だけで充分だったさ」
俺「意味わかんないね」
光「いいんだよ、それで。理由なんかどうでもいいだろ!」
再度俺を抱きしめようとするが、それを無視し黙って部屋を出た。初めてヒカルに反抗していた。
苛立ち部屋を飛び出してきたが、ヒカルが後ろから追いかけてくる様子もないようだ。
ヒカルと深い仲になってから、本気で怒りをぶつけたのは初めてだと思う。ヒカルの態度に呆れてわざと苛立ってみせることはあっても、それはあくまで本気ではない事だ。今回はそれとは違う。
自分のクラスまで小走りに来たものの、教室には入らずそのまま通り過ぎて屋上まで来てしまった。今日は日差しが強い。いつもは暑さに閉口するだろうが、今はそんな事も感じる余裕もなくなってしまっている。
ヒカルに対してぶつけた気持ちだけは変えるつもりはない。ただ、いつも言葉の少ないヒカルに説明を求めても、それなりの答えが返ってくる事を期待するのは間違っていたかもしれない。なんとなく今まで心に溜まった気持ちを誰でもいいからぶつけたかっただけだ。今の気持ちをわかって欲しかっただけだった。
ヒカルは理解してくれたのか、それとも俺がキレた事に腹を立てているのか。それもわからない。
『もしこのままヒカルと話をする事もなくなったら?』
そんな事になるのだけはイヤだ。部屋を飛び出さずに、納得行くまで話してくれば良かった。
『少し後悔、いや、かなりの後悔か…』
自分の思っている事をわかって欲しいという気持ちと、ヒカルに対して荒れてしまった気持ち。両方が心の中で渦巻いて到底整理なんかできない。
これからどう行動すれば良いのか?
『いくら考えてもまとまらない…』
ヒカルとのつき合いはどうすれば良いのか?
『そんなの決まってるだろ!終わりになんかしたくない。ただそれは俺がそう思ってるだけで、ヒカルはどう考えてるか…』
やっぱり整理なんかできない。
『あーイライラする…』
チャイムが鳴った。イヤな音だ。いつも急かすように鳴る。いつも邪魔をする。もう少しここに居させて欲しいのに。考えがまとまるまで待って欲しかった。まぁ今日はいくら考えてもまとまるわけがないような気がする。ここにいても仕方ないか。
何か暑い。さっきまで気にしていなかったのに、急に暑さが堪えてきた。汗がでてくる。チャイムも日差しも俺にはムカつくものにしか感じられない。
『教室に戻らないと』
授業が待ってる。試験も近い。今日は勉強なんてしてても頭に入るわけがないが、でも仕方ない。
『今はあそこにしか居場所がないか…』

教室に戻ると、さっきまでジンが来ていた事を友達から伝えられる。
すれ違いだと聞いて半ばホッとする。会っても何を話していいかわからないし、きちんと話せるか今は自信ないから。とりあえず今は誰とも会いたくない気持ちの方が強い。
今日は午後2時間の授業だったが、やっぱり身が入らなかった。試験前の追い込み授業みたいな感じだったが、仕方がない事だと自分に納得させる。
授業が終わった後もしばらく帰らないでいた。人気がなくなってからゆっくり帰る。
どうやって帰ったかよく覚えてないが、いつのまにか家に着いていた。いつもの道を通ってきたのだろうけど。
家でもボーっと過ごす。宿題やって勉強してって感じだ。
夜遅くになって初めて気づいた。なんとなく視界に入った携帯のランプが点滅している。
『メールが来ているんだ』
今まで携帯があるって事に気が回らなかった。とりあえず確認してみると、予想通りジンとそしてヒカルだ。
仁『明日みんなで話そう』
ジンらしい簡潔な内容だ。返信を送る前にヒカルのメールを確認してみる。
光『疲れただろ?今日はゆっくりお休み』
両方とも短い内容だったけど、決して俺を責めてるような内容じゃない…。
メールが来て返さないのは俺にとって好きな事ではない。どんな時でも、送ってくる方の気持ちを考えれば返さずにはいられない。
とりあえずでいいから、なにか返しておかなければならない。
ジンには『分かった』とだけ打っておいた。
ただし、いくら考えてもヒカルには言葉が見つからない。
実験棟で突き放した時、ヒカルはどう思っただろうか。
ヒカルの顔が浮かんでくる。出会った時の無表情、はにかむ感じの笑い顔から段々とさまになって来てる笑顔。そして鏡の中のヒカル…。俺にとってはいつでも大事なヒカルだったはずだ。
もう一度メールを読み返す。…そして一言『おやすみ』とだけ打ち込んだ…。

次の日、いつも通りに学校へ行った。
体育の授業もあり、憂さ晴らしするように暴れ回った。いろいろ忘れたかったのかもしれない。
そして昼休みがきた。予想通りか、予想に反してか、ヒカルは来なかった。あまりに考え過ぎていたので、どっちを期待してたのか自分でも分からなくなっている。
そのまま何もないと思ったが、昼休みも終わる間際になっていきなりヒカルからメールが届いた。
光『授業終わったら、昨日の実験棟の部屋に来いよ。みんなも来るはずだから』
今は逃げずに思いを話すしかないかと思った。

授業を終え放課後実験棟まで行く。途中ヒカルのいる教室の前を通る。ちらっと担任の教師が話をしてるのが見えた。
『俺の方が先か…』
その方が都合が良い。途中でトイレに寄り鏡を見る。
『冴えない顔をしてる』
鏡を見ながら思い出すとまた苛立ちが出てきた。思う存分ぶつけるだけだ。
トイレを出て部屋の前まで来た。若干躊躇したが思いきってドアを開ける。
『まだ誰もいないや、ふぅ』
部屋を横切り窓際まで行って外を眺めていた。
『最近ずっと独りで外を眺めてたな…』
そう思ってるといきなり部屋のドアが開いた。ちょっとドキッとして振り返る。4人全員一緒に来たみたいだ。最後にヒカルが入ってきたのを見て、慌てて外を向く。
みんなは俺の周りに陣取った。椅子に座る物もいたりして俺を囲む。ヒカルだけは離れたトコに座った様だ。
仁「シュウ、独りで寂しかったんだって?ヒカルに聞いたよ」
こういう時の先導役は必ずジンだ。
俺「寂しくはないさ。ただなんか俺だけ相手にされてなくない?」
仁「そうじゃないんだ…」
この言葉を聞いて俺に火がついた。
俺「そうじゃない?なにがそうじゃないのさ!最近何をするのにも俺だけ呼ばれもしない。間違ってる?」
仁「間違ってないよ」
俺「なんだよその答えは!やっぱり俺だけ呼ばないって事か。1年の時からどんなワルサだっていつも一緒だったろ?」
実際犯罪になるような事はしないものの、喧嘩等スレスレな事はたくさんしてきたわけで…。
俺「いつでもみんな一緒でって事が俺達の取り柄だったはずだよ。いろんな事を一緒にやってきただろ?最近になって俺だけ呼ばれないなんて酷くない?」
こんなような事をおそらくかなり一方的にまくし立てたような気がする。
言い終えて少し間が空いたが、仁がゆっくり話し出した。
仁「4月の初めにさ、ヒカルだけはいなかったんだけど、俺達3人でいる時にF校の奴らに絡まれたんだよ。それで喧嘩になって初めて警察に捕まった」
俺にとっては初耳だ。予想外の話だった。
仁「今回と同じように悪いのは相手さ。警察じゃ怒鳴り散らされたり、かなりイヤな目にあったけどな」
3人で顔を見合わせ苦笑してる。
仁「そン時に、親とおまえの担任の○○(先生)も迎えに来た。アイツ学年主任だしな。警察以上にクドクド言われたよ。帰る時にイヤミな感じで『シュウがいなくて良かったな、フフッ』って言ってた。今考えれば顔はイヤミじゃなく真剣だったかもしれない。でも俺はさ、コイツ自分のクラスの奴の事しか考えてないのかよってずっと思ってたんだ。それで次の日にヒカルを交えて4人でいた時に、その話になったんだよ」
ジンがヒカルを見る。それにつられて俺もチラっと様子を窺う。ヒカルは何も聞いていないって様子で、窓枠に足を乗せボーっと外を見ている。
仁「ヒカルに言われて、俺達も前から心の中で考えていたことが判ってきたんだ。俺達はここの総合高校に入ってきて、これからそれぞれがいろんな道に進んでいくことになるよな。たった3年間だけの付き合いさ。それなのに俺らはいいかげんな奴ばっかだからさあ、まだ先行きなんて大して考えていないよな」
みんな頷いてる。
仁「でもさぁ、シュウだけは俺達とは違ってすでに進路を決めてそっちに向かって進んでるじゃん?」
俺「でもそれはさ…」
仁「まあいいから聞けよ。俺達とシュウはそういうトコが全く違うのに、シュウはそんなところを全く感じさせないで、普通に一緒にバカやったりふざけたりしてるだろ?俺達はシュウのそういうトコが好きだし、今までも一緒にいたんだよ」
俺「…」
仁「俺は実際に羨ましくも思うし、マジ頑張れって思ってるよ。だからさ、もう一回担任の言った言葉を考えてみな?警察沙汰になった時に『シュウがいなくて良かった』。ヒカルに言われて気がついたのはこれだよ。今は俺達みんなそう思ってるんだからさ。わかるだろ?」
俺「……」
仁「この間3年に呼ばれた時にも、シュウだけは誘うなってヒカルが言うから誘わなかったんだよ。俺達といる事でシュウの人生が狂うような事はしたくないんだ。そうなればシュウが一番ショックを受けるだろうし、俺達だって同じくらい一生辛い思いをしていかなきゃならなくなる。だから今回の事でシュウが怒ってるって聞いて、シュウが俺達と一緒に居たかった気持ちは充分理解できたからさぁ」
ジンは俺の顔をまっすぐ見てさらに言った。
仁「だから、お願いだから、俺達がシュウの事を大事に思ってる気持ちもわかって欲しいんだ」
俺の中で熱くこみ上げてくるものがあった…。窓に凭れかかったまま動けなかった。
俺は自分の事しか考えてなかった。孤独感とか切なさとか自分の感じるままに気持ちをぶつけてた。
謹慎が解けて、みんなを慰めなくちゃならなかったのは俺の方だったんだ。なのに…、それなのに…、俺一人だけ勝手に…。
俺「…ごめんね、みんな…」
ジンの顔も見れず、俯いたままそれだけしか言えなかった…。

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Re(1):さよならの向こう側には1〜7
 はやと  - 07/6/23(土) 13:08 -
長編編集部さん最初から最後まで読ませていただきました!エロイ話しもあり友情の大切さについて考えさせられることもあり読んでて興奮してしまいには涙が溢れてきました。ありがとうございました!

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さよならの向こう側には【涙の受験編、前編】...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/23(土) 22:34 -
「泣いてる?」
「もう少しうまく話していれば号泣したんじゃないの?ヘタクソな演説」
「何だ、つまんないの!」
3人が笑いながら俺を下から覗き込む。
俺「…ったく」
俺は顔を背けながら呟く。
光「ハイよ、そこまでね。ここからは俺だから」
ヒカルが近づいてきた。
光「3匹はさっさと帰れ」
仁「なんだよ!」
俺「…でも俺今まで通りみんなといたいし」
2人の言葉を無視して思った事をぶつける。
仁「そうそう、それなんだけどさ、俺達は警察沙汰1回、学校も謹慎1回で、もうこれ以上ワルサも出来ないから、これからはシュウがいてくれても大丈夫だし、いてくれたら悪いことも出来ないから一石二鳥、ん?一挙両得?なんかそんな感じで(笑)!」
ジンの笑顔には救われる。
俺「…ありがと」
仁「じゃな!」
そう言って3人で部屋を出ていく。入口でジンが振り返ってヒカルに目配せしたように見えた。

部屋にヒカルと残った。ヒカルが抱きしめてくる。今度は逃げずにヒカルの肩に顔を埋めた。
光「おまえ昨日ここから出て行っちまうし。あれから1日しか経ってないけど長かったな」
俺「うん」
光「今日ウチに来る?」
俺「俺ン家においでよ。試験勉強って言えばヒカルなら大丈夫だし」
光「おぅ!分かった。じゃ荷物を取りに家に帰ろう」
とりあえずは2人でヒカルの家に向かう事になった。
ヒカルは最近自転車通学を始めた。今日も自転車だったので、2人乗りしてヒカルの家に向かう。
しばらくはお互い黙ったままだった。
ヒカルの広い背中を見ながら俺は考えていた。
『ジンの話が心に響く…。3年間のつき合いかぁ。学校に来れば毎日みんなに会えるって思っていた。いつもその場の楽しさだけを追いかけてた。でもヒカルとの事も終わりがくる日があるのだろうか…』
ちょっと切なくなる。
光「…シュウ?何か考えてるのか?」
俺「うぅん、何も」
光「そっか。ならいいけどさ。俺はずっと一緒にいるからな」
俺「うん」
それきりまた無言になる。同じ事を考えていたとも思えるヒカルの会話にドキっとした。
そのまま家につき、ヒカルは荷物を持ってすぐに出てきた。
俺の家まではバスで向かう事にする。いつもより時間が遅かったせいか、バスに乗り込んだが客の数も少ない様だ。2人で一番後ろの席に座る事にした。
光「俺達あとどれくらい会えるんだろうな」
やっぱりヒカルもさっき俺が考えていたのと同じような事を考えている様だ。
俺「そうだね。でもまだ知り合ってそんなに経ってないよ?ジンの話を聞いてて思ったんだけど、ヒカルが俺と一緒じゃない時でも、俺の事を考えてくれてるってわかったし、そんな奴放っておくわけにいかないからさ(笑)。今まで以上に2人でいる時間を作りたいよね」
光「そうだな」
そう言ってさり気なくヒカルが手を握ってきた。いつのまにか自然にこういう事ができるようになっている。
光「今まではさ、俺は女ともできるわけだし、おまえが『男を好きになれる』って言ってた時から、俺とは少し違うかなと思ってたんだよ」
俺「ヒカルは俺以外の男は無理?」
光「無理無理!今でもあり得ない。だからさ、今まではとりあえずシュウさえ気持ち良くさせればいいと思ってたし、自分ではあまりしたくなかったんだ」
俺「エッチをって事?」
光「うん」
心の中で引っかかっていた話をヒカルが切り出した。
光「なんかうまく説明できないけど、そこまではしたくなかった。男にイクところを見られるのも恥ずかしいしな。でももうそんな事はどうでもいいよ。今は図書館で話した時以上の気持ちなんだよ。あの時なんて目じゃない。それに時間がないだろ?今からはシュウを楽しませるだけじゃなくて、俺も楽しませてもらうからな」段々とヒカルの顔が緩んでくる。
俺「お手柔らかに頼むよ」
光「そんなわけにいくかよ。今までの分を取り返してやるぜ」
少し怖くも思ってしまい、俺の笑顔も少し引きつってしまう。
バス停に着き、コンビニで買い物をしてから家に歩いて向かった。
家に着くと母親が食事を用意してくれていた。家族みんなは食べ終わっていたので2人で食べる事になる。
相変わらずヒカルは母親の前で愛想がいい。
光「うん!おいしいです」
母親とニコニコ話している。
今日は妹は塾へ、兄貴は友達ン家に泊まりって事で誰もいないからヒカルとゆっくりできるわけだ。
食事が済むととりあえず別々に風呂に入る事になり、まずは俺から、そのあとヒカルが入った。
ヒカルも風呂上がりにTシャツと半パンに着替えて寛いでいた。
2人でベッドに横になると、早速向かいあって抱きしめ合う。ただただじっと抱きしめ合っていた。
ここのところ色々あってあまり眠れていなかった。温もりが心地良過ぎてウトウトしてしまうが、ヒカル自体も抱きしめながら目を瞑って眠っている様に感じられた。

どのくらい経っただろうか、目を開けると隣でヒカルが俺の顔をじっと見ていた。
光「寝言言ってたよ」
俺「なんて?」
光「内緒」
ニヤニヤしながら指先で顔に触れ、鼻や目をなぞる。それから前髪を左右に分けて額にキスをしてきた。
光「髪伸びてきたな。もうちょっとか」
髪を撫でながら長さを確かめている様だ。
しばらくして、ゆっくりと優しくキスをし始める。なんだか今日はいつもよりも常に優しい雰囲気が感じられている。
光「シュウの家に来て、食事食べて、家族と話をして。すげぇ落ち着くな。それで誰にも邪魔されずに2人でいられるし」
俺『そっか、その優しさが素直に気持ちとして現れてるんだ。激しい時のヒカルもいいけど、こういうヒカルもなんだかいいな』
キスの味を確かめながら頭の中でそう考えていた。
しばらくしてゆっくりとTシャツの中にヒカルの手が入ってきた。乳首を探して手が動く。ようやくそこを見つけると指先でちょっと強く摘んでくる。
俺「…くぅ」
身体が自然にピクっと反応する。
光「相変わらず反応がいいな、ここは」
俺「…ヒカルがエッチだからだよ」
光「無駄口だな」
強引にキスで口を塞いできて俺に喋らせないつもりだ。
口と胸、両方を攻められ、快感に少し背中を仰け反らせてしまう。その隙に一気に俺のTシャツを脱がすと、ヒカルも上を素早く脱いだ。こういう動作やタイミングはかなり手慣れている。
ヒカルはさらに舌で右の乳首を攻め出してきた。左乳首は空いた手で痛ぶられてしまう。舌の動きが激しくイヤらしく乳首に絡み着く。
俺「うっ…くぁ」
俺は思わず腰を浮かすように悶えた。それに反応してまた強く攻められる。
光「淫乱だなぁ。こんな敏感な奴見た事ないぜ」
腰を浮かせた瞬間に背中に手を入れ俺の上半身を起こし、胡座をかいた自分の上に乗せると、乳首をさらに攻めだした。
左手を腰に回し俺の身体を支え、右手は後ろからパンツの中に入れてくる。割れ目をなぞったり肉を掴んだりと乱暴さも感じられる。
光「後でここもやってみようぜ」
後ろの穴を軽く指先で触ってきた。
ヒカルは悪戯でも楽しむ様な目で俺を下から見上げていた。
そんな動きや言葉で少しずつヒカルのペースに嵌まっていってしまう。これがヒカルのパターンだ。
上に乗せた俺の身体を器用に動かし下を脱がし全裸にされると、背中で両腕を固定された。これもヒカルの大きな片手で充分だ。空いた手は尚もケツを弄んでいる。さらに上半身を口で攻められていく。いろんな部分で息をつかせない攻めが続いた。
俺「あぁぁ…すごぃょ…っく」
光「ほら、いい声が出てきたじゃん。こんな身体してイヤらしいしな」
一旦俺を下ろして自分も全裸になると、ベッドの上に立ち俺の頭を強引に掴んだ。
光「しゃぶれよ」
一言乱暴に言い捨てる。
俺は黙って足の間に膝まずきながらヒカルのモノを吸った。半勃ちだがそれでもかなりデカい。口の中で次第に膨れ上がっていく。
ヒカルは乱暴に髪の毛をつかみゆっくりと腰を振り出した。
俺『この為に髪を伸ばせって言ったのかな…』
苦しさに耐えながらもそんな事を一瞬考えていた。
光「あぁ、すげぇいい…ぐぁ」
段々と腰のスピードが増してくる。
光「あぁ…チョー気持ちいいよ」
いきなり力づくで俺を押し倒し、俺の頭の上に反対側を向いて跨ぐと俺のモノを咥え出した。俺もヒカルのモノをしゃぶるが、ヒカルの攻撃に思わず口から離れてしまう。
俺「んぐ…むぅ…あぁ」
ヒカルはそんな俺に構わず、腰を沈め俺の口に強引に突っ込み腰を振る。
堪え切れず再び吐き出し、ヒカルの攻めに我慢しながらも陰毛のほとんどない玉を吸ったり舐めたりした。これにはヒカルも思わず仰け反った様だ。
光「マジヤベぇよ」
再度俺を抱きしめ、足を伸ばして座り、足の間に向かい合わせで俺を座らせる。そして2本のモノを掴みシゴき出した。
光「あぁ…これ…これがすげぇ好きなんだよ」
俺の先走りを潤滑油に激しくシゴく。
俺「ああぁぁ」
光「あぁ…裏スジがスゴ過ぎるょ」
右手で強くシゴき、左手を強引に俺の首に巻きつけ、濃厚なキスをしてくる。
それに対し俺はヒカルの両乳首を強く触る。2人ともキスをしながら声にならない呻き声を出していた。
そのまま俺を押し倒し、握る手を強くした。
俺「ヒカル…んぐ…も、もう我慢…できない、やめて…」
光「俺もだよ…このままさ…」
俺はあっという間に限界に昇りつめていった。
俺「もうダメ…ヒカル…ィ、イクっ!」
頭が真っ白になったその瞬間、身震いする様にして俺は放出した。
ヒカルの激しいシゴきに何回も出捲り、なかなか止まらない。
俺がヒカルの顔を見るとヒカルも限界の様だった。チラっと目が合う。
光「んぅ…バカ、見るなよ、もうイっちまうぜ…あぅ」
そう言うと、仰け反る様にして俺の腹に向って精液を飛ばした。
光「あぅ…うぅ」
小さな叫びとともに初めてイキ捲っているヒカルを、向かい合った俺はじっと見ていた。

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さよならの向こう側には【涙の受験編、前編】...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/24(日) 1:31 -
ヒカルは俺の腹から首、顎にまで大量に出した。俺の体の上で四つん這いになり、頭をもたげて呼吸を荒げている。
光「はぁ…はぁ…」
俺も呼吸を整えながらヒカルを下から見た。
目が合ってヒカルがキスをしてくる。優しくソフトな感じだ。
俺「どうだった?」
光「すごっ!って感じだったな。今までにない不思議な感じ。今まで我慢して失敗した」
俺「そっか!よかった」
そう言いながら首に手をまわしもう一度キスを返した。
お互いに汚れた身体を拭き取った後、2人でベッドに横たわるとヒカルに抱擁された。喜びに浸る一時だ。
ヒカルの顔を見た。無表情さは変わらないが、目を瞑って安らかな呼吸をしている。
抱かれた腕から伝わる温もり。今日の放課後までの不安な気持ちをすべて忘れさせてくれる。
閉じた目にそっとキスをしてみた。目を開けてニコっと笑うと起き上がり左肘をついて斜め上から俺を覗いてくる。右手で俺の髪をかき揚げたり前髪を左右に分けたりしている。
光「…好きだよ…」
大人じみた態度をみせるヒカル。見た目が年齢よりも上に見えるって事はないが、無表情さからなのか落ち着いた雰囲気からなのか、とにかく安心して身を任せられる。そんなヒカルにしばらく見取れてしまう。
光「男同士でやる時はこれだけで終わりってわけじゃないだろ?」
しばらくして俺を見ながらふいに話しかけてきた。
俺「…まぁする事は先にあるよね」
光「してみてぇな」
俺「…マジ?今度ってのは?」
ちょっと不安になってくる。
光「俺達には時間がないだろ(笑)」
この笑いがヤバい。言い出したら聞かないからだ。
俺「…初めてだし、痛いって聞いてるし…」
光「優しくするよ」
俺「あまり清潔なもんじゃないだろし、怖いよ」
光「構わないから俺に任せな」
そう言って荷物から何かを取り出す。出てきた物はローションにゴム、タオルなんかだ。
光「今日はこのくらいの道具でいいだろ」
俺「てかそれ以上の物があるわけ?」
光「玩具。俺がSだって事は知ってるだろ?」
よく知ってはいるが…。
俺「いきなりそんな…」
光「また無駄口かよ」
いきなり鼻を抓まれる。苦しくなり開けた口に、いきなりタオルを噛ませる様に突っ込んできた。
光「タオルを出したらお仕置きだからな」
急にキツい口調で言った。さっきの目とは違う鋭い目。俺は声にならずに首を横に振る。
光「優しくするからな」
ヒカルは俺の頭を両手で押さえこみ、内容とは裏腹の冷めた言葉を吐いた。
俺の横から口で乳首を吸い始める。強く激しい。さっきまでたっぷり吸われていたから軽い痛みを感じるが、そんな俺の事は構わず舐め続けていた。
声が出ない、というより出しても聞こえないわけだが、身体だけは乳首攻めに反応し悶えてしまう。そんな俺の様子を、ヒカルの冷たい目が窺っている。
早くも俺のモノは反応し出した。先走りが湧くように出てくる感覚が伝ってきていた。
ヒカルもそれに気づき、モノを握り先走りを指で亀頭に広げていった。さっきまでとは違う快感に、俺の身体がさらにピクッピクッと反応しだす。
ヒカルが頭を上げ、俺の反応を見て冷ややかな笑いを浮かべる。
光「身体は正直だよな。怯えた目をしてるじゃん。その目が堪らないよ」
俺のモノを握りながら、足の間に入り俺の膝を立たせると、オイルを手に取り割れ目に沿いゆっくりと塗りたくってきた。ヒヤっとした最初の感覚に一瞬驚いてしまう。
再度ローションを指にたっぷりと塗り、今度は穴の入り口を特に重点的に触れながら、探る様に俺の様子を窺った。
光「怖いのかよ」
俺は声を出せずに、軽く頷いてみせる。
光「しょーがねぇな」
そう言って左手を延ばし俺の右手を握ってくれた。いつもの優しい握り方だ。
俺『安心させようとしてるのかな…』
そう思っていた矢先にいきなり指が進入してきて、激痛が走った!思わず身体に力が入り身構えてしまう。
光「大丈夫さ。ほら、力を抜けよ。ゆっくり深呼吸して」
光の指は少しずつゆっくりゆっくり奥に向かって進んで行く。反対側の手は優しく撫でる様に俺の手を握ってくれていた。
途中で一旦手を止めた。
光「どうだ?」
少し痛みが減り、俺は眉間に皺を寄せながらもゆっくり頷いた。
それを確認すると、また中に向かって進み出す。
光「一応全部入ったみたいだぜ。大丈夫だろ?段々と慣れてくるさ」
最初はかなりの激痛だったが、穴の入り口を越えた辺りからは少し楽になってきている。
五分くらい無駄話をして、俺の気持ちを紛らわせながら慣らしてくれていた。
俺『ヒカルも初めてなんだ、探りながらって雰囲気は伝わる』
光「どう?落ち着いたか?面倒だったから最初から2本入れてみた」
その言葉に思わずため息をつく。
俺『…ヒカルらしいよ…』
一度ゆっくりと引き抜いたが、すぐに再度入れてきた。明らかに指が増えたのがわかる。
今度も慎重に奥まで入れたが、さっきとは違い少しずつ抜き差しを始める。
痛みはなくなっているようだが、中で指を回した時にはかなり苦しく、思わず顔をしかめた。
ヒカルもそれに気づき、手を止めまたしばらく様子を見ている。
そのヒカルと目が合う。しばらく見ていると良からぬ事が浮かんだのか薄く笑った。
指を引き抜きもせずに、俺の頭の近くに自分の股間を持っていく。
光「ゴムをつけさせろよ」
俺の目の前にゴムを投げてよこした。それを拾い、ヒカルのイキリ勃ったデカいモノにつけていく。
俺『それにしてもデカい…』
見ているだけで怖さを感じる。
光「ローションもつけろ」
わざと胸の上に投げつけてくる。ビクっとするが、身体を動かすたびにケツの中の指が動いてしまうので耐えた。できるだけ身体を動かさない様にしてたっぷりとローションを塗ってやる。
ヒカルはもう一度足の間に正座するように座り、少しだけ俺のケツをたぐり寄せて、少し指を抜き差しして試した後に引き抜いた。
チラっと俺の顔を見る。ヒカルから見ればきっと不安感いっぱいの顔だろう。
それを見透かした様に笑い、穴の入り口に自分のモノの先を当てた。そしてゆっくりと腰を全身させてきた。
俺『!』
俺は思わず痛さに首を振ったが、見かねてヒカルは再度両手を握って安心させてくれ様としていた。
光「ゆっくり呼吸しろよ。力を抜け!」
なおも少しずつ前進して、どうやら中まで入ってしまったようだ。少し前屈みになって俺の顔を上から覗いてきた。
光「できたな。すごい締め付けだよ。それに暖かい」
じっと動かずに俺を観察してる。しばらくの間このままでいてくれた。
光「動くぜ」
少し経ってからゆっくりと前後させてきた。中まで、奥まで、ゆっくりと動く。
奥まで行き着くとやはり痛みが走った。
俺『くっ…ぐ』
声にならない声を出す。痛みに意識が跳びそうになる。
それでもしばらくすると痛みが少しずつ和らいできた。
それを察知した様にヒカルもペースを早めて動きだす。
光「すごいよ、こんな締め付け初めてだよ」
ヒカルも徐々に感じ始めているのか、俺から顔を逸らし虚ろな目になる。
いきなり俺の両足を肩に乗せ、さらに奥まで突いてきた。
俺『うぅ…ぅ』
これにはさすがに我慢できず、ヒカルの膝を握り首を振って暴れた。
光「いいリアクションだな」
俺の辛さに構わずさらに激しく突く。
俺『感じてるんじゃないのに…』
そう思いながらもヒカルの攻めに耐えるしかない。ひとしきり腰を振った後、足を降ろし一旦動きを止めた。
入れたまま俺に重なる様に倒れてきて俺の乳首を舐める。
乳首攻めに俺の身体が仰け反り反応しだす。
光「うぁ、締め付けて来るぜ。全く淫乱な奴だ」
それを楽しむ様にさらに舐め続ける。
しばらく弄ばれた後で、俺のモノを見て言った。
光「先走りが糸を引いてやがる」
いきなり俺のモノにローションをつけて激しくシゴかれると、さらに意識が遠のいて行く様だった。
光「もう我慢できないぜ」
ヒカルも一気に激しく腰を動かした。すご過ぎる動きの激しさに、同じくらいのシゴきが加わる。
光「シュウ、ずっと俺のものでいろよ」
その言葉とともに激しさが一層増した。
ヒカルも俺もすでに周りが見えなくなっていた。俺の腰の脇に両手を着き、ヒカルは激しく腰を振っている。
光「あぁ…チョー気持ちいい…」
すでにヒカルの視点は定まっていない。
光「ゃ、やべぇよ…イクっ」
腰の動きが頂点に達したかと思うと、ガクガクっと崩れ落ちるように腰を密着させてきた。どうやらイッた様だ。穴の中でしたたかに放っていくのが分かる。ドクっという感触が何回か感じられる。
光「ぐ…はぁ…はぁ」
呼吸も整わずモノを抜かないまま、間髪いれずに俺のモノをシゴきあげてくる。俺もヒカルの大きな手の中ですぐに限界を迎えた。
俺『うっ…ううっ』
声も出せないまま一気に放出した。白い液が止めどなく湧き出てくる。何発放っただろう、2回目とは思えないほど大量だった。
出し終え正に放心状態だった。痛みから始まった感覚も、ヒカルを受け入れ快感へと変わっていった。何となく腰に力が入らない感じだ。
ヒカルを下から見上げると、ヒカルも俺を見下ろしていた。
口からタオルを抜いてもらうと、再び目を合わせお互い笑顔になる。カラっとした笑い。快感と恥ずかしさの中で、ロマンチックというより歓喜という感じだったかもしれない。
光「すごかったな。間違いなく病みつきになるな…痛くなかったか?」
俺「なんとかね。ヒカルすごいから起きあがれないくらい。フラフラだよ」
光は笑顔を見せた。
光「さて、ゆっくり抜くのと一気に抜くのとどっちがいい?」
俺「じゃゆっくりで」
ヒカルは最初ゆっくりと抜くそぶりを見せたが、途中から一気に引き抜いた。
俺「ああぁぁぁ」
びっくりして、最後の雄叫びの様に声を上げてしまった。今まで出なかった声をまとめて出した感じだ。あわててヒカルが口を押さえる。
光「バカ!淫乱な声を出すなよ。もう終わってるんだぜ?」
俺「ヒカルが意地悪するからだよ」
お互い苦笑してしまう。
身体をきれいにしてからしばらく抱き合って横になった。
光「シュウ、俺達ずっと離れないで一緒にいような。なんかあったら俺が身体を張って守るから」
俺「うん、ありがと。俺もヒカルしか見えないから」
光「これからいっぱい楽しもうな。だって俺達には……わかるだろ?」
俺「?何?」
光「時間がない!」
思わず笑ってヒカルに抱きつきキスをした。
俺「あ〜もう1時だよ!早く風呂入ろ?」
時計を見て慌てて一緒に入る事にした。髪を洗い、身体も洗い流す。ちょっと滲みる部分もあったが…。
湯船に浸かる。俺の家の風呂もヒカルの家の風呂ほどではないにしても、2人で入っても丁度良いくらいだ。
ヒカルに手招きされて後ろ向きに抱きしめてもらった。
『いつまでも続きますように』
心地良さにそんなことを考えていた。
風呂から上がり、部屋に戻って同じベッドで眠る事にした。

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さよならの向こう側には【涙の受験編、前編】...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/25(月) 0:23 -
翌日眠い目を擦り準備をしてから朝食を食べ、バスで学校に向かう。ヒカルは寝起きが悪いと聞いていたが、今日はすんなりと起きた。
来週から試験だが、それが終われば夏休みが待っている。
ヒカルと学校に向かうバスの中、夏休みについて話していた。
光「どこかに出かけようぜ」
俺「そうだね、海なんかに行きたいな」
光「いいね〜。2人で真っ黒に日焼けするか!でもシュウは競パン履いて焼けろよ」
俺「なんで?」
光「イヤらしいからさ。身体が黒いのに白いケツってのが淫乱だからな。後ろから攻めたくなるだろ」
またそっちの話だ。
俺「ビキニで焼くの恥ずかしいし」
光「ダメ〜。決定だからな」
相変わらず言い出すと聞かない。
俺「ところで試験勉強はどう?」
光「聞くなよ」
俺「じゃ一緒に勉強する?」
光「いや、クラスの奴とするから。おまえはどうなの?」
俺「どうかな。でも昨日のジンの話聞いたら頑張らないとね」
光「そうだな。俺に感謝しろよ」
俺「はいはい」
そんな感じで学校に着く。
光「今日からは毎日一緒に帰ろうな」
別れ際にそう言って教室に消えて行った。
俺『もちろんさ』
後ろ姿を見ながら俺は思っていた。

それからはいつ何をするのにもヒカルが一緒だった。常にヒカルがそばにいてくれる。
試験はというと、俺はまあまあかなってところだった。それほど良くもなくって感じか…。
『もう少し頑張んないとな…』
一方ヒカルはかなりヤバめだった様だ。おかげで夏休み前半はほとんど毎日強制的に補習を受けさせられる事になった。せっかく楽しみにしていた旅行も水の泡…。そんな寂しい気持ちのまま夏休みに突入する事になる。

ヒカルの性格からいって、補習なんて出ないなんて言うんじゃないかと思ったが、意外に大人しく参加しているみたいだ。
謹慎以来の進歩なのか、担任に進級させないなんて脅されたのか、そのどちらかかそれとも両方なんじゃないかなって思っていた。
8月上旬までは全く会えず、毎日メールや電話で話す事になる。寂しいけど仕方ないかと諦ていたが、代わりに後半は頻繁に俺ン家に泊まる約束をしてある。その後ヒカルの家にも何日間かはお世話になる事になっていた。

俺達の田舎は観光地であり、夏になれば避暑地として多くの観光客が訪れる。また高校大学の体育会系合宿もかなり多く、夏休みの時期には元々の住民の3倍くらいの人工に膨れ上がると言われるほどだ。都心からも高速道路を使えば1時間ちょっとでたどり着ける距離なので当然と言えば当然かもしれない。実際にはわざわざ暑さを凌いでどこかへ出かける必要もないくらいだ。

俺は夏休みの前半を出来るだけ勉強に費やすことにした。ヒカルも補習だし、そのヒカルの為に後半は空けて置きたかったからだ。
前半はクラスの中でも仲の良い3人と頻繁に連絡を取り合って勉強を一緒にすることになった。弘成(コウセイ、あだ名はコウ)と豊(ユタカ)に和也(カズヤ)の3人だ。
俺はクラスメイトと仲が悪いわけではないが、逆に深く仲良くなるって事もなかった。学校の帰りに偶然一緒になって帰ることはあっても、遊ぶ事はないって感じだ。自然と微妙な距離を保っていたような気がする。そんな中でもこの3人だけはヒカル達といる時以外には仲良くツルんでいたと思う。
コウは明るくサバサバしたノリだ。俺によく悪戯を仕掛けてくる。体系は俺と同じくらいでショートヘアがよく似合っている。
コウと性格も似ていてよくウマが合うのがユタカだ。ただ俺達3人の身長が同じくらいなのに対して163cmとかなり小さく、その事を本人も気にしている。ロン毛で見た目も可愛く、背が小さいなりのおしゃれが良く似合っていた。
カズヤはラグビー部で、決して大きい身体ではないが筋肉質。文武両道を地で行くタイプで、切れ長の目が魅力的な感じ。みんなとは明るく話すこともあるのに、俺と話す時にはいつも寡黙な雰囲気を漂わせている。シャイなのかも知れないが、おかげであまり2人で話したことがない。実は密かに俺の憧れでもあった。
3人ともそれぞれにルックスもイケてると思うが、人付き合いがうまくないのか今は誰も彼女がいない。あまり同級生とも進んで話しているところを見たことがないが、後輩の女の子達にはそれなりに人気があると聞いたことがある。

夏休みの間、勉強をする時は学校の図書館って事が多かった。勉強と言ってもみんなで集まる時には夏休みの宿題中心になる。だからそれほど一所懸命ってわけでもなく、和気あいあいといった感じで進めることになった。
8月に入り、コウとユタカが俺ン家に泊まりに来ることになった。たまには環境を変えて勉強をするという意味もあったと思うが、俺の家だけ離れているのでちょっともの珍しかったのかも知れない。カズヤは部活が忙しいとかでやっぱり来れなかった…。
その日昼過ぎに2人がやって来た。
来るとすぐに勉強を始め、夕食を挟んでさらに続いた。
勉強が一段落つき、夜遅くになったので家で映画を見ることにする。ゆっくり寝ながら観たいって事になり布団を部屋に持ち込む。ベッド1つと布団1つしかなかったので、布団にはユタカが、ベッドには俺とコウが寝ることになった。
映画を見てる間は吸い込まれるように見入っているのか、2人ともかなり大人しく話すらしない。俺は何回も見た事があるわけで、少し退屈だったし知らないうちに眠りに落ちてしまっていた。
ふと目が覚めると、コウがベッドから出て別の映画に変えてるところの様だった。何時だろうか、まだ明かりもついている。ユタカは寝ているみたいだ。俺も黙って眠る体制を保っていた。コウが戻って布団に入るとすぐに映画が始まりだす音が聞こえてきた。
おそらく始まって5分もしないうちだっだろうが、不意に俺の唇に何かが触れる感触があった。
察するに多分コウの指だ。なんとなくソフトに触れてきていた。
俺はどうして良いか分からず懸命に寝ているフリをした。しばらくして今度は頬の辺りに同じ様に皮膚の当たる感触が広がる。息遣いから頬同士を擦り合わせている様に思えた。肌が広範囲に当たっている感覚がしばらく続いたが、それがなくなるといきなり太股から股間へと手が伸びてきた。
今さら身体を動かすことが出来なくて、俺は金縛りにあった様に固まっていた。すでにこの時点で俺のモノはビンビンになってしまっている。
いきなり半パンの上から握られた。しばらく指でなぞられたり揉まれたりしていたが、さすがに濡れているのが自分でもわかり、ヤバくなったので寝返りを打った。
コウも慌てて手を引いたようだ。反対側を向いて俺はずっとドキドキしていた。
それ以降俺は眠ることが出来なかったが、幸い何もなく映画が終わるとともにコウはライトを消し眠りについた様だった。しばらくすると背中越しに寝息も聞こえてきたのでホッとする。何がどうなったのかしばらくの間考えていたが、俺も知らぬ間に眠ってしまっていた。

次の日結構遅い時間に目が覚めた。コウもユタカもゆっくりと起き出す。遅い朝食後部屋に戻ったが、それ以降コウも特に変わったところがなくユタカといつものノリでジャレ合っていた。
結局昼過ぎに2人は帰って行く事になった。
まさかコウがあんなことをするなんて思ってもみなかったので、どう理解すれば良いのか1人になってから考えてみた。コウにそういう趣味があるとは今まで思いもしなかったが、特に俺から聞いてみるのもおかしいと思い、向こうから言ってくるまで黙っている事にした。実際のところ、その後夏休み中もコウに何回か会ったが、いつもと変わらない様子で接していたので俺も忘れることにした。
ただしこれがかなり後になってトラブルを生む事となる…。

ヒカルの補習の最後の日は午前中で終了だと聞いていたので、その日はクラスのメンバーと図書館で勉強しながらヒカルを待つ事に決めていた。前もって、終わったら図書館に来るようにヒカルにメールをしておく。
今日は4人が揃っていた。夏休みも半ばになり、ちょっと中だるみ的な雰囲気が出てきていて、今日は勉強もソコソコになんとなくみんなで世間話になっていた。
俺「今日は何時までここにいるの?」
弘「昼までかなあ」
豊「じゃ俺も」
和「俺は午後から部活だから。シュウは?」
俺「補習が終わったらヒカルと一緒に帰る予定だよ」
弘「そう言えばさあ、なんであいつらと仲良いの?」
おそらく今までこの質問をされた事は一度もなかったと思う。
俺「なんでかなぁ。でも一緒にいて飽きないし」
弘「いつも一緒にいるよな」
俺「そうだね。でもそんなに悪い奴らじゃないから」
豊「そうだよな。この学校の悪い事ってそれほどのレベルじゃないよな。他の学校の方がかなりヤバいって話聞くし」
俺「知り合ってみるとみんな普通だよ。そんな酷い事しないし」
少しの間こんな話が続いたと思う。最後に口を開いたのが今まで黙っていたカズヤだった。
和「俺はあまり好きになれない」
いきなり言われたので、何の事を言ってるのか理解するのに少し時間を要した。
一瞬3人で顔を見合わせてからカズヤを見た。コウとユタカはマズいって言うような顔をしている。
俺「何が好きになれないの?」
和「いつまでも子供みたいな事をする奴が好きになれない」
顔色一つ変えないで言う。
その顔はある意味ヒカルの表情に似ていると心のどこかで思っていた。
俺「俺がって事?」
和「シュウも同じ様なことをしてるなら、今からそう思うかも知れない」
俺「あまり言ってる意味がわからないんだけど…」
実際ここまで話しても、何に対して言っているのかが俺には飲み込めなかった。
弘「まあ、俺もコイツとよくジャレてるし、俺達も子供だよな」
そう言ってコウがユタカを指差して同意を求める。
豊「おまえが俺に絡んでくるからだろ!」
ユタカも笑顔でそれに返す。どう見ても場を和まそうって感じが伝わってくる。
俺もそれを見ながら笑って答えた。
俺「そうだね、俺もあまり子供っぽい奴は好きになれないこともあるし、みんながみんな友達になれればいいとは思うけど、雰囲気だけで好きになれない事とかもあるよ。友達になるって難しいよね」
精一杯普段と変わらない態度で話してみた。
俺『硬いカズヤの事だから、俺のグループの事を言っている様で、遠まわしに俺の生活態度のことを忠告したって事なのかな…』
密かにそう考えていた。
カズヤもそれ以上は何も言わなかったので、結局のところの真意はわからなかった。
別の話題に切り替わり、カズヤも俺もその話の中に入っていき笑いながら話す事になったので、少しだけ緊張感が解けてきた。
そうこうするうちに、補習が終わる時間が迫っている事に時計をみて初めて気づいた。
俺「俺そろそろ行くよ」
普段この4人で昼飯を食べている時にヒカルが来ることが多かったので、今日もここで待ち合わせをする事に問題はないは思うが、気まずい雰囲気になりそうだったので、ヒカルが補習を受けてる教室の近くで待つことにした。
またメールする事をみんなに伝え、手を振って図書館を出ようとしたが、カズヤに呼び止められる。
和「近いうちにメールするからたまにはゆっくり話そうな」
俺「うん、わかった」
俺は軽く笑顔を返し図書館を出た。
ヒカルのいる教室まで行きながら考える。
『確かにヒカルやジンのグループは普通じゃないけど、同じ学年でみんなからつま弾きにされているわけではないし、それぞれの友達も結構いるはずだ…』
『それに今話してたメンバーだって、ウチに泊まりに来た夜のコウの行動といい、俺にあまり話しかけないカズヤといい、充分普通の友達って感じじゃない…』
なんだか色々考えると何が普通のつき合いなのか分からなくなってくる。

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さよならの向こう側には【涙の受験編、前編】...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/25(月) 1:31 -
教室の近くまで行くと、ちょうど補習が終わったところのようだ。ヒカルが荷物を鞄に詰めているのが見えたので、黙って廊下で待つことにする。ようやく最後の方に出てきて、俺がいるのに気づいた。
光「おぅ!久しぶりじゃん」
手を伸ばし頬を引っ張る。もうこれくらいじゃ俺も動じなくなっていた。
光「元気みたいだな」
俺「うん。今からどうする?」
光「ちょっとあっちに行こうぜ」
そう言って俺の手を引っ張るようにして早歩きで行った。
行き着いたところは普段は誰も来ない実験棟のトイレだ。夏休み中なのでいつもよりさらに人がいない。ヒカルに先導され一番奥の個室に入った。
入るとすぐにすごい力で抱きつき、さらに俺の顔を両手で掴むようにして貪るような感じでキスをしてきた。
俺「ちょ、ちょっと!いくらなんでもガッつきすぎじゃない?」
光「半月会ってなかったんだぜ?どれだけ我慢してたか」
俺「俺もだよ。今後はこういう事にならないようにしないとね」
それには答えず、ヒカルはもう一度固く抱きしめてきた。
やっぱりヒカルのこの感触が心地良い。抱きしめた時の身体の厚みを感じながらしばらく落ち着いた気分になっていたが、顎を持ち上げられて再び濃厚なキスをされた。俺にとっても久しぶりのキスであり、忘れかけていた物を思い出すように、ゆっくりと味わっていた。
そんな熱いキスに感じながらも、今日だけはヒカルの気が済むようにしてやろうと思う。
固く抱きしめたままのキスがしばらく続いた。
俺『今日は優しい方のヒカルかな』
そんな風に思えるくらい、包みこむような感覚が広がる。預けている身体をしっかりと支えるヒカルの抱擁は精神的にも落ち着かせてくれる。
その後首筋や耳を愛撫され始めた。
光「俺、勃っちゃったよ」
いきなりヒカルは俺の手を取り自分のモノまで導いた。確かに硬く大きなモノの感触が手ごたえとしてある。久しぶりに触ったが、以前と変わらずデカさを際立たせていた。
光「咥えろよ」
キスをしながら小さな声で囁いてくる。
俺「…ここじゃマズいよ」
光「誰もこないさ」
すでにヒカルはベルトを外し始め、自分でパンツごと膝まで下ろした。そして俺を蓋の閉まった便座に座らせ、我慢できないように顔の前にモノを突き出してきた。
ゆっくり手に取り、まず先の部分を舌で舐めてみる。裏筋に繋がる部分を舌の先でなぞる。ヒカルのケツの筋肉にキュっと力が入るのが分かる。ヒカルの感じる部分だ。少しの間そこを攻める。何度か身体が反応している。顔を見ると目を瞑り、感じている様子だ。
我慢できなくなったのか、ヒカルは俺の頭を掴んで強引に奥まで押し込んできた。一瞬むせ返りそうになるが何とか耐える。ヒカルはさらに大胆に髪の毛を掴んでゆっくり腰を動かして来た。
光「髪切ったのか?もっと伸ばせって言ったろ?」
夏休みに入り一度カットしていた。
会っていないうちに変わったって事に少し苛立ったのか、乱暴に髪の毛を掴みわざと奥まで突っ込んで俺を苦しませる。
これで負けてはいられない、ヒカルの腰の動きに合わせ俺も頭を動かす。
根元から先まで、かなり長いストロークで先と根本を移動させる。舌を使って裏筋を一緒に攻めると、さすがにヒカルもかなり感じてきているようだ。
光「あぁ…やっぱりすごいよ…すぐにもイキそうだよ」
久しぶりだからか、意外に早く昂ぶっているようだ。静まりかえったトイレに、段々と唾液の音と擦れる音が入り混じって響くようになる。ヒカルの腰の動きもかなり速くなってきた。
光「…このまま…イっちゃっていいのか?」
俺はその言葉を無視して唇に力を込めた。ヒカルも察したのか、動きを一段と早めてきた。
光「くぁぁ…もうダメだ…あっ…イクぜ」
ヒカルの膝がガクガクっとなり、俺の頭を強く押さえ口の奥まで突っ込んで動きを止めた。一瞬ヒカルのモノが大きくなり、口の中に一気に出してきた。大量の精液が口の中に広がるのが分かる。ピクっピクっとヒカルの身体が放出とともに反応しているのが伝わってきた。
何発か出し終わるとヒカルは俺の口からモノを引き抜いた。
光「出せよ」
そう言って俺を立たせ便座の蓋を開けたが、すでに俺は飲み干していた。そうするつもりでいたし、そうしたかったからだ。
光「バカ!汚いだろ!」
俺「なんか不思議な味…。でもヒカルのものだからいいや」
俺は笑顔で答えた。
ヒカルはちょっと呆れた顔で俺を見ていたが、ニコっと笑顔を返してきた。ヒカルは自分のモノをペーパーできれいに拭いてパンツとズボンを履いて、もう一度俺を固く抱きしめキスをした。
光「久しぶりだったけど、変わらず気持ちよかったな。段々うまくなってるよ」
キスをしながら俺のモノを掴かむ。もちろんとっくに勃っている。
俺「お、俺はいいから」
光「なんでだよ、こんなになってるだろ」
俺「ちょっとここではしたくないから。ヒカルが喜んだので充分だし。今度ゆっくりしてね」
今日は学校でやろうって雰囲気ではなかったので遠慮しておいた。
光「ダメだって。そんなに拒むのってなんか怪しいゾ!」
俺「なんもないよ。それより腹減っちゃったからなんか食べに行こ?」
光「いいのか?じゃ今度ベッドの上でゆっくりな」
笑顔を見せ俺を抱きしめた。
しばらくして2人でトイレを出て玄関に向かう。
玄関に向かう長い廊下に出ると、反対側からカズヤが歩いてくるのが見えた。

教室や図書館のある棟から体育館や部室のあるところまで行く方法は二通りある。
1つは玄関から直接外を回っていく方法。グラウンドでの体育の授業等がある時にはこの方法で行く。
もう1つ、体育館で授業がある時などには、教室のある棟から実験棟を抜けて直接体育館に行ける。体育館の横が部室になっているので、直接中から部室まで行く事が出来る。

カズヤが段々近づいてくる。俺達に気づいたようだ。
俺『そう言えばカズヤは午後から部活だって言ってた』
すれ違いざまに俺は手を挙げた。
俺「バイバイ」
和「あぁ」
カズヤは俺達を見ないでそう言って、二コリともせずに行ってしまった。なんとなく振り返ってみたが、カズヤはこちらを振り返る素振りもなく、歩いていく背中だけが見えていた。
光「アイツとなんかあったか?」
ヒカルも不審に思ったのか聞いてきた。
俺「別に何もないよ。ヒカルと同じで無愛想だからじゃないかな」
光「俺のどこが無愛想なんだよ」
言いながら首を絞めてくる。
その手を振りほどきながらなんとなくもう一度振り返ったが、カズヤはもう角を曲がっていた後で見えなくなっていた…。

学校を出てファミレスに行き、夏休みの今後の予定を立てる。残りの夏休みは出来るだけ一緒にいようって事で、2,3日後から俺ン家に泊まりに来ることになり、今日はそのままヒカルと別れて家に帰った。

何日か経ち、ヒカルが遊びに来る日になった。
とりあえず買い物をする為に外で待ち合わせる。といっても日焼けする時に履く競パンを買う為だ。
俺「そこまでしなくてもいいのに」
俺の意見にヒカルは全く耳を貸さない。何から何までヒカル色に染まらなきゃ気が済まないってことらしいが、好かれているって事が感じられるなら特に悪い気もしないし、半ば開き直って俺もトコトン付き合ってやろうって感じではいた。
俺「こんな派手なのは必要ないよ。恥ずかしいし」
光「そっか?似合うと思うけどな。じゃこっち」
俺「それもやだ!ちょっと趣味悪くない?」
光「あのさぁ、おまえが気に入るんじゃなくて、俺がおまえに履いて欲しい物を選ぶんだから、言う事聞いていればいいんだよ!」
そんな感じで結局はヒカルの決めた物って事になってしまう。
ついでに下着売り場に寄り、お揃いのボクサーまで買う羽目になった。いらないって俺が言うのも聞かずに、これだけはヒカルが2人分金を払いプレゼントって事になる。そんなこんなでヒカルはいつになく機嫌よく家に向かう。
食べ物なども買った為荷物が多くなってしまったので、俺はバスに乗り、そのあとをヒカルがバイクで追いかける形で家に向かった。

この時期兄は受験勉強の合宿があり、妹は親戚の家に泊まりに行っている。父親は都内に仕事に行くことが多いので家を空ける事が頻繁にあった。
観光地だけに企業の保養所や民宿などをやっている家も多い。夏はどこも稼ぎ時だ。母親も親戚の家に手伝いに行く事がほとんどで、家には俺だけだからヒカルと2人でいるにはちょうど良い。
俺の家には12畳ほどもあるベランダがあり、いつもは洗濯物を干す場所になっている。それでも半分もスペースをとらない為、広々とベランダで日光浴ができる。
家に着くと、天気も良いし早速日焼けをしようって事になった。
ベランダの手すりは格子になっているので庭を挟んでいても隣の家から見えてしまう。そこにいかにも干してあるっていう風に布団をかけると家の外からベランダの部分は全く見えなくなる。これで準備完了だ。
ここで午前と午後に1時間ずつ位日焼けをする。裏表で30分ずつくらい。長く焼くと痛くなったり赤く腫れ上がったりするのでこのくらいが一番良い。少しずつ焼けば小麦色になるって事らしい。
ベランダまで行き、干してある布団の陰にしゃがみ込み、着衣を脱ぐ。俺は競パンだけの姿に、ヒカルは大胆にも全裸だ。お互いに日焼けオイルを塗りあった。
寝転んで上を向くと、澄み切った青空に強い日差しが眩しい。時々気持ちよく風が吹き、熱くなった身体を冷やす。これが心地良い。全裸のヒカルは開放感がかなりあって良いらしい。
光「陰毛が風になびいてくすぐったいな」
そんな事を言って楽しんでいる。
お互い焼いてる間はほとんど無言なので、部屋からのクラシック音楽が静かに耳元に流れてくるのがはっきりと聴き取れ、リラックスさを増長させていた。
じっとしてると短い間でもすぐに汗がジワっと噴き出してくる。
時間になったので急いで風呂まで行ってシャワーを浴びた。これがまた気持ちいい。熱く火照って汗だくになった身体にぬるめの湯でシャワーを浴びる。ほんの少しだけヒリヒリするが痛いという程ではない。ヒカルと一緒に頭からシャワーを浴び全身のオイルを洗い流した。
さっぱりして部屋まで行きベッドに横になった。うつ伏せになっていると、ヒカルがいきなり俺の半パンとパンツを少しだけずらした。
光「ほら見てみろよ!もう競パンの跡がわかるぜ」
確かにたった一回だけの日焼けで境目がはっきりつく。これを繰り返せばかなり白い部分が目立つはずだ。というよりかなり焼けると言う方が正しい言い方か…。眩しいところにいたのでなかなか目が慣れなかったが、今ヒカルの顔を見るとほのかに赤みが差して日に焼けているのが分かる。
俺「あまり日焼けしすぎるのは好きじゃないから、このくらいに焼くのがちょうどいいかもね」
光「そうだな、シュウは適度に焼けるのが断然いい」
俺「ヒカルも精悍になってカッコいいよ、きっと」
俺は上半身だけ起こして、仰向けになっているヒカルの顔に触れる。
最初はキツいと思っっていた目も今は優しく見える。瞼に触るとヒカルはゆっくりと目を閉じた。
手を髪に持っていき、濡れた毛先を指に絡ませながら弄ぶ。俺もヒカルも校則に反して若干茶髪だ。ショートよりもセミロンがヒカルにはベスト。細く柔らかい髪が緩やかにカールしている。
指を顔に戻し唇に触れてみた。柔らかく繊細な触り心地。
ヒカルが指の先を唇で軽く挟む。少し中に入り込むと、指先を舌で軽く舐めてきた。ザラっとした舌先の感触にイヤらしさを感じる。しばらく舌の感触を指先で感じていた。
ふとヒカルに強い力で抱き寄せられた。胸にギュっと力一杯押し付けられる。
俺「ヒカル、苦しいよ」
光「離したくないから、力を入れてみたんだよ」
そう言われてしまえば俺も耐えるしかない。少し我慢していると徐々に力が緩んできた。
俺『離したくないなら、一生ずっとずっと力を入れていて欲しいよ。途中で力を緩めるようなことになっては困る…』
そう考えながら、今はヒカルの胸の上でじっと体温と鼓動を感じていた。

引用なし

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さよならの向こう側には【涙の受験編、前編】...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/25(月) 12:07 -
それから5日間毎日ウチで過ごす事になった。朝10時くらいから夜9時くらいまでは2人だけになる。
日焼けして、ゲームやって、飯食べて、映画観て、好きな事をやり好きな時に寝るって感じでダラダラと過ごした。でもヒカルが横にいるだけ、それだけで幸せな気分になれる。
3日目に日焼けをしにベランダに出て気づく。家族の洗濯物と一緒にヒカルの洗濯物も一緒に干されていた。ヒカルも家族と普通に接しているし、家族から見ても一員の様な存在になってる表れかなと思い、なんとなく微笑ましく感じてしまった。
この日は午前中は日焼けしたものの、午後は俄かに天候が悪くなり、昼間にも関わらず真っ暗になった。雷の音が遠くで聞こえ出してきた。忽ち雨も降り出したかと思うとみるみる強く激しくなる。
いきなり閃光が走り、ヒカルが楽しんでいたゲームの画面が消え、続いてコダマのような大きな雷鳴が響き渡った。
光「うぁ、すげぇな。せっかくいいところだったのに停電かよ」
俺「俺雷は苦手だよ、怖い」
実際には苦手なんてもんじゃない。地震よりも火事よりも、そしてオヤジよりも雷が怖い…。
光「子供じゃないんだし」
ヒカルは馬鹿にした様に言ったが、停電でする事もなくなったので、ベッドで本を読んでいた俺の隣りに来た。
俺も、実際に本を読めないくらい真っ暗になってきた事と雷の稲光が怖いのとで、うつ伏せになって雷の光が見えないように布団に顔を埋めた。
光「あーあー、ホントお子ちゃまだよな」
そう言いながらも横で頭を撫でている。また光って大音響が響いた。しばらく雷が続きそうだ。
光「シュウ…しようぜ」
俺「雷が怖くて顔を上げられない」
光「俺がいるだろ?雷と俺とどっちが怖いんだ?」
俺「…同じくらい」
ヒカルは立ち上がり部屋のカーテンをすべて閉め、戻ってきて力ずくで俺を仰向けにして上にのしかかってきた。
光「じゃ雷なんか忘れるくらい怖い思いを体験してみるか?」
俺「忘れるくらい気持ちいい思いをしたいよ」
ヒカルはニヤって笑ってキスをしながら言った。
光「わかったよ。まかせな、俺が気持ちよくしてやるから」
いきなり着ていたTシャツ、半パンとボクサーパンツすべてを脱がされる。
俺が雷を怖がって何もできない事を悟ったのか、それとも学校のトイレでやった事のお返しって事か、俺だけが裸にされ一方的に攻められる事になった。
顔から始まった愛撫は、濃厚なキスへと変わる。それから耳から首筋へと移る。下へ下へと正にヒカルの舌が這うように進んで行く。
俺はしばらく続く気持ち良さに、すでに雷の恐怖も忘れかけていた。
一旦動きを止め、ヒカルは鞄からローションを出してきた。すぐには使わず、再び舌で体中を攻めたて始める。
イヤらしい舌の動きに加えてモノを直接シゴかれ出したので、たちまち我慢汁が噴き出してくるのが感覚として分かる。
俺の足の間に入り、ヘソから太股の付け根へと舌を這わせる。
いきなりケツを持ち上げる様にして上を向かせ、俺の穴の周りを舐め出してた。
俺「あぅ…ヒカル…そんなことしなくていいよ」
光「俺がしたいんだからいいんだよ。感じてるんだろ?」
俺「うん…ハズかしいけど」
しばらくその体勢で舐められた後、ゆっくりケツを下ろし、今度は俺のモノを咥え出す。
俺「…あぁ…くっ」
生温かい感覚に思わず感じて、再度声を上げてしまう。
ヒカルはチラチラと俺の様子を窺っている様だ。裏筋を舌で舐め上げながら反応を見ている。
その俺は、見られている事も気にせずあまりの気持ち良さに仰け反ってしまっていた。
少しの間たっぷりとしゃぶられた後、ヒカルは俺の横に来て左腕で腕枕をしてきた。それからたっぷりとローションを塗りたくり、俺のモノをゆっくりと右手でシゴき始めた。
ヒカルの身体に包まれて温もりを感じながら、ヒカルの大きな手の動きで快感を味わう。こんな心地良さに浸れる事があるだろうか。
思わずヒカルの顔を見あげた。ヒカルも見下ろし目が合う。その時雷の閃光が走り、思わず顔を背けてしまう。
光「大丈夫だよ。俺がいるだろ」
そう言ってさらに俺の身体を引き寄せてくれる。ヒカルの優しさをさらに強く感じる瞬間だ。
ただ動く手はペースを増してきた。ローションの音をわざと起てる様に激しくシゴかれかなり感じてしまう。
俺「ヒカル…ヤバい…」
あっという間にイキそうになってきた。
光「そっか、このままイキたいのか?」
俺「…うん」
さらに一段と強くシゴかれ、あっというまに絶頂を迎えてしまう。それを表わす様に思わずヒカルの身体にしがみ付く。
光「たっぷり出せよ」
その声に反応するように一気に放出した。自分の胸に何発も放つ。ヒカルも手を緩めないので、さらに勢いよく弾く様に出し捲くり、2度3度と勢いが止まらなかった。ヒカルもじっとそのその様子を観察している。
ようやく最後の1滴を絞り出しヒカルの手が止まった。まだ俺の呼吸は荒く治まらない。
光「気持ちよかったか?」
俺「うん、すごかった…。ありがと、ヒカル」
ヒカルに縋りつき余韻を楽しんでいた。

しばらくして雷雨もおさまり停電も復旧して、日暮れ前にはきれいな夕焼けが出ていた。
夕食後ヒカルは再度ゲームを始めだす。俺も本を読みながら寛いでいた。
窓を開けていると心地良い風が吹き抜けていく。8月もお盆の時期になるとほんの僅かではあるがどこか秋の匂いが感じられる様な気がする。夜風が夏のものに比べ若干だがヒンヤリとしだす。
本を読んでいると、ポケットの中の携帯がブルった。
俺『メールか、誰かな』
確認するとカズヤだ。
俺『そう言えばメールしようって言ってたな』
俺とカズヤは今までほとんどメールで会話をするなんて事がなかった。メールした事と言えば“業務連絡”のようなものくらいだ。元々会話だってそれほどない。コウに言わせると「会話した回数が数えられるくらい」なんて感じだからよっぽどだと思う。実際に友達だってお互いが思っているのが不思議なくらいだ。
チラっとヒカルに目をやる。相変わらず俺に背を向けてゲームに熱中していた。
別にヒカルに内緒にしておく事ではないとは思うが、なんとなく図書館での話が頭を過ぎり黙っていた方が良いんじゃないかって考えが浮かぶ。仕方なくバレない様に本の間に挟んでメールを確認した。
和『何してる?暇だったらメールでもしない?』
俺『大丈夫だよ!この間の宿題終わった?』
最初は普通の話が続いた。
和『夏休みはどこかへ遊びに行った?』
俺『特にはね。これから遊ぶ時間も少なくなるって言うのに、なんか寂しい夏休みだよ。カズヤは?』
和『ボチボチかな。誰とも会ったりしないの?シュウには一緒に遊ぶ奴らがいるだろ』
俺『連絡は取ってるけど遊んだりはしてないよ。みんなバイトとか忙しいらしいし』
実際にジン達には会えないでいた。ただヒカルがウチに来てるって事も言えず、なんとなくカズヤにも嘘をついてしまう。
和『シュウはなんであいつらと仲がいいんだ?』
俺『なんでって言われても。友達だし一緒にいて楽しいって事だからじゃないかな』
和『シュウは日頃からあまりクラスにいないだろ?いつも見あたらない。心配だよ』
俺『心配なんて大げさだよ(笑)あのクラスが嫌いってわけじゃないよ。ただなんとなく居場所がないっていうかさ…』
和『俺がいるだろ?もう少し俺の事を頼っても良くない?』
どういう意味でカズヤが「俺がいる」って言ってるのかメールだと真意が伝わらない。笑って言うのと真顔とでは別の意味にとれる。
一瞬カズヤの顔を思い出したが、「頼れ」なんて、あのカズヤが話す言葉には思えなかった。

カズヤは俺にはあまり笑顔を見せない奴だ。メールの内容を真顔で話すカズヤの様子が脳裏に浮かぶ。俺にはあまり冗談すら言った事がない。真顔で言われたとするとあまりジョークとは受け止められないかもしれないと思った。
俺『それどういう意味さ(笑)』
とりあえず様子を窺う為に、できるだけ当り障りのない内容で返事を返す。
今までよりもカズヤからの返信に時間がかかったような気がした。
和『そのままだよ。心配だからさ。もう少しクラスにいて欲しいし溶け込んで欲しい、そういう事だよ』
俺『だから意味がわかんないってば!てか心配しなくても大丈夫だよ。他にも居場所がないわけじゃないし、今のクラスでも充分楽しいから』
カズヤの真意がわからない以上答えも抽象的に返すしかない。
今度は明らかに返事が遅い。なぜか早く次の言葉が知りたくて返事が遅いことについ苛立ってしまう。チラっとヒカルを見たが変わらずにゲームに集中している。少ししてようやくメールが届いた。
和『俺達はあまり話もしたことないだろ?それが理由じゃダメかな?俺が仲良くしたいって事さ』
やっぱりいつものカズヤじゃないのか…。ますます分からなくなってきて考え込んでしまい、今度は俺の返事が遅れてしまう。
カズヤの顔をもう一度想像してみた。ツンツン立てたショートヘア、スポーツマンらしく日焼けした顔、広い肩幅。ラグビー部ではあるものの決してラグビー体型というわけではなく、バランスの取れた筋肉質な感じだ。同じ筋肉質であるヒカルに比べて、明らかに線の太さが違う。首や足の逞しさがそう感じさせるのかもしれない。“精悍”と言う言葉が正にぴったり当てはまる。
仲が良くなると笑顔も見せるし冗談も言うらしい。ただ基本的には無口で寡黙な性格だ。特に俺がいる時にはせいぜい薄笑い程度にしか笑わない。そこが俺にとってはどうしてもカズヤに踏み込みにくく感じるところではある。
1年の時から隣りのクラスだったので、顔馴染みであり話もしていた。俺にとってはヒカルよりも長い付き合いのはずだ。仲良くなって色々な表情を見せるヒカルに比べ、コウやユタカと3人で仲良く話しているところに俺が加わると、いつも急に黙り込んでしまうカズヤ。最初は俺のことが嫌いなのかと思ったが、嫌がっているわけではないとコウから聞かされてはいた。だから一緒には居るが、実際にそういう態度を毎回取られて気分が良いものではない。正直なところそれがクラスに馴染めない原因の一端になってるわけで…。
そのカズヤが「仲良くしよう」と言ってる。今までもクラスの4人メンバーとしては仲良しグループとして認知されているはずだし、敢えて今仲良くしようってのも不思議な話に思える。友達の発言としては普通であるけど、日頃そんな事を言わないカズヤってところが引っかかってしまう。
普通に受け取って良いのか、別の意味があるのか…。精一杯考えて何とか返事を出してみる。
俺『そっかー。じゃ今度ゆっくり話でもしよっか?』
和『いいのか?じゃたまには2人でゆっくりと話そうな!』
2人でかぁ…。それでも俺の考えすぎなのか。
俺『そうだね。でもコウやユタカは別?』
和『あいつらが居てゆっくり話せるか?』
俺『言えてるね(笑)』
和『じゃ学校が始まったらすぐでいいか?』
俺『構わないよ。でも俺が相手で話が盛り上がる?』
実際に話すと言っても何を話して良いかは全然分からない。会ったものの無言で過ごすって事にはならないのか?第一カズヤが色々話すところなんて全く想像が出来ない。
和『大丈夫さ。俺には話したい事がたくさんあるし聞きたいこともある』
俺『例えばどんな事?』
思い切って聞いてみた。
和『その時にちゃんと話すよ。2人で話す事はみんなに内緒な』
俺『なんで内緒なの?』
和『まあなんか照れ臭いからな。今まで以上に仲良くするって事でいいんだろ?』
このメールを読んでいた時に、一瞬ビクっとしてしまった!
光「あーっ!!なんだよ!」
いきなりヒカルが大声を上げた為、俺はビックリして振り返った。ベッドに座り俺に凭れかかって来る。ゲームをミスってしまった様だ。
メールをしている事がバレてしまったのかと思い、一瞬冷や汗をかいてしまった。
俺『もちろんさ』
俺の背中にしがみ付いて悔しがるヒカルにバレない様に、それだけ急いで打ち込み送信した。
この時『もちろん友達として仲良くするよ』ときちんとメールしておけば良かったが、ヒカルがいた為そこまでできなかった。この日のメールが今後の人生に大きな影響を与える事になるとはこの時点では全く気付かなかった。

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さよならの向こう側には【涙の受験編、前編】...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/25(月) 16:50 -
次の日ヒカルと湖の周りをドライブした。
天気も良いし今日も暑い。以前ヒカルと登った山とは別の山にバイクで登る。山の頂上には有名なホテルがある小高い山だ。山の中腹でバイクを下り、買ってきたドリンクで喉を潤す。
ここからの眺めも良い。正面には雪一つない夏の富士が見える。
光「気持ちいいな。ずっとこの季節ならいいよな」
俺「違う季節があるから今がいいんじゃないの?暑いだけだと人間怠惰になっちゃうらしいよ?」
光「いろんな季節があっても俺みたいな怠惰な人間だっているんだからどっちでも同じだろ」
ヒカルらしい理論だ。
光「ここで見ている景色がずっと続く方がやっぱりいいよ」
俺「じゃ来年の夏もまた一緒にここに来ようか?」
光「そうだな。おまえと一緒にここにいるって事がいいな」
来年もヒカルといたいって俺も心の中で考える。
俺「来年の夏って受験とかで色々忙しいだろうね。でもヒカルとの時間はちゃんと作るから」
光「そうだったよな。あんまり無理すんなよ」
俺「うん。でも大丈夫だから」
ふと、いつか聞いてみようと前から考えていた事を初めて聞いてみる気になった。
俺「ヒカルは卒業したらどうするの?」
漠然と考えていた事、気になっていた事ではあるが、答えを聞いても明るい気分になるとは思えなかったから聞かないでいた事だ。
光「どうだろな。あまり考えてないけど専門学校かな」
俺「そっかぁ」
しばらく無言になる。
卒業すればお互い別々の道を進むとか、そうなったらなかなか会えなくなるんじゃないかとか、敢えて口にしても仕方がないから今まで黙っていた。
ヒカルも無言でいたので、俺と同じ事を考えているのかも知れないと思った。
光「それにしてもいい感じに黒くなったぜ?」
景色を見ながら考えていたが、急に俺を見て言った。
俺「ヒカルも似合ってるよ。てか似合いすぎ」
毎日鏡を見てても自分の色は気付かないが、ヒカルを見ればどれだけ変化したかが分かる。黒過ぎずちょうど良い小麦色。ベランダ焼けでこんなに焼けるとは知らなかった。
光「ってことはいい具合に競パン跡がついてるんだろうな。見せてみろよ」
俺「こんなトコで見せられるわけないじゃん」
光「つまんねぇな。じゃあさ、週末に俺ン家に来いよ。親がいないから泊まれば良いし。たっぷり見て確かめてやるからさ」
俺「いいの?行く行く!」
以前の鏡の前の事が思い出される。ワクワクするような、怖いような、密かに想像していた。

この後まっすぐ家に帰った。
今日は俺の家族もみんな揃っていて、みんなで夕飯を食べてから部屋に戻る。明日はヒカルも帰る日だ。2人でベッドの上でゴロゴロしながら過ごす。
光「家族がいるとエッチもできないよな」
俺「仕方ないよね。でもウチで最後の日なのにチョイ寂しいね」
そう言えば、ここに来てからそれほどエッチをしていなかった。
光「週末すぐに会えるだろ?夏休み最後だし楽しんじゃおうな」
そう言って抱きしめてゆっくり寝る。
『ヒカルが横にいるのが当たり前になってしまっていたのでちょっと明日からは寂しいかな。でも週末になればすぐ会えるし、学校が始まればまた毎日会える』
『学校が始まると、まずカズヤか…。どうなることか』
『コウはあれっきり何もない。イタズラだったのかもな』
『考えてみると俺の周りにはいろんなことが起こっていたんだ。男が好きな俺であってもまさかこれだけのことがあったなんて思うと素直に楽しい気持ちになれない……普通の友達で良い場合もある』
そんな事を考えながらヒカルにすがりつき、最後の夜をのんびり過ごしていた。

次の日ヒカルは帰っていったが、すぐに週末がやってきて逆に俺がヒカルの家に行く事になる。
とりあえずメールのやりとりをして、ジンの家で待ち合わせする事になった。
ジンの家に着くとすぐにヒカルもやってきた。3人で会うのは久々だ。
仁「おまえらなんでそんなに黒いの?」
光「焼いたからに決まってるだろ」
いつもの無表情での発言。チラっとヒカルの顔を見る。目が合ったが隠す様子はないようだ。
光「シュウの家に遊びに行ってたんだよ。一緒に焼いてたからさ」
仁「いいなおまえらは。俺なんてバイトや家の手伝いで明けくれてたよ。おかげで宿題に追われてる。おまえもうやったの?」
光「ああ、補習の間にほとんどやり終わった」
仁「なんだよ。おまえの話を聞いて安心しようと思ってたのに!」
光「ヒヒっ、残念だったな。まぁ3日くらいあるわけだし頑張れよ、ニヒヒっ」
そう言ってヒカルはトイレに行った。
仁「ヒカルは変わったんじゃないか?おまえの影響だよな、きっと」
そう言われて悪い気はしないが、詮索されているみたいで少しだけ不安になる。
俺「俺って事じゃないでしょ。ただ確かに知り合った時は怖かったけど、最近はなんだか丸くなってきてるよね」
仁「全くだよ。でもいいさ。今のヒカルは見ていても明るいしな。なんだか知らないけど目標があるのか楽しそうだし」
ジンが思うならよっぽどなんだなと思う。俺も少し嬉しくなる。
仁「アイツが夏休みの宿題やったなんて今まで聞いた事ないんだぜ」
俺「そうなの?」
仁「うん。どうかしちまったんじゃないのかな。もちろんおまえも終わってるんだろ?」
俺は答えず笑顔だけ返す。丁度ヒカルが戻ってきた。
光「どうした?」
仁「どいつもこいつも宿題終わってのんびりしてるからキレそうだったんだよ」
光「計画性がなきゃダメだろ」
仁「おまえの口から計画性とはな!日焼けしすぎて熱あるんじゃないのか?」
光「なんだよ」
俺「まぁまぁ、仕方ないから少し手伝おうか」
仁「おっ、マジ?」
光「ったく。よく覚えておけよ。高くつくからな」
みんなで手分けをして和気あいあい進めていった。
しばらくして2人を見ると、丁度ヒカルがジンに数学を教えているところの様だ。
仁「なるほど!おまえ頭いいな」
光「見直したろ」
仁「熱病にかかってた方がいいかもな」
ヒカルに頭を度憑かれて痛そうにしてるジンを見て笑ってしまう。
俺『この学校に入ってみんなと出会えて良かったよ。悪戯ばっかりしてるけど人間味があるし、なにより生き生きしてる』
そんな事を考えていた。

夕方まで宿題を手伝い、暗くなる前にヒカルの家に向かった。
俺「ジンは喜んでたみたいだね」
光「そうだな。今度ご馳走してもらおうぜ」
家に着く前に途中で食事をしながら話していた。

ヒカルの家に着いた。遅いお盆休みとかで確かに今日は誰もいないようだ。
ヒカルは風呂を沸かしにいき、俺だけ先に部屋に向かう。
ヒカルの部屋は前に来た時と変わったところがなく、相変わらず綺麗に片づけられている。ここで初めてしたエッチが思い出される。鏡も健在だ。
ヒカルが戻り、いつもの様に挨拶代わりって感じで抱きついてきてそのままベッドに横になった。
俺「学校が始まるとしばらくはこんな感じでゆっくりできないね」
光「そうだな。だから今日はできる事を思い切りしちゃおうぜ」
ニヤニヤ笑って言う。
俺「またなんか考えてるの?」
光「後のお楽しみ〜」
心配になるが、今はしばらくそのまま抱きしめられていると、腹もいっぱいになり徐々に眠くなる。ヒカルもウトウトしてる様だ。ちょっと悪戯したくなり鼻を摘んでみる。
光「う〜ん、早く風呂入ろうぜ」
何とか身体を起こし、すぐに2人で風呂に入ってからそのまま部屋に戻った。
ドリンクを飲み水分補給をする。その間にヒカルは引き出しからなにかを取り出したようだがはっきりとはわからなかった。
光「ちょっとこっちに来いよ」
呼ばれて鏡の前に立つ。
光「風呂の中では黙ってたけど競パン跡がくっきりだな」
確かに目立つ。後ろ向きに身体を写してみると、割れ目ギリギリのところから逆三角形に白くなっていて、確実にエロさを強調している様な感じだ。
向き直りヒカルの背中に手を回した。肩越しに鏡に写った身体を見ながら、俺のケツの肉を掴んで耳元で囁く。
光「イヤらしいよ。入れてくれって挑発してるみたいだな」
そう言って割れ目を指でなぞり穴に触れる。
少し声が漏れたが、その口を塞ぐ様に熱いキスをしてきた。
最初はソフトだったが、舌が入り込んで来た時点から段々と動きが激しくなり乱暴になってくる。
ヒカルの左手は腰で俺を支えているものの、右手は穴を悪戯したりケツの肉を強く鷲掴みにしたり、少しずつSへと豹変していくのが分かる様だ。
熱いキスをしていた口は俺の口から離れ、耳から首筋へといつもの様に動いていく。
俺「はぅ…」
喉仏を噛む様に吸われ、思わず頭を後ろに擡げ吐息を漏らした。それに呼応するかのようにさらに乱暴さを増し攻めてくる。
いきなりベッドに激しくつき倒された。強引に足の間に入りこみ、両手首を掴みがっちり固定し前屈みになると、乳首を大胆に攻め始める。
強く噛んだり激しく吸いまくられ、身体を捩り悶えてしまう。
俺「あぁぁ…ヒカル…や、止めろよ」
光「なに?いつも無駄口ばっかり言いやがる」
以前と同様に強引に口の中にタオルを押し込まれてしまった。
さらに腕も固定され敢えなく降参してしまう。
別に止めて欲しかったわけではなく、あまりにも激しく感じすぎたから言っただけなのにこんな姿にされてしまった。
ただその姿を見て、ヒカルは勝ち誇ったような態度を示していた。
大人しくなったのを確認して再び乳首を攻め始める。俺の身体がヒクっと動くたびにヒカルは喜び、さらに執拗に舐め捲くる。
気づくと、俺の足の間では穴の入り口を探す様にヒカルの固くなったモノが当たっているのがわかる。身体を動かすと微妙に擦れてさらにイヤらしさが増してくる。
ヒカルは徐々に身体の下へと顔を移し俺のモノへと到達した。舌の先で硬さを試す様に表面を弄ぶ。一向に咥えず、ただ舌先で全体に触れるような感じ。わざと焦らされているに違いない。咥えそうで咥えない微妙な刺激がしばらく続き、少しの快感とかなりの物足りなさを植付けられる。
しばらくしてヒカルが俺の顔を見た。
光「なに?もっと激しいのがいいのか?」
俺『…分かっているくせに』
そう思いながらも黙っている。
光「どっちだよ」
いきなり奥まで咥えてきた。思わず腰を浮かせて感じてしまう。
光「咥えて欲しいんだろ?」
仕方なく俺は頷いた。
光「正直に言わなかったからお預けだな」
そう言って俺の頭の下に枕を2つ折りにして入れ、口のタオルを引き抜かれた。新鮮な空気がカラカラの口を通る。
ヒカルは俺の胸に跨いできて、高くなった頭に強引に股間を押し付けて口の中にモノを入れてきた。
光「吐き出すなよ」
乱暴に言って前屈みになり腰を振ってくる。
頭は枕で固定されているから楽なものの、ヒカルのデカいモノが口の奥まで入り込みむせ返りそうになる。それを堪えて口から離れないように唇に力を入れると、それが気持ちいいのか段々腰を振るペースが上がってきた。前屈みから少し身体を起こし、俺の頭を両方から包み激しく動かしてきた。
光「あぁ…ヤバいくらい気持ちいいよ」
まるで人形のようにヒカルのなすがままになっていた。

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さよならの向こう側には【涙の受験編、前編】...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/25(月) 20:17 -
ひとしきり俺の口を使った後ゆっくりと引き抜いた。
光「四つん這いになれよ」
ヒカルに恥ずかしい格好を見られるのはイヤだけど、仕方なく黙って言う事を聞く。ヒカルに向かってケツを向けると、顔が熱くなり枕に顔を埋める。
光「いい眺めだな」
ヒカルはケツを広げ穴の入り口を指先で微妙に触れている。さっきと同様に入れるのか入れないのかはっきりとしないまま焦らされる。
少しして割れ目に舌を這わせてきた。ゆっくりと辿るものの、穴を避けるようにして舌が這っていく。
敏感に感じるところは寸前で避けていく。今日のヒカルはそんな感じで常に精神的な苦痛を与えてくるようだ。苛々してる様子を楽しむ様に焦らしていた。
少ししてようやく穴を舌で攻めてきた。舌の先で穴に突き入れてくる。
俺「あぅ…」
光「気持ちいいのか?」
俺「…うん」
光「どこが?」
俺「…」
光「止めるぜ?言ってみろよ」
そう言いながらまた穴に舌を突き立てる。
俺「…ケツだよ」
光「ケツのどこだよ」
俺「…穴」
光「ここか?」
再度穴の奥に舌を射し込む。
俺「う…うん」
光「そっか」
いきなり指にローションを塗って一気に突き刺してきた。びっくりして腰を引いてしまう。
光「おらっ、勝手に動くなよ!痛くされたいのか?」
俺『今ので充分痛いよ』
そう思っても、その後の仕打ちが怖いから黙っていた。
ヒカルはもう一度ゆっくりと入れてきた。どうやら指2本の様だ。かなりの圧迫感があり、仕方なく奥歯を食いしばり痛さに耐える。
しばらくすると痛さの後に気持ち良さが広がり、我慢していた声もつい出てしまう。
俺「ぐっ…くぁ…はぅ」
指の動きに合わせて声が漏れる。
光「いい声だな。もう入れたくなっちまった」
四つん這いの体勢のまま、指の慣らしもそこそこにゴムをつけ、ローションをたっぷり塗りたくったモノを穴の入口に当ててきた。
今から起こりうる事に少し恐怖を感じてしまう。この体勢ではヒカルの行動が見えないから尚更だ。
意に反してヒカルはゆっくりと入ってきた。少しずつ探る様だ。ヒカルのモノのデカさだとあのくらいの慣らしでは辛い。それをわかっているかの様に、無理をせずゆっくりと奥まで進めていく。
光「入ったぜ。いい締まりだよ」
入った感覚を楽しむ様にしばらく動かずにいた。そして背中から抱きしめると、俺の乳首に触れてきた。
俺「あぁ…」
弱い部分を攻められピクッと反応する。
光「いいぜ。中で締めつけてきやがる」
すべてヒカルの思いのままに操られながらも、それでいて俺はどこか少しずつ感じてしまっていた。
ヒカルは再び身体を起こし腰を掴んでゆっくりと動きだした。感触を確かめる様に少しずつ前後する。
光「すげぇな。暖かいし吸いついてくるみたいだよ」
少しずつペースを早めていく。感じているのかヒカルからも声が漏れ出してきた。
俺もヒカルの動きに合わせ喘ぎ声を出してしまう。
俺「…ヒカル…すごぃ…あぁぁ」
光「俺も…気持ち良すぎて…」
顔は見えないけど、息づかいで感じているのがわかる。
急に動きがかなりの早さになり、腰の振りに合わせ身体がぶつかる乾いた音が部屋中に響きわたる様になる。
光「シュウ…ダメだ…このまま最後までイクぜ」
俺「…うん」
俺の腰をさらに沈めさせて、腰を強く掴んで自分の腰をぶつけてくる。滑らかに動いていた腰も、かなり乱暴な動きに変わっていった。
いきなり後ろからかなりの力で抱きつき、さらに激しく腰を振ってくる。まるで獣の交尾のようだ。
光「あぁ…もっ…もうダメだ…ぃ、イクっ!」
俺の身体に全体重をかけ、ぴったりと密着してきた。俺も支えられなくなり前に崩れる。ピクピクッと身体が痙攣するような感覚が伝わった後、穴の中で出している感覚があった。何度も何度も叫びに合わせ放っているようだ。
光「気持ち良すぎて…こんなに早く…イッちまったよ」
呼吸を荒げながらそう言う。
光「ごめんな。おまえの事も考えないで、あっという間に出しちゃったよ。余裕なかった」
俺「いいよ!でもすごかったね。俺も感じちゃったよ」
光「そうか。じゃ鏡の前に行こうぜ」
呼吸が整ってからヒカルに連れられて行くと、前と同じように鏡に向かい座らされヒカルも同じ様に後ろに座る。そして右手を回して握り一気にシゴきあげてきた。
優しくて大きいヒカルの手だ。
俺『この手の感触だ。すべてを包み込む様にシゴいてくる』
俺はすぐに感じて来てしまう。
俺「ヒカル…俺もうダメ…」
鏡の中の自分を見れず俯いて言う。
光「このままイキな」
そう言って一段と強く握りしめた。左手で俺の頭を右に向けさせキスをしてくる。
俺『…もうイキそう』
そう叫ぼうとしてもヒカルのディープキスで声がかき消されてしまう。顔が固定されてるので、自分がどこへ出してしまうのか確認できないまま、一気に絶頂を迎え放出してしまった。
シゴかれながら身体にかかる感触があちこちに伝わるが、なおもディープキスをし続けている為どこに飛んでいるかわからない。しかもキスに感じ、かなりの量が出ている様だ。
出し終わった後、あまりの脱力感にヒカルの身体に崩れ落ちてしまった。
光「またいっぱい出たなー」
笑いながらヒカルはティッシュで拭き取ってくれている。俺はヒカルに凭れかかりながらジッとその様子を見ているだけだった。
ヒカルとのエッチは段々と激しさを増してる。乱暴さも同様だ。終わるとグッタリしてしまう。
ただこうやってヒカルの身体に凭れかかるのがとても心地良い。相変わらず俺を受け止めていてくれる。
鏡の中のヒカルの顔を見ると、いつのまにかSの顔から優しい顔に戻っていた。
光「シュウのケツ気持ち良すぎ。我慢できなかったよ」
意味もなく俺の髪を引っ張りながらヒカルが話す。
俺「どんな感じなの?」
光「う〜ん、温かいし全体が擦れるって言うか、少し動くだけでヤバいって感じかな」
俺「よくわかんないから俺も経験してみたいな」
光「痛いんだろ?俺は無理だよ」
俺「でも他の人で試すわけにいかないじゃん?」
光「まぁな。…じゃそのうちな」
なんとなく曖昧になる。ヒカルもごまかす様にキスをしてきた。
俺「夏休みの後は修学旅行とか学園祭とかで忙しいんだろね」
光「なんか無意味に忙しいよな」
俺「こうやってゆっくりできないかもね」
光「そんな事ないだろ。会おうと思えばどこでも会えるんだし、学校でもやれるだろ?」
ヒカル的な前向きな考えだ。
俺「学校でなんてできないよ」
光「いいだろ?いきなりやりたくなるかもしれないんだからさ」
俺「一応場所は選ばないとね」
光「つまんねぇの。家でゆっくりがいいんだったら、今からもう一回やろうぜ」
って事で勢いで二回戦が始まっってしまった。
いきなり向かいあってキスを始める。
光「俺の上に座って」
口調は予想外に優しい。別バージョンという事か。ヒカルの伸ばした足の間に座ると、体が密着できるように引き寄せられる。
すでに反応の良い俺のモノは、出したばかりにも関わらずビンビンになっている。ヒカルのモノも反り返っていてピタリとモノ同士が密着していた。
キスをしながら、いつもヒカルが握ってシゴく2本を俺が握ってみた。わざと裏筋が強く擦れるようにゆっくりシゴくと、予想通りヒカルの口から声が漏れだす。
光「ぐぅ…何回やってもすごい感じちまうよ…それ」
俺「どこが?」
光「裏筋全部だよ」
俺「ここ?」
そう言ってヒカルのモノだけを握り、裏筋の部分を親指で強く擦るようにシゴく。
光「あっ、うん…そこだよ」
珍しくヒカルは俺の攻めに感じ、目を瞑って後ろに手を着き気持ち良さげに仰け反るようにしている。
顔を追いかけキスをしながら左手で乳首を攻め右手でシゴくと、さらに甘い声を挙げ出した。
ヒカルはいつもSだが、身体は比較的敏感だと分かる。乳首を刺激すると呻き声が出る。
裏筋はさらに感じる様だ。シゴきに合わせ不規則に声を出している。俺ほどではないものの先走りも出始め、イヤらしい音も聞こえる。
ふとヒカルが目を開けて俺を見た。
光「なんでおまえが攻めてんだよ」
俺「気持ち良さそうだったから」
光「ふざけるな。許さねぇ」
早速いつものS度を発揮する。
俺『たまには面白いかなと思ったのに。まさか豹変する事まで計算してってことはないだろけど…』
ちょっと残念だ。
光「卑猥な白いケツしやがって。見た目が淫乱なら気持ちまで淫乱になったのかよ」
いきなり俺の穴に指を突き立てる。強引で乱暴だ。感じてしまい身体を捩らせると、さらに執拗に追いかけ奥まで突き立ててくる。
光「かなりいい感じになってきたな。自分で入れろよ」
仕方なく言われるがままにゴムとローションをつけてやり、自分からヒカルのモノの上に跨いだ。
光「積極的だな」
そう言いながら入れる瞬間を、直接ではなく鏡を見て楽しんでる。
恥ずかしさに耐えゆっくりと腰を降ろす。自分でヒカルのモノを握りゆっくりと身体を沈めた。
痛みはあったが2度目だったので割合スムーズに入る。ただこの体勢では自分の体重をコントロールできない為に、つい奥まで入ってしまう。
俺「あぁぁぁ…」
光「どうしたんだ?いいから自分で動いてみろよ」
ヒカルの肩に掴まりゆっくり上下していく。
光「おら、もっと奥まで入れろよ」
俺のケツを掴んで下から突き上げる。これが奥の一点を刺激して異様に感じてしまった。
さらに俺のモノにローションをつけ一緒にシゴき始めた。段々と腰も手の動きも早くなっていく。
鏡で接合部がよく見える様にヒカルは身体を少しずらした。じっくりと見ながら満足げな顔をしている。
しばらくはそのまま動いていたが、急に俺を押し倒し正常位で一気に腰を振ってきた。イヤらしい腰の動きにさらなる興奮度が増す。
一緒にシゴかれ俺はすぐに絶頂の寸前までイってしまう。
俺「ヒカル…そろそろヤバいよ」
光「じゃ一緒にイこうぜ」
かなりの勢いでシゴかれ、我慢できずに声を荒げた。
俺「もっ、もうダメだよ。イク!」
一気に自分の腹の上に放ってしまった。2度目にも関わらずかなりの量だ。
ヒカルは手を離し腰の動きを一気に早めた。
光「…俺もイクぜ」
ヒカルも腰を密着させガクっとうな垂れる様に前屈みになり一気にイったようだ。しばらく肩で激しく呼吸をしていた。
俺は下からヒカルは上から、お互いに目を合わせ笑顔になる。
光「風呂に入ろうぜ」
一緒に風呂に入りすぐに出た後、2人でベッドに横になりしばらく過ごした。夏休みの反省会ってトコか。しばらく話すうち、夜遅くになってしまい知らないうちに眠ってしまっていた。

次の日午前中に家に帰る事になる。
光「昨日も言ったけど、学校でも色々楽しもうな」
俺「時と場合に寄るね〜」
光「そんな返事じゃダメだな。分かってるだろ?なにせ俺達には…?」
俺「時間がない!」
今一つ意味は分からないけど、合い言葉みたいになっている。
光「そういう事。時間を無駄にしちゃいけないからさ」
俺「その心がけはいいよね。ダラダラと無駄に過ごすよりはいいかもね」
光「そうだよ。じゃまた学校でな」
俺「うん」
そう言って家の前で別れた。
帰りのバスの中で考える。
『確かにヒカルといつまで仲良くできるか分からない。卒業までか、卒業後か、それより早く終わってしまう事があるのか。不安は多い。だから時間は無駄にできないって事かな…』

そんなこんなでヒカルと知り合って初めての夏休みも終わり、新学期がやってきた。

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さよならの向こう側には【涙の受験編、前編】...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/25(月) 21:28 -
夏休みを過ぎると、見た目がガラっと変わった奴がいたりする。
俺は『色が黒い』『髪が伸びた』と会う奴みんなに言われるから、結構変わった方かもしれない。コウとユタカ、それにカズヤには日焼けの事で驚かれた。
弘「いつのまに?どこかに行った?」
俺「まぁね」
家で焼いたという説明はしたくなかったからお茶を濁す。
豊「でもワイルドさが少し出てきて似合ってんじゃん」
弘「うんうん」
俺「ヒカルがさぁ、焼いた方がいいって言うからさぁ。でも似合ってるって言われて良かったよ」
和「そうかな?俺は前の方が好きだな」
やっぱりこういう事を言うのがカズヤだ。悪気はないはずだけど。でもいつもよりは言い方がキツいか…。
和「シュウは前の方が良かったよ。性格にも合ってたし。それに人に言われてやる事じゃないだろ」
弘「カズヤみたいにスポーツバカだけが日焼けが似合うってわけじゃないんだからいいだろ!」
少し場を和らげる様にコウが言う。チャイムが鳴ったのでそこで話が終わり席に分かれた。
昼にはヒカルが来た。今日は新学期の挨拶周りって感じで、ジン達のクラスに出向きみんなで話して過ごした。
何日か変わらず過ぎ、新学期にも慣れたある日、授業中にも関わらず突然携帯にメールが届いた。見るとカズヤからだ。俺はなぜか急にドキドキし出していた。
真面目なカズヤが授業中にメールを送ってくるなんて、それだけでも少し驚きだ。さらに夏休み中のメールの事も頭を過ぎり余計緊張してしまう。
少し前方に座ってるカズヤを見るが、全く俺を気にせずに授業に集中している様子だ。
『いつの間にメールを打ち込んだんだろ』
そう思いながらも、今すぐ見るべきか後で確認するべきかをしばらく考える。
後で見てもいいけど確認するまでずっと不安なままでは落ち着かない。仕方なく誰にも気づかれないようにメールを確認した。
和『昼に少し話さないか?』
なんの飾りもないストレートな内容だ。
ノートの間に携帯をはさみ、素早く返事を打ち込む。これに対する返事は難しい事ではないから即答できる。
俺『昼休みは無理だよ』
ヒカルが来るかもしれない事を考えれば当然の返事ではある。
送信してカズヤを見る。手がゆっくりと足の間に入る。
『なるほど、太股の間に携帯を挟んでいるのか』
机の下で確認している様だ。読み終わった後、少し頭を挙げて考えている様子。そしてまた下を見て打ち込み始めた。しばらくしてメールが届く。
和『なにか用事があるわけ?』
ヒカルが来るとは言えない。
俺『特別にはないけど、ただなんとなく』
嘘をつくのもイヤだし、かといって理由も見つからないから、そんな返事しか返せなかった。
和『なら決まりだな。場所は俺が決めてもいいか?』
昼休みに会う事にOKしたはずではないのに一方的に決める気でいる。
俺『昼はできるだけ避けて欲しいんだけど』
和『特に用事がないならいいだろ?』
曲げないようだ。仕方ないかと一瞬考える。ただヒカルの事を思い浮かべればやっぱり絶対に避けなければならない。
俺『昼休みはダメ。今日どうしてもって言うなら午後の授業を休んで話す?』
到底カズヤには承諾できない内容だ。ただし昼がダメなら他を考えるしかないから、ちょっと答えにくいだろうなとは思ったし、カズヤからの答えも想像できたがとりあえず送信してみた。きっと答えは『じゃ別の日にしよう』そんなところだろう。
カズヤが机の下で打ち込んでいるのが見える。そして返ってきた。
和『わかったよ。昼休みが終わったら教室にいるから声をかけてくれよ。場所は部室でいいか?その時間なら間違いなく誰も来ないからさ』
驚きの答えが返ってきて、思わず声を上げそうになった。
カズヤが授業をサボるとは思ってもみなかったし簡単にOKしたので慌ててしまった。でもそこまで言うなら話につきあうしかない。日頃俺のいい加減さを批判気味に突っ込む事があるから、逆に突っ込み返す良いネタになるかもしれないとも思える。どんな話になるか不安に思いながらも午後を待つ事にした。
昼休みになって4人で飯を食べ終わった頃にヒカルがやってきた。2人で屋上に行く。
夏の終わりの日差しと風を浴びながらゆっくりと過ごす。
光「近いうち買い物に行かないか?」
俺「なにか欲しいものあるの?」
光「まぁね」
俺「いいよ」
光「じゃ週末くらいな。次体育だから着替えないとならないし今日は早めに戻るよ」
俺にとっても都合がいい。ヒカルと別れ教室に戻った。
教室に戻り見渡すとカズヤと目が合う。それだけで理解した様だ、すぐに立ち上がり外に出てくる。
校舎を通って部室まで歩く事になった。
俺「大丈夫なの?授業サボって」
和「じゃないと話できないだろ?」
俺「カズヤは断るのかと思ったよ。日頃から真面目だしさ」
和「俺ってそう見える?」
俺「見えなくはないね」
軽く笑いながら言う。
和「遠回しだけど正直な答えだな」
カズヤは笑わない。
俺「ホントに大丈夫?」
和「シュウは平気なのか?」
俺「俺は時々サボってるから。知ってたでしょ?」
和「うん。実際には羨ましく思ってた」
俺「羨ましい?」
和「俺にはできない事だからさ。でも今日はいいよ、誘ったの俺だし」
俺『そこまでして何の話をするの?』
そんな事を聞いて、その場の雰囲気を壊すような事はしたくなかったので黙っていた。
体育館の脇を抜けようやく部室まで着いた。
俺「なんか部室って中がどんな風になってるか興味あるね」
率直な気持ちを言ってしまいマズかったかなって思う。
和「そんな大した事ないよ」
入ってみて割合きれいな事に気づく。ラグビー部の部室なんてもっと散らかっていていて男臭い感じなのかと思っていた。
和「部長が汚いとうるさいからさ。いつも1年がきれいにする事になっているんだよ」
俺「ふ〜ん。ラグビー部ってそういうの厳しいの?」
和「そうだよ。まぁ汚さなきゃいいんだし。隣りの野球部なんてすごいんだぜ」
カズヤがちょっと笑った。人前ではニコリともしない時があるが、予想外に間近で見る笑顔は爽やかだ。なんとなくヒカルの最初の頃を思い出す。俺の周りにそう言う奴が集まるのか、俺のタイプがそうなのか少し考えてしまう。
部室の奥にベンチがあったのでそこに座ると、カズヤは向かい側の壁に寄り掛かった。
すぐに授業の始まりを告げるチャイムが聞え出す。
俺「あ〜戻れなくなっちゃったね」
和「構わないさ。今日は俺が話したかったんだし」
俺「そっか。カズヤとゆっくり話せるなんて今までなかったから楽しみだよ」
和「俺はシュウの事を羨ましく思ってたんだよ。だから話してみたかった」
俺「羨ましい?どこが?」
和「う〜ん、そうだな…自由なところとかかな」
俺「あはは、そんなトコか。違うトコなら良かったな」
和「えっ?なんかマズい事言った?」
俺「別に。でも実は俺もカズヤに憧れてた」
和「はぁ?俺には何もないだろ」
俺「そんな事ないよ。勉強はトップクラス、スポーツは万能、それでカッコ良いし言う事ないじゃん」
和「えっ?そんなに誉められた事ないよ」
そう言って苦笑してる。
俺「カズヤは鈍感だから気がつかないんだよ。結構モテるはずだよ」
和「そんな事ないさ。好きな奴がいても度胸ないから話しかける事もあまりできないし」
俺「日頃あまりそういう話に加わらないけど、今好きな奴いないの?」
しばらく考えている風だ。
和「好きな奴はいるかな。ほとんど無視されてるけど」
俺「へぇ〜誰?」
俺『そりゃカズヤだって男だし好きな女の子くらいいるよな』
何気に期待してた部分もあったが少しだけガッカリした。それよりもいつものカズヤと違って照れ臭そうな顔をしてるのが妙にウブな感じに見えて楽しい。
和「言えないよ」
俺「なんでさ!別に話してくれればいいじゃん」
和「好きとかそういう気持ちじゃなくて、まだ一緒にいたいとかって気持ちだけだしな」
俺「つき合いたいとか思わないの?」
和「まだよくわからないな。俺好きな奴を苛めたくなっちゃうっていうか、あまり素直になれないっていうかさ」
俺「あ〜、子供の頃によくあるっていう気持ちかぁ。コクる事はできないの?」
和「無理無理。死んでも無理」
俺「なんで?」
和「なんとなくコクったら一生嫌われそう」
俺「大丈夫だって!カズヤを嫌う奴なんていないよ。もしそうなら俺が面倒見てやるから」
和「マジ?どんな面倒だ?」
そう言って笑っている。やっぱり話し出せば結構会話が繋がるし明るい気持ちになる。
俺「そうだな〜、じゃ抱きしめてやるから胸の中で泣くとかかな」
俺「そんなんじゃつまらないよ」
そう言ってベンチに座ってる俺の横に腰を下ろした。2人だけだとドキドキする距離だ。
カズヤが近くにいるだけで少し緊張してしまう。できるだけ気持ちを悟られないように冷静を保っていた。
俺「まぁ、フラれてもカズヤには次があるはずだから、気にせずにチャレンジしてみれば?」
和「そうかなぁ。どうやったらうまくできるのか教えて欲しいよ。ところでシュウはつき合ってる奴いるの?」
ストレートに聞かれてドキっとする。答えるのに苦労する内容だ。やっぱり素直に答えるしかないか。
俺「好きな人はいるよ。相手も俺の気持ちは分かってる」
言った後にカズヤの顔を見て様子を窺う。カズヤは組んだ足の先をぶらつかせながら、つま先をじっと見てる様だ。
和「そっか。つきあってる奴がいるんだ。どんな奴?」
こっちの方がさらにキツい質問だ。慎重に答えないとならない。
俺「う〜ん、なんか手に負えないところがあるかな。俺が振り回されるっていうかね」
とりあえずは正直に答えてみた。
和「尻に敷かれてるの?」
俺「そういうわけじゃないけど自己主張が強いっていうか、わがままっていうかね」
そう言って苦笑してしまう。
和「でも好きって事なのか?」
俺「うん」
和「相手はシュウの事をどう思ってるの?」
俺「いつも一緒にいるし嫌われてはいないと思うけど、どう思ってるかはわかんないね」
その話を聞いた後、しばらくカズヤはじっと俺の顔を見ていた。さっきまでよりも少しキツい目に見える。『ヤバい』そんな雰囲気がして目を反らしてしまう。
和「もしかして俺の知ってる奴じゃない?」
見透かしたような質問で、なんと返したらいいのか分からない。知らないうちにカズヤのペースに乗せられてつい話してしまっていた。カズヤはすでに察しているのだろうか。
俺「そうだね。知ってるかもね。同じ学校の奴なんだし知ってるのは当たり前だと思うよ」
なんとか平静を装って逃げようと必死になる。
和「そういう事じゃなくて俺がもっと良く知ってる奴じゃないかって事だよ」
俺「それはよく分からないよ」
カズヤは手を緩めない。カズヤの性格はこういうところに出ていて厳しさもあり怖くもある。
和「じゃ俺から名前言ってみようか?それで当たったら答えてくれるだろ?」
俺「イヤだよ。俺ばっか攻められてるみたいじゃん」
笑ってごまかす。
その時遠くでチャイムが鳴った。救いの鐘だ。これでカズヤは諦めて教室に戻ると言うだろう。

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 長編編集部φ(..)  - 07/6/25(月) 23:21 -
カズヤもチャイムに戸惑いを見せたようだ。
俺「終わっちゃったね。戻ろうか?」
カズヤは考えている様でじっと一点を見つめている。
和「もう少し話したいし、どうせだからもう1時間休もうよ」
俺「マジ?カズヤ大丈夫なの?」
探られている以上、無理に逃げない方が良いかもしれないと思い、仕方なくつきあう事にした。
和「俺は平気さ。まだしばらくは誰も部室に来ないはずだし」
このまま話すなら、なにか別の話題を考えなきゃならない。
俺「カズヤは進路はどこか決めてるの?」
和「一応Y大(地元の国立大)だよ」
いろんな意味でカズヤらしい選択である。
俺「そっか。カズヤは長男だし家族想いだからね。大学行ってもラグビーやるの?」
和「そのつもりだよ」
俺「それもカズヤらしいね。俺カズヤのラグビーしてるトコとか好きだな」
言った後にマズかったと思う。
和「俺の事が好き?って言うか俺もだよ」
また話を戻してしまった…。しかもさらに踏み込んできている。
俺「憧れだって話したでしょ?カズヤは俺にとってはそういう存在だよ。羨ましいって感じだね」
カズヤはまたしばらく考えている様子だ。そして意を決したように俺に向き直って言った。
和「シュウの好きな奴ってのが俺の考えてる奴で間違いなくても、俺はシュウを嫌う事はないと思うよ」
これを聞いて、俺は完全にカズヤにバレたと思った。それでも否定すべきかどうか迷う。さらにカズヤの言葉が続いた。
和「誰にも言うつもりはないし俺だけの胸に閉まっておくよ。約束する」
俺はヒカルの事を考えてみた。
俺『ダメだ、バレたとしても俺だけの事じゃないしやっぱり否定しなきゃ』
俺「カズヤの考えてるのが誰かわからないけど、多分間違いじゃないかなぁ」
和「そうかな?俺は確信してる」
そう言って俺の左手を握ってきた。
俺はビックリして手を振り解こうとしたが、カズヤの力に敵うはずもなかった。握られたままカズヤの顔を見る。
和「握ってる意味がわかるだろ?俺とシュウで手を握りあうのと同じ意味の事だよ」
その意味を充分理解して、降参したように握られた手の力を抜いた。次にカズヤがなんと言うか、多少の恐怖とともにそれを待っていた。
カズヤはゆっくり話し出す。
和「大丈夫だよ、誰にも話はしないさ。いつからそういう関係になったの?」
俺「2年になってすぐくらいかな」
素直に答えた。
和「そう言えば毎日シュウに会いに来てたもんな。今考えれば不自然だったかもな」
カズヤはそう言って軽く笑った。嫌みのような笑い方ではなかった。
和「シュウもヒカルも普段は全くそんな風に見えないのに、いつのまにそんな風になったんだ?」
俺「…」
ヒカルの名前まで出されてさらに凍りつく。答えたくなかったからというよりも答えられなかったから黙っていた。
和「無理に答えなくていいよ。でも少し俺を信用して欲しいな」
俺「…うん。でもわかるでしょ?普通は知られたくない事だし、ヒカルだってカズヤが知ったらどう思うかわからないから」
和「だから誰にも言わないで黙ってるって。でも少し聞きたい事がある。話せる事だけでいいから答えてくれよ」
俺「…分かった、いいよ。話して」
和「シュウはヒカルの事が好きだろ。ヒカルもシュウの事が好きなんだな?」
俺「そうだね」
和「それで…その…エッチもしてる?」
俺「…」
俺にはいつも無口だったカズヤが、今はかなり多弁な上に大胆な質問をしてくる。
和「まぁ答えは分かったよ。ヒカルの性格からいってしないわけないよな」
俺「…」
和「ヒカルって乱暴っぽく見えるけど何がいいの?」
俺「確かに乱暴なトコもあるけど、ヒカルはああ見えて意外に繊細だと思うよ。相手の気持ちを大事にするし」
和「そうかぁ。そういうのは仲良くならないと分からない事だよな。それでさぁ…やるのは気持ちいいの?」
俺「…まぁね」
和「ヒカル以外の奴とはできない?」
俺「どうかな。あまり考えた事がないから」
動揺してたから忘れていたが、不意にカズヤに手を握られているのを思い出した。握られた手に少し力が入る。
しばらく質問がなかったが、黙っている間にカズヤの手の温もりに緊張して胸の鼓動が高鳴ってしまう。
和「俺もさあ、女が好きだけど、別にシュウと手を握っていてもイヤな気分にはならないよ」
俺「…」
俺『俺もイヤじゃないどころかカズヤの事だって憧れているわけだし…』
そう思っても口にはできない。
和「俺に握られても大丈夫じゃない?」
俺「そうだね」
段々と話の確信に迫っていくような感じだ。
和「それで俺にもヒカルと同じ事ができる?」
カズヤは笑いながら平然と言ってきた。
カズヤの言葉が心の中で響く。本心で言ったのかどうかもよく分からない。ただ握られた手が本心かどうかを判断する材料になっている様な気はした。
ここは冷静に振る舞った方が良い。
俺「アハハ、カズヤらしい冗談だよね」
そういって手を振り解くように離した。
俺「カズヤにはたくさんの女の子がついてるんだし、選ぶ事だってできるじゃん?」
カズヤはじっと話を聞いている。
俺「でも何度も言った様にカズヤに憧れてる気持ちは変わらないよ。俺は今までもそうだったし今からもカズヤの事が好きだから」
ひとしきり考えている様子だったが、ようやくカズヤは話し出した。
和「そっか。シュウらしい答えだな」
カズヤは少し深呼吸したようだ。
和「俺は友達だって思ってるのに、シュウに冷たい態度とっていたよな?どうしてそんな事をしてたのか考えていたんだ。よくは分からないけど、シュウと仲良くしたくてもいつもそばにいないし話すこともできなかったから、段々とイライラが溜まって来ていたのかもしれないんだよ。ちょっと言い訳っぽいけどさ。俺の勝手な気持ちで悪い事をしたと思ってる」
俺の顔を見て少し間をおいた。
俺「大丈夫だよ。気にしてないから」
和「うん。それでお詫びも含めてもっと仲良くしたいって思ったから、夏休みにメールで誘ってみたんだよ」
その時のメールの内容を思い出してみる。何かは分からないがメールでは伝わらない微妙な雰囲気があったはずだ。
和「まぁこうやって仲良くなれたんだし今日は色々話せてよかったと思うよ。これからももっと仲良くして行こうな!」
俺「うん、そうだね。今からは色々行事もあるからクラスにいなきゃならないし、できるだけ一緒にいるようにするからさ」
和「そうだな。今以上に仲良くしたいと思ってるよ」
俺「うん。分かったよ」
そう言って立ち上がった。
俺「そろそろ授業も終わるし部活が始まる時間でしょ?だから先に戻るよ」
できるだけ早く戻った方がいいって思った。カズヤが怖いんじゃなくて、カズヤの話を聞くのが怖かったからだ。
和「そうだな。俺も後で荷物を取りにいくよ」
俺は扉に近づき出ていこうとした。
和「あのさぁ…」
声がして振り返った。
和「ヒカルとの事は絶対に内緒にしておくよ。たださぁ、今日話をしてみて俺も自分のやりたい事に気づいた。今からは好きだっていう気持ちをぶつけていくつもりだから」
俺に向かってカズヤはそう言った。
カズヤと別れて教室に向かうが、授業が終わってない為一旦図書館に避難する。10分くらいじっとしていれば授業も終わるはずだ。
例の中2階の奥まで入っていくが、あの日と同じ様に今日も誰もいない。
ここでのヒカルとの出来事を思い出す。かなり前の出来事の様だ。今ではヒカルと一緒の生活が当たり前の様になっているが、あの日のここからスタートしてる事に改めて感慨に耽る。
あの時に使ったのと同じ椅子に座り、さっきのカズヤの別れ際の言葉をもう一度考えてみた。
『カズヤに手を握られて動揺していた。前からカズヤに抱いていた憧れ。それはあくまで憧れであり、好きになるとかつきあうなんて事は全くの想定外だった。俺に対しての気持ちなのか、俺の気持ちを弄んだのかはよく分からないが、今日のカズヤはすごく積極的だった。それに最後の発言も今後を暗示してるようで気になる』
『ただ、自分にはヒカルがいる。今一番大事なヒカルと離れるなんて事は考えられない』
『カズヤとヒカルはある意味全く対照的だ。似ているのは無口はところくらいか。ただそれも対照的だ。俺の前で明るいヒカルと、俺には冷たかったカズヤ』
『この2人を較べろっていう方が無理だよ。それに人間関係の整理なんてできるわけがない』
チャイムが鳴った。
『とりあえずヒカルのところに一刻も早く行かなきゃ』
急いで教室に戻る。コウにサボった事を突っ込まれたがあまり相手にせず、荷物をまとめてヒカルのところに急いだ。
教室の外に出てきたヒカルと丁度会い、そのまま一緒に帰る事になった。
玄関を出るとすぐにカズヤにバレた事を話した。
つきあってる人がいる事やその相手といつも一緒にいる事を話したらカズヤが察してしまった事などを話した。
ヒカルが怒るんじゃないかと思ったが、意外に冷静だった。
光「いいんじゃね?俺は全然構わないし。カズヤも誰にも言わないって言うなら大丈夫だろ。俺は平気だよ」
俺「ホントごめん」
光「謝る事ないさ。第一嘘じゃないんだし。気にすんなよ」
そう言ってヒカルは笑ってくれた。とりあえずはホッとする。
ただ、手を握られた事や最後の話までは言い出せなかった。
グラウンドの横の道路を歩いていくと、ラグビー部の練習が目に入ってきた。ヒカルも見ている様だ。
その中にカズヤの姿がある。俺達に気づいたようだ。
光「堂々としてろよ」
そう囁き、ヒカルはカズヤに軽く手を振った。カズヤもそれに答えるように手を振り返した。
一瞬、空気が張りつめる様に感じられた。

それからというもの、学校のある間は毎日カズヤと顔を合わせ、会えば明るく話す様になっていった。あれ以来俺とヒカルの事には全く触れてこない。
ただしそれはあくまでも俺に対してだけだ。昼にヒカルが来れば必ず険しい顔を見せる。まぁこれは前からそうだったので、ヒカルにとってそれほど変化があったわけではないし、ヒカル自身も大して気にはしていない様だった。

修学旅行が近づいてきてクラスにいる時間も増えてきた。4人1組の班に分かれる事から、俺達は自然とコウ、ユタカ、カズヤのグループになる。
こうなると決め事はコウとユタカに任せておけば良い。俺とカズヤはただついていくだけって感じだ。口出ししたって何も認められないのは分かっている。部屋も4人部屋なので終始変わり映えのしない修学旅行となるはずだが、俺にとっては他の奴と組まされるよりはよっぽど気が楽で良い。それはカズヤにとっても同じだ。

修学旅行もあと一週間と迫ったある日、いつもの様に昼休みにヒカルが来るのが見えたので、急いで教室から出て廊下で合流した。
最近はヒカルが教室の中まで来ない様に早めに合う様にしていた。カズヤがイヤな顔をするのを見たくなかったからだ。
屋上でのんびりする事になり廊下を歩いていると、いきなり後ろから呼び止められた。カズヤだ。
俺「どうした?」
和「今日はヒカル君に話があって」
俺『えっ?』
俺もヒカルも顔を見合わせ驚く。
和「2人だけで話したいけどいい?すぐ終わるから」
カズヤは俺に向かってそう言った。
俺『俺じゃなくてヒカルと話したいの?』
内心そう思って心配げにヒカルを見た。
光「シュウに用事があるんだけどすぐ終わるのか?」
和「すぐだよ」
光「わかった。じゃ先に行ってろよ」
ヒカルは俺に言って今歩いて来た廊下をカズヤと戻って行く。
2人の背中を見ながら俺は反対側に歩いて行くが、心配になり角を曲がった所で待つことにした。
チラっと様子を窺う。どうやら廊下の反対側のつき当たりで2人で話している様だ。
1〜2分で話が終わった様でヒカルが歩いてくるのが見えた。別に殴り合いになったわけでもないが、何を話したのか心配になる。
ヒカルは俺に気づき足早に向かって来たかと思うと、いきなり俺の腕を掴んで引っ張る様にして歩き出した。
俺「どうしたの?何を話したの?」
何を聞いても黙ったままだ。屋上には向かわず、廊下をまっすぐ進んで実験棟のトイレに入ると、いきなり固く抱きしめ激しくキスをしてきた。

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さよならの向こう側には【涙の受験編、前編】...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/26(火) 0:46 -
俺は一時我慢していたが苦しさに耐えられなくなり無理矢理ヒカルから離れる様にした。
俺「苦しいよ!どうしたの?」
光「うるせぇよ、じっとしてろよ」
そう言って強引に個室まで連れていかれ、またキツく抱きしめられた。
ヒカルはかなり怖い顔をしていたので、俺も少しの間黙っていた。ヒカルがこうなったのもカズヤとの会話が原因だという事は間違いないはずだ。
俺『カズヤは何をを話したんだろ』
かなり不安に思えた。
しばらくして抱きしめる力が緩んだので少し身体を離しヒカルの顔を見た。目が合いもう一度キスをした。今度は少し優しさが混じっている。
光「おまえは俺の事をどう思ってる?」
俺「大好きだよ。他の誰よりもね」
光「信じていいんだな」
俺「もちろんだよ。カズヤになんか言われたの?」
ヒカルは答えずにただ抱きしめているだけだった。
俺「もう休み時間が終わるから戻ろうよ」
ヒカルも頷き素直に戻る事にした。
ヒカルと別れ教室に戻り、カズヤのところまで行った。
俺「ヒカルに何を話したの?」
和「自分の考えてる事を伝えただけだよ」
俺「だからどんな事を?」
和「別に…なんかあったのか?」
俺「…」
授業が始まったのでそこまでで終わってしまう。
授業中もずっと考えていた。
『カズヤの性格からいって酷い事を話したとも思えない。でもヒカルにとっては気分の良くない事だったのかな…』
『カズヤが誰を好きかってのもまだわからないし、直接聞いたわけでもない。ただ部室での最後の会話が気になる』
『ヒカルもカズヤも内容を話さないのはなぜなんだろ』
考えれば考えるほど不安な気持ちになるだけだ。
授業が終わってからもう一度カズヤに聞いてみた。
俺「なにを話したか教えろってば」
和「だから俺の気持ちを言っただけだよ。ヒカルに聞けば?」
俺「教えてくれなかったよ」
和「ヒカルも話さなかったのか?」
俺「うん」
それを聞いて、カズヤはなんとなく含み笑いをしている。
俺「もういいよ。カズヤが話さないなら俺もカズヤと話をしないから」
ちょっとスネた態度を取ってみせる。
和「そりゃマズいだろ?修学旅行も近いのに話さないなんてさ」
俺「知らないよ」
和「わかったよ。なら土曜日の午後に俺ン家に宿題をしに来れば?その時に教えてやるよ」
俺はしばらく考えていた。
和「内緒って事になってるんだからヒカルには黙って来いよ」
俺「…わかった」
とりあえず話の内容が聞きたかったのでOKした。

土曜日になりカズヤの家にバスで向かう。カズヤとはバス停で待ち合わせって事になっていた。
前日はあまり眠れなかった。ヒカルとメールをした後でずっと考え事をしていたからだ。ヒカルはあれからいつも通り変わりなく接してくれているが、カズヤから何を聞いたのか気になって寝つけなかった。
バスを降りるとカズヤは自転車で迎えに来ていた。家まで並んで歩く事にする。
和「シュウは制服よりも私服の方が断然いいな」
俺「何言ってるんだか。カズヤはジャージが一番似合うね」
和「おい!」
そんな感じの話をしながらカズヤの家に到着した。
和「今日は夜遅くまで誰もいないからゆっくりしていけよ」
カズヤの家で夜遅くまでいるって事は展開としてはあまり良くないと思える。
とりあえずカズヤの部屋でしばらく勉強をする。
部屋にはコミックもたくさんあるが参考書なんかも結構多い。カズヤはいつも試験でトップクラスを維持しているが、日頃は勉強しまくっているという風には見えない。そんなところに憧れの一端がある。きっと家では相当頑張っているのかもしれない。
一通りやり終えたところで一服した。
和「修学旅行の準備した?」
俺「ボチボチだね」
和「シュウと同じ部屋になれたなんて光栄だな。でもヒカルとしばらく離れるのは寂しいだろ?」
もうその話だ…。
俺「離れるって言ってもそれほど遠くに離れるわけじゃないし同じホテルだからいつでも会えるよ」
和「お仲が宜しい様で何よりだな」
ちょっと嫌味っぽく言う。
俺「ヒカルに何を話したの?」
一番聞きたかった内容を俺もストレートに聞いた。
和「大した事なんて話してないって」
俺「でもヒカルは普通じゃなかったみたいだけど」
和「どんな感じだった?」
あの日のトイレでの怖い顔を思い出す。
俺「怒ってるみたいだったかな」
それを聞いて少しだけ笑った。
俺「カズヤは俺とヒカルの中を裂きたいの?」
和「そんな酷い事を考えた事もないよ。だいたいそうしたいならみんなに2人の事を広めたっていいわけだし」
俺「なら何を話したの?」
和「ホント大した事ないよ?そんなに聞きたい?」
俺「聞きたいね」
和「じゃあさぁ、交換条件としてヒカルとやってる事を俺ともしてみる?」
カズヤは笑いながら言った。
俺「なに冗談言ってんだか」
和「本気だとしたら?」
俺はドキッとしてカズヤを見た。今さらながらカズヤの発言に驚いてしまう。
和「俺が冗談なんて言うような奴には見えないだろ?」
俺「そうだね、全然見えない。でも今日は冗談でしょ?」
和「いつもの俺のつもりだけど」
笑顔で答える。
和「どうする?誰もいないんだし何でもできるよ?」
俺『その笑顔ってのが微妙な雰囲気だから本心かどうかわかんないんだよ』
部室の時にしろ今日にしろ、俺が思っている憧れのカズヤの言葉とは思えず、どんな気持ちでいるのか全く掴めない。でもどこか“完璧な本気”とは違うように感じられる。顔つきからだろうか。様子を探る為に思い切って聞いてみる。
俺「カズヤは俺とやりたいの?」
そう言われてカズヤはちょっと考えてる様子だ。
和「どうかな。ただ…ヒカルとシュウが仲がいいって知った時はあまり気分が良くなかったかな。男同士だからって事じゃなくて…今まで自分の中で…なんていうか…曖昧に考えていた事が初めて分かったからかな」
俺「曖昧な事って何?」
和「…詳しくは話したくないよ」
カズヤは少し横を向いて目を反らす。意外に弱気なのかなって一瞬思いさらに攻めてみた。
俺「でも話さないとカズヤの事っていつまで経っても何も分からないからさ。やりたいならやりたいで正面切って言えばいいじゃん?」
急にカズヤは俺の方を真っ直ぐ見た。
和「おまえは相手の気持ちっていうのを考えないのかよ」
カズヤの顔がみるみる険しくなる。
和「なら教えてやるよ。俺はヒカルよりも力は強いと思うしどうなっても知らないからな」
カズヤはいきなり立ち上がって、座っていた俺の上に跨いでのしかかってきた。
そして頭を両手で挟む様にすると、いきなりキスをしてくる。
俺は固まってしまい、されるがままで身動き出来ずにいた。
和「ヒカルにも『したい様ににする』って言っただけさ。あいつも俺には『好きなようにしろ』って怒りもしないで言ってたよ」
投げやりに言い放つ。
俺があまりにも執拗に質問をしたので、カズヤの男としてのプライドを傷つけてしまった様だ。なんとか場を鎮めようとする。
俺「怒らせちゃったんなら謝るよ。でも俺もカズヤの事を好きだし、やるならきちんとした気持ちでやりたいから力づくみたいなのは辞めて欲しいよ」
俺は視線を落としながらそう言う事しかできなかった。
しばらく動きがなかったのでカズヤの様子を窺う様にチラっと見る。
相変わらずキツい目をして睨んでいた。ヒカルと同じ目をしていて思わずドキッとする。
和「そんな泣きそうな顔すんなよ」
俺「ヒカルを裏切りたくないから…」
和「俺を挑発するような事ばっかり言ってるおまえが悪いんだよ」
確かに俺はカズヤの気持ちを考えないまま逆撫でするような事ばかり言っていたかもしれない。だけどこのままでは困る。
俺「ヒカルになにを話したか聞きたかっただけだから」
精一杯逃れようとして言う。
和「違うね。俺に憧れてるとか言って俺を誘ってたんじゃないのか?」
俺「そうじゃないよ…」
和「じゃなんだよ」
俺『誘ってるわけじゃないけど、挑発するような事ばかり言っていたのは事実俺だしカズヤもかなり辛かったはずだ。怒るのも無理ないし相当我慢してるに違いない。カズヤが暴れるのも仕方ない』
そう思っていたが、黙っているだけで言葉を返せなかった。
俺の気持ちを察したのか、カズヤは俺が避けないのを確認する様にゆっくりと顔を近づけてきた。
今度は優しくキスをする。俺は抵抗せず受け入れてしまっていた。ゆっくりと舌が入ってきて俺の舌を探す。ヒカルほど慣れていないが優しく絡らんでくる。永遠に続くんじゃないかと思うくらい長くキスをし続けてきた。
カズヤの唇が一旦離れ下へと向かっていく。首筋を舐められ俺は少し吐息を漏らした。
カズヤの手がシャツのボタンに掛かり外し始める。ぎこちなかったが下まで何とか外し終え脱がされた。上半身裸だ。
恥ずかしさなんてない。あるのはヒカルに対する想いとカズヤに対するお詫びの気持ちだけだ。
カズヤの両手が胸の周りを触っている。触れながらカズヤは俺の顔をじっと見ていたが、しばらくして話しかけてきた。
和「シュウさぁ、俺に気を使ってやってるんだろ?おまえらしいよな」
俺「…」
和「こんなつまらないエッチなんてないよ。愛情が何もない」
俺「…」
和「ヒカルの事を考えているんだろ?そんなにヒカルが好きなのか?」
俺は少し間をあけて頷いた。なんとか声を絞り出す。
俺「…カズヤも大好きだよ。決して冗談じゃなくて本気で。でも今はヒカルとつきあってる。なにも不自由してないし酷い事をされたこともない。それなのに俺からヒカルを裏切った…」
ヒカルへの裏切りの気持ちで張り裂けそうだった。
カズヤはしばらく何かを考えている様だったが、溜息混じりに話した。
和「仕方ないな。わかったからこっちに来いよ」
カズヤは先にベッドに入って俺を呼ぶ。上半身裸でいたしヒカルの事を考えていて頭がイッパイイッパイだったので黙って従った。 
和「俺だっておまえのことは好きだよ。だけど今みたいに気のないエッチだけはしたくない。もっと本気な時にやりたいしな」
そう言ってカズヤは俺の手を握る。うわの空でいた事と今さらって感じだったので特に避けずにいた。
和「ヒカルにこの事を話したら怒るかな。そうなら黙っていればいいだろ?」
俺「そんな事出来ないよ。裏切った気持ちのままでいるなんてできない」
和「じゃ話すしかないか。でもきっとヒカルの事だから暴れるんじゃないか?」
暴れるくらいなら構わない。いくら殴られても良いけど終わりにされる可能性の方が高い。ヒカルは純粋な奴だ。そう考えると余計落ち込む。
カズヤは俺を上から覗き込んできた。
和「少し考えればいいさ。けどなるようにしかならないし、深く考えない方がいいんじゃないの?困ったら俺がいるし」
そう言って俺の腕に触れてくる。ヒカルの大きな手とは違う感触だ。もっと男っぽいザラっとした感覚がある。
俺「カズヤは俺に怒ってないの?」
和「もう散々ヒカルが好きだって聞かされてるし、今さら怒ってもしょうがねぇよ。確かにおまえに色々言われてカッときちゃったけどさ、いつまでも怒ってるのも男らしくないだろ」
カズヤは上から俺を見下ろす様にして身体に触れてきていた。
俺「ごめんね。俺今までカズヤに憧れてたし、カズヤが俺の事を好きになってくれたらいいなって何となく漠然と考えていたんだと思う。でも今はヒカルとも終わりにしたくないんだよ」
和「そっか…仕方ないよな」
それ以上は何も言わず黙っている様だった。
俺もまたしばらく考えていた。
俺『今はヒカルに対しての事を考えて悩んでいる。その事を相談できるのが、俺達のつきあいを知っているカズヤだけだ。ただそのカズヤにも一定の好意を持っていて、相談しようにも詳しく話すことが良いことなのか判別がつかない状態だ』
しばらくしてカズヤが話し掛けてきた。
和「もしヒカルに話すなら一緒にいてやろうか?その方が言いやすいだろ」
俺「言う時は自分で言うよ。俺の責任だし」
和「おまえの責任ってわけでもないんだし。今日は俺が誘ったわけだろ?」
そう言って再度俺の身体に手を置いた。

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さよならの向こう側には【涙の受験編、前編】...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/26(火) 23:20 -
和「それにしてもおまえさぁ結構きれいな身体してるんだな。今まで着替えとかも見た事あったけど気づかなかったよ」
俺「身体はカズヤのほうが圧倒的に上でしょ」
和「そうか?見てみる?」
言うが早いかカズヤはTシャツを脱いで上半身裸になった。いきなりでビックリしてしまう。これほど近くで見る機会は今までなかったが、やはりスポーツで鍛えた逞しい筋肉は、ヒカルとも違う男らしさを感じる。
俺「すごいね。やっぱり憧れる」
和「触ってみれば?」
最初に握っていた手を腹筋の辺りに導いた。ちょっと腹に力を入れた様で、固く割れ目がはっきりとした腹筋が浮かんできた。
俺「自分が情けなくなるよ」
和「そんな事ないさ、おまえだって少しは腹筋ついてるし綺麗だよ。焼けてるけどツルツルしてるしな」
そう言って俺の胸の上に顔を擦り付けてきた。俺もカズヤの頭を抱く様にする。どこか今のカズヤだったらここまでしても構わないという雰囲気になっていた。なんとなく知らずの内にカズヤのペースにハマっていってしまっている。遠回しにされ安心してると、いつのまにか踏み込まれてしまうのだ。
カズヤが身体をずらすと足にカズヤの固いモノが当たるのに気がついた。
俺『カズヤはすでに反応しているんだ』
俺は逃げるように身体を捻ろうとしたが、すでにカズヤに上に乗られていたので思うように身体が動かなかった。
俺『ヤバい、このままだと…』
そう思う気持ちとは裏腹に、俺の身体も反応し出していた。
俺「カズヤ、重いよ」
和「もう少しだけこのままでいさせてくれよ」
そう言って身体を少しずつずらしてくる。
和「肌が擦れるのって気持ちいいんだな。もちろんおまえだからだけど」
俺「カズヤは女の子とエッチとかした事ないの?」
和「えっと…まぁそうだな、ハハッ」
スポーツマンでありイケメンでもあるのに、よっぽどカズヤは奥手なんだ。
ただいつからか俺だけには大胆さを見せている。考えてみると部室で話してから、しかもヒカルと俺の仲に気づいてからではないかと密かに思っていた。
すでに完全に重なり合うようになってしまっている。俺の足の間にカズヤが入る感じだ。多分俺のモノが固くなっている事も気づかれているはずだ。
俺「カズヤ、もう終わりにしよ?」
和「もう少しだけ」
俺「でもヒカルの事もあるし、もう帰らないとならないから」
和「いいよ、泊まっていけば」
俺「そんなわけにはいかないよ。お願いだからさ」
カズヤはゆっくりと身体を上げたので納得したものと思ったが、カズヤの口を突いて出てきた言葉はまったく違っていた。
和「おまえ自分が勃ってるのがわかってんだろ?ヒカル以外でも感じてるって事だろ?俺だって我慢したいけどやっぱり我慢できないよ」
俺は身体を起こそうとしたが、カズヤに両腕を取られ身動きできなくなった。かなりの力だ。
俺「さっきはヒカルの事を一緒に心配してくれただろ?頼むから離せよ」
なんでもいい、言い訳だけして今は離れなければ…。
俺「次ならいつでも良いから今日だけはしたくないよ」
和「ごめんな。我慢できないし、俺は今日だけでいいから」
一向に離そうとせず、両手を捕まれて頭の上で固定された。カズヤの片手でだ。そしてもう片方の手をジーンズとボクサーの中に強引に入れてきた。
俺「やめろよ!」
和「すげぇ濡れてるな。身体は嘘がつけないな」
モノを握られしばらく弄ばれる。ベルトを外され、ファスナーを降ろされた。
俺「カズヤ頼むからやめろよ!最低だよ。いつものカズヤじゃないよ!それが好きだったのに!もう嫌いだよ!」
和「…いつもの俺?」
その言った時にカズヤの力が一瞬抜けたようだったので、腕を振り解き全身の力を込めカズヤを突き飛ばした。
カズヤがベッド脇の本棚にぶつかるのも気にせず急いで離れた。
和「イタっ!おまえやりすぎだよ」
そう言って頭を押さえている。
俺「ごめんね」
とても心から謝っているとは思えないくらい全く感情がない謝り方で言った。
なんとなく気まずい雰囲気が漂い、しばらく無言でいる。
俺『気マズいはずだよ。俺にとってはヒカルへの想いがある。でも確かにカズヤの事も好きだという気持ちを抱いている。ヒカルだけじゃなくカズヤも俺に愛情を持ってくれている様だし、それはすごく嬉しいし俺にとっては有り難い事だ。でも両立なんて無理さ。どちらかを傷つけるだけだ。今だってヒカルを裏切っているしカズヤにも酷いことをしている。それなら今後どうしていけばいい?』
カズヤに向けるよりも、どう整理すればいいのかわからない自分に対して腹が立ってしまう。
カズヤを見ると、俺の様子を窺っていたのか目が合った。
和「嫌いとか俺じゃないとかさぁ、少し言い過ぎだろ?」
俺「だっていつものカズヤじゃないよ。もっと控えめなはずなのに…信じて少し気を許すとすぐに先へ行こうとするんだから」
カズヤは少し間をおいて苦笑気味に笑いながら答えた。
和「そうだな、つい調子に乗っっちゃったかもな。悪かったよ。でも嫌いとか言うなよな」
俺も自分に対しての腹立たしさから、あまりカズヤを責める気にもならない。
それによっぽどの進路変更がない限りカズヤとは3年になっても同じクラスになるはずだ。これから先卒業までずっと仲が悪いままでいるなんて事はできない。
俺「嫌いじゃないよ。俺も言い過ぎたし、俺も悪いから」
和「そっか、良かったよ。これから修学旅行中もずっと話さえできないんじゃ耐えられないからな」
俺「俺もそう思ってるから」
お互いに曖昧に済まそうという雰囲気の中で、なんとなく気持ちも収まってしまう。
時計を見たらもう遅い時間だった。
俺「ヤバっ。そろそろ帰らないと」
和「もう帰るのか。じゃバス停まで送るから」
そう言って慌てて2人でカズヤの家を出た。
時間がなかったので自転車に2人乗りしてバス停まで向かう。
風はもうかなり冷たくなった。夜になれば尚更だ。すれ違う車のヘッドライトがなんとなく暖かそうに見える。
ただ、考えてみれば後ろに乗っている俺よりもカズヤの方が風を受けて寒いに違いない。
俺「寒くない?」
和「平気だよ」
そう言うカズヤの広い背中を見ているとやっぱり頼りがいがある。
和「あのさぁ答えなくてもいいから聞いていてくれよ。ヒカルがいても俺の気持ちはあまり変わらないから」
カズヤは唐突に言った。
顔が見えないのでどういう表情で言っているかが分からないが、“ヒカルがいても”という言葉にカズヤの切なさが込められている様で俺の心に重くのしかかる。
俺「うん」
どっちともつかない言葉で返事だけ返した。
和「やべぇ、バスが来た!」
バス停の少し前でバスが向かってくるのが見えた。カズヤは一段とスピードを上げて自転車を扱ぎなんとか間に合わせる。
俺「ありがと。じゃね、また学校で」
手を振ってバスに駆け込みカズヤと別れた。

家に着くまでのバスの中で考える。
『すごい一日だった…。カズヤの事を思ったりヒカルのことを考えたりして、心が揺れ動いていた。キスをされても避けなかったし身体を重ねても逃げずにいた時が間違いなくあった。俺は良い様にカズヤの気持ちを振り回してしまったと思う。やっぱり一番酷いのは俺か…。バスが着たからウヤムヤになったけど、別れ際の言葉は俺にとって辛いものがある。もちろんカズヤだってもっと辛いかも知れない。今頃家で落ち込んでいるかもな』
そう思いカズヤにメールを入れた。
俺『また遊ぼうね。修学旅行楽しもう』
すぐに返事が返ってきた。
和『おぅ!また月曜に学校で』
返事がきて少し安心した。別の事を考える。
『ヒカルにはなんて説明すればいいか…。ブチギレる顔しか浮かばない。怒って当たり前さ。謝るしかないけどなんて切り出せばいいかわからない』
考えなんてまとまるはずもなく、あっという間に家に着いてしまった。
『とりあえずきちんと話さないと』
今はそう思うしかなかった。

週が明けたが、昼休みはジン達も一緒にいる事が多かったのと修学旅行の準備とで、ヒカルにはカズヤの事を話せないままでいた。
カズヤとはあれ以来何事もなかった様に接している。学校では相変わらず寡黙な感じだった。
結局何も変わらぬまま修学旅行に突入してしまった。
今更ながら場所は京都。まぁ田舎の公立校なら仕方ないところか…。京都は好きだからいいけど。
弘「場所なんてどこでも構わないよ」
コウはそう言っているが、確かにその通りかもしれない。環境さえ変わればそれで良いって感じだ。
3日間のうち2日目と3日目は自由行動だ。
いつものメンバーで無理なく組んで自由時間を楽しむ予定でいた。
最初の夜、夕飯を食べた後に風呂の時間になったが、大浴場に3人を行かせて1人で部屋のシャワーを使う事にした。みんなに日焼け跡を見られたくなかったからだ。
しばらくしてからヒカルに会う約束になっていたが、まだまだ時間があるので、さっさとシャワーを浴び、出てから本を読んで寛いでいた。
そのうちにカズヤだけが戻ってきた。
俺「早かったね」
和「おまえがいないから早く来たんだよ」
俺はカズヤの話は無視してうつ伏せで読んでいた。
和「なんか見られたくないものでもあったのかな〜?」
カズヤはいきなり俺の足の上に馬乗りになって半パンとボクサーをずり降ろした。
俺はびっくりしてカズヤを振り落としボクサーを上げた。
和「へぇ、ヒカルが日焼けしろって言ったのは競パン跡をつける為なのかよ。可愛いケツだったな」
俺「カズヤ、最低!」
和「冗談だよ、怒るなよ」
怒ったわけではないが、カズヤに見られたという事があまり気分の良いものではない。ヒカル絡みの事でカズヤに詮索されるのが嫌だったからだ。
苛つきながら部屋を出て待ち合わせ場所に行くとすでにヒカルは待っていた。
俺「待った?」
光「今来たところだよ。なんかあった?不機嫌そうな顔だぜ?」
俺「別にないよ」
今のカズヤの行いもそうだが、修学旅行に来てまで嫌な気分にさせたくなかったので、カズヤの家であった事を話せないでいた。
しばらく雑談を楽しんだ後、明日また会う約束をして部屋に戻った。
部屋は和室になっていて、すでに4つ布団が敷かれていた。
なぜかどこに誰が寝るかも決まっている。端からユタカ、コウ、俺、カズヤだ。
『なんかヤバ目な順番だ…』
そう思いながらもしばらくみんなで話をして程々の時間に寝る事にする。
最近ゆっくり眠れていない。ただ家と違って場所が変わるとなかなか寝付けないものだ。
消灯の時間が来てすぐに布団に入り、しばらくみんなで雑談していたが、例え修学旅行とはいえいつもと変わらないこのメンバーではそれほど盛り上がる話もない。話の中心になるべき右側のコウからはすでに寝息が聞こえていた。それならば盛り上がらないのも当然だ。
左側に寝返りを打つとカズヤと目があった。
俺「まだ起きてたの?」
和「うん。家でもいつも遅いからこんなに早く眠れないよ」
コウやユタカに聞えないように囁きながらの話となる。
和「今日はヒカルに会ってきたのか?」
俺「うん」
ヒカルのことが気になるのか…。
和「もう話をしたのか?」
俺「何を?」
和「俺の家での事だよ」
俺「まだだよ」
和「言いにくいのか?」
当然言いにくいがあまり気にしていない様に装う。
俺「どうかな。まぁ今はあまり深く考えてないからね」
和「そっか」
しばらくは無言になる。
少ししてカズヤが手を出してきた。
和「握っててくれよ」
俺「ダメ!みんないるんだし」
和「握るくらいいいだろ。それ以上何もしないよ」
相変わらずカズヤとは思えないような発言だが仕方なく握ってやる。どうせ布団も密着しているし見られないはずだ。
満足したのかカズヤは笑みを浮かべそれ以上は何も話さなかった。
俺もそのまま眠りについた。

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さよならの向こう側には【涙の受験編、前編】...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/27(水) 0:36 -
次の日から自由行動になり2日間を過ごした。
最後の夜は土産物などを買いに行く為の自由時間があり、ヒカルに誘われて一緒に外に出る事にした。
家族へのお土産と、2人の記念にって事でお揃いのキーホルダーなどを買いホテルに戻る。まだ少し時間があるのでロビーで寛いでいく事になった。
光「学園祭が終わったらさぁ、どこか旅行に行こうぜ」
俺「うん、いいね!」
光「どこがいいかな」
俺「寒くなるし温泉とかは?」
光「そうだな。じゃ考えておこうぜ」
話してからふと考える。
俺『カズヤとの事を話しても一緒に言ってくれるだろうか…』
しばらくヒカルと話しているうちにカズヤ達が帰ってくるのが見えた。
俺達に気づくとカズヤだけが近づいてくる。もちろんヒカルがいる事も分かっているはずだ。
和「どこにいたんだよ、出かける時に探したんだぜ」
俺「ごめんね。先に出ちゃったからさ」
和「2人で出たの?」
ヒカルの方を向いて聞いた。
光「そうだよ。仲良しだからな」
ヒカルは別に嫌味な言い方でもなく普通の顔で返事を返した。
和「そっか。一緒に話に加わっていい?」
光「構わないよ」
カズヤは俺の隣に座る。
俺『なんかイヤな予感がする…。不安になってるのは俺だけだろうか』
和「何話してたの?」
俺「特別な事じゃないよ」
とりあえずそう答えた。
光「今度2人だけで旅行へ行こうって話だよ」
俺はチラっとヒカルの様子を窺ったが特に変わりはない。
俺『俺が特別じゃないと言っているのに、わざとヒカルは旅行の話をした様にも感じる。しかも2人でとはっきりと言った。挑発なのかな…』
和「仲が良いってのはいいよな。2人でなんて羨ましいよ」
カズヤも普通の表情で返す。
和「また2人で日焼けでもしてくるのか?」
俺の方を見て言った。
俺『きっと競パン跡のことを言っているんだ。今度はカズヤの嫌味か…。競パン跡を知っていると主張したんだ…』
俺も冷静な顔をするように心がけてはいたが、内心カズヤを殴ってやりたかった。
光「これからの時期に日焼けはないだろ。温泉だよ」
和「そっか、そうだよな。あんなケツの日焼け跡なんてなかなか人に見せられないもんな?」
俺「カズヤ!」
和「冗談だってば」
俺にそう言った後、ヒカルの方を向いて笑いながら言う。
和「みんなで大浴場に入った時にチラっと見えたからちょっとカラかってみただけだよ」
カズヤはギリギリの線で嘘をついた。
光「可愛いかっただろ?シュウにはあれが似合ってるよ」
ヒカルは平然として言う。これも意識的な発言か、普通に言っただけなのか判断がつかない。
和「シュウの白いだけのケツは見た事がないからどっちがいいかわかんないよ」
そう言って立ち上がった。
和「じゃ俺先に部屋に戻るよ」
光「じゃあな」
カズヤが立ち去るのを見ながら少しだけホッとしたが、恐る恐るヒカルの様子を窺った。
光「アイツさぁ大人しいって聞いてたけど、割り合いそうでもないな。結構自分から話すじゃん」
俺「一度話した事がある人には話しやすいかららしいよ」
光「そうなのかな」
実際にはヒカルの事を話しやすいって思ってたのか、単に挑発してたからなのかは分からない。ヒカルもそれ以上は言わなかったので、ヒカル自身がカズヤに敵対心を抱いていたのかどうかも分からなかった。
光「じゃ俺も戻るよ。また明日メールでもするよ」
俺「わかった」
そう言って別れ、部屋に戻る通路を歩きながら考えていた。
『ヒカルとカズヤがお互いのことをどんな風に思っているのかが全くわからない。ただお互いの悪口だけは聞いたことがない。でもカズヤの家での出来事はさっきの2人の会話で余計話しにくくなってしまった…』
少し途方に暮れながらそう思っっていた。

次の日修学旅行先から戻ってきた。
色々と冷や冷やした事でもあったが、それなりに楽しんだ旅行であったかも知れない。人生の中でそれほど何度もあるものではないし、全体としては心に残る良い思い出になったと思う。

それから11月初旬にある学園祭まで1ヶ月程度しかなく、学校中が慌ただしい雰囲気に包まれる事になった。2年生だけは修学旅行もあった為にさらに忙しい日々となる。
学園祭は3日間に分かれていて、1日目はクラスの催し物中心、二日目は体育祭、3日目は文化祭となっている。
毎年この時期になると準備時間が足りなくなってしまう。学校に遅くまで残っていたり土日返上でクラスの催し物に没頭していても、結局は学園祭ギリギリになってしまうのが常だ。今年も例外に漏れず寸前まで忙しい日々を過ごした。
ヒカルなんかはあまり積極的に参加するっていう感じではないが、それでも何かしら用事があり昼休みさえほとんど会えずにいた。
そんな感じであっという間に学園祭当日を迎えてしまう。
逆に始まってしまえば後は楽しむだけだ。日頃のうっ憤を晴らすように羽目を外す。またそれをしても許されるのが良いところでもあるわけだ。

2日目の体育祭の日の昼休みにヒカルに呼び止められた。
光「午後から何か出る種目あるのか?」
俺「午前中で終わったよ。あとは見てるだけだね」
光「おぅ!ちょうど良かった」
急に耳打ちしてくる。
光「後でやろうぜ」
俺「何を?」
光「何をはねぇだろ。久々なんだから」
俺「マズいよ」
光「構わないさ。グラウンドから一番遠いところのトイレなら誰もこないしいいだろ?」
俺「見つかったらヤバいでしょ。週末とかはどう?」
光「ダメだね、我慢できないから。決まりな!」
確かに修学旅行前からヒカルとはしていない。無理もないところか。
俺「…分かったよ。後で声かけて」
すんなり受け入れてしまった。
光「じゃあな」

昼休みが終わり一旦グラウンドに出たものの、すぐにヒカルが来て目で合図をして通り過ぎていった。俺も黙って少し距離をおきながら後を着いて行く。少ししてヒカルに追いついた。
光「楽しみだな」
俺「うん。でも入れることは出来ないからね」
光「じゃそれは週末にって事でいいよ」
もう次の事まで考えている。
一緒にトイレに入り一番奥の個室まで行った。中に入るといきなりヒカルは抱きしめてくる。
光「マジ久しぶりだな」
きつく抱きしめたられた後、貪る様にキスをして来た。いつものように濃厚なキスで、俺も久々のキスに酔いしれる。
今日はお互いジャージなので脱ぎやすい。ヒカルは我慢できないのか自分でジャージもボクサーも下ろし、俺の頭を掴んで誘導した。
俺もたっぷり唾液を使ってヒカルのモノを咥えたが、相変わらずのデカさに少し閉口した。
光「うぅ…気持ちいいな…もっと奥まで咥えろよ」
頭を掴んでグイグイ奥まで押し込んでくる。できるだけ舌で裏筋をなぞるようにすると、ヒカルも少しずつ腰を動かし声を荒げてくる。
光「あぁぁ…ダメだ…ペース早すぎだよ。ちょ、ちょっと待った」
立ち上がらせ俺のジャージを下ろした。
光「なんだ。同じボクサー履いてんじゃん。あの時に買ったやつだな」
俺の家に来た時のヒカルのプレゼントだ。
すでに先走りでびしょ濡れの亀頭をヒカルは舌で舐め取った。
俺「あぁぁぁ」
声が出ないように耐えていたが、敏感な部分を攻められ思わず腰を引き声を出してしまった。そんな腰を掴まえ逃げない様にして指でケツの穴を弄る。
俺「ヒカル…ダメだよ…俺も我慢できない」
お互い久しぶりの感覚にすぐに感じてしまう。
光「我慢できないか?じゃあれをしようぜ」
ヒカルが一番好きなのは2本一緒に掴んでシゴく事だ。立ち上がり、俺の腰を引き寄せ自分の腰に密着させて擦りつけて来た。
いつもはヒカルが2本掴んでシゴくが、今日は俺が掴んでみた。身長が同じくらいなので立っていても高さがちょうど良い。
余裕が出たヒカルは両手で俺の顔をつかみ俺にキスをしている。
やってみてわかるが俺の手では2本掴むのが大変だ。うまくシゴけず俺はヒカルのモノだけを握って裏筋中心に攻めてやった。
光「うぅん…俺ばっかり攻めんなよ」
結局いつも通りヒカルが2本まとめて握る事になる。
やっぱりこれだ。この大きい手でシゴかれるのが一番感じる。
俺「…やっぱりヒカルの手が一番だね」
光「…裏筋が擦れてすげぇ気持ちいいな…すげぇ…うぅ」
俺「俺も…いぃ…」
ヒカルの手は段々スピードを増していく。立っていられないくらいのどうしようもなく気持ち良い感覚が迫りヒカルに縋りついた。
すると急に手が止まった。
光「やっぱりシュウの口の中でイキたいな。いいか?」
俺は頷いてヒカルのモノを再度口の中に入れた。
頭を掴んで最初からかなりの早さで腰を動かす。イヤらしい腰の振り方だ。
光「あぁぁぁ…ダメ…だ…すぐイキそうだぜ」
一段と腰を使ってくる。
光「シュウ…いっか?…うっ…イクょ…いっ、イクっ」
ヒカルのモノが口の中で一瞬膨らみ、一気に放出してきた。ヒカルも膝が震えている。
喉の奥に精液が貯まっていくのが分かる。久しぶりなのかかなりの量を放出した様だ。
出し終わりヒカルは俺の口から引き抜き、俺はヒカルの出した精液をすべて飲み干した。
ペーパーできれいにしてあげると、ヒカルは俺を立たせ咥えようとした。
俺「俺はヒカルの手がいいから」
光「わかった」
ヒカルは俺を壁の方に向かせ足を開かせる。そして後ろから俺のモノを握りシゴき出した。
左手は上着の中に入り込み乳首を痛いくらい強引に攻める。さらに口で俺の耳を噛む。鏡がないだけで、いつものイヤらしい攻めと同じだ。
ヒカルの大きい手は、あっという間に俺を快感の極限まで持ち上げていった。
俺「ヒカル…もうイクから」
光「いいよ、全部だしちゃいな。見ててやるから」
この言葉もイク瞬間の恒例だ。それを聞いて絶頂に上り詰める。ヒカルの手の強さが一段と強くなった。
俺「イクっ」
壁に向かって激しく跳ばした。何回も出てくるのを自分で見ながらさらにイキ捲る。ヒカルに負けないくらいのスゴい量だ。
光「あいかわらずスゴいな」
俺「ハズいから言わないでよ…」
ヒカルの腕に支えられ、久しぶりの快感を味わった。
しはらくの間後ろから抱きしめられ、モノを出したまま放心状態でいた。
しばらく快感に浸った後、急いでトイレを掃除する。マナーを守る事とバレたらヤバいのできちんと後を残さずに出る事にする。
光「気持ちよかったよな」
俺「ホントだね、よかったよ。でも早く行かなくちゃ」
2人でトイレを出たが、来た時と同じように距離をおいて戻る事にする。グラウンドに出てみんなに合流した。
何事もなかったように人混みに吸収されていく。何とかバレなかった様だ。
ただ1人、カズヤだけが話しかけてきた。
和「どこか行ってた?」
俺「トイレだよ。食べた後だったから急に、ねっ」
和「1人で行けないのか?2人じゃないとダメか?」
カズヤには間違いなく知られていた様だ。
俺「別に…」
特に反論はしない事にする。俺としてはあれ以来カズヤに負い目があり、あまり反論できない気持ちもある。
和「バレないように気をつけろよ」
どういう意味で言ったのかイマイチわからない。
俺『誰にバレないようにって事だろ…』
カズヤもそれ以上は触れてこなかったので結局分からずにいた。

結局学園祭も終わり、落ち着かないまま12月の期末試験へと進み、夏休み後の忙しかった時期も慌ただしく駆け抜けていった。

もう季節は秋から初冬へと移ろうとしている。全体的に緑だった木々も、赤や黄色の時期すら通り過ぎ、今や残す事なく葉を落としてしまい寂しさを醸し出している。
見上げると富士山も知らぬ間に山頂付近にしっかりと雪を残すようになっていた。

振り返ってみるとヒカルとの深まっていく仲、急速に接近したカズヤ、いろんな事があった1年だった。これから新年を迎えるにあたって、これらがどうなっていくのだろうか考えてしまう。
『期待はあるのか?不安の方が大きくはないのか?整理すらつかない状態でいるわけだし、幸せな未来があるなんて自信を持って言えるもんじゃない…。永遠なんてないはずだし、そうなら終着点ではいったいどんな事になっているのだろうか…』
まとまらない気持ちを持ちながらも、年の終わりを半月先に控え、何かもの悲しさのあるこの時期を物思いに耽って過ごしていた。

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さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/27(水) 21:31 -
光「う〜っ、寒いなぁ」
授業が終わり今日もヒカルと一緒に帰る。
ヒカルと日焼けしたのがいつの事だったか、知らぬ間に全く反対の季節になってしまっている。考えてみれば、つきあい出してからそれほどの長い時期を過ぎたという事でもある。
光「寒くて学校に来るのがイヤになるよな」
俺「寒くなかったらちゃんと来るって事?」
光「ふんっ、相変わらずの減らず口だな」
思わず笑ってしまう。
俺「こんな事くらいじゃ堪えないでしょ」
光「まぁな」
最近ヒカルは妙に機嫌が良い。というのも試験の成績が良かったからだ。

実は試験前にヒカルと賭けをしていた。『クラスの成績順位で真ん中以上』が条件だ。成績が良かった場合には欲しい物をプレゼントする事になっていた。
夏休みの補習の事もあったので、今回は少しでも勉強意欲が湧くようにというつもりで始まった事ではあったが、勉強していた様子がなかったので半ば諦めてるのかと思い、試験が終わるまで賭けをした事をすっかり忘れていた。

発表のあった日のこと、ヒカルは俺のところに来るなりずっとニヤニヤしていた。
俺「何ニヤけてるの?気持ち悪いよ」
それでもまだ笑いながら、ポケットからプリントを出して俺に差し出した。
光「見てみろよ」
開いてみると試験の成績が書かれたプリントだ。
中をみると『41人中21番』
俺「すごいじゃん!頑張ったね〜」
光「おぅ!ところでなんか忘れてないか?」
俺「なんだっけ?んと、おめでとうのチュ?」
光「まぁそれも後でしてもらうけど、なんか約束しただろ?」
ようやく俺も賭けをしていた事を思い出した。
俺「あ〜あれね。もちろん覚えてるよ。たしか俺が校内を逆立ちして歩くんだったよね?」
わざとごまかす。
光「違うだろ!殴るぜ?」
俺「冗談だよ、覚えてるさ。でもよく見て?21番ならちょうど真ん中だよね。条件は真ん中じゃダメって事じゃない?」
光「なんだよそれ。以上なんだから真ん中でもいいばすだろ!」
もちろんこれも冗談だ。22番でも23番でも構わない、ここまでヒカルが頑張ったのなら認めてあげても良い。
俺「まぁ頑張ったから仕方ないか。じゃ賭けは俺の負けだね」
というわけでこれからプレゼントを買いにいく事になったわけだ。


光「サイフが欲しいな。もう古くなったし」
サイフとはちょっと意外な感じがした。
ヒカルは何をするのにも前もって決めている事が多いので、買い物でも待たされる事はほとんどないので助かる。
今日もサイフ売り場に真っ直ぐ向かうとしばらく品定めをしていたが、欲しい物の前で立ち止まった。
光「これがいいな」
その一言でヒカルが指した物を見た。
俺『それブランド物じゃん…。高校生が持つにはちょっと贅沢過ぎないかぁ…?それに買う方も高校生なのに…』
ヒカルの顔をチラッと見る。
俺「その顔は真面目に欲しいって顔だよね?」
光「もちろん!」
俺「それで俺の顔はどんな風に見える?」
俺の顔を見返し、少し様子を窺っている。
光「天使に見えるよ。ちょっと青ざめてる様だけど」
俺『分かってるんじゃん!まぁ賭けに負けたわけだし仕方ないところか…』
物をじっと見ながら少し考えた。
俺「クリスマスのプレゼントをまだ決めていないんだけど…。一緒にって事でもいいかな?」
光「全然いいよ!」
満面の笑みを浮かべてVサインを出し、それで決定した。
帰りにアクセサリーショップの前を通りかかり入ってみる事になった。お互いにキラキラする物を身につけるのは好きではなかったが、しばらく試着してみたりしてから店を出た。
俺はバスに乗って帰ることになり、始発駅まで一緒に向かう。
俺「クリスマスはどうするの?」
光「ジン達とカラオケ行く約束したよな?それが終わったらどっか行こうぜ?」
俺「ウチに来てもいいよ?ヒカルならフリーパスだしね」
光「たまにはラブホとか行ってみねぇ?」
俺は今まで行った事がなかったので、ちょっとドキっとした。
俺「入れるところあるの?男同士だしさ…」
光「大丈夫だと思うけど、いいトコがあるか調べて見るよ」
ヒカルは平然としている。女の子と付き合った事があるって聞いていたし、ホテルに行った事も当然あるのかもしれない。
駅に着くとバスが到着していたので乗り込むことにした。
光「ありがとな。大事に使うから」
それに応えバスの中から手を振りそこで別れた。

出発してしばらくするとカズヤからメールが入った。
和『先に帰ったみたいだから模試の解答を渡す事が出来なかったよ。明日土曜日だろ?コウも来るから俺ン家に来ない?』
「俺ン家」という言葉を見て、ついカズヤの家での事を思い出してしまう。今回はコウがいるから大丈夫かなとも思うが…。
俺『何時に行けばいい?』
和『昼過ぎでいいだろ?』
俺『了解』
とりあえずコウに確認してみたら間違いなく行くって事だったので少し安心した。


俺「出かけてくるよ」
昼飯を早めに済ませ、カズヤの家に行く事を親に告げて家を出た。
カズヤの家までは30分あれば着く。
バスに乗ってからすぐにカズヤにメールした。
俺『今出たから』
すぐに返事が帰って来る。
和『迎えに行けないけどウチまで来れる?』
俺『大丈夫だよ』
とりあえずカズヤへの連絡は済んだ。
あとはヒカルだ。きちんと説明しておかないといけないのでメールを送る。
俺『今日カズヤの家で勉強会だから今から出かけるよ』
しばらくするとメールが届く。
光『分かったよ』
俺『終わったらメールするから』
光『OK』
報告をしておけば問題ない。
ぴったり30分でバス停に着いた。バスを降り歩いて家に向かうが、一度来ているので迷わずに辿り着けた。
俺「こんにちわ」
誰の返事もない。もう一度だけ言ってみたが同じだったので、勝手に上がり込みカズヤの部屋まで行った。
一応ノックをしてドアを開ける。
俺「こんちわ」
和「あ、悪いな気づかなかったよ」
中に入るとカズヤだけではなくもう一人いた。おそらく1年生だ。
和「コイツラクビー部の後輩。顔くらいは知ってる?」
俺「うん、知ってるよ」
名前はわからないが学校で見た事はある。
和「名前は剛(ツヨシ)」
剛「よろしくっす。先輩の事はよく知ってますよ」
いかにもラクビーをしていそうな外観で、話し方は爽やかな感じだ。
俺「なんで知ってるの?」
剛「先輩達は有名人っすから」
俺「どう有名なの?」
剛「んー、割合目立ちます」
達って事は誰の事だろう。ワル仲間かクラスメイトか…。
俺「ヒカルやジンの事かな」
剛「あーそうです」
はっきりと頷いた。やっぱりそうだ。
俺「どんな風に目立つのかな?」
立って話していたが、空いているカズヤの横に座る事にした。
剛「みんなかっこいいですし、女子にも人気があるんですよ」
そう言われてツヨシに笑顔を返しながらカズヤを見ると、ちょっと不機嫌そうな顔をしていた。
カズヤがツヨシに言う。
和「ダメダメ、外観で騙されちゃ。こんな悪い奴らいないんだぜ。1年にそう広めとけよ」
俺「カズヤ!」
そう言ってツヨシに向き直り話した。
俺「いい奴だったって広めといてくれよ」
剛「わかりました。まかせてください」
ツヨシは明るく笑って答えた。
俺「いい後輩だね〜。先輩に似なくてよかったな」
和「ツヨシ、おまえクビな」
まだムっとしている。もちろん本気ではないだろうが、カズヤのこんな表情もたまには悪くないものだ。
剛「え?すいませんキャプテン」
そう聞いて思い出した。
俺「カズヤ、ラクビーのキャプテンになったらしいね」
和「まぁね」
ブスっとして答えた。


和「それでコイツが副キャプテンなんだ」
ツヨシも頷いた。
俺「なるほどね。で、今日はミーティング?」
和「そんなところだよ」
俺「俺早く来すぎたかな?邪魔だった?」
和「いや、話は終わってるよ」
剛「俺そろそろ帰りますから」
気を使ってか、カズヤの言葉につられる様にツヨシは立ち上がった。
俺「もっとゆっくりしていけよ」
剛「いいえ、帰ります」
そう言って出て行こうとしたが急に振り返った。
剛「あのー、すいません、握手して下さい。女子に自慢できますから」
そう言って俺の前に右手を差し出してきた。
俺「アハハ、よろしくな」
出された手を握り返す。
剛「はい!正直もっと怖い人かと思ってました」
俺「そんな事ないから。カズヤに苛められたらいつでも来いよ」
和「なに言ってやがる。おまえらいつまで手を握りあってるつもり?ツヨシ、早く帰れ!」
剛「あっ、それじゃ失礼します」
俺達に頭を下げてツヨシは急いで出ていった。
俺「1年は初々しくていいね」
和「なんだかな」
そう言って立ち上がるとカズヤは部屋から一旦出ていき、ドリンクを手にしてすぐに戻ってきた。
俺「ところでコウはまだ来ないね」
和「急に家で用事があるからってメールが来て、来るのは5時くらいになるらしいよ」
俺「そっか」
俺『まだ3時間も先じゃん。それまでカズヤと何をしてればいいのさ』
心の中でそう考えていた。
和「来るまで待ってればいいさ。少し遅くなっても大丈夫だろ?」
俺「まぁね」
ドリンクを飲みながら何をしていようかなとキョロキョロ探す。
和「なんかDVDでも見ようぜ」
そう言って洋楽のDVDを取り出しプレーヤーにセットした。プロモビデオが部屋に流れ始める。
和「それにしてもツヨシと仲良く手を繋いでたよな。俺もいいだろ?」
そう言いながら俺の隣りに座ってきた。
俺「あれは握手でしょ?」
いきなりこの調子だ。
カズヤは座ると自分から強引に手を握ってきた。仕方ないからしばらくそのままでいる事にする。
カズヤの部屋にはコタツがありポカポカと暖かい。
ボーッとDVDを見ていると暖かさから眠くなってしまい、ついついカズヤに寄りかかってしまっていた。
和「眠いなら少し寝てれば?」
そんな言葉に即される様に、目を開きたくても開けない感覚が広がり、少しずつカズヤに凭れ込んでいった。最後にはコタツにうずくまる様にしてカズヤの太股を枕代わりにしていた。


俺「足痛くない?」
頭を乗せたカズヤの太股を心配する。
柔らかい厚めのスウェットを履いているが、カズヤの足自体は固くて逞しい筋肉の塊だ。
和「全然平気だよ」
そう言って俺の頭を撫でたりしている。
和「髪長いんだな。ショートの方が似合うのに」
俺『ヒカルの趣味だよ』
その発言はカズヤには禁句だ。
俺「ショートが似合うかな?」
和「多分な」
俺「カズヤは今の髪型がぴったりだよね。爽やかでスポーツマンらしいよ」
カズヤのラクビーをしてる姿を想像してみた。
和「またスポーツバカとか言うんだろ」
俺「それはコウの発言だよ」
和「そうだったかな。アイツ口悪いから」
2人で薄笑いしたが、また少し沈黙になった。
ふいにカズヤが俺の服の襟元についてるファスナーを降ろしてきた。
そこから手を入れてきて素肌に触れる。
俺「手が冷たいよ」
そんな言葉を無視する様に乳首を探しだし弄び始めた。
最近、カズヤが望むならこの辺までは許してもいいかなと思い始めていたところだ。それだけでもカズヤが満足するならそれで良いかなと思っていた。だからイヤらしい事をしているとは考えなかったし、あまりドキドキもしなかった。
和「コリコリしてきたな」
身体は感じている様だが特に答えず黙っていると、カズヤが耳元で囁くように話してきた。
和「シュウ、キスしたい」
俺はカズヤの顔を見上げてしばらく無言でいたが、ゆっくりと言葉を選ぶように返した。
俺「ヒカルがいる事は分かってるよね?そんな気持ちでやってもカズヤも嬉しくないでしょ?」
少し様子を見ながら間をおき再び話す。
俺「俺ホントにカズヤの事を大事にしたいからさぁ、今みたいに触る事まではいいと思うけど、今はそれ以上はしない方がいいかなって…」
和「わかるよ。俺も今は理解してる。そう思った上でキスしたかったんだ」
カズヤの様子をしばらく窺うが、今日は真面目に考えているように見えた。
俺『…仕方ないか』
俺「じゃする?」
起き上がってカズヤと向かい合った。
リズミカルな音楽の中ゆっくりと近づき唇を重ねた。
舌は唇表面を舐める位で中には入ってこない。お互いの唇を摘む様にしばらく吸い合っていた。
その時、いきなり部屋のドアが勢いよく開いた。

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さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/27(水) 22:55 -
弘「呼んでも誰も来な……」
5時頃になると聞いていたコウがそこにいた。ドアを開けたコウはそこまで言ったところで唖然とした様子で立ち尽くしていた。
3人が3人とも固まってしまい、一瞬なのかしばらくの間なのか、よく覚えていないが誰も身動きすらしなかった。
おそらく俺が最初にカズヤから離れたと思う。それを合図になんとなくみんな動き始める。
コウは帰ってしまうかと思ったが、気マズそうにしていたものの部屋の中に入ってきてコタツに座った。
弘「うー、寒かったー」
それが第一声だったが、それ以降何を話して言いのかわからない様子でしばらく無言でいた。それでも性格上、やっぱり最初に話し出すのはコウだ。
弘「最近仲良くなって良かったと思ってたけど、こんな風に仲良くなってたのか?」
棘もないが明るくもない、普通に話している感じには聞こえるが…。
俺はカズヤを見たが、到底ここでカズヤが何か言うとも思えなかったので俺が話す事にする。
俺「俺がやってみようって言ったんだよ」
カズヤが俺を見たが知らないフリをした。
俺「ちょっと興味半分ていうか、そんなノリで」
言い逃れしてる様で墓穴を掘ってる感じもする。
弘「ノリはないだろーに。普通じゃできないはずじゃん。それでカズヤもOKしたのか?」
そう言ってカズヤを見た。カズヤが言葉を発する前に俺が答えた。
俺「俺が強引にお願いしたんだよ。カズヤは嫌がっていたけど力づくでね」
弘「嘘だろー。おまえらの力関係ってそんな感じ?どう見てもカズヤの方が力があるだろ」
俺「今回はそうゆう力関係だったんだよ」
苦しい言い訳だ。
弘「なんだかよくわかんねぇ」
この言葉を最後にまたしばらく沈黙が流れる。知らない間にDVDも終わっていたので余計静かだ。コウを見てもカズヤを見ても、それぞれが頭の中で一所懸命整理しようとしているかのように難しい顔をしている。
ただこんな時に無言でいるのは辛い。何か話をしていた方が少しでも楽だ。
俺「コウは家でなんかしてるんじゃなかったの?ずいぶん早かったね」
弘「待たせちゃ悪いと思ったから途中で切り上げて来たんだよ。また戻ってから手伝いだよ」
俺「そっか。じゃ早く始めようか」
ちょうどいい流れになった。今日は遊び目的じゃなくて別の用事があって集まったんだ。ずっと黙っていたカズヤも動き出し模試の話に移った。
しばらくはそれに集中する。
俺『このまま永遠に模試の解答が終わらなければいいのに…』
俺は頭の中でそう思っていた。終わってからの事を想像するのが少し怖い。
しばらくして一旦休憩する事になった。
コウはトイレに、カズヤは何か食べ物を探しに部屋を出て行った。
しばらくして2人同じくらいに戻って来る。
俺「コウはクリスマスはどうするの?」
俺から話をスタートさせる。
弘「別にないよ。家の手伝いかな。シュウは?」
俺「いつものメンバーで遊ぶ約束だよ」
カズヤも聞いている。カズヤには俺とヒカルが会うと思われているかもしれない。
俺「ユタカは今日はなんで来ないの?」
弘「家族でどこか行ったみたいだな。カズヤはクリスマスはどうすんの?」
和「部活だよ」
弘「でた!スポーツバカだ。そんな日くらいは休みにすればいいだろ。他の部員が可哀想だよ」
和「何しようが勝手だろ」
いつもの口調で答える。スポーツバカって言葉が出てきたことで場が少し和んだ。
弘「まぁ、新任のキャプテン様が休まないんじゃ仕方なくみんな従うしかないな」
和「一応クリスマスは自由参加だよ」
弘「ならいいよな。部活に出たのがキャプテン一人にならない事を祈ってるよ」
コウ特有のキツイ冗談だ。でも決して悪びれて聞こえないので怒るところまではいかない。
弘「ところでさ、去年のクリスマスだけど…」
そこから俺とコウの間で去年のクリスマスの出来事の話になり、2人で大笑いしながらしばらく盛り上がっていた。
10分くらい経っただろうか、笑いの最中にカズヤの声が聞こえたような気がした。
和「さっきの…だけど…れが…たんだよ」
2人の笑い声にかき消されていて何を言っているかはっきりと聞きとれなかった。
弘「えっ?なに?」
コウが笑ったままカズヤの方に顔を向けて尋ねた。


和「さっきの話だけど、やろうって言ったのはシュウじゃなくて俺なんだよ」
今度ははっきりと聞き取れた。ただし今は聞きたくなかった言葉でもある。
コウと話が盛り上がったまま忘れてしまえば良いと思っていたが、一気にまた現実の世界に引き戻された感じだ。コウも同じ様に考えていたのかもしれない。
和「俺がお願いしたんだよ。俺がやりたかったから」
いきなり言われてコウも面食らった様だ。
弘「わっ、分かったから。もういいよ」
和「いや、良くないね。誤解を受けたらシュウに悪いだろ」
カズヤは動じていない様だ。コウにはっきりとした言葉で言った。
その一言にコウも返す。
弘「カズヤがやりたかったって事はどういう意味だ?」
和「言葉通りだよ」
弘「じゃこれからどうするつもりなんだよ」
和「どうだろな。それは俺だけの事じゃないから」
その言葉で2人が俺の顔を見る。
俺「そんなに俺を見られても困るよ」
3人が交互にお互いの顔を見て気持ちを探りあっている様だ。俺は多少動揺していたが、冷静さを装わなければならなかった。
俺「いいじゃん、ちょっと悪フザケしたかっただけって事でさ。今日だけなんだし、ね?」
弘「まぁそう言う事ならそれでいいでしょ」
こういう感じで丸く収まってしまえばそれで良いと思う。
俺「とりあえず勉強を終えちゃおうよ」
ようやく勉強を始め出した。
1時間くらいで何とか最後まで終わり、反省会となった。
模試の成績はこれからの進路の重要な判断材料にされるので一喜一憂だ。
弘「相変わらずカズヤは成績いいね〜」
和「2人だってそんなに悪くないだろ」
弘「そうだな。でももう少し頑張らないと。お2人さんとも今日見たいな事をしてて成績落ちたら、みんなにチクってやるからな」
これもコウの冗談だ。
俺『今はシャレになってないよ』
俺はため息をついた。
弘「俺もう帰らないと」
そう言ってコウは立ち上がる。
弘「ちょっとビックリしたけど、今日の事はとりあえず黙っておくよ。気にするな」
俺「うん。じゃまた学校で」
和「またな」
弘「じゃな」
コウは帰っていった。またこの部屋で2人だけになる。
俺「俺もそろそろ帰ろうかな」
和「今日は泊まっていけよ」
俺「う〜ん、またコウに何言われるかわからないから」
和「そんなに気にするのか?それとも俺じゃ嫌だっていう事なのか?」
カズヤの一言がキツく心に突き刺さった。


俺「別にカズヤだからってわけじゃないよ。今日コウとの事もあったし、ヒカルだってさぁ…」
プレッシャーをかけたつもりではなかったが、ヒカルの名前を出していた。実際にカズヤの家を出たらヒカルにメールする事になっているわけで…。
和「コウには本当の事を話しても良かったんだけどな。それからヒカルには俺の家に泊まるって言えよ。嘘をつく必要はないさ」
俺『そりゃそうだけど…』
嘘をつかなきゃ何をしても良いってものでもない。
俺「やっぱり今日は帰るよ。色々あったからさ」
カズヤは諦めきれない顔をしていたのでちょっと可哀想な感じに思えてきた。
俺「じゃ今度この家に誰もいない時に泊まりにくるから。それでいい?」
和「ホントか?ならわかった。今日は我慢するよ」
ひとまずホッとして時計を見る。
俺「まだバスがくるまで時間があるから、少し話でもしよ?」
和「うん」
俺「それにしてもコウが来た時、心臓が止まるかと思ったよ」
和「全くだな。俺なんて学校辞めるしかないとか、そうすると部活できなくなるとか、そんな事まで頭を横切ったよ」
お互い顔を見合わせて苦笑する。もちろんコウの事は信頼してるが、今後どうなっていくかわからないし、心から笑う事なんてできなかった。
和「なんで俺にキスしてくれたんだ?」
カズヤは唐突に聞いてきた。この質問はカズヤにしてみれば一番聞きたいところなのだろう。
俺もその時の気持ちを少し考えてみる。
俺「どうしてだろうね。でもカズヤとの事は大事にしたいって思ってるからだと思うよ」
和「それってヒカルよりも先に知り合ってたらうまくいってたって事か?」
俺「それは今話しても仕方のない事だから答えない事にしておくよ。でもホントごめんね、俺が優柔不断なせいでカズヤを振り回してるような気がする。それに今日コウに見られた事で人格まで疑われるかも知れないのに」
和「自分の事は自分で責任持つさ」
そう言った後のカズヤは、今までに見せた事もない様な切ない顔をしていた。
カズヤに声を掛け難かったのでしばらく黙っている。
俺「じゃそろそろ行くよ。送らなくていいから」
和「大丈夫か」
俺「平気だよ」
こうしてカズヤの家を出た。


和「シュウ!忘れ物だよ!」
二階の部屋の窓から、カズヤの呼ぶ声が聞こえて振り返った。
俺が被ってきた帽子を振り合図している。二階から投げてもらい受け取った。
俺「サンキュー」
カズヤに手を振りバス停に向かうと、ちょうど良い時間にバスが来た。相変わらず空いているバスに乗り込み家に向かう。
乗ってすぐにヒカルにメールを送る事にした。
俺『今から帰るから』
予想外にメールが返ってきたのは家に着いてからだった。
光『おぅ!クリスマスは楽しもうな!ホテル探してて返事をするのに遅くなっちまったよ。でもいいホテルが見つかったから』
俺『わかったよ!楽しみにしてるから』
そうメールして終わる。

夜寝る前に久々に考え事をしていた。
『今日はホントに驚いた。まさかコウに見られるなんて考えもしなかった』
『コウはどう思ったのかな。おそらくあんなシーンを見たのはコウの人生でも初めてだったはずだ。かなり驚いたに違いない』
『でもコウだって俺の家で同じ様な事をしたはずだ。それでもコウがみんなに言いふらすなんて事があるだろうか?それとも脅されたりするのか?』
『俺がカズヤにしてる事はヒカルを騙している事になるのかな…。ただカズヤを大事にしたいって事に変わりはない。カズヤってハニカミ屋だったり素直になれなかったりするけど、実際にはしっかりとした信念や男らしさを持っている。だから今まで何をされても俺が心から怒った事はない。カズヤの真意が分かっているからだ』
『でも今はヒカルが好きなんだよ。ヒカルとのつきあいに何の不服があるっていうの?今は幸せいっぱいのはずだ』
『ヒカルと仲良くすればカズヤを傷つける。カズヤと一緒にいる事でヒカルを欺く。じゃどうすればいいんだよ』
『やっぱり俺がサイテーなんだ…。一向に整理できないまま2人と仲良くすればするほど深みに落ちて行く様だ。すべてを失ってしまう終末へのカウントダウンを刻んでいくみたいだよ』
『どうすればいいのさ…いくら考えても答えなんて出るわけがない…いったいこれからどうなっていくのさ…』
整理できないまま何度も寝返りを打つ。
布団の中は温かいけど、逆に足の先はシーツの冷たい部分を探したりしている。
『気持ちと同様に身体もはっきりしてないや…』
結局は嫌いな自分にいつも辿り着く。

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さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/28(木) 11:36 -
仁「おせぇ〜よ」
俺が遅刻をする事なんて滅多にない。いつもは大概俺が待つ方だ。
今日は午前中に終業式があり、それから一旦家に帰り着替えてからみんなと合流する事になっていた。
家に帰り昼食を済ませた後、いつも通りバスに乗るつもりで家を出た。ところがなかなかバスが来ない。15分遅れでようやく乗り込んだものの、さらに道路が渋滞していて30分も遅刻をしてしまった。なんとなくクリスマスともなると道路も混雑するのだろうか。普段と様子が違うのは気持ちの面だけではないようだ。多くの人がクリスマスを特別な日と思い行動するのかもしれない。
ようやく着くとすでに4人揃っていた。
俺「ごめんごめん」
ひとしきりみんなに謝る。
クリスマスに男5人とはなんとも寂しい様に思えるが、みんなそんな事は特に気にしてない様だ。
すぐに近くのカラオケボックスに入る。いつも溜まり場になってる店だ。ボックスに入るとU字型になった椅子があり、俺はヒカルの隣に座った。
それぞれ思い思いの曲を歌うが、5人もいるとなかなか順番も廻って来ない。その間に好きな話をしたりしている。
俺はヒカルに耳打ちした。
俺「ここを出たらそのまま行くの?」
光「みんなにバレなきゃできるだけ早めにな。今日はゆっくりできるのか?」
俺「うん。でも遅くなると帰れないからどうしようかな」
光「じゃ泊まりにするか?そうすれば何回もできるゾ!」
いつものイヤらしい笑いを浮かべて言う。
俺「なにその笑いは。泊まるのは連絡すれば大丈夫だけどラブホに泊まるの?」
光「その方がいいだろ?のびのびできるしな」
またニヤニヤする。
仁「おまえら何イチャイチャしてんの?」
いきなりジンに言われて周りを見ると、みんな俺達の方を向いていた。
仁「最近仲良すぎじゃないか?怪しいなぁ」
ついこの間、カズヤの家でコウに言われた事をまたここでも言われている。今度はヒカルとの事でだ。
光「俺シュウの事好きだよ」
悪気もなく淡々と言うヒカルの態度に俺はドキっとしてしまう。
仁「いいかげんにしろよー」
みんな「お似合いだ」とか「コイツらあぶねぇ」だとか言って笑っているが、あまり本気にしていない様子だったので少し安心する。 
俺とヒカルが話していて次の曲を入れなかったので途切れてしまった様だ。一段落したのでみんなトイレに行って、部屋には俺とジンだけが残った。
俺「ジンはクリスマスにこんな所にいていいの?」
仁「こんな所って?」
俺「彼女は作らないのかって事だよ」
仁「エヘへ、内緒だけど実はできたんだ〜」
俺「えっ?マジ?初耳だよ?」
全く聞いた事もないし気づかなかった。
仁「まぁね、まだ誰にも話してないからさ」
そこへヒカルが戻って来た。
光「何話してたんだ?」
俺はジンの様子を窺った。
仁「2人はまだ戻ってこないのか?」
光「電車の時間を見に行ったみたいだけど」
仁「そっか。じゃおまえらなら話してもいいかな」
そう言ってジンは俺を見た。OKが出た様だ。
俺「ジンに彼女ができたんだって」
光「はぁ?相手は誰だよ」
話を聞くと、同じ中学出身の1つ下の学年のコらしい。同じ中学なのでヒカルも知っているコの様だ。
俺「で、今日とか会わないの?」
仁「俺がどっちを優先するかなんて分かりきった事だろ!」
確かにその通りだ。ジンが友達想いのヤツだって事は分かっている。
光「ちょっとビックリしたな。でも今日会わなきゃ相手が可哀想だろ?」
仁「そうだな。家も近いしこのあと会うさ」
俺はなんとなくヒカルと顔を見合わせ笑ってしまう。
仁「ところでおまえ達はどうなの?2人で仲いいなんて冗談ばっか言ってないで彼女作らないのか?」
俺は苦笑していたが、ヒカルは何か考えている様子だった。しばらくして真顔で俺の顔を見てくる。
『ジンになら話してもいいだろ?』
そんな風に俺に訴えかけている様な顔に見えた。
俄かに緊張感が出てくる。
仁「何なに、どっちか彼女がいるのか?」
ジンは笑顔だったが、突如として降って湧いたようなカミングアウトに、俺は一気に血の気が引くような感覚を味わっていた。


仁「何2人で考えてるんだよ。どっちが誰とつきあってるんだ?」
ヒカルの顔を見たが、真っ直ぐ俺を見ているヒカルの目には信念の強さが表れている。
俺『ヒカルは本気で話す気でいる…』
今まで俺達の事を知っているのはカズヤだけだ。カズヤは問題なくクリアできた。でもそれは内容が理解されたからというよりも、カズヤが特別だっただけだ。
今こうしてジンが女のコとつきあっているという話を聞いた後で、あからさまにノンケだとわかっているジンに伝えて大丈夫なのだろうか疑問に思ってしまう。
ジンは俺達から見ても誰よりも大事な友達だ。だから理解はしてもらえるかもしれないが、全く理解されない可能性だって充分あるわけだ。
それを敢えて冒険を冒してまで今話す必要があるのか?
俺『やっぱりだめだよ』
俺はヒカルを見て軽く首を降った。
仁「ふ〜ん、隠してるのはシュウの事みたいだな」
ジンに突っ込まれ、再び狼狽えてしまう。
光「大丈夫だよ。なんかあったら俺がついているだろ?」
仁「そうだそうだ。安心して話してみろよ」
俺『安心できるわけがない。きっとヒクさ』
もう一度ヒカルを見た。やっぱり決意が固い様だ。
ただ考えてみればヒカルだって当事者なわけだし、決して普通の気持ちではないはずだ。そのヒカルが堂々としているのに、俺がビクビクしているのはヒカルに対する気持ちを裏切るようなものだ。ならきちんと話してヒカルへの気持ちを表すべきではないのか…。
俺『仕方ない。ヒカルばかりに迷惑はかけられない』
俺は心に決めた。
俺「じゃ俺から話すよ」
ヒカルにも頷いてみせた。
俺「ジンは親友だから、親友なりに隠さず話すね」
間をおいて一つ深呼吸をする。
俺「確かに俺はつきあってる人がいるよ」
そう言いながらヒカルを見た。
仁「やっぱりそうか。で、誰と?」
光「俺だよ」
俺が躊躇する間もなくヒカルが言葉を発した。
仁「冗談はもういいから。マジ話を聞きたいんだよ」
笑いながらそう言ったので、その言葉が理解できるまで、俺もヒカルもジンの様子をしばらく黙って窺っていた。
ジンは俺とヒカルの顔を交互に見ている。俺達が真顔だったので少しずつ察してきたのか、段々と笑顔が薄れていくのが分かった。
仁「マジ?」
俺に向かって言う。
俺「うん」
次にヒカルを見た。ヒカルも頷く。
ジンは初めて食べた物の味を確かめでもする様に、その意味を噛みしめている様だった。


光「いつのまにかこんな風になっちまったんだよ」
ジンが難しい顔をして考え込んでいたので、ヒカルが一言挿んで間を埋めた。
それでもジンはほとんど身動きしないまま一点を見つめてじっとしている。
それ以上俺もヒカルも声をかける事ができなかった。
俺はジンに見えない様に横に座っているヒカルの手を握った。ヒカルも握り返してくる。
ヒカルの顔を見ると、口パクで俺に何か言おうとしている様だ。
光『大丈夫だから』
そう言っている様に感じる。俺も小さく頷いた。
しばらくしてようやくジンが顔を上げた。
仁「それでどうするんだ?」
完全に整理できていないのか、イマイチ意味がわからない質問をしてくる。
光「どうするって何を?」
仁「その…2人はこれからもずっとそうしていくのかって事だよ」
光「そりゃそうだろ」
そこまで話したところで、電車の時間を調べに行っていた2人が戻ってきたので話が中断した。
それからカラオケが再開する。
ジンと俺達は気まずい雰囲気のままだったが、それでも全体的な雰囲気を暗くするわけにはいかないので、気を使いながらもお互い無理に明るく振る舞っている様に感じられた。
4時間くらいしてお開きになりみんなで外に出た。
今日はこれでみんなバラバラになる様だ。ジンにはデートが待っている。
仁「おまえ達は一緒に行くのか?」
小さい声で聞いてくる。
俺「うん。ジンはデートだね?」
少しだけ笑いながらジンは頷いた。
まだ気まずいのかそれ以外は会話が出てこない。
しばらくみんなで立ち話をしていたが別れる事になった。
みんなに手を振って俺とヒカルはバイクが止めてある所に歩いて向かう。
バイクに辿り着く前にジンからメールが来た。
仁『ちょっとびっくりしたな。今度3人で話そうぜ』
ヒカルにも同じ内容でメールが届く。
話した事が良かったのか悪かったのか…。
俺『そうだね』
ジンにメールを返してバイクに乗り込んだ。

引用なし

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さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/28(木) 13:02 -
光「とばして行くから落ちるなよ」
みんなと別れ、途中で夕食を食べた後にコンビニで買い物をしてホテルまでバイクを走らせる。
ホテルは、周りを高い木々に囲まれた一本道の国道を30分ほど走った所にあった。
この時期の景色は全てがダークグレーで、視覚的にも寒さを感じさせる。ただそんなものを見ている余裕がないことにすぐに気づいた。正面からの冷たい風を斬って走る事はまさに地獄だ。
ヒカルの体温を感じて…なんて言葉すら思い浮かばない。寒さを通り越して痛さを感じてしまう。ホテルに着いた時には手も足も思う様に動かなかった。
ヘルメットも脱ぐ元気さえなく部屋まで真っ直ぐに向かった。
さすがに中は暖かい。入ってすぐに左側が風呂になっていたので急いでお湯を入れる。風呂で温まらないとこのまま凍死してしまうかも知れないとマジに思った。
光「寒かったな〜。凍えるかと思ったよ」
ヘルメットを脱ぎながらヒカルが言う。
俺「冬はバイク禁止だね」
顔が引き攣って言葉もうまく話せない。俺もヘルメットを脱ぎ部屋の奥へと入って行った。
俺「なにこれ!」
入る時にSM部屋だとは聞いていたが、それらしい道具がある。
部屋自体はかなり広いしベッドも大きいが、大きな鏡の前には天井からぶら下がった鎖に手枷がついている。下にあるのは足枷だろう。反対側に分娩台みたいな椅子なのかベッドなのか分からないものが置いてある。そこにも十字架みたいなところからぶら下がった手枷がついている。
幸いなのは造りが新しく部屋自体がかなり明るいので、イヤらしい雰囲気があまりない事だ。それでなければ落ち着かなくてこんな所に泊まるなんて雰囲気には到底なれない。
俺「ちょっとさぁ…」
開いた口が塞がらない俺とは対照的にヒカルははしゃいでいる。
光「へぇ、こんな道具初めてみた」
かなり脳天気な発言をしながら悪戯しまくっている。
俺「まさか試してみようなんて思ってないよね」
光「う〜ん、あの診察台みたいなものは使ってみたいな」
あの台の上で足を広げて寝ている姿を想像するだけで具合が悪くなりそうだ。
俺「帰りたくなった」
光「寒いのに歩いて帰るのかね〜?」
明らかにバカにした言い方だ。
外の地獄のような寒さと部屋の中の地獄のような光景とを天秤にかけたが、諦めて早々に風呂に入る事にした。
風呂の中は綺麗な造りだ。さっさと服を脱ぎ捨て全裸になり、まだ一杯になっていない湯船に構わず入る。すぐにヒカルも追いかけてきた。
光「寒さでこんなになっちまってダサいったらねぇの」
そう言って股間を指差す。確かに情けない姿だ。
俺「俺だって同じだよ。早く入りなって」
ヒカルは俺の背中に周り、同じ方を向いて入った。ヒカルは湯船に、俺はヒカルに凭れながら浸かる。
光「あ〜ようやく生き返った感じだよな」
ホントにその通りだ。ここだけは言葉通りの極楽状態。
俺『今日はここで寝ちゃおうかな』
そんな事をマジで考える。
湯も一杯になったのでジャグジーのスイッチを入れた。ヒカルは大きな手で後ろから俺の身体を優しく撫でている。湯船の中で適度な浮遊感があるので、ヒカルもそれほど俺の重みが苦にならないらしい。
両手で俺の乳首を探りあて少しずつ刺激してきた。泡の微妙な動きが重なり心地よさから快感へと徐々に変わっていく。
俺がヒカルの唇を強請る様に後ろを向くと、ヒカルも気づき優しくキスをしてくる。唇の先を少しずつ舌が這う。優しく、何度も何度もゆっくりと表面だけを舐められている。
俺は身体を反転させヒカルと向かい合って再度正面からキスをした。いつもとは逆に俺が先に舌を入れ、しばらくの間濃厚で激しく攻め立てていた。
口を離すと、ヒカルは我慢していたのか一気に荒い呼吸をした。
そんなことは気にせず湯船の縁にヒカルの頭を密着させ、顎を少し持ち上げ仰け反るような形にさせ、喉仏を大げさに下から舐め上げてやる。一緒に乳首を指で刺激するとヒカルは喘ぎ声を漏らしてきた。
光「うぅ…気持ちいいな」
水面ギリギリの首のつけ根や鎖骨の部分も舌で刺激しながら、ヒカルの背中に手を廻していく。右手だけはゆっくりと後ろの穴を探す様に割れ目に指先を這わせ、ようやくその部分に辿り着いた。意外に毛が生えていない様で感触がほとんどない。
そのままケツを持ち上げるようにしてヒカルを起こし、乳首が水面から出る様にして今度は乳首を舌で転がす。少し体勢が楽になったので穴の入り口をちょっと強めに刺激した。
光「んぅ…くぁ…」
ヒカルは俺の頭を抱きしめながら喘ぎ声を出し身体を捩じらせている。
俺『ヒカルは予想外に攻められっぱなしでいる。まだまだ夜も長いし今日は俺がタチる事ができるかも…』
そう思いながらヒカルの胸をいつまでも刺激していた。


光「入れてみたいのか?」
感じていたヒカルの口から唐突にその言葉が出てきた。
俺「そうだね。やってみたいけど、かなり痛いからヒカルが無理なんじゃないかな」
光「でもやってみたいんだろ?」
俺「…うん。でもきっと無理だって」
そう言いながら乳首を攻めていると、ヒカルがいきなり俺の身体を持ち上げ湯船の縁に座らせた。
光「今まで俺ができなかった事ってあるか?」
きっと何か出来なかった事があるはずだからと思い出そうとしたが、すぐにはこれと言って出てこない。
光「ほらみろ、ないだろ」
俺『そんなナポレオンじゃないんだし…。今すぐには思い浮かばないだけじゃん』
そうは思ったが別の聞き方をする。
俺「そんなにやりたいの?」
光「いや、おまえがやりたいのが分かってるのに、いつも黙って俺にケツを向けてるってのが嫌なんだよ。おまえだって男だしやりたいんだろ?今まで我慢してたんだろうしな」
俺「まあそうだけど。ホントに痛いよ?」
今までやってみたいとは思っていたが、いざ言われてみるとヒカル自身がそんな事をするタイプじゃないだけにそれでいいのか不安になる。
光「心配すんなって」
それ以上は何も言わず、目の前にある俺のモノを咥えてきた。ヒカルも湯船の中で自分のモノをシゴいている様だ。
気持ち良くなってきたのでヒカルの頭を掴みゆっくりと腰を動かす。それに対してヒカルも嫌がらずに受け入れる。俺のタチとしての気持ちを引き出してくれている様な行動だ。
俺「ベッドに行こう?」
あまりに気持ち良くなってしまったのでそう言って一旦中断させた。風呂を上がりベッドまで行く。ヒカルはローションとゴムを取ってきて俺にもわかるように枕元に置いた。
俺をベッドに寝かせ上になったヒカルは優しくキスをして来た。濡れたヒカルの長い髪が顔にかかるが、それすらも気持ち良く思えてしまう。
ヒカルに抱きつきそのまま横に下ろしてキスを続け、さらに俺が上になって体勢を入れ替える。上から攻められてヒカルが気持ちを変えてしまうのはつまらないからだ。
少ししてヒカルの身体を起こして後ろに両手を着かせ、足はM字の様に開かせて間に俺が入る様に座った。相変わらずの綺麗な身体に一瞬見惚れてしまう。
前屈みになりヒカルの上半身を舐め回し始める。ヒカルの手は後ろで自分の身体を支えているので邪魔される事はない。右手でヒカルのモノを握り、反応の良い裏筋を親指で擦ってやると途端に声が漏れてきた。
光「うぁ…すげぇ…」
いつでもここは敏感な様だ。ヒカルも若干腰を浮かしてくる。
しばらくはこの状態で攻めていたが、耐え切れなくなったのかヒカルは背中をついてしまった。
光「おまえすげぇな。イヤらしすぎるよ」
俺「そう?もう少しだけやらせてよ。ちょっと四つん這いになって?」
一瞬躊躇した。
光「ダメだよ。恥ずかしいだろ」
俺「さっき風呂の中でできない事はないって言ってたじゃん?」
光「それは違う意味だろ」
俺「いいからさ、俺とヒカルの秘密なんだし」
そう言われて仕方ないと思ったのか身体を動かし、渋々四つん這いになる。
ヒカルのプライドをあまり傷つけたくなかったので特に言葉にはしなかったものの、予想通りそれほど毛深くなく想像したよりも綺麗な感じだった。
穴の部分を舌の先で舐めてやる。違った快感があったのかヒカルも声を出した。
光「あぁぁ…チョ、ちょっと…」
気持ち良いのかいつもと少し違う上ずったような声に聞こえる。恥ずかしいのか枕に顔を埋めてしまっている。
ほどほどにしておき、再度仰向けにさせ膝を立たせて間に俺が座った。
光「おまえ、よく今まであんな恥ずかしい格好に耐えていたな」
ヒカルが話しかけたので顔を近づける。実際には話を聞く為に近づいたフリをして、ヒカルに見えないように枕元のローションを掴んでいた。
俺「多分俺も恥ずかしかったと思うよ。でも俺の時にはヒカルが乱暴だったから」
そう言って軽く笑った。
光「少しはおまえの気持ちがわかったよ」
俺「そっか。じゃ止めておこうか。ここまでにする?」
一瞬だけ無言になる。
光「構わないよ。二言はないから」
ヒカルならきっとそう答えると思っていた。

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 長編編集部φ(..)  - 07/6/28(木) 13:55 -
光「やっぱり痛いよな。どんな感じなんだ?」
緊張しているのか会話が多くなってくる。
俺「指だと最初は痛いけどすぐ慣れてくるよ」
光「モノだとどうなんだ?」
俺「う〜ん、地面に木槌で杭を打ち込んでいく時の地面の気持ちかな。ズンッズンッてね」
自分でも笑っちゃうような譬えだったが、ヒカルにはキツ過ぎたかもしれない。
光「やっぱ止める」
そんなヒカルに笑顔だけ返し指にローションをつけた。ヒカルも観念したようにそれ以上は言わず、じっと俺の様子を見ている。
とりあえずヒカルがストップをかけるところまで行って、後はなるようにしかならないだろうと思った。
俺「じゃいくね」
穴の入り口に中指を押し当てゆっくりと入れていく。俺も始めてなので慎重に進めた。かなり締め付けが強くきついものだ。
光「うぐっ…」
顔はキツそうだが、それでも耐えているのか意外にも大人しい。中まで入ってしまうと眉間に寄せていた皺もなくなった。
俺「どう?」
光「苦しいな」
しばらく様子を見ていたが大分慣れたようなのでゆっくり前後に動かしてみる。少し辛い様だ。
俺「大丈夫?」
光「ああ、平気さ。俺はそんなケツの穴の小さい人間じゃねぇよ」
その言葉につい可笑しくなって笑ってしまった。度胸が座っている事の喩えなのか実際の話なのか…。
俺の始めての時とは違って、この時点ではすでにロマンティックな雰囲気でもシリアスでもなくなってしまっている。
歯を食いしばりながらも冗談を言えるくらいなのでまだいけそうだ。
一旦指を抜き今度は2本入れてみた。やはり入り口では辛そうだが完全に入ってしまえばそれほど痛みはない様だ。再度抜きローションをつけ直して3本入れてみる。これはさすがにキツいようで大分顔を歪めていたが、それでも動かさずにいると楽になってきたのか落ち着いてきた。
俺「どう?慣れた?」
光「なんかずっと入れられてるのは変な気分だな。まだ苦しいけど構わないからやってみようぜ」
ヒカルの男らしい言葉に救われ、指を抜き自分でゴムをつけた上でたっぷりとローションを塗った。
俺「じゃいくから」
入り口にモノを当てゆっくり腰を進める。ローションのつけ過ぎで滑ってしまうのかうまく穴の位置がつかめなかったが、何度かするうちに少し入っていく感触があった。それとともにヒカルがかなりの苦痛に顔を顰めるのがわかった。
俺「ゆっくり深呼吸ね」
たしか最初にヒカルに教えられた事だ。ヒカルもゆっくりと呼吸をしている様だった。
少しずつ少しずつ進んで行きなんとか奥まで到達する。ヒカルの中はゴムをしてても暖かさが感じられた。
俺「全部入ったよ。温かくて気持ちいいね。どんな感じ?」
光「2度はやりたくないな…」
そう言って両腕で顔を隠す。
かなり長い間そのままで様子を窺っていたが、そろそろいいかなと思い少し前屈みになってヒカルに囁いた。
俺「ゆっくり動いてみるよ」
ヒカルの膝を両方の手で抱えるようにして腰を動かすと、ヒカルも苦しそうに悶え出した。
光「あぁぁ…」
得体の知れない感覚に2度3度と動かすと俺もすぐに気持ち良くなってしまう。
俺「ヒカル、なんかすごい……気持ちよすぎだよ」
そんな声は聞こえていないのか、ヒカルは両手を広げシーツを掴んで耐えていた。
穴の中の温もりと異様な締め付けに堪えきれない快感が走る。
長い間ゆっくりと腰を前後させていたが、段々と我慢できなくなりヒカルの両脇に手を置き一気に腰を振った。すぐに絶頂感へと上り詰める。
俺「あぁぁ…もうダメ、イ、イク、イクよ!」
光「うぅぁ…あぁ」
ヒカルが俺の腕を掴んだ瞬間に俺はヒカルの中で一気に果てていった。あっという間だったが、何度も何度もイッた感覚があり、最後はヒカルの上に覆い被さってしまった。
俺もヒカルも呼吸を荒げているのがお互いの胸を通して伝わってくる。
俺「ヒカル…ホントごめん。無理させちゃったね」
光「いいさ。いつものご褒美のつもりだったし。でもキツいよな」
そう言って汗だくな顔で笑っている。苦痛の中での精一杯の笑顔の様に見えた。肉体的にも無理があったのはもちろんだが、俺とヒカルの関係からいって精神的にもかなり辛かったはずだ。
俺『俺とヒカルにはそれぞれの立場があって、それを崩したり越えちゃいけない時もあるんだ…』
そう思ってヒカルの笑顔を見ていると、なんとなく切なくなって目が潤んできてしまった。
俺「ごめんね。ヒカルの気持ちとか考えていなかったよ…」
光「なんだよ、そんな顔をして。気にするなって」
そう言って固く抱きしめてきた。優しいいつもの抱擁だ。
光「シュウさん、そろそろいいかい?」
俺「なに?」
光「抜いてくれないとさ」
まだ入れっぱなしだった。
俺「じゃゆっくり抜くから」
そう言って一気に引き抜いた。前にヒカルにやられた事がある。ヒカルもちょっとビックリした様だ。
光「あぁぁぁ!…おまえ殺す!」
そう言ってもう一度固く抱きしめてきた。


俺「ジンに話した事だけどさぁ、大丈夫だったかなぁ」
お互いがクールダウンする間、しばらくジンの話になる。
光「大丈夫だよ。ジンの言う通りいきなりでびっくりしたんだろ。あいつはそんなに簡単に見捨てたりはしないから」
俺「そうなら逆に今悩んだりしてないかな」
光「そうかもな。でも今日は俺達と同じ様に楽しんでるだろ。まぁ冬休み中に早目に2人で会いにいくか」
俺「そうだね」
ジンには早く理解してもらいたいし、話した事が間違いじゃなかった事を確かめたい。
ヒカルも肘をついて俺の乳首を弄びながら、しばらく同じ様な事を考え込んでいる様子だった。
考えている間は気にしていなかったが、意識を乳首に向けるとやはり反応してしまう。爪の先で小さな乳房を悪戯されるとすぐに勃ってしまいコリコリした感触になった。ヒカルもその感覚を楽しんでる様だ。
なんとなく俺もヒカルのモノを握ってみた。一旦治まっていた様だが、段々と手の中で大きくなっていく。
少しだけだが裏筋を刺激してみた。一気に刺激するとヒカルが豹変するので、感じるか感じないかの微妙なところで刺激を加える。
ヒカルは乳首に刺激を加えながら額や頬にキスをしてくる。
しばらくして微妙な刺激に焦れて来てしまったのか、いきなりヒカルが立ち上がって俺の顔を跨いできた。頭の下に枕を2つ入れる。
光「しゃぶれよ」
いつもの乱暴な口調だ。
俺『始まった…』
そう感じた。
俺の両手をとり頭の上で固定させ、無理矢理口にモノを突っ込むと腰を使って押し込んでくる。
俺が苦しいのも構わず喉の奥まで入れ、奥一杯のところでわざと動きを止めたりする。
苦しがる俺の目からさっきとは違う涙が出るのを見て、さらに楽しむように腰を振り続けた。
ひとしきり口を使っていたが飽きてきたのか、俺の首の後ろに手を回し強引にベッドから引きずり下ろされ、床を引きずられる様にして例の診察台まで連れて行かれた。
光「早く上がれよ」
なんとなく躊躇してる俺にキツい言葉で促す。
仕方なく上がって仰向けになり、足を乗せる部分に両膝を置いた。その足を皮のベルトで固定される。
台に小さなタイヤがついていて、壁際の十字架のところまで台ごと移動された。
俺「お願いだから止めてよ。充分ハズいんだからぁ」
そんな言葉は聞いていない様だ。
言った後にいつも気づくが、そう言う言葉自体がヒカルの心に火をつける事になるのだ。
遂に両手も十字架からぶら下がった手枷に繋がれ、哀れな姿をヒカルに晒す事になった。


光「いい眺めだよ。これでなんでもできるな」
俺は黙って横を向いてた。
ヒカルはエッチをするたびにS度を増していくので、いったいどこまで進めば満足するのか毎回怖くなる。
俺『俺はMなんかじゃないと思うし、キツい事がそれほど快感なんかにはならない。いつもなんとか耐えてるって事の方が多い。こんな場所に来るのも今日だけだと思えば…。我慢我慢…』
そんな事を考えていた。
ヒカルはじっと観察しながら、ゆっくりと股間から後ろの穴まで指を這わせて行く。
指にローションをつけ、早速穴を解しにかかってきた。
身体に力が入ってしまうがまるで身動きがとれず、その度に手枷の鎖の音だけがイヤらしく響く。
光「我慢できないから入れさせてもらうよ」
俺「ここでやるの?」
光「うん。高さもちょうどいいみたいだし、見た目がすげぇ興奮するからさ」
そう言ってゴムをつけたモノを押し当ててくる。
俺「頼むから止めて!」
まさか入れるところまでここでやるとは思わなかったので慌てて拒否した。
ヒカルは構わず強引に入れ、しばらく腰を振りながら俺の身体中を眺めていたが、泣きそうな顔が目に入り思い留まった様だ。
光「仕方ないな。ちょっとやりすぎたか」
そう言って手枷も足枷も外してくれた。
俺を抱え上げ運ぶと、いきなりベッドに投げ捨てた。
光「さっ、早く」
ホントに今日はロマンティックさがないと思うが、ヒカルはそんな事に構わず俺の足の間に座り、正常位の体勢で手際よく中に入れてきた。
奥まで入り様子を窺う。
光「大丈夫か?」
俺はなんとか頷いた。
光「久しぶりだしすぐイキそうだから、このまま最後までいくぜ」
そう言って腰を動かしてくる。
俺だって久しぶりだったが、意外にもすぐに気持ち良さが広がってくるのを感じる。
ヒカルは前屈みになって俺の乳首を口で攻め立てた。入れている時に乳首を攻めるとどうなるか分かっているのだ。
光「あぁ…いい締め具合だな…すげぇよ」
余計反応し腰のスピードを上げてくる。
2人で快感の声を出してしまう。
俺「ヒカル…またイキそう」
ヒカルが少し身体を起こしたので俺は自分のモノを握ってシゴいた。
光「ああぁぁ…俺も…イキそう」
先にヒカルが絶頂を迎えた。俺にぴったり腰をつけたかと思うと、ガクガクっと身体が不規則に震えて放出した様だった。
すぐに俺も腹の上に出してしまう。2回目にも関わらず相変わらずの量の多さだ。
出し終わった後、恍惚の中見上げるとヒカルと目があった。
光「…メリークリスマスって感じだな」
まだ荒い呼吸の中ヒカルは笑いながらそう言った。

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 長編編集部φ(..)  - 07/6/28(木) 15:00 -
光「はいよ。これプレゼント」
一緒に風呂に入った後、ベッドに横になったところで唐突にプレゼントを渡された。
俺「俺もだよ」
慌てて俺もカバンから取り出し渡す。
光「あれっ?この間のサイフと一緒って事じゃなかったのか?」
俺「やっぱり今日渡さないのも寂しいでしょ?」
そう言ってお互いに交換した。
光「なんか俺ばっか得したみたいだな」
俺「構わないよ」
話しながらヒカルが先に開け出したので、俺はどんな反応をするのかをじっと観察していた。
ヒカルは中を見て一瞬ビクっとしたようだ。
光「なんだよー」
予想外な反応だ。少し引き攣った顔をしている。
俺「気に入らなかった?あの時に欲しいって言ってたから喜ぶと思ったんだけど…」
光「そうじゃないよ、すげぇ嬉しいよ。でもそっちの…。ほらっ、開けてみろよ」
俺は意味がわからずヒカルからのプレゼントを開けてみた。ゆっくりと中のケースを開く。
中を見てヒカルの言っている意味がようやく理解できた。
俺「あ〜、なるほどね〜」
2人で顔を見合わせ笑ってしまう。
ヒカルにサイフを買ってあげた後に2人でアクセサリーショップに寄った時、お互いに『これが欲しい』って言っていたブレスレットがあった。それぞれ全くタイプの違うものだったが、それが偶然にもお互いのプレゼントになったわけだ。
俺「お互い近場で済ませちゃったもんだね。でも欲しかった物だから嬉しいよ」
光「そうだよな。まぁいいか」
そう言ってそれぞれの手首に巻いてあげる事にした。
一緒にベッドに横になり、一時ブレスレットの話で盛り上がる。
しばらくすると話も尽きたのかいつのまにか静かになった。
ブレスレットを巻いた手を握りあっていたが、いつしかヒカルの握力が段々と弱まり始め、寝息も聞こえてくるようになる。ちょっと横を向くとヒカルの寝顔が見える。
今ここにはケーキもキャンドルもない。ロマンティックさの全くない妙な部屋でクリスマスイブの夜を過ごしている。
『今はヒカルが横にいてくれるだけでいいよ』
そう思いながら俺も眠りにつく。

次の日再びバイクで戻る。日差しがあるせいか昨日の夜ほど寒さは感じなかった。バス停まで送ってもらいその日はまっすぐ帰った。

慌ただしい年の瀬も一気に過ぎて、矢継ぎ早に新年を迎える事となる。
大事な1年になる事は充分分かっているが、一体どんな年になるのかと多少不安に思っていた。
『できれば平穏に過ぎてって欲しい』
そんな思いとは裏腹に、受験、プライベートと正に波乱に満ちた1年となっていった…。


担任「…てことで今年は大事な年なんだから、みんなも心して頑張るように」
年も明けて冬休みが終わり、また学校が始まった。
結局休み中にはジンに会えないままだった。ヒカルともクリスマス以来メールをしていただけで会っていない。
HRで担任の話を聞いている間、クラスの様子を一通り窺う。後ろを見るとユタカと目が合って明るい表情でVサインをしてきた。俺の横の方にはコウがいる。黙って話を聞いている様だ。そして前の方にはカズヤの背中が見えるが、後ろ姿なので様子を窺う事はできない。
あれ以来コウともカズヤともあの時の話にはならないので、どんな風に思っているのかも分からないままだった。ユタカは何も知らないんだろうけど、コウとの仲の良さを考えると話を聞いている可能性もある。こうしてみるとそれぞれの間には表面には出さない微妙な空気が漂っているように感じられて不安を感じてしまう。
ようやく担任の話が終わり、この後学年最後の席替えとなった。
クジ引きで1番を引いた者から順番に好きな場所を選べる。このクラスの特徴からいって、いつも通り前の方から席が埋まってくる。俺達4人は後ろ寄りの窓際の席になった。俺の前の席がユタカで、その右隣りがカズヤ。カズヤの右後ろがコウだ。つまりコウは俺の右側の1つ飛びの所になる。
カズヤだけはもう少し前が良かったと不服な様子だが、以前よりも4人が固まったので会話もしやすいし昼飯も食べ易くなるはずだと思う。窓際はちょっと寒い事もあるが、気晴らしに景色も見れるわけで雰囲気として俺はとても気に入っている。

今日は午前中で終わったので、ヒカルと一緒に帰る約束をしていた。なかなかヒカルが来ない為寒い玄関でしばらく待つことになる。短い冬休みとはいえ久しぶりに顔を会わせる奴がほとんどなので、すれ違い様頻繁に挨拶をする事が多かったが、長らく待たされたせいでそれもなくなり、人もほとんどいなくなった。
光「お待たせ」
30分くらい待たされようやくやって来た。気を使ってか走って来たようだ。
光「担任と話があってさ。悪かったな」
俺「凍えるかと思った」
光「ごめんな。でも待っててくれると思ったよ。バイクに乗ってるよりは暖かいだろ?」
確かにその通りだ。
そんな話をしながらヒカルと玄関を出た所で、脇から女子が2人近づいてきた。多分2人とも1年生だ。俺とヒカルに別々の子がそれぞれ手紙を渡し、恥ずかしそうに走り去っていってしまう。一瞬の事だったので言葉のやり取りもないままだった。
俺「なにこれ」
光「普通はラブレターだろ」
俺「そうだよね。でもタイミング良く1枚ずつ」
そう言ってちょっと笑ってしまう。でも向こうも俺達がいつも一緒に帰るって事を知っていてこの時を待ってたって事だからあまり笑えない事態かな…。
光「おまえの方のを寄こせよ」
ヒカルがちょっと怒りながら俺の手から手紙を取り上げ破ろうとした。
俺「ちょ、ちょっとダメだってば!せっかく書いてくれたんだから、何もいきなり破る事ないじゃん。可哀想でしょ?」
ヒカルも思い留まったのか破るまではしなかった。再度ヒカルから奪い返す。
光「ってか何でおまえに女が渡すんだよ」
俺「いけない?それにヒカルだってもらってるでしょ。何で俺ばっかり責めるのさ」
光「うるせぇよ」
そう言ってプイっと横を向いてしまう。
確かにラブレターをもらう事は嬉しいが、俺にとってそんなに興味のある事ではなかったので中身も見ずに鞄の中に閉まった。
意味も分からずヒカルのご機嫌を取りながら家路に着くことになった。

2月になると3年生はほとんど学校に来なくなる。必然的に2年が最上級生という立場になるわけで学校の様子も気持ちの面でも大分変わってくる。
というわけで、3年の溜まり場となっていた例の図書館の中二階の奥のスペースも、ジンが真っ先に名乗りを上げた事もあるが、大方の予想していた通り俺達が頻繁に利用する事となった。以降特に昼休み等は5人一緒にここで時間を潰す事が多くなっていく。

2月のある日の昼休み、ヒカルと図書館に行くことになった。入口まで行くと反対側からジンが歩いてくるのが見えたので、ジンが来るのを待って3人で中に入っていく。
仁「今日はみんな学校をサボりやがって俺だけだよ。なんかつまんなくて来たけど、おまえらがいなきゃどうしようかと思ったぜ」
俺「意外に寂しがりやなんだね」
光「知らなかった?それで中学時代から俺にくっついているんだぜ」
仁「よく言うよ」
そんな会話をしながら奥まで入っていき椅子に座る。ヒカルが俺の横で、ジンは向かい側に座った。
話が一段落すると俺達を見ながらジンが言った。
仁「おまえ達ホントにいつも一緒なんだな」
その言葉をキッカケに少し間それぞれの顔を観察するような雰囲気になる。
どうやら、ようやくあの時の話の続きをする機会になった事を3人とも感じとった様だ。


仁「でさぁ、おまえらどこまでやっちゃってるわけ?」
唐突に、それも強烈な質問をジンはしてきた。
ただ、やっぱりノンケであるジンに聞かれるとすんなりとは話せないものがある。
光「おまえさぁストレート過ぎない?しかも最初の質問がそこからかよ」
さすがのヒカルもすぐには答えない。
仁「いいだろ?別に誰もここにいないんだし俺だけなんだから」
光「おまえだから話にくいんだよ」
仁「そんなもんか?」
俺に向かって聞いてくる。
俺「そうだね。同じ様な経験のあるヤツのほうが話しやすいとは思うよ」
仁「俺はそういうのないからなぁ。まぁいいだろ?で、どこまでだ?」
笑わないで聞いてくるので逆に怖い。まぁ真面目に考えてくれているのかも知れないが…。
仁「やっちゃった?」
ヒカルが諦めムードで下を向きながらコクリと頷いた。
仁「へぇー。おまえらがねー。それで、どんな風にやるんだ?」
光「どんな風にって…、まぁ、最後まで…」
ジンは何か考えている様子だ。
仁「女とやるようにって言うことか?」
光「…そうだよ」
また考えている。
仁「ふーん、なるほどね。それで…その…、両方ともお互いにやりあうわけか?」
ヒカルが何か言いたげに俺を見た。俺がウケだって事に気を使おうとしたのか、クリスマスの日にヒカルに入れた事をジンに知られたくなかったのか、どちらか分からなかった。
光「内緒」
仁「なんだよ、そこまで話といてさぁ」
俺「俺がいわゆる女役」
ヒカルがどっちの考えでいたのか分からなかったが、ヒカルを傷つけることにならない様に俺から話した。
仁「そっか。まぁそうだろうな。おまえらを見てるとどっちがどうか大体分かるよ」
光「おまえ、シュウの気持ちを考えて発言しろよ」
ヒカルがジンに釘を刺す。それでヒカルが内緒って言った意味もある程度理解できた。ジンもなんとなく察した様だった。
仁「あー、ごめんごめん。でもおまえ女とつきあったりしてただろ?それが何でこうなるわけ?」
光「分からないよ。気づいたら好きになってたんだから」
仁「女よりもいいのか?」
光「うん」
仁「他の男は?」
ヒカルがなぜかそこでチラッと俺を見た。
光「絶対ダメだな。キモくて考えられない」
仁「俺でも?」
光「全然イケてねぇよ」
特に大げさに表現したのでちょっと苦笑した。
仁「それで、いつからそうなったんだ?」
光「2年になってすぐだな。4月だったから」
仁「どうやってコクった?」
またヒカルと顔を見合わせる。今度はお互いに笑ってしまった。
光「そういえばここでだよな」
俺「うん」
仁「ここ?」
光「そうさ。ここが最初だよ」
仁「どうコクったのさ?」
俺「今度こそ内緒!」
なんとなくあの日の出来事が最近の事の様に思い出される。大事な思い出だからあまり話したくない。
仁「なんだかな。でもまぁいいや。最初に話を聞いた時、かなり焦って何も言えなかったけど、俺は別に2人がどうしたって構わないし、そんな事で嫌うつもりはないからな。それに誰にも言わないでおくからさ。2人の事は今からもずっと大事な仲間なんだし、俺としてはつきあいも認めるよ」
ジンの優しさが充分感じられる言葉だ。そう言うジンの顔を見て、改めて友達としての信頼感を強く持っていた。
仁「でも2つだけ条件がある」
突然そう言ったので俺は少しだけ身構える。
光「何?」
仁「1つ目は、もし2人が別れることになっても、将来ずっとイガミ合うような事にはなるなよ。そういうのは俺が困る。喧嘩したら真っ直ぐ俺の所に来ればいいさ。両方から話を聞いて俺が判断してやるからさ」
こういう時の判断は確かにジンがうってつけだ。ヒカルも頷いている。
仁「それからもう1つ」
少しだけ間を空けて言った。
仁「どうやってやるか、1回でいいから俺にやってるところを見せてみろよ」
ヒカルとジンが2人で顔を見合わせ、バカみたいに笑い出した。
光「一度味あわせてやりたいくらいすげぇ気持ちいいんだぜ!」
仁「じゃ飽きたら貸し出せよ!」
光「やだね、冗談じゃない」
その横で2人を見ながら俺はため息をつくだけだった。

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 長編編集部φ(..)  - 07/6/28(木) 16:29 -
俺「ジンに認められて良かったね」
ジンと図書館で別れ、教室に戻りながらヒカルと話していた。
光「言った通りだろ。やっぱり話して正解だったよな」
突然ジンに話す事になった時はどうなるかと思ったが、やっぱりジンの人間性を考えればこういう結果が当然だったのかもしれない。俺には分からなかったが、長くつきあってるヒカルにはジンの気持ちがある程度読めていたっていう事だろうか。
光「ジンが見せろって言ってたけど、ジンの前でしてみるか?」
俺「絶対イヤだ」
光「人に見られると興奮しないか?」
俺「しないよ。ヒカルいつからMになったの?」
光「俺はシュウとなら別に誰に見られたって構わないさ」
俺「なに言ってるんだか…」
ヒカルはただ笑っているだけだった。まさか本気でジンの前でやるとは思っていないだろうけど…。
俺「まぁジンに理解してもらったし、少しだけ気を使わずに済むかもね。これからいっぱい楽しまなくちゃね。だってさぁ、俺達には…」
光「時間がないから!だな。じゃ今からやるか?」
俺「ダメ〜!ちゃんと授業出なきゃ」
そう言ってヒカルのクラスの前で別れた。

2月も終わりが近づいた週末、宿題が沢山あるからという事でカズヤの家に集まる事に決まった。
金曜日の朝登校してみると、まだ疎らな教室でカズヤが本を読んでいる姿が見えた。
最近元気がない様子だし、コウ達も同じ事を話していたので声をかけてみる事にする。
俺「カズヤ、何してるの?」
聞こえてるはずなのに無視だ。
俺「カズヤ!」
和「ん?あーおはよう」
俺「大丈夫?なんか元気なさげだけど?」
和「あ、あぁ平気だよ」
あまり冴えない顔だ。
和「そう言えば明日ウチにくるだろ?」
俺「うん。みんな来るの?」
和「コウは来れないらしいよ。ユタカは来るみたい」
今回はユタカか。まぁ誰かいればまだ安心できる。
和「ところでさぁ、明日親がいないんだ。泊まれる?」
いきなり言われて思い出した。前にそんな約束をしてたはずだ。
俺「どうかな。急だから無理かも」
和「なんだ、約束が守れない奴なのかよ」
そう言われると行かないとは言えない。しかもいつもと違い寂しそうな顔を見れば尚更だ。
俺「分かった。なんとかするよ」
一抹の不安を抱えながらもOKした。


豊「おはよーさん!」
カズヤとの会話に行き詰まりを感じていたが、良いタイミングでユタカが加わった。
それを聞いたカズヤは挨拶を返してすぐに教室を出ていった。トイレにでも行ったのだろうか。
それを見送るように目で追っていたが、視界から消えたところでユタカに話しかけてみる。
俺「なんかカズヤ元気ないみたいだね」
豊「何日か前からだな」
俺「普通この時間は部活の朝練じゃない?」
豊「そうだよな。その部活で何かあったみたいだぜ」
俺「何かって?」
豊「俺も詳しくは知らないけど、コウがそう言ってた」
一瞬俺とヒカルの事で落ち込んでるかと思っていたが、部活の事と聞いて少しホッとする。それとともにカズヤなら部活の事で悩むのは充分理解できる話でもあると思った。
俺「ところでユタカは明日カズヤの家に行くんでしょ?」
豊「ああ、行くよ。あんなにいっぱい宿題出されちゃ手分けしてやるしかないよな」
俺「うん。コウは来ないの?」
豊「後から来るかも知れないって言ってたけど、どうだろな」
俺「ユタカは明日カズヤの家に泊まる予定?」
豊「そりゃないよ。俺ン家近いし必ず帰るから。それにカズヤの家にはまだ泊まった事ないんだよ。泊まりたいって言ってもカズヤがいつもダメだっていうからさ。たぶん誰も泊まった事ないはずだよ」
俺には『どうしても泊まっていけ』といつも言うけど、他の人には話が違う事に少しだけ驚いた。
豊「シュウは泊まりたいの?」
俺「あっ、いや、そういうわけじゃないけど…俺は家が遠いから遅くなると帰れないかなって思って」
ユタカが泊まりではない事と、俺だけがカズヤから言われている事を考え、なんとなく言葉を濁した。
豊「明日って天気予報が雪予想らしいから、マジに帰れなくなるかもよ?まぁ早めに終わらせれば大丈夫か」
俺「そっか。じゃ頑張らないとね」
ちょうどコウが駆け込んできた。
弘「おすっ!遅刻するかと思ったよ」
豊「おぅ。おまえ明日宿題しに来ないの?」
弘「あーどうだろ。たぶん無理かなぁ。ダメなら日曜に1人で頑張るよ。シュウは行くのか?」
俺「うん。その予定だよ」
向き合うコウの目が俺を探ってるように感じられ、なんとなく目を反らしてしまう。
チャイムが鳴り始めたので会話もそこで終わった。
カズヤも戻ってきたようだ。相変わらず歩く姿が元気なく見える。
俺『部活の事でっていうなら明日少し励ましてやらないと…』
そう思いながらカズヤの背中を見ていた。


母「今日は雪が降るっていうし止めた方がいいんじゃないの?」
今日この言葉を聞いたのは何回目になるだろうか。
たしかに心配なのは当たり前だ。降った雪がなかなか解けずに道路が塞がってしまうと、一日家に帰って来れないなんて事になり兼ねないからだ。
俺「今日は泊まりだし大丈夫だよ。明日早めに帰ってくるから。ちゃんと連絡するよ」
そう言って家を出た。
いつも通りバスに乗ってカズヤの家に向かう。
バスの中から外を眺めてみるが、ドンヨリ曇って今日は富士山も全く見えない。予報は夜からって事だが、今にも降り出してきそうな感じだ。予報もハズレてくれれば良いと思うけど、どちらかと言うと悪い方にハズレそうな雲行きに見える。
それにしてもまるでカズヤの気持ちを表しているような天気。それだけじゃない、今後カズヤとどういうことになっていくのか、正に先が見えないという雰囲気だ。

バスの中でしばらくカズヤの事を考える。
実は、どうしても落ち込んでいる理由を知りたかったので、昨日寝る前にコウにメールをして聞いてみたのだ。
コウの話では、ラグビー部内で以前からカズヤの練習方針に不満が上がっていて、それがつい最近になって大きくなり、チームが肯定派と否定派の2つに分裂してしまったという事だ。
部活になると熱血漢となるカズヤの事だから、よっぽどキツい練習だったのだろうか。
そんな事態なら、人一倍責任感の強いカズヤの事だから、あれだけ悩むのも無理のないところかもしれない。
『そうとなれば今日は慰めてやらなければ』
流れる景色を見ながらそう考えていた。

予定通りの時間にバスを降りた。3度目ともなれば考え事をしていてもカズヤの家までは辿り着ける。
誰もいないと聞いていたが、一応玄関で大声で挨拶をしてみる。やっぱり返事はない。仕方なく黙って上がり込んだ。
『あの時コウもきっとこんな感じで部屋まで向かってたんだろうな。その後あんな場面に遭遇して、かなりびっくりしたに違いない。今日はまさか何もしてないだろな…』
そんな事を考えながらカズヤの部屋まで来てドアの前に立った。


俺「カズヤ!入るよ」
そう言ってドアを開けた。俺とカズヤのような事はないだろうと思ったが、何が起こるか分からないから慎重を期してゆっくりとドアを開ける。
ところが入ろうとして、2人の姿を見た瞬間、その場で固まってしまった。カズヤとユタカが顔を擦り寄せるようにして何かをしていたからだ。
俺「!」
立ち竦んでいた俺に、2人同時に顔を上げた。
和「何突っ立ってんの?」
そう言われてコタツの上を見ると、英和辞典が広げられている。
俺『そっか、2人で辞書を覗いてたんだ…びっくりした』
なぜかホッとため息をつく。
人間の先入観とは怖いものだ。日頃の何げない行動でも、違う事をしている様に見えてしまう。逆に端から見ればおかしく見える事でも、平気で出来てしまう事もある。
キョトンとしている2人を尻目に、苦笑しながらコタツに入った。
俺も加わり、そこから3人で宿題を黙々とこなし、集中して一気に仕上げていく。
頑張ったおかげで意外に早く終わった。4時間くらいだろうか。時計をみるとまだ夕方6時くらいだ。
豊「疲れたなぁ。でも終わって安心したよ。それにしても数学って宿題出しすぎ」
思わず伸びをしながら話す。
俺「なんだろね。嫌がらせとしか思えないよ」
カズヤがドリンクを持って戻ってきた。みんなで飲みながら話す。
豊「俺らの担任だろ?身内に厳しすぎない?」
和「まったくだな。まぁ終わってなによりだよ。とりあえずは明日の休みをゆっくりと堪能できるよな」
豊「あれっ、めずらしく明日は部活ないわけ?」
さり気なく出たユタカの言葉ではあったが、部活の話には持っていって欲しくなかった。
カズヤはドリンクを口にしていたのですぐに答えないが、どう説明するのか気になってしまう。
和「明日は休みにした」
ただそう言っただけだった。
なぜ休みになったのか理由がない。練習をしたくてもできない状況なのか、それとも別に相応の理由があるのか。
ユタカもマズかった事に気づいたのか黙ってしまった。気まずい雰囲気が流れる。
豊「俺そろそろ帰るわ」
耐えられなかったのか、立ち上がり帰り支度を始めた。

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 長編編集部φ(..)  - 07/6/28(木) 17:05 -
和「一緒に飯食べに行かないか?」
帰ろうとするユタカをカズヤが呼び止めた。
豊「俺は家近いし帰って食べるから。2人でゆっくり行ってこいよ。シュウはまだ帰らないだろ?」
俺「そうだね。食べたら帰るよ」
なんとなく話の流れで嘘をついてしまった。まさかユタカに泊まりだと答えるわけにはいかないからだ。カズヤの様子を窺ったが、嘘だと分かっているのか特に言葉を返して来ない。
和「じゃ一緒に出ようぜ」
というわけで3人で外に出る事になった。
出てみるとかなり寒いが雪はまだ降っていない。予想より早く降り出すと思っていたが天気予報も今のところは当たりって事か。
豊「じゃな」
ユタカは反対側に向かって自転車で帰っていった。
すぐ近くのファミレスに入る事にする。とりあえずオーダーをした後にカズヤが話し出した。
和「今日は泊まっていけるんだろ?」
俺「一応親には言ってきたけど、雪が積もったりしたら明日帰れなくなっちゃうかなぁ」
和「明日の午前中までみたいだし大丈夫だろ。なんならもう1日泊まる?」
そう言って笑った。カズヤの笑顔なんて久しぶりに見た様な気がする。
俺「カズヤの両親は帰ってこないの?」
和「さっきメールみたら、こっちが雪ならあと一晩帰らないかもってさ。呑気でいいよな」
俺「カズヤは1人で寂しくないの?」
和「別に1人でいる事なんて慣れっこさ」
話の内容とは裏腹に若干寂しげな顔をした。最近の部活の事を思い出させてしまったのかもしれない。
失敗したかなとも思ったが、ここで黙ってしまうと考えさせてしまうので、すぐに切り替えした。
俺「顔は寂しいって言ってるようだけど?」
和「そんな事ないさ」
ちょっと不機嫌そうな顔になる。
俺「そんな顔しなくてもいいじゃん?せっかく今日は泊まりに来たんだし、宿題も終わったし、明日は休みだし、今日はオールで語り合う?」
和「ハハッ、語り合うのか。そうだな」
明るく笑ったところでちょうど注文した食べ物が届いたので2人で食べ始めた。
会話も途切れたので、しばらくカズヤの食べっぷりを観察する。
行儀が悪いっていうわけではないが、男っぽく黙々と食べる様子はいかにもスポーツマンらしさに溢れていてカズヤの外観にマッチしている。
俺が3分の2も食べないうちに、さっさと食べ終わってしまっていた。
和「食べんの遅いよ」
俺「カズヤが早いんだよ。餌を食べてるんじゃないんだから」
和「うるさいね」
ちょっと眉を吊り上げるような顔をしたが、空になった俺のグラスも一緒に掴んでドリンクバーに向かっていった。
背中を見ながら笑ってしまう。
寂しそうな顔や笑った顔をしてみたり、わざと怒った態度を見せながらも相手の気遣いも忘れていない。そういった繊細な心を持っている事に仲良くなるまであまり気づかなかった。
そしてカズヤの奥深さを知れば知るほど引き込まれていってしまう自分がいる。いろんなカズヤを発見する度に少しずつもっと奥の知らないところへと進んでみたくなってしまうのだ。
和「何ボーっとした顔してんの?」
ハっと我に返る。考え事をしててカズヤが戻ってくるのにも気がつかなかった様だ。
和「一晩語り明かすんじゃなかったのかな?それとも一晩かけないと食べきらない?」
俺「うるさいねぇ」
慌てて残りを掻き込んだ。
30分ほど会話をしていたところで外に目をやると、通り過ぎる車のライトに照らされ雪が舞い落ちるのが見えた。
俺「降ってきたみたいだね」
和「じゃ濡れないうちに帰ろうか」
そう行って2人で立ち上がり店を出た。
外に出ると意外に強く降っているのが分かる。
俺「なんか積もりそうだね」
和「走って帰ろうぜ」
そう言って俺を置いていきなり走り出した。俺も慌てて後を追う。
元々スポーツマンのヒカルに俺が敵うわけがない。みるみるうちに離されていってしまう。
俺『俺だって元陸上部なのに。真面目にやっていれば良かったよ』
この時の為に鍛えておくっていうのも変な話だが、つくづくそうすれば良かったと思ってしまう。
ようやくカズヤの家の玄関に飛び込んだ。
和「食べるのも遅ければ走るのも遅いねぇ」
俺の身体についた雪を払い落とすのを手伝いながらそう言った。
俺「フライングしたくせに」
和「距離と降る量が一定なら、早く走っても遅くても濡れ方は同じって事は知ってるだろ?でもそれって理論的なだけだよな。気分的には全然違う」
その通りだと思う。どう見ても俺の方が濡れているような気がする。全くカズヤには何一つ敵わないわけだ。
先に家に入ったカズヤがタオルを持って来てくれた。
俺「結構強く降ってきてたね。明日が心配だよ」
和「なんか陸の孤島みたくて良くない?このままずっと2人だけで一緒ってのもな」
俺はそれには答えずに髪を拭いていた。カズヤがどんな顔をして言ったのか怖くて視線すら合わせないでいた。


和「寒かっただろ?とりあえず風呂に入る?家を出る時に沸かしといたから」
確かに寒いしそれが一番だ。
和「一緒に入るか?」
俺「なんかカズヤと一緒ってのは恥ずかしいよ」
できるだけ嫌味やエッチさを感じさせない様に言った。
和「いまさら恥ずかしがる仲じゃないのに。じゃ先に入れよ」
俺が先に入り、それからすぐにカズヤと入れ替わる。
さっきまでの手足の先の冷たさがなくなり、まさに生き返った感じがした。
1人になったのでヒカルにメールを入れてみる。ヒカルも暇だったのかすぐに返事が返ってきた。内容としては世間話だったものの、今どこにいるのかなど特に聞かれなかったので答える必要もなく終わった。ただ嘘をついているような気持ちは拭いきれない。
メールが済んだ後にカズヤが戻ってきたので、ヒカルの事を考える気持ちもそれきりになってしまった。
和「気持ちいいよな」
俺「ホントだね。俺風呂が大好きなんだよね」
和「そうなんだ。じゃ一緒に温泉でも行こうか」
前にヒカルともそんな話があったはずだ。
俺『いっそ3人で行くか』
考えてみたところで今はそんな事の想像すらできないが、実際には3人で行ってみたいという気持ちが本心からある。
俺「行きたいよね。でも高校生が温泉はないでしょ」
和「そうかな。はしゃいでいるだけが高校生じゃないだろ?」
俺「そうだけどさ。温泉だなんてカズヤはそんなに疲れてるの?」
和「そういうわけじゃないけどさ。ただ風呂好きって言えば温泉に行き着くだろ」
俺「そりゃそうかもね。でもなんだかカズヤ最近疲れてるみたいだし、そういう気持ちが発言に出るんじゃないの?」
和「うーん、そうかなぁ」
少し考えてまた寂しいような顔を見せる。
俺「なんかイヤな事があるなら話を聞くよ?布団の中が話し易いならそっちに行こうか?」
そう言ってベッドを指さしカズヤの行動を促す。
カズヤは黙って頷きベッドに入っていった。
和「こっちに寝ろよ」
そう言って布団を捲り俺を導いた。
風呂上がりなので布団の中に入るとまだ若干暑さを感じる。
特にカズヤの身体からは熱気が伝わる。
カズヤは無言で俺の手を握りしめてきた。


俺「カズヤさぁ、部活の事でなんか悩んでる?」
しばらく手を握って黙っていたが、ストレートに聞いてみた。ちょっとカズヤの手に力が入った様に感じられた。
俺「1人で考えていても辛くなるだけだから少し話してみれば?」
カズヤが身体を起こし俺の方を振り向いた。
和「じゃ話すけどさぁ…」
そう言って話し始めた内容は、ほぼコウから聞いた通りだった。ただ同じ2年の一部の部員からの不満が、同学年という事もあり、お互い引くに引けないものになっているらしい。
和「…誰もついて来なくなったらと思うとさぁ…」
いつものカズヤと違い、弱味を見せている。
俺「1年生はどう思ってるの?」
和「この間の副キャプテンが纏め上げてるから大丈夫だと思うけどな」
俺「なら一度みんなで話してみたら?それでカズヤが折れる形になっても誰もカズヤが悪いなんて思わないはずだよ」
和「そうかなぁ」
俺「今のままで進展しないなら自分から一歩引いてみてもいいんじゃない?」
それはきっとカズヤ自身のプライドの問題でもあるのかもしれない。
カズヤは俺の胸に頭を乗せ、それ以上なにも言わなかった。
俺もカズヤのまだ乾ききっていない髪をゆっくりと撫でていた。
しばらくして、カズヤは頭を上げ再度俺を見下ろす体勢で言った。
和「俺にキャプテンができると思うか?」
それが最終的な悩みなのだろうか。気のせいかカズヤの目が潤んでいる様に見える。よっぽど悔しいのかもしれない。
俺「もちろん。カズヤしかいないでしょ」
そう言ってカズヤの頬を抓った。
俺「頑張るしかないじゃん。負けないでね」
カズヤは眉間に皺を寄せ、今にも泣き出すんじゃないかと思う様な顔をしていた。いつもの男らしいキリッとした顔とはまるで違う。
そしてゆっくりと俺の顔に近づいてきて、唇と唇を重ね合わせた。
カズヤの舌が俺の唇の表面を舐め動いていき、さらに閉じていた唇を押し開くようにして中に進入してきた。
カズヤの顔に触れた俺の頬には水分の感触が広がる。カズヤの涙だろうか。
俺はいつしか背中に手を廻して、カズヤの身体を引き寄せていた。


和「いいのか?」
キスをした後に唇を離し、唐突にカズヤが聞いてきた。
かなり長いキスだったので、すでにカズヤの顔からは寂しそうな表情は消えてしまっている。それよりもかなり緊張した顔つきに見える。
俺は何も言えずにいたが、断らないという事でカズヤも理解した様だ。
俺『今日はカズヤの好きな様にすればいい…。でもヒカルを騙してしまうだけだよ…。今から起こる事はカズヤに責任はない。俺が悪いんだ。でも今日だけは…』
今まで制御していたカズヤとの関係だったが、今日だけは身を任せるしかなかった。
カズヤは一旦起きあがり、スウェットとTシャツを脱ぎ捨て上半身裸になる。
和「おまえは着ていろよ。俺が脱がすから」
そう言って俺の上に覆い被さる。
以前から気づいていたが、こういう状況になるとカズヤは俺の事を「おまえ」と呼んでくる。強さの表れなのか。
俺は下からカズヤの上半身に手を当ててみた。
鎖骨から厚い胸板にゆっくりと指を這わせていく。
カズヤはその様子を黙って見ていた。
逞しく鍛えられた身体は、着替えなどで見ていた時よりも、今の方がずっと筋肉質に感じられた。
カズヤの乳首を摘んでみる。ちょっと大きめの乳輪から、デカめの乳房が突き出ていて、すぐにコリコリとした手応えになった。
しばらくして、俺の手を払いのける様に両方の手首を掴み左右に固定して、上からじっと俺を見つめた。
和「マジにいいんだな」
再度の確認だ。
俺「ダメって言えば止める?」
初めて話しかけてみたが、カズヤはそれには全く答えず、俺が着ていた物を捲り上げ胸を露わにした。
まるで腫れ物にでも触るように、優しくゆっくりと指先で乳首に触れてくる。ほとんど感じないような力でだ。
しばらくして上着をさらに上げ、首を抜いた。全部脱がせるのかと思ったが、肘までで止められ、両腕を上げたまま固定されてしまう。
今度は露出した脇に触れてきた。
和「おまえにも生えてるんだな。あまり想像できないけど」
そう言って脇毛を弄ぶ。まるで初めて見る物を珍しがる子供の様だ。
俺『確かエッチは初めてのはずだ』
それを表す様にカズヤは探りながら進めている様な感じがした。

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 長編編集部φ(..)  - 07/6/28(木) 18:02 -
和「いい匂いがするよ」
俺の肌すれすれに顔を近づけ、色々な部分の匂いを嗅いだり舐めたりしている。
以前ここで襲われた時は力ずくだったが、今日はなぜだか微妙なタッチで攻めてくる。
カズヤは露わになった上半身を隅々までじっくり観察している様だ。僅かな快感が長く続き、焦らされて物足りなさを感じてしまう。
俺「カズヤ…我慢できない…」
カズヤがようやく頭を上げた。
和「初めて俺にお願いしてきたな」
カズヤは笑顔を見せる。
俺を起こし上着を脱がせ、もう一度抱きしめキスをしてきた。そのまま俺の下に手をのばして脱がしにかかってきたので、俺も軽く腰を浮かして楽に脱げるようにした。ボクサー一枚にされたが寒さは感じない。
再度俺を寝かせ、今度は下半身の攻めに移る。
和「すごい濡れてるな」
ヒカルにはもう慣れてしまったが、初めてのカズヤにはやっぱり恥ずかしさが伴い、手で前を覆い隠してしまう。
和「いいだろ。感じてる事が分かるんだから」
そう言って手を払いのけられ、顔を近づけじっくり観察される。ただほとんど触れず軽く突かれるだけだ。
それだけでまた他に移っていった。慣れていないからか、わざと焦らされているのか分からず俺は少し苛ついてしまう。
そんな事は構わず、太股から膝にかけてまた緩い攻めをしばらく続けた。
そんな感じで1時間ほど経ち、苛々も限界に達し様としていたが、ようやくカズヤは立ち上がり自分でスウェットを脱ぎボクサー1枚になった。
上半身と同じくらい逞しい足が目立つ。意外に毛深くない様だ。
いつもはトランクスだけど今日はボクサーだった。俺の趣味に合わせたのか。その前の部分はすでにはちきれそうなくらいに盛り上がっている。
再び俺に重なり身体を密着させる。重い身体に息苦しくなるが我慢した。
耳元で囁いてくる。
和「あのさぁ…これから何すればいい?」
俺「したいようにしていいよ?」
和「…よくわからないから…」
そう言って照れくさそうに顔を赤らめた。


和「初めてだし、どこをどうすればいいか…その…よく分からないんだよな」
もちろんカズヤ自身、そういう発言は照れ臭いのかもしれないが、素直に言うカズヤが愛おしく思えてしまう。
俺「じゃ俺がやってやるから」
そう言って体勢を入れ替えようとした。
和「ちょ、ちょっと待てよ。俺男なんだぜ?攻められるのはイヤだよ」
俺「俺だって男だけど?」
和「まぁそうだけどさぁ」
俺「いいから任せて」
嫌がるカズヤを押し倒す。力が強いはずのカズヤも抵抗しないところをみると諦めた様子だ。
上からカズヤの身体を見る。ヒカルよりは筋肉が発達していて硬く感じる。
いかにもスポーツマン的に盛り上がった胸の筋を掴んで、さっきも触れていた乳首の先を今度は舌で舐めてみた。
すぐに固く勃ってきた。普通よりもかなり大きい乳房は舐め甲斐がある。
円を描く様に舌の先を動かし、時々唇で摘み強く吸ってみた。たまらずカズヤは吐息を漏らしてくる。
和「うぅ…んぅ…」
舐めながらカズヤの様子を窺う。俺の方を見ながら顔を歪めている。どんな風に舐めるのか観察している様だ。
俺「気持ちいい?」
和「うん…すごい…」
カズヤに笑いかけ攻めるのを再開する。
段々感じてきたのか、胸が上下し身体を捩ねらせ始める。
最初は寝ているだけだったが、次第に両手で俺の髪を握りしめてきた。
以前ヒカルに言われて伸ばした事をカズヤ自身が非難した髪だ。
少ししてゆっくりとヘソの方に向けて頭を動かしていく。さらに下に進み、いよいよカズヤのその部分に移った。
ボクサーの上から指で形をなぞってみる。
ボクサーに納まらず中で曲がった状態でいるが、固いモノはいかにも太い事がはっきりと分かる。
ボクサーの上から口で刺激を与えてみるがやはり太さはかなりのものだ。
口で攻めながらボクサーに手をかけて降ろそうとした。
和「まっ、待てよ。自分で脱ぐから」
あくまでも男としての対面みたいなものを意識するのか。つい苦笑してしまった。
俺「大丈夫だって。俺に任せればいいんだから」
そういうのも聞かず脱いでしまう。脱ぎっぷりは良く堂々としている。
初めて見るカズヤのモノが目の前にあった。


俺「カズヤ、すごい」
カズヤのモノは、長さはそれほどでもないが太さがたっぷりある。毛が薄めなので余計際立ってデカく見える。
マジマジと眺めていると、カズヤは起き上がり俺のボクサーに手をかけた。
和「おまえのは俺が脱がさなきゃな。一緒に裸にならなきゃ俺が情けないからさ」
そう言い一気に脱がせてしまう。
お互いに膝立ちして向かい合い、それぞれが相手のモノを手に取り品定めをする。
カズヤの太さには敵うわけがない。モノ自体は女の子の手首を握った感覚に似ている。
和「おまえのきれいだな。ずっと想像していたけど、おまえらしくて予想通りだよ」
俺「想像してた?」
和「あっ…うん。最近オナニーする時に…」
そんな事をカズヤが言うなんて思わなかった。
今日のカズヤには色々と驚かされるし新しい発見もある。
2人で顔を見つめながら恥ずかし気に笑った。
和「身体もきれいだな。スベスベしてる」
しばらく俺の身体を触りながら感触を確かめていた。
触る手にぎこちなさを感じる。
俺「続きやろっか」
カズヤをゆっくり後ろに倒した。後ろに肘をついて足を広げさせる。
その間に頭を埋めて、カズヤのモノを握り舌で一舐めした。
和「えっ…そっ、そんな事するのかよ」
カズヤの言葉を無視して一気に口の中に入れた。根本へ行くほど太さが増す為、口の奥へ入れば入るほど苦しくなる。それでも舌を使いながら緩やかに頭を上下させた。
和「うっ…なんだよ、これ」
自分のモノが咥えられるのをじっと見つめながら、不思議な快感にびっくりした様な顔をしている。
段々とペースを早めていくと、カズヤも我慢できないのか背中をついて感じ始めた。
和「あぁっ…うぅ…んぅ」
ペースに合わせ声が出ているところを見ると、かなりの感じ方だ。
和「もっもうダメ…ヤバいって」
カズヤの顔が、我慢できないという様に歪み始めたところで一旦口から出した。
盛り上がった気持ちに水を差されたとカズヤは思ったかもしれないが、俺としてはイク瞬間のカズヤの顔とモノを見てみたかったのだ。


和「…もう一回乳首を舐めて欲しいな」
イク間際に止められ耐えきれなくなったのか、俺が言う前にカズヤからお強請りをしてきた。
俺はその発言に思わず笑顔になってしまう。
すばやくカズヤの足の間に座り直し、モノをシゴきながら乳首を攻めてやると、すぐに大きなコリコリとした感触が舌に伝わってきた。
カズヤは俺の肩に掴まっていたが、快感に我慢できなかったのか痛いくらいに力を入れて肩を握りしめてくる。
感じてるならば容赦などせず、手のシゴきも舌の動きも強めに攻めていく。
和「あぁ…ダメだって」
俺「じゃ止める?」
わざと意地悪な発言をして虐めてやる。
そんな返事を待つまでもなく、反対側の乳首を強く吸ってやるとカズヤは途端に声を荒げた。
和「もっもうダメだ…あぁぁ…イキそ…う」
よっぽど我慢できないのか、内股に力が入り俺の身体を挟み付ける。
和「…イッ、イクッ」
そう言った瞬間、俺は乳首をわざと強く一噛みしてから頭を上げた。
和「あぁぁぁ」
カズヤは痙攣する様に身体をピクつかせ一気に射精した。分厚い自分の胸に2度3度と長い直線を描く様に精液が飛び散る。
その間カズヤは口を開けたまま仰け反る様にして、精液の出るタイミングで声を上げていた。
出し終わった後も激しい呼吸に胸を上下させている。
俺「どうだった?」
和「ふぅ…人とやる事がこんなに気持ちいいとは思わなかった…すごい…」
カズヤの横に回り込みキスをしてやる。
目を瞑ってソフトなキスをじっと受け入れてる顔は、今起こった快感に浸っている恍惚の顔だ。
俺「いっぱい出たみたいだね」
カズヤが頭を上げて自分の上を見て驚いている。
和「げぇ、こんなに出た事今までないよ。俺ダサいな」
俺「そんな事ないさ。気持ち良かったからいっぱい出たって事だよ」
照れくさがるカズヤの胸から腹をティッシュできれいに拭き取ってやり、ようやく動ける様になると、カズヤはいきなり強引に俺を引っ張り寄せて上に覆い被さって来た。
和「今度は俺がやってあげる番だな」
俺「俺はいいよ」
そう言って拒否した。
和「なんでだよ。俺じゃダメなのか?」
まるで『ヒカルとならいいのか?』とつけ加えたそうな言い方に、俺は黙って受け入れるしかなかった。

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さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/28(木) 20:06 -
和「おまえが俺にしてくれた様にやってやるから」
そう言って乳首を優しく舐めてきた。ぎこちないもののたまに強く吸う瞬間があり、思わず吐息を漏らしてしまう。
反応の良いのが分かるとすぐに同様の攻め方をする辺りは学習能力があるって事か。
俺「カズヤ…気持ちいいよ」
少しの間乳首を舐めていたが、しばらくして俺のモノを握り顔を近づけていく。ただ、いきなりは咥えず躊躇っているように見えた。
俺「そこは無理しなくていいってば」
和「何言ってるんだよ、このくらい俺にもできるよ。心配するなって」
覚悟を決めた様にゆっくりと顔を近づけ、慎重に奥まで咥え込んでいく。やはり最初はほとんど力が入っていずに表面を緩く唇が擦っていくくらいだった。カズヤも俺の顔を見て様子を窺っている。
俺「もうちょっと強くしてみて」
除々に唇の感触が強くなっていき、中で舌が動き、感じる部分に当たり始める。
俺も感じてきてしまい、下から腰を使って奥まで入れ込む。むせ返る事もなく腰に合わせ段々と頭の動きを早めていく。
長い間タフに咥えられ、いつになく感じてしまっていた。
俺「あぁ…くぅ…カズヤ…」
和「何?」
俺「…イキたい」
その言葉に反応する様に、カズヤは鍛え上げられた太股の上に俺のケツを乗せ、前屈みになり乳首を攻めながら唾液をたっぷりとつけた手でシゴいてきた。
俺「んぁ…スゴ…」
カズヤの激しいシゴきに我慢できなくなってくる。
カズヤはさらに俺の身体を軽々と起こし、自分の太股の上に乗せ、向き合う形で再びシゴき出した。
カズヤの顔の前に突き出た乳首を吸い上げられてしまい、俺はカズヤの肩に捕まりながら必死に耐えていたがまもなく限界が近づいてきた。
俺「もうダメ…イキそう」
さらに強くシゴかれて頭の中が真っ白になった瞬間、向かい合ったカズヤの胸に一気に射精してしまった。何度も快感の声とともにカズヤの胸目がけて白液を飛ばしていく。
ゆっくりとシゴかれながら最後の1滴が出るまでじっくりとシゴかれる様子を目の当たりにして、恥ずかしさが心を覆った。
和「おまえすごいな。淫乱すぎないか?いつもこんな?」
顔前でそう言われさらに恥辱感が増す。
俺「カズヤが気持ちいい事してくれたからだよ」
ようやく顔をあげカズヤとキスをした。
俺「ホント気持ちよかった」
和「俺もだよ。初めてがシュウで良かったよ」
そう言ってしばらくキスをしていたが、カズヤの身体を俺の精液が流れ落ちているのに気づいた。すでに陰毛まで辿り着いている。
俺「あちゃ、きれいにしないと」
和「シュウが出し過ぎなんだよ」
『おまえ』ではなく、名前を使って話し出している。
俺「そう言う事言わないでくれるかな。恥ずかしいんだからさ」
カズヤの身体をティッシュで拭き取りながら、恥ずかしさを我慢する。
和「もういいよ。一緒に風呂に入ろうぜ。どうせだからこのまま抱えていってやるよ」
俺「いいってば。子供や女の子じゃないんだから」
和「へっちゃらさ」
俺の言う事は全く聞かず、裸のまま駅弁状態で抱っこされ、風呂まで連れていかれた。
和「こんなトコをコウが見たら、筋肉バカとかスポーツバカとか言いそうだな」
俺「その前に2人とも裸でしょ?キスしてるのがバレたどころの話じゃなくなるよ」
お互いに大笑いしてしまう。
一歩一歩息を荒げながらも運んでいくカズヤにしがみ付きながらも、逞しさと憧れを今まで以上に強くしてしまう。
ようやく風呂に辿り着き、一緒にシャワーを浴びて身体の隅々まで洗い流した後に風呂に浸かる。
和「もう日焼け跡の境目がなくなってきたな」
俺のケツを触りながらカズヤが言った。
何気に話した様子ではあったが、ふと日焼けの事を思い出し、夢の中から一気に現実の世界に引き戻された様だった。
『日焼け跡がなくなった』という言葉に、今後ヒカルとのつき合いも終わってしまうんじゃないかという気持ちが、心の中に一気に広がっていくのを感じていた。


和「なにボーっとしてんの?風呂で溺れんなよ」
ヒカルの事を考えていて意識が別のところに飛んでいた様だ。
俺「なんでもないよ」
和「ヒカルの事を考えてだんだろ?」
俺は答えなかった。
和「そうだよな。ヒカルがいるのにこんな事してるんだもんな…」
決して悪気がある様な言い方には聞こえない。
和「こうなったから言うわけじゃないけど、俺はヒカルと別れて欲しいなんて今は思ってないよ。何かいい方法があればいいけど。まだ話してないんだろ?」
俺「…うん」
今までタイミングが悪くなかなか言い出せなかった。ずっと先送りしたまま今日まで来たせいで、さらに話し難くなってしまっている。
和「どうしてもヒカルに話したいのか?」
俺「できれば話したくはないさ。ただ黙っているのはイヤなんだよ」
和「じゃストレートに話してみるしかないかもな」
結局誰が考えても結論はいつもそこに行き着いてしまう。
和「さ、上がろうぜ」
一緒に風呂を上がり部屋に戻る事にした。
2人でベッドに入り学校の事についての話になったが、それほど盛り上がる事はなかった。
2人ともキツい悩みを抱えているわけで、現実に戻されると楽しい気分にはなれない。
時計を見るとすでに午前2時を過ぎていた。いつしか2人とも眠りについてしまう。

次の日遅い時間に目が覚めた。
眩しい光がカーテン越しに漏れてくる。
カズヤを起こしカーテンを開けた。
俺「うわっ、眩しい!」
快晴だ。しかも雪が積もっているので太陽光が反射し、キラキラとかなり眩しい。
積もった雪が溶け初めて、どの家の屋根からも滴がかなり滴り落ちている。
一応10cmくらい積もったものの、交通機関にはそれほど影響がなかった様なので、昼ご飯を食べてから少しして帰る事になった。
カズヤはもっとゆっくりしていく様に言ったが、今日は早めに帰る事にする。
外に出て、雲一つない天気に改めて驚く。
俺にしてもカズヤの事にしても、今日の天気の様に爽やかに解決してくれないものかと思いながら家路に着いていった。


弘「終わったぁ〜!」
カズヤの家での出来事から1週間後に期末試験が始まったが、たった今無事に終わった。みんな試験が終わった事で、結果は別にして開放感に浸っている。
2年生として最後の試験というのも感慨深いものだ。ただしあと1ヶ月もすれば3年になるわけであり、それはそれで先行きに対する不安も多く感じてしまう。
不安と言えば俺とカズヤには別の不安もあるわけだ。
あれからカズヤは顔を合わせる度に笑顔を返してくれる。今までよりも2人の関係が一歩進んだ事の証しの様に感じられる。
ただお互いの悩み事は全く解決していないので、俺もそうだがカズヤも物思いに耽る事がしばしばあった。
俺自身は試験も近づいていたのでヒカルを動揺させる事はしたくなかったから、話すのならば試験が終わってからにしようと決めていた。だから、試験が終わった事に対してコウの様に明るさを表現する気にはなれなかった。
俺『終わっちゃったか…』

試験が午前中に終わり午後は休みなので、これからの予定をみんなで考えていた。
弘「これからどこか行かないか?」
豊「いいねぇ!でもその前に腹減った」
弘「俺もだよ。カズヤは?」
和「部活だよ」
弘「そうだろな」
部活の話になると、カズヤの事を考え、コウも最近はあまり捻くれた言葉を言わない様にしている。
豊「シュウは?」
俺「ごめん、待ち合わせがある」
カズヤを見ると一瞬だけ目が合った。
弘「またユタカと2人かよ。おまえら最近つき合い悪いぞ!」
俺「いいじゃん、仲良くて。羨ましいよ」
弘「本心から羨ましいなんて思っていない顔だぞ」
冗談を言いつつも今日のそれぞれの予定が決まった。4人で話しながら教室を出るが、先にコウとユカタが出たところで後ろにいるカズヤが耳打ちしてきた。
和「ヒカルと一緒に帰るのか?」
俺「…うん」
和「今日話す気か?」
俺「チャンスがあればね」
和「そっか。俺のことは考えなくていいから、ヒカルに思っている事を伝えて来いよ」
その言葉の意味がすぐには理解できなかったので答えないでいたが、コウが振り返り俺達の様子を窺っていたのでそのままになってしまった。
玄関まで行きみんなバラバラになった。一通り挨拶をして1人になったところで、急いでカズヤにメールを入れた。
俺『とりあえず自分の考えていることを話してくるよ』
すぐにカズヤから返事が来る。
和『分かった』
メールを確認しながら、ヒカルが来るまで玄関の外のベンチに座り、独りで考えていた。
『今のままだとヒカルが怒る事は目に見えてる。カズヤにもあんなことをしちゃって、これからはカズヤの事なんて知らないなんて言えば傷をつけるだけだ。ヒカルが終わったらカズヤとつきあうなんて事も今は考えられない。結果的には両方終わりって事になるだけか…』
『ヒカルもカズヤも俺の事を考えていてくれる。俺だけが優柔不断に両方を向いているなら、俺がそれに対する報いを受けるのは当たり前の事だ』
どう考えてもこの結論しか出てこないわけで、いつも通り途方に暮れてしまい頭を抱えるだけになる。
光「何してんだ〜?」
ボーっとしてて気づかなかったが、ヒカルが横に立っていた。
俺「遅かったね」
光「ホントいつも話が長いからホームルームが終わらなくて困るよ。腹減ったからなんか食いに行こうぜ」
俺「…うん」
光「なんか元気なくないか?」
俺の顔を覗き込んで言った。
俺「うん、ヒカルに話したい事があって…」
光「なに?子供でもできちゃったか?」
それには答えず呆れた顔だけしていた俺を見て、ヒカルは大笑いしてる。
光「じゃあさぁ、前にラブレターをもらった女の子とつきあい始めたとか?」
これもまた同じ様に大笑いしている。俺にはそう言う事が絶対にないと分かっているからなのかと思うが、ただその話は当たらずしも遠からずな内容かなとも考えてしまう。
光「冗談だよ。ファミレス行こうぜ。食べ終わったらゆっくり聞くから」
そう言って冴えない顔の俺の背中を押すように歩き始めた。

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 長編編集部φ(..)  - 07/6/29(金) 10:44 -
俺「試験どうだった?」
学校から自転車ですぐの所にあるファミレスに入り食事をする事になった。食べ終わった後にデザートを待ちながらの会話となる。
光「まあまあかな。前回以上かも知れないぜ」
ニコニコ顔だ。
俺「どうしちゃったの?結果が出る前にそう言えるならかなりいいはずだよ」
何がどうなったのか知らないが、ヒカルのやる気には見習うところが多々ある。
光「まぁな。結果が待ち遠しいよ」
俺「ジンじゃなくても驚くはずだよね」
デザートが運ばれてきてから、一時明るい会話が続いた。
光「ところで話って何だ?」
楽しい話が続いた中で、いきなりヒカルに問いかけられ俄かに緊張してしまう。
光「話しにくい事なのか?」
俺「うん。ちょっと…」
逃げられない事態に、深呼吸をしてなんとか気持ちを落ち着かせようとする。
光「カズヤの事だろ?」
俺が決心を固め様とする前に、ヒカルの方からズバリ言われてさらに狼狽えてしまった。
光「当たりか。それで?」
さらにたたみ掛ける様な質問に何も言えない状態が続く。
光「やっちゃったか?」
ヒカルと目を合わせた。顔はいつもと変わらないが、真っ直ぐ俺を見ている。
俺「…ごめん」
そう答えるのが精一杯だった。それ以上なにを言おうとしても言い訳にしか聞こえない様な感じがして適当な言葉が出てこなかった。
ヒカルは特に表情を変えずに黙って俺の様子を窺っている様だったが、ようやく口を開いた。
光「カズヤの事はどう思ってるわけ?」
覚悟を決めた。素直に答えるしかない。
俺「大事な友達だと思ってる。多分普通の友達以上だと…」
ヒカルはなおもじっと俺を見ている。
俺「最初はヒカルとカズヤが立ち話した内容をどうしても知りたくて、カズヤの家まで聞きに行った時にそういう事になりかけた。でもその時は拒否したんだけど、最近になって…1週間前かな…カズヤに辛い事があったみたいだから慰め様としたんだけど、その時にしちゃって……ホントごめん…謝ってもどうにかなるもんじゃない事は分かってるけど」
ヒカルは顔色一つ変えずに聞いていた。話が終わった後も目を反らさず様子を窺っている。
しばらくしてヒカルはゆっくり話し始めた。


光「あの時俺とカズヤがどんな話をしたのか詳しく聞いたのか?」
カズヤが話していた事を思い出す。多分カズヤの家に行った時に、カズヤを突き飛ばす直前に少しだけ聞いた様な気がする。
俺「たしか、カズヤが『やりたいようにする』って言ったら、ヒカルも『好きな様にしろ』って言ったとかって」
それ以外にカズヤの口から何か聞いたのか思い出してみたが、ほとんど思い出せない。というよりも全く聞いていないんじゃないかと思う。
光「それだけか?まぁ確かに間違っちゃいないさ。ただもう少し細かい話をしたんだよ。まずおまえがカズヤに憧れを抱いているらしいって事だな。それに対してカズヤもおまえの事が気にいってるって言ってたよ。カズヤも正直にそう話してた。
だから俺もシュウの事が好きだから離したくないって言ったんだよ。だったらお互い好きな様にしようぜって事で終わった。確かに俺もカズヤも意地を張って言ってたと思うぜ。その時はかなり険悪だったと思う。これが最初の日の話さ」
俺「最初の日?まだあるの?」
ヒカルは少しだけ笑って言った。
光「その後になってカズヤと偶然会った時に話をした。『シュウから何か話を聞いてるか』って聞かれた。『何も聞いてない』って答えたら、アイツが自分の家で力づくでしようとした事を話してきたよ」
ヒカルはそこで一旦話を切り、残っているデザートを食べ始めた。食べながらチラチラと俺の様子を窺っている様だ。
俺としてはその話にかなり驚いた。
カズヤはそんな事を話したなんて一言も言ってなかった。しかも何度か俺に『素直に話してみれば』って言ってたはずだ。

もう一度あの時からの出来事を思い出してみる。
ヒカルとカズヤが最初に話した後、ヒカルに強引にトイレに連れ込まれた。かなり怒っている感じだったのを覚えている。
それでカズヤに問い質したら、週末家で話す事になり、家で一悶着起こった。
その後すぐに修学旅行になって、ホテルで3人で話した事があった。確か2人の様子にヒヤヒヤしていたはずだ。
それで帰ってきてからは学園祭まで慌ただしかったのでヒカルに話せずにずっと来てしまっていた。

俺「いつ話したの?」
今までこの場で狼狽えていた事も忘れ興味津々でカズヤに聞いてみた。


光「修学旅行から帰って来てすぐくらいだったかな。偶然カズヤと2人だけになった時に話しかけられたんだ」
食べ干したデザートが物足りなかったのか、スプーンを弄びながら、ゆっくりと思い出すように話し出す。
俺は黙って聞いていた。
光「カズヤがおまえに手を出したって言った時にアイツを殴ってやりたかったよ。だから最初はおまえにも会わないでいたしメールもあまりしなかった。たださぁ、カズヤも謝っていたし、俺も好きにしろって言ってたわけだしな。段々カズヤならどうなってもいいかなって思い始めた。
だから、もう一度その後カズヤに会った時に、好きにしていいからって言ってやったんだよ。もう怒ってないって事も伝えた。
ただ俺もおまえを失うのは嫌だったからそれははっきり伝えといたよ。
カズヤもおまえと仲良くしたいって事だったから、2人で話して『後はシュウのしたい様にさせる』って事になったんだよ」
一旦話を区切り、ヒカルはデザートを追加した。
光「それでおまえは俺達の事をどう思ってるわけ?」
俺は前にあるほとんど手をつけられていないままのデザートを眺めながら、そこまで一気にヒカルが話した内容を考えてみる。
俺『2人がすでに何回も会ってそんな事まで話していたとは思わなかったし全く気づいていなかった。そう言われてみれば、カズヤもここのところヒカルの事で嫌な顔をする事もなくなっていた様に思う。
ヒカルが怒らなかった事についてはホッとしたが、ただ話を聞いてみれば、やっぱり2人とも別の相手がいる事は気分良く思ってないのが伝わってくるし、そんなの当然だ』
光「俺達が勝手に話した事だし、おまえがそれについて考える事はないんだぜ?思ってる事を言えばいいんだからさ」
考えてるのを見兼ねたのかヒカルが諭す様に言った。
俺もようやく口を開いた。
俺「俺はヒカルの事を一番大事に思ってるよ。これはホントの事。多分それはカズヤも分かってる事だと思う」
2つ目のデザートが運ばれて来たところで話が切れ、俺を見ていたヒカルも意識が別の物に移った様だ。
その間に俺は次の言葉を探していた。


俺「確かにヒカルの事が一番大事だと思ってるよ。いつになっても変わらずにね。
ただカズヤを見てると時々可哀想に思える事があるんだよ。うまく説明ができないけど…。まぁ、カズヤに憧れてたのは事実だし、今となっては言い訳にしか聞こえないのも分かってる。
ヒカルに言うのは辛いけど、カズヤとの事も決して遊びのつもりでやったんじゃないんだよ。だからヒカルに嫌われても当たり前だと思ってる…」
黙々とデザートを食べていたヒカルが言葉を挟んだ。
光「俺が一番?」
表情は変わりなく言う。
俺「うん。それは間違いないし、多分カズヤも俺がそう思ってるのは分かってると思う」
そう言ってヒカルの様子を少し窺った。視線に気づいたのか顔を上げて話し出す。
光「でもカズヤも大事って事か?」
俺は言葉にできず、とりあえず小さく頷いた。
ヒカルはそれを見て少し考えている様子だったが、しばらくして口を開いた。
光「正直言うとさぁ、俺だってやっちまったなんて聞くとショックだよ。それもかなりな」
そう思うのは当然の気持ちだ。俺の心にも突き刺さる。
俺「…ごめん」
その言葉には特に反応せず、再度残り少なくなったデザートを食べながら話し出した。
光「まぁ本心はそんなトコだな。今さぁ、おまえの口から『カズヤとは遊びでやった』とか言われたらどうしたかなって考えたけど、もしそうだったらブン殴ってたかもしれないな。でもおまえはそんな気持ちじゃない様だし、ショックはショックでも、殴るような気持ちにはならないよ」
少し間をあけたがそのまま話し続ける。
光「よく考えてみろよ。まず俺だってカズヤに真面目に話しかけられて、なんとなく許しちまったわけだよな?カズヤもカズヤで立場は理解してるんだろ?
それでおまえが俺の事を一番に思ってて、カズヤの事も大事にしたいんなら、3人ともお互いの気持ちはすべてわかってるって事だし、誰も置かれてる立場をはき違えてないわけだよな?」
考えていれば確かにその通りで、それぞれが自分の状況を把握している様に感じる。
ようやく食べ終えて、俺を見ながらさらに話す。
光「なら別にそれで良くない?俺は今まで通りで構わないし。でも1つだけ言っておきたい事があるんだよ」
急にそう言ったので俺は少し緊張した気分になった。
光「その前におまえのデザートちょうだい?」
言うが早いか、皿に手が掛かっていた。


光「食べないみたいだからもらうぜ」
そこに俺の意見など全くなく、ヒカルはデザートを引き寄せすぐに食べ始めた。
いつもは嫌味の一つも叩くところだが、今日は苦笑しながらもヒカルの様子を見ているだけにする。
ヒカルは黙って食べていたが、しばらくしてスプーンを置き俺の方を向いた。
光「俺は今後もおまえの事が変わらずに好きだからさ、おまえにも大事にしてもらわなきゃな」
そう言って笑ったが、すぐに笑顔が消え真顔になった。
光「でもいいか?一応は認めたけど、これからもし俺とカズヤの立場が逆転する様な事になったら、その時は俺とおまえが終わる時だからな」
そう言って、最近にはないキツい目でじっと俺を見た。
俺もヒカルを見ていたが、それは見返したというよりも、ただ怖さに目が反らせなかっただけだったと思う。
俺「…分かった」
ようやく一言だけ言葉を絞り出した。
ヒカルはその言葉を確認してから残りのデザートを一気に食べた。
ヒカルを見つめながら最後の言葉の重さを思い知る。
悪いのは自分だという事は充分に分かっている。ヒカルが何をしたわけでもない。それなのにこれほどの譲歩があるだろうか。
よく見ると、無心に食べているだけで、あまり味わって食べてる様には思えない。ほとんど妬け喰いの様だ。
ヒカルがキレた時の凄まじさは何度か見た事があるし、きっと今日もそうなんじゃないかと予想はしていた。
ただそんな予想に反して冷静に語っていたので、一瞬ウヤムヤになってしまうのかと思っていたが、内心はかなり苛立っている事が最後の言葉と妬け喰いに充分に込められている様な気がした。
光「あ〜食ったなぁ。このまま俺ン家まで行くか?」
俺「うん」
光「おまえのオゴリでいいだろ?」
そう言って笑いながらVサインを出している。
今日は何も言わず黙って従う事にした。

なんとなく認められてしまった3人の関係…。
この時はヒカルを宥める事に懸命になっていたので深く考える余裕すらなかったが、これ以降それぞれに対する微妙な戸惑いや駆け引きが生まれ、多分今までとは違う空気が漂っていく事になっていったと思う。

光「帰ったら早速お仕置きだな」
そんな事も今は知らず、2人でヒカルの家に向かっていった。

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 長編編集部φ(..)  - 07/6/29(金) 11:37 -
光「早く夏にならないかな」
確かにこの時期の自転車通学は寒い。先を急げば急ぐほど風が当たり寒さが身に凍みてくる。
なんとかヒカルの家に着き、部屋に入って小さなストーブに手をかざした。
ヒカルが煎れたてのコーヒーを持ってきてくれた事と、エアコンの暖かさが部屋に広がり、30分くらいでようやく体温を取り戻してきた。
さすがに食べ過ぎたせいか、ヒカルはコーヒーもほとんど飲んでいない様で、カップは手の平を暖める道具にしかなっていない様だ。
温まるまでの間ヒカルはベッドに寄りかかり、足を投げ出した形で座って何かを考えている様子で、ほとんど話もしないままでいた。
光「こっちに来いよ」
しばらく経ってから、自分の太股をパンパンっと手で叩き、俺を促す様に合図をした。
俺はヒカルの横に座り、左腿に頭を乗せ横になった。今日はあまり目を合わせたくなかったので、ヒカルの爪先の方を向く様にした。
ヒカルも俺も制服を着ていたが、そんな俺の学ランのボタンに左手を伸ばし、ゆっくりと外し始めてくる。
光「そう言えば新しい制服はどうなった?」
ボタンの上3つを外したところで俺に聞いてきた。

実は今年4月の新1年生から制服が新しくなる事が決まっていた。いわゆる『紺ブレ』だ。薄いブルーのYシャツに紺のブレザー、チェックのスラックスといった感じ。もちろん新1年生は100%この制服になるが、既存の1年2年は今までの学ランだけでなく紺ブレを着ても良い事になっている。ただ女子はともかく、ほとんどの男子生徒は誰に聞いてもそのままの学ランでいるっていう事だった。俺もそのままのつもりだったが、ヒカルの「どうしても着てる姿を見たい」っていう希望で勝手に決まってしまい、紺ブレの制服を親に頼み込んで購入する事になった。もちろんヒカルもだ。

俺「親は1年しか着ないから辞めろって言ってたけど、何とかOKが出たし、近いうちに買いに行く事になってるよ。ヒカルは?」
光「もう準備できてるよ」
俺「もう?俺が着なかったらどうしたの?」
光「絶対に着させるし。ダメなら俺がおまえの親に頼みに行くつもりだったから」
なんともヒカルらしい強引さだが、多分ヒカルの勢いからいって俺の親でも押し切られていたかも知れないと思った。
話しながらも手はシャツの首の部分のボタンを外し中に入ってきて乳首を探し出した。
冷たい手に思わずビクっとしてしまう。ただその冷たさがヒカルの今日の心を表している様な気がしたので、俺も片手を入れてヒカルの手を握り温めてやる事にした。
ヒカルも温かさを感じたのか、俺の肌と手に挟まれて手を動かさないでいたが、指先だけは乳首を弄んでいる。
しばらくして一旦手を抜き、抜いた左手で強引に俺の両頬を掴んで、自分の方に顔を向けさせた。
光「制服とシャツのボタンを全部外せよ」
かなり乱暴な言葉で言った。掴まれている顔の痛さと言葉の刺々しさに、ヒカルの気持ちが反映されている様だ。
俺は黙って自分の着ているもののボタンを外した。全部外すとヒカルは俺の顔から手を放し、学ランとシャツをゆっくりと左右に広げて上半身を露わにさせた。すでに部屋がかなり暖かいので寒さはそれほど感じない。
光「下も脱げよ。膝までな」
何を考えているのか分からないし自分だけ脱ぐのは恥ずかしいが、大人しく言うことを聞きベルトを外しズボンを膝まで下ろした。
光「全部脱ぐに決まってるだろ」
その言葉に合わせ、悪戯している乳首をちょっと意地悪く抓った。
痛さに顔を歪めながらも、少し腰を上げ履いているボクサーも膝まで下ろした。
じっくりと観察する様に上から見下ろしている。
光「あ〜あ〜情けない格好になっちゃってるな。半分着てるって姿がマジイヤらしいぜ」
そう言って俺の頭を右手で軽く持ち上げ、肌けた姿をわざと俺に見せる。
ヒカルの左手は露わになった胸から腹を撫でていて、その動きのイヤらしさに俺のモノが段々と反応して起き上がってくるのが見えた。
光「感じてんのかよ。なんだか前より男らしい身体になったみたいだな。鍛えて誰かに見せ様とでもしてたのか?」
まるでカズヤの事を言っているようなキツい言葉に心苦しさを感じてしまう。
光「勃ったみたいだな。自分でシゴいてイカせろよ」
その言葉に顔を背けながらも黙ってシゴき始めた。
一方的に脱がされた姿を見られる恥ずかしさに、除々に俺の身体にも快感が湧き上がってくる。感じてペースを速める手のスピードに合わせ、乳首を攻める激しさにも度合いが増してきて絶頂へと誘導されていく。
俺「ヒカル…そろそろヤバい」
俺が無意識に握った手の力と速さを加えた時、いきなりヒカルに右手を捕まれてしまった。イク寸前だっただけに虚しさが心に広がる。
光「自分だけ先にイク気かよ」
そう言いながら俺のヒクついたモノを眺めて、イカなかった事を楽しむように笑った。
ヒカルは自分でベルトを外し膝まで脱ぐと、再度俺の頭を太股に乗せた。
光「しゃぶれよ。奥までな」
俺のシャツの中から背中に左手を回し、自分のモノに近くなる様に身体を手繰り寄せ、右手で髪の毛を鷲掴みにして咥えさせた。
不自然な体勢に首や肩が痛んだりする事や、ヒカルの右手で強引に奥まで咥えさせられ咽る寸前までいく事にも耐えしゃぶり続けると、ヒカルの口からも快感の吐息が漏れてきた。
光「…やべぇ」
髪を掴む右手も乱暴になり、左手も俺の背中からケツまでを掻きむしる様に爪を立てている。
今日のヒカルには全く優しさが感じられなかった。俺を乱暴に扱い落としめる事と、快感を登り詰めていく事だけを考えている様に思えてならなかった。


光「もう我慢できなくなってきた。起きあがれよ」
俺を起こし、今自分が座っていたところに俺を座らせた。
ヒカルは立ち上がって下を全部脱ぎ捨て、俺の上に跨いで立った。
光「上を脱げよ」
自分でも学ランとシャツを脱ぎながら俺に指図する。俺は上半身裸になりベッドに凭れかかった。
まっすぐ伸ばした俺の足の上に座り俺と向かい合わせになると、一睨みした後右手で2本掴んで一気にシゴき出した。
力づくでシゴいていくだけで、その他の部分は全く触りもしない。考えてみたら今日はキスすらしていなかった。
ただ俺もヒカルもさっきまでの攻めで限界近くになっていた為、イクまでにそれほど時間がかからなかった。
光「クっ…そろそろイクぜ、いいな?」
俺「…俺も」
ヒカルの手に力が入ったところで、俺はヒカルのケツの割れ目に右手を添え、左腕は首に回してヒカルを引き寄せた。
俺とヒカルの頬同士が密着したところで2人とも絶頂に達した。
光「ウっ…ウゥゥっ」
ヒカルは俺の耳元で絞り出す様に低い声を出した。それと同時に俺も果てた。
どっちの物か分からないが、幾度となく胸や腹に精液がかかる感覚が続く。
その感覚がなくなった後、ヒカルは精液が着くのも気にせず俺に凭れかかってしまった。呼吸の荒さが密着した身体を通してはっきりと伝わってくる。
少しして息も整ってきてから言った。
光「あ〜いっぱいくっついちまったな」
ようやく身体を離して、自分の胸や腹に着いた精液を虚し気に見た。
急いで2人の身体をきれいにする。
光「なんか感情剥き出しでやっちゃったか?」
そう言って俺の顔を覗いてキスをしてきた。今日初めてのキスはいつもより新鮮に感じられた。しばらく2人でキスの味を確かめあう。
俺「ヒカルとずっと一緒にいたいから」
光「当然だろ。俺だってさ。勝手におまえに貴重な時間を潰されちゃ困るからな」
俺「うん、時間がなくなっちゃうからね」
光「なんだよその言い方は。もう一度言ってみろよ」
俺「はい、俺達には時間がない!」
光「それだよな」
キスをした辺りからいつものヒカルの感覚に少し戻った様な気がした。肌で感じる温もりとは別の、心からの温もりを感じ出す。
光「もう一回しようぜ?今度はケツに…」
俺「ダメだよ。今のだってヤバいと思ってたのに、家族いるんでしょ?バレちゃうじゃん」
光「なんだよつまんないなぁ。今度必ずな」
そう言い俺の頬を引っ張る。渋い顔をしながらも俺は少しだけ気が晴れたように思えた。


光「春休みにおまえン家に行っていいか?」
帰りがけにスニーカーを履いている時に、背中越しにヒカルが呼び止めてきた。
俺「うん、いいよ。でもラブホの方がいいかな」
光「おまえイヤらしくない?」
俺「そうかなぁ。家だと声が聞かれちゃうしラブホなら気を遣わないかなと思って。最近ヒカルが激し過ぎるからさぁ」
光「そんな事はないだろ?今までのなんかまだまだ序の口だよ」
まだ今まで以上があるって言うのか…。溜め息が出てくる。
俺「ヒカル最近少しだけ怖い」
光「どんなトコが?」
俺「うーん、前は乱暴なトコと優しいトコが混ざってたけど、最近エッチしてる時は乱暴なだけみたいな…」
光「そうかぁ?別にそんなつもりはなかったけどな。なら少しは優しくするよ」
ヒカルの顔が若干曇った様だったので、明るくしようと思い、薄笑いしながら探るようにヒカルに聞いてみた。
俺「俺もまた入れていい?」
光「えっ?冗談だろ?」
俺「本気だけど?あの時はやってみてヒカルに悪いって思ったけど、やっぱり時間が経ってみるとまたやってみたくなってきた」
光「おまえ、俺が断れない事を知ってるんだろ」
一瞬『そんな事はないはず』って思ったが、よく考えてみると、俺の事に関しては自分の考えを無理強いするが、俺がヒカルにお願いした事に対してはあまり拒否した事がない様に思えた。確かに断れない性格なのかもしれない。
俺「そういうわけじゃないけど、ヒカルの激しさを体験してる分、逆にしたくなるっていうか…」
そう言って少しヒカルの様子を窺ってみる。
光「まぁ、なんかあった時のご褒美にって事ならな」
条件付きでも割合簡単にOKが出た事にちょっと驚いたが、ともかくヒカルに笑顔で答えた。
俺「じゃ楽しみにしてるから」
そう言って手を振りヒカルの家を出た。

バスで家に向かう。すでに5時を過ぎていたが、少しずつ日が延びてきたようで、この時間でもまだ充分明るい。
ヒカルにカズヤの事を話した同じ日に、ヒカルに入れる事をお願いしたのは無謀だったかもしれないが、すんなり受け入れてくれた。
カズヤの事を話してどうなる事かと思ったが、とりあえずは最悪の状況にはならなかった事に心からホッとした。
ただ今後のつきあい方が複雑になっていく事は想像がつく。特にカズヤとの関係が難しくなってくる。
『帰ったらカズヤにメールしなきゃ』
富士山に沈んでいく夕日を見ながらそう思っていた。

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さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/29(金) 12:20 -
俺「ただいま」
家に帰り、食事と風呂を済ませてから部屋でカズヤにメールをした。
夜10時を過ぎてからようやく返事が届いた。
和『ヒカルから聞いたのかぁ。ヒカルと話をしたのは事実だよ。俺とシュウが今の関係になった後にヒカルがどうするかまでは聞かなかったけど』
俺『どうして話した事を黙ってたの?』
和『知ってた方が良かったか?シュウが自由に動き易いと思ったから黙ってたんだけど』
俺『そうかもね。ヒカルもそう言ってた。ただ俺にはカズヤがヒカルと何回も話してたなんて驚きだった』
和『まぁな、ヒカルって話してみたら最初のイメージとはかなり違ったんだよ。意外に相手に気を使うところがあるみたいだから、話し易いっていう感じかな。それで結果はどうだった?今メールしてるって事はヒカルに殺されずに済んだか(笑)』
冗談なのか、それとも殺されるはオーバーとしてもどうにかなるかもしれないって考えていたのだろうか。
俺『今度ゆっくり話すけど、今まで通りって事みたい』
和『そうか!良かったな。シュウの悩みが消えて良かったよ』
俺『とりあえず話した事は良かったけど、全体的なものが良かったかどうかはまだわからないよ。ところでカズヤの悩みは解決しそう?』
和『俺のはまだまだだけど頑張るさ』
俺『そうだね。じゃまた学校で詳しく話すよ。お休み』
そうやりとりをして終わった。
俺との仲がどうなるとか、今からどうしていくかとか、特に聞かれる事はなかったので考え込む必要もなかった。聞かなかったのは、カズヤ自身の部活の悩みが大きかったからなのかもしれない。

試験休みの週明けに登校した。
この時期は特に授業もあるわけではないが、今日は午後までいろんな事で拘束されてしまう。
昼休みにいつものようにヒカルと会う約束をしていた。
今日は珍しくグラウンドへ出て時間を潰す予定だ。というのも、昼休み前の授業の終わる時間がいつもより早いと聞かされていたので、昼休み自体がかなり長くなり、だったらたまには外に出ようって事になったのだ。
さらに、天気予報で今日はかなり暖かいという予想だった為もある。
待ち合わせ場所の玄関まで来たが、俺の方が早かった様だ。外に出てすぐ脇のベンチに座って待つ。
確かに予報通りで風もなく暖かい。桜が咲くまではまだだがそれでもこの時期としては心地良い。
ベンチでボーっとしているとヒカル以外の声が後ろから聞こえてきた。どうやら俺を呼んでいる様だ。


?「先輩!久しぶりっス」
慌てて声のする方を振り返って見た。
一瞬誰か分からなかったがすぐに思い出した。カズヤの家で会った事のある、ラグビー部の後輩のツヨシだ。
俺「あぁ、久しぶりだね」
剛「いくら呼びかけても答えませんでしたが、大丈夫っスか?」
俺「えっ?あぁ、そうだったんだ、気づかなかったよ。座れば?」
剛「はい」
気を遣っている様子だったが、少し申し訳なさそうに俺の横に座った。
最初に会った時の印象と同じ様に、相変わらず爽やかな雰囲気が漂っている。
俺自身部活もやっていないし、1年生の仲の良い奴なんて全くといっていいほどいない。こうしてみると俺にとっては初めてゆっくり話す1年生って事なのかも知れない。
剛「何してたんですか?」
俺「待ち合わせだよ。そっちは?えーっと、ツヨシ君だっけ?」
剛「名前覚えてくれてたんですね。ちょっと嬉しいっス。ツヨシでいいですよ、呼び捨てで」
そう言って笑った顔は益々爽やかだ。俺も自然に笑みが出る。
剛「外で昼飯食べようと思ってダチを待ってるところっス」
俺「そっか。部室で食べたりするの?」
剛「いいえ。部室は昼休みも先輩達が来ますし、とても入れないっスよ」
俺「やっぱり先輩は怖い?」
剛「そうっスね。優しい先輩もいますけど。カズヤ先輩なんかはみんなに優しいっス」
カズヤの名前が出てきたところで、不意に聞いてみたくなった。
俺「最近部活はどう?」
唐突に聞かれたので、ツヨシもちょっと考えている様だ。
剛「練習は厳しいですね。でも俺はラグビーが好きだから気にならないっスけど」
俺「ラグビー部ってみんな仲いいの?」
剛「先輩と後輩がって事ですか?」
俺「それもだけど、2年生の中でとか…」
そう言われてツヨシはちょっと考えている様子だった。俺に言えなくて困っているのだろうか、少しだけ真面目な顔になった。
俺「なんとなくさぁ、カズヤから聞いてるんだよね。多分俺だけに話したのかも知れないけど、カズヤと他の2年の奴で揉めてるらしいじゃん」
一応話を誘導してそれとなく聞いてみる。
剛「そうですね…」
再度考えるような顔をしたが、決心がついた様に俺を見た。
剛「俺が話したってできれば言わないでくださいね。1年はみんなカズヤ先輩を慕っているんですけど、多分2年生の何人かとは最近あまりうまくいっていない様ですね」
俺「2年って何人いるの?」
剛「10人くらいっス」
俺「そのうちの何人くらいと仲が良くないの?」
剛「4人かな…」
俺「どんな奴?」
剛「人数は少ないっスけど、割合キツい事を言う先輩達かな…。あぁ、俺が言ったなんて言わないで下さいね!」
俺「大丈夫だよ。約束するから」
剛「はい。他の先輩達は何も言わない人が多いから、いつもカズヤ先輩と4人の先輩とでぶつかるって感じっスね。でもその4人の先輩達はみんなフォワードなんで重要だし、なんとか纏まってくれればいいんスけど…」
ちょうどその時に友達が来た様でツヨシは立ち上がった。
剛「じゃ俺行きます」
俺「うん。今の話は絶対に内緒にしておくから」
剛「お願いします。またゆっくり話したいです」
俺「そうだね。じゃ!」
ツヨシが走って行き友達と合流するのを見ながら、ラグビー部のメンバーの事を考えていた。
光「あれ誰だ?」
いきなり耳元で声がしたので飛び上がってしまった。振り返るとヒカルが怖い顔をして立っていた。
俺「ビックリするじゃん!いつからいたの?」
光「今来たところだよ。別にビビる事はないだろ?それともなんかヤマシイ事でも話してたのか?」
俺「そんなんじゃないよ。ラグビー部の1年だよ。ちょっと部活の事とかを聞いていただけだよ」
光「またカズヤの事か?」
俺「カズヤが部活の事で悩んでるから、どんなもんか聞いてみたんだよ」
光「ふ〜ん、気にいらねぇな」
そう言って歩いていってしまった。
ヒカルの態度に少し呆れてしまうが、ヒカルの気持ちが分からないわけでもないし、このまま放っておくわけにもいかず後を追う事ににした。


俺「ヒカル!待てってば!」
いくら呼び止めても全く無視して歩き続けていく。
まっすぐ抜ければいつもの帰り道である裏門に向かうが、手前を右に曲がり一応はグラウンドの方に向かった。
前もって昼休みはグラウンドで日向ぼっこをする約束だったので、強ち一方的に無視してるわけでもない様だが、それにしても俺の声が聞こえているはずなのに、ヒカルは振り向こうともせずに足早に歩いていく。
やっぱりカズヤの絡んだネタに対しては敏感に反応するのだろうか。そうだとすれば今後が思いやられる。
仕方なく、無理に追いつく事はせず、等間隔を保ちながら後ろをついて行く事にした。
剣道や柔道に使われる道場を抜け、左手に体育館を見ながらさらにまっすぐ進んだ。その向こうには部室があり、そしてグラウンドだ。もうすでにグラウンドが見えてきている。
どこまで行くのかと思っていたら、ヒカルは体育館を過ぎた所でいきなり立ち止まった。
何故か理由がわからなかったが、とりあえず追いついたのでホッとする。
俺「ヒカル!いいかげんに機嫌をなおし…」
光「しっ!」
人差し指だけを立てた手を口にあてるポーズ。『静かにしろ』っていう合図だ。
なんだかわけがわからなかった。
俺「何?」
光「静かにしろって!」
そう言って、とある方向を指さした。
体育館と部室の間には、体育や部活に使う用具を収納する倉庫がある。ヒカルが指さしたのはその方向だ。
俺「どうしたの?」
俺は囁く様にヒカルに聞いた。
光「中で話してる」
中途半端な答えなので俺には理解できなかったが、よく見ると倉庫の入り口が少しだけ開いていて、中から聞き取れるかどうかわからないくらいの話し声が聞こえてきている。
エッチでもしてる声が聞こえるんじゃないかと思ったが、そうじゃないらしい。
はっきりとは聞こえないが何か揉めている様子だ。たまに罵声が混じる。
俺「誰がいるのかな」
光「俺が見たのは3人だな。1人はカズヤだった。あとはラグビー部の奴らだよ」
俺「カズヤなの?」
カズヤと聞いて驚いた。さっきのツヨシの話が思い浮かんだ。
俺「揉めてるなら止めにいった方がいいんじゃない?」
ヒカルの顔を見たが何か考えている様子だ。
光「おまえの話の通りなんだな。でも俺達が行ってカズヤのプライドを傷つける事にならないか?」
言われてみるとその通りなのかもしれない。
どうしたら良いのか考えていると、中から人が出てきたので、慌てて2人で隠れた。


俺「どうしようか」
ヒカルと隠れて見ていたが、出てきたのは予想通り同級生のラグビー部員3人だった。俺達とは反対側に歩いて行ったので見つからずに済んだが、カズヤは一向に出てこない様だ。
俺「本当にカズヤが入って行ったの?」
光「間違いないよ。おまえ行ってやれよ」
そんな事を言われても、カズヤになんと声をかけたら良いのか思い浮かばない。
俺「一緒に行こうよ。なんか自信ないし」
光「俺が行ったらトラブルの元になるだろ?」
俺「今は大丈夫でしょ」
光「そうだけど、もし中でカズヤが落ち込んでたりしたら、そんな姿を俺に見られたくないって思うだろ?おまえだけがいいよ」
ヒカルの言う事はその通りかもしれない。
でも俺としては1人だと心許ない事もあったが、この際3人で会ってみてお互いの蟠りをなくしたりだとか、悩みを共有できれば良いかなと思い、何としてもヒカルを引っ張っていきたかった。
俺「いいから一緒に行こうよ」
強引にヒカルの手を掴んで倉庫に向かおうとした。
光「やっぱヤだって。苦手だよ」
ヒカルは嫌な時には怒ってでもきっぱりと断るが、今はそれよりも弱気な感じに写る。
光「なんで俺が行かなくちゃならないんだよ」
俺「俺がカズヤのトコに行ったら、残ったヒカルがどういう事を考えるか俺にはだいたいの想像がつくからだよ。ヒカルが行かないなら俺も行かない」
ヒカルは少し気に入らない顔をしたが、ようやく折れた様だ。
光「わかったよ」
なんとかヒカルを説得して、2人で倉庫の入り口の前まで来た。
僅かに開いたドアからは、ボールをついたり壁にぶつけたりする音が聞こえてきている。
ドアに手をかけてゆっくりと開けた。
中からはジンワリと湿った独特の雰囲気が伝わってくる。どうして体育倉庫はこうもジメジメするのかと一瞬考えたが、すぐに気持ちを現実に戻した。
薄暗かった部屋も、ドアを開けた事で明るい光りが入り込み、少し見えやすくなる。
見回すと、カズヤは一番奥にいてこちらに背を向ける感じで、平均台の上に座っていた。
少し頭を俯き加減に下に向け、ハンドボールを抱えている。
俺「カズヤ」
小さく呼んだ俺の声に反応してカズヤは振り向いた。
俺とヒカルを交互に見る目が少し潤んでる様に感じられた。

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 長編編集部φ(..)  - 07/6/29(金) 18:26 -
和「なんだよ、2人揃って」
何事もなかった様にカズヤは俺達に話しかけてきた。
俺「偶然カズヤが見えたから、どうしたのかと思って」
和「なんでもないさ」
俺「ちょっと声が聞こえたけど、また部活の事で揉めてた?」
カズヤは答えずに黙っているだけだ。
俺「あまり悩まなくてもいいと思うよ。カズヤが悪いわけじゃないって俺は思ってるから」
和「気休めはいいよ」
俺「そんな事ないさ。多分さっきここにいた奴らだけが捻くれてるだけだよ。他のみんながカズヤについていくならそれでいいんじゃない?」
和「団体スポーツはそういうわけに行かないよ。それに俺がキャプテンになったからかなって最近思ってるし」
いかにもカズヤらしく完璧を求める感じの答えだ。
光「じゃ辞めれば?」
今まで黙っていたヒカルがいきなり言ったので、俺もカズヤもびっくりしてヒカルを見た。
光「おまえが辞めたければ辞めた方がいいよ。そうすればみんなが纏まるならそうした方がいいだろ?」
いかにも棘がある言い方だ。
和「そうだな。でもおまえには言われたくないよな。大して部活の中の事なんて分からないだろうし」
光「そっかぁ?外から見てても分かるよ。纏められないなら他の奴にやってもらえば?簡単じゃん」
なんだか急激に険悪な雰囲気になってきてしまった。俺は2人の勢いに押されて、ただ見ているだけだ。
カズヤはそれ以上口を挟もうとはしなかったので、ヒカルも言葉を返す必要もなく、しばらく3人で立っているだけって感じだった。
光「外で待ってるからな」
そう俺に言ってヒカルは出て行こうとしたが、ドアの前で最後にカズヤに向かって言った。
光「俺にシュウの事を話してきた時には、俺に合わせて妥協したりとかしてたから、もう少しできる奴かと思ってたよ。じゃあな」
なにか冷たく言い捨てる様な感じの言葉を残して出て行った。
俺「相変わらず口が悪くてごめんね」
和「シュウが謝る事じゃないさ。でもヒカルは今怒ってる感じだったか?」
そう言われてみれば、キレてるのとは何か違うような雰囲気だった様な気が確かにする。
俺「言葉はキツいけど、キレてるってほどでもなかったと思うけど?」
和「そっか」
そう言ってカズヤは何かを考える様な顔をしている。ヒカルの言葉に腹を立てている様でもなさそうに見えた。


和「もういけよ。ヒカルが待ってるだろ?」
ほとんど話もしないのにヒカルと俺に気を遣っている感じだ。
俺「そうだけど。カズヤを認めてくれる人の方が多いみたいだし、辞める事なんてないよ。俺は今まで通りでいいと思うし。きっとみんなカズヤについて行くさ。でもさっき何話してたの?」
和「些細なことさ」
俺「俺にも話せない?」
和「まあな。話したら情けない奴みたいだろ?」
やっぱりカズヤのプライドなのか…。
俺「別に俺なら気にする事ないじゃん?お互いもっと恥ずかしい事したしね」
笑ってみせると、カズヤも理解したのか薄笑いしている。
和「あれはまた別の恥ずかしさだな。どっちも男として恥ずかしい面があるよな」
俺「話して楽になるなら聞くよ?それともやりながら話そうか?恥ずかしさを全部出すみたいな」
カズヤはさっきよりもさらに笑顔になったが答えなかったので、俺の方から切り出した。
俺「じゃ決まりね。いつ?」
和「チョ、ちょっと!別に決まりなんて言ってないだろ?」
俺「いつもそっち方面は俺が困るくらい積極的じゃん?イヤになった?」
和「そうじゃないけど、ヒカルに話してから時間が経ってないだろ?だからなんかな…」
俺「でもカズヤが話したいならすぐの方がいいでしょ?2人の方が話しやすいし」
和「まぁな。じゃ家に誰もいなくなる日を調べてみるよ」
俺「うん。でもたまには俺ン家に来る?」
ちょっと考えてる風だ。
和「今は辞めとくよ」
何で今はダメなのか理由を言わなかったが、カズヤは拒否した。
俺「わかった。じゃ近いうちカズヤの家でね。できるだけ早く」
和「そうだな。ありがとな。てか早く行けって。ヒカルがキレるぞ?」
俺「一緒に出ようか?ヒカルと3人で話さない?」
和「それも今は辞めとく。ヒカルにありがとうって言っといてくれればいいよ」
俺「分かった。じゃまた後でね」
そう言って倉庫を出た。

グラウンドに出てヒカルを探した。一番奥のベンチに座っているのが見えたので急いで合流する。
俺「待った?」
光「おせーよ」
意外にサバサバした顔をしている。カズヤのイザコザがあったおかげで、なんとなくツヨシとの事も忘れてしまっている様だ。
俺「悪かったね。カズヤがヒカルにお礼を言っといてだってさ」
光「ふぅ〜ん」
ヒカルはそう言って遠くの方を見ていた。
俺「わざとあんな事をカズヤに言ったんでしょ?」
光「わざとって?」
俺「『辞めれば』なんて言えばカズヤが発奮すると思って」
光「知らねぇよ」
目も合わさず反対側を向いてしまった。そんな態度を見てるとなんとなく笑ってしまう。
俺「意外に優しいんですね〜。ヒカル君はカズヤ想いなんだもんね〜」
ちょっとふざけて言ってみたが、気にいらないのか俺の顔を睨みつけた。
光「そんな事ねぇよ。本心からそう思ってたから言っただけだし」
そう言うものの、顔を見れば想いは別だという事は明らかだ。
俺「ヒカルにお礼を言ってたって事は、きっとヒカルの優しい気持ちも伝わったはずだよ」
『それなら良かった』とでも言いたかったのかも知れないが、それについては特に何も答えなかった。
しばらく無言でいたが、改めてヒカルが話し始めた。
光「同級生にあんなキツい事言われるところに出くわしたら、おまえの話が嘘じゃないって事も分かったし、おまえがカズヤを可哀想っていう気持ちも少しだけは理解できるかな」
俺「そう?そう言えばさっき玄関で話してたラグビー部の後輩にも、その辺の話を聞いていたんだよ。1年は誰も文句も言わずカズヤを慕ってるみたい。逆に2年はあまり口を挟まないらしいから、カズヤと2年の4人がぶつかり合って、全体的に暗い雰囲気にしてるって事らしいよ。カズヤも完璧主義なところがあるからね。でもみんながカズヤ寄りならそれほど深く悩むことはないかも知れないよ。そこントコを今日は話せなかったけど、今度カズヤに話してやろうかと思ってるけどね」
光「それでいいんじゃねぇの」
このさり気ない同意の言葉に、ヒカルの優しさが込められている様な気がした。
俺やカズヤに対して、全く考えていずにただ怒っているだけの様に見えても、実際には心の中では相手に気を遣ったり思いやったりしているのがすぐに分かる。またそうでなければ俺とカズヤのつき合いを許すわけもない。
ヒカルの心の広さと気配りは、仲良くなればなるほど深く感じられてくる。最近のカズヤ自身も、ヒカルのそういったところに気づいたのかも知れない。
光「何ニヤニヤしてんの?」
考え事をしてるのを見られた様だ。
俺「別に〜」
そう言ってヒカルを見て笑った。
光「ところでさぁ、さっきなんでカズヤとおまえの2人だけにしたか分かるか?」
質問の真意が読めず、しばらく回答に苦慮していた。
光「1つ媚を売っといて、次は俺の番って事だからな」
俺「えっ?」
光「物分かりが悪いな。俺とおまえだけでいたいって事だろ!」
さっぱり分からない。
俺「今こうしているでしょ?」
光「それだけで済むと思ってるのかよ!カズヤと2人だけにしてやった分、久々に本格的にやりたくなったんだよ。最近ヤッてなかっただろ?」
俺『あ〜そういう事か…』
俺は少し呆れた顔をした。
光「なんだよ!その顔は」
俺「媚なんて売らなくてもいつでもOKでしょ。いつにする?」
光「じゃすぐ」
俺「じゃ春休みに入ってから泊まりに来る?家族はみんな出かけるから誰もいないし」
光「なんでいねぇの?」

1つ上の兄貴が都内の大学に進学する事になり、一人暮らしをする事になった。一人暮らしといっても、父親が都内での仕事もある為、時々泊まれるようにと、ある程度部屋の数があるマンションに住む事が決まっていた。俺が大学に行く時にも、そこから通う事ができる様になっている。すでに引越しは済んでいるが、春休みは家族みんなでそこに何日間か泊まる事になっていた。

俺「…って事でみんな出かけるからさ」
光「おぅ!そうしようぜ。誰もいないなら、いろんなことをして声を上げても構わないわけだし、何でもできるよな?」
俺「まぁそうだけど…何をする気?」
光「色々だよ」
俺「酷い事はしないでよ」
光「えっ?何言ってるか聞こえないなぁ〜。俺がやりたい事をやって、おまえはついてくるだけだろ?」
そう言って、両耳を掌で塞ぎながら、ニタニタとイヤらしく笑っている。
そんなバカげた顔をマジマジと見ながら、さっき思い浮かべていたヒカルの気配りや思いやりの気持ち等は、すべて撤回したくなっていた…。


俺「早かったね」
短い春休みに入り、家にヒカルがやってきた。一方のカズヤからはあれ以来特に連絡がないままだった。
光「急いで来たからな。それにしてもサブっ!」
今日もバイクで来たが、やっぱりこの時期でもまだ寒い。ヒカルの家から俺ン家までバイクで30分くらいだが、実際には海抜にして300mも上ってくる。気温にして4〜5℃くらいは必ず低い。
俺「いきなり風呂入っちゃう?」
光「いいねぇ〜」
まだ昼過ぎだが誰もいないし何をしても自由だ。急いで風呂を沸かす事にした。
光「一緒に入ろうぜ」
俺「うん」
脱衣所でお互い全裸になり鏡に向かう。
光「白くなっちまってつまんねぇの。おまえも競パン跡が丸っきりなくなったし。他の奴に比べて黒いって思ってたけど、気がつかないうちに結構白くなるって事だな。冬は日焼けマシンで焼いてみるか?」
俺「やだよ。トースターや魚焼きグリルみたいじゃん」
光「いいだろ?ちゃんと料理してやるし、きれいに食ってやるからさ」
俺「なにそれ。怖いから遠慮しとく」
そんな事を話しながら湯船に浸かった。
お互い向かいあって浸かったり、少し湯船の縁に座ってみたり、長々と風呂を楽しむ。
2時間近くも経ってようやく風呂から部屋に戻った。
適度に暖房が効いていたので、軽装のまま2人でベッドに転がった。
俺「いつまでいるの?」
光「家族はいつ帰ってくる?」
俺「週末だから4日後かな」
光「じゃ3日いるよ」
厚かましいと思う事もなく、伸び伸びと気軽に言えるヒカルに頼もしさを感じる。
俺『ずっといてくれるって事か』
素直に嬉しくなる。
俺「ところでクラスはどうなった?」
光「おっ、そうそう!また同じ棟になったよ」
俺「良かったね!ジンとかはどうなの?」
光「あいつらまた別棟だよ。なんでだろな、最後の学年くらい一緒にしてくれればいいのにな」
ジン達3人のうち、1人だけは別のクラスになったらしい。
光「とにかくおまえと一緒の棟で良かったな。いつでも会いやすいし」
学校の行事などでは、棟単位での行動になる事が頻繁にあるので何かと便利だ。
俺「ヒカルがそばにいてくれて嬉しいよ」
言葉を発した俺の唇に、ふいにヒカルはそっと唇を重ねてきた。

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さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/29(金) 19:30 -
光「知らないうちに1年か」
唇を離して上から俺を見ながら唐突にヒカルが言った。
俺「なにが?」
光「俺とおまえが仲良くなってからさ。覚えてないのか?」
俺「忘れるわけないよ。スタートの図書館からね」
今考えれば、よくあんなトコで裸になれたもんだと思う。
今でもあの時の事を鮮烈に覚えている。それまでのヒカルの性格からいって、まさかこんな事になるなんて考えもしなかった。
俺「よく1年も続いたもんだね」
光「おまえが俺のわがままを聞いてくれるからだな」
そう言って固く抱きしめられた。
俺「んぐっ、苦しいってば!」
ずっと抱きしめられ、ほとんど声が出なかったので伝える事ができなかったが、俺自身は分かっている。すべてはヒカルの大らかさだ。なにがあっても動じず受け止めてくれるヒカルの心の広さが、ここまで続いた要因なのは分かっている。
ようやく解放され向かい合った。俺の顔のすぐ近くにヒカルの顔があり、長い髪が顔にかかりくすぐったさを感じる。
俺『洗い晒しの髪でいる姿なんて俺だけが見れる姿かな』
そんな事を思うと、幸せを感じずにはいられない。
俺「まだ外は明るいね」
光「だから?」
俺「エッチには早いかなって…」
光「えっ?おまえもうやりたかったの?」
嫌味な顔をしながら俺を覗き込んだ。
俺「別にそんな事ないけど…」
俺はちょっと拗ねて見せる。
そんな俺を見て笑いながら、俺の右手を取って自分の股間に導いた。固いモノの感触がそこにあった。
光「そんな顔するなよ。俺だってもう我慢できなくなってるだろ、なっ?」
ヒカルの意地悪な言葉に対して、わざと顔を背け様とすると、頭を押さえつけられキスをされた。
イヤらしく舌だけで攻められ俺も舌を出すと、俺の舌を激しく舐めつけてきた。舌だけをお互いに絡ませる。
こんな淫乱なキスは初めてだ。一年経っても全く飽きさせず、新たな快感が沸き上がってくる。
光「そういえば濡れ濡れになっちまうんだったな。せっかく風呂に入ったんだし、早く脱ごうぜ」
お互いに着てる物を脱いで全裸になり、再び身体を重ねた。
もう一度キスをした後、全身を舐め始めた。いつもの様に念入りに舐め尽くされる。
特に乳首を念入りに攻められ、思わず声を荒げ身体を捩った。
光「いつも通り敏感だな。俺のを握っていろよ」
モノを握ってシゴいてやると、乳首の攻めに感じて手に力が入ってしまうのが気持ち良いのか、ヒカルのモノから先走りが出てきて指を濡らし始めるのが分かった。


俺「ヌルヌルしてるね」
今日のヒカルはいつもより先走りが多い様に感じられた。
光「おまえだって自分のを見てみろよ」
頭を上げると、乳首を攻められただけにも関わらず、すでに腹の上とモノの先端とで糸を引いているのが見えた。
光「まぁ、おまえの場合はいつもの事だけどな」
そのまま身体を入れ替えお互い横向きになり、69の形でお互いのモノを咥え出した。
ヒカルのモノは相変わらず長く、腰を使われると喉の奥まで入り込み思わず咽そうになってしまう。
俺自身も、ヒカルの暖かい唇に包まれイヤらしい音を立てられただけで、さらに先走りをたくさん出す事になった。
俺も負けじとヒカルの一番感じる亀頭の付け根の裏筋の部分を、舌の先で突く様に刺激したり舐め上げたりする。
光「…ん…うぅ…気持ちいいな、うまくなってる」
実際に1年経ってみると、ヒカルのフェラもかなり微妙なタッチと絶妙な吸う力で、それだけでも飽きさせず、前よりもかなり進歩している事がわかる。お互いの身体を知り尽くした上で、さらに1つ上の快感へと誘って行く。
しばらくこの状態の攻めが続いたが、家に着いて時間が経っていない状況での最初のエッチだからなのか、ヒカルに乱暴さは全くと言っていいほど感じられない。
目を開けると、キュンと上がった玉の向こうに、以前俺が入れた事のある穴が見えた。ゆっくりと指を伸ばし入り口を軽く刺激してやる。
それに反応したのか、腰で俺の喉奥までモノを押し込んできた。嫌がっているのか感じているのかどちらか分からないものの、苦しさを我慢しながら俺は穴を強めに刺激してやった。
堪らずにヒカルは俺のモノを吐き出し、自分も俺の口から引き抜いた。序盤は俺の勝ちってところか。
光「なんだか今日の俺おかしいな。すげぇ感じてる」
俺「久々だからかな?」
光「このくらいまでならそんな前でもないだろ?確か俺ン家でやった事と同じだよな。まぁ、いいさ。入れたくなったから仰向けになれよ」
可愛いくらいの素直な発言だ。
俺『ヒカルだって俺と同じ歳なんだし、いつも余裕で攻められたら困るよ』
そう思いながら仰向けになって膝を立てた。
俺「俺も久しぶりだしゆっくり解してね」
光「うん、わかった」
そう言って俺の足の間に座り、たっぷりとローションをつけた指をゆっくり感入してきた。緊張はしていたが、意外に楽に奥まで入った様だ。ヒカルも徐々に指の本数を増やしていく。
光「大丈夫か?」
俺「…うん」
ヒカルは再度69の体勢になり、自分のモノを俺の口に入れてきた。やや固さがなかったものの、口の中ですぐにハチ切れんばかりに固く大きくなる。
俺の中に入れた指はそのままで、無言で俺にゴムを渡す。それを取り急いでヒカルのモノにつけてやった。
ヒカルも足の間に移り、俺のケツを少し持ち上げる様にして、穴の入り口にモノを当てた。そしてゆっくりと挿入する。
入り口はやっぱり辛いものの、中に入ってゆっくりと奥まで進めてくれたのでそれほど痛みはなかった。
光「大丈夫みたいだな」
そう言うと俺の両足を肩に抱え、腰を前後させ始める。
しばらくはヒカルの顔に余裕があったものの、段々と感じてくるのが分かる様に目が虚ろになり、呼吸も荒くなってきていた。
俺『やっぱり一度目だから早めなのかな…』
光「すげぇいいよ…ヤバイくらい吸いつく感じ…」
かなり早いペースになってイクんじゃないかと思った時に、一旦動きを止めた。
光「俺だけイクのもイヤだしな。ちょっと四つん這いになれよ」
そう言ってヒカルはベッド脇に立ち、俺はヒカルにケツを向ける様にベッドの上で四つん這いにさせられた。しばらく俺のケツを眺めている様なので恥ずかしくなってしまう。
光「いいポーズだよ」
ヒカルがベッド脇に立つと、ベッドの上で四つん這いになった俺のケツの高さと丁度良い様だ。その状態で再度ヒカルに一気に突かれた。
俺「んぁああ…んン…ああぁぁ」
この体勢だとキツさがあり、かなりの声が出てしまう。ヒカルもその声に反応する様にかなりペースを早める。
有り余った力を使った動きに、俺は気が遠くなる様だった。


俺「ぐっ…ヒカル…スゴ過ぎ…」
そんな俺の言葉は無視する様に、俺の上半身をお越し身体を密着させ、俺のモノをシゴき上げてきた。
腰の動きはさらに激しくなる。
光「我慢でき…あっ…やべぇ」
もう一度俺を四つん這いにさせ腰をガッツリ掴み、最後の激しい動きを見せた。
光「ぁぁあっ…あっ、イっ、イクぜっ」
激しく腰を動かした後に、一気に奥まで入れて密着させたかと思うと、俺の中に放出した様だった。
何度も腰を動かすタイミングで精液を吐き出しているって事が雰囲気で分かる。
すべてを出し尽くしたのか、俺の背中にガクっと凭れかかってきた。
そのまま、風呂から持ってきたタオルを俺の下に敷いて、抜かずに俺のモノをシゴいてくる。
ほどなく俺も絶頂に達した。
俺「ヒカルっ!イクっ!あぁぁ」
一気にタオルに精液をまき散らした。相変わらずかなりの量が出ている。ヒカルも分かっているので、最後の一滴が出終わるまでシゴきを止めないでいる。おかげで何度も勢いよく飛ばす事になった。
光「おまえホントスゴいよな。乳搾りみたく何度でもピュッピュッて出るんだもんな。しかもすげぇケツの締め付けだぜ。今度俺がイク前に何度もイカせてやるか」
四つん這いで呼吸を荒げる俺の頭越しに、ジョークともつかない様な言葉を投げかけてくる。
光「このままもう一回続けてみるか?」
俺もヒカルもなぜか出した後でもなかなか萎えないのがいつもの事なので、ヒカルのモノもケツの中で充分固いままだ。
俺「3日いるなら、慌てなくてもいいでしょ?」
ようやく呼吸を整えてヒカルに話した。
光「まぁ、そうだな。チャンスはいくらでもあるか。じゃ抜くぜ」
俺「ちょっと待って!ゆっくりだからね」
光「はいはい」
今日はゆっくりと抜いてくれた。
片づけをして、もう一度風呂に入り、夕食を済ませた。その後部屋に戻りゲーム等をして一日目の夜を過ごす。
俺「もう1時過ぎたから寝ようか」
光「そうだな」
まっすぐベッドに向かった。
ヒカルとゆっくりするのは夏休み以来だとか、寒いクリスマスの日もあったけどあれはゆっくりできなかったとか、そんな話をする。
光「明日はどこかへ出かけるか?」
俺「花粉症にとってこの時期に外に出るのは辛いね」
光「薬飲めばどうだ?」
俺「外に出る事自体があまりね」
光「じゃ俺が守ってやるから決まり〜」
俺「どこかへ行きたいの?」
光「特に決めてないよ」
ヒカルらしい計画性のない答えだと思った。


俺「ヒカル?起きてる?」
時計を見たらすでに朝10時を過ぎている。昨日は話をしながらいつのまにか眠りについてしまった。
抱き合って寝ていた様だ。ただこれはいつもの事で、明け方ウトウトしながらお互いに背中に手を回して抱きしめたり、相手を引き寄せたりするので、目覚めた時はこの形になっている事が多い。密着している分、目覚めた時には自然と相手を起こす事になるわけだ。
俺「ねぇ、ヒカル?」
光「ん〜、もう少しだけ…」
ヒカルも疲れているのかもしれないし、俺の家で寛げるならそれはそれで幸せな事だとは思う。
1人で1階に下り食事をする。ヒカルの分も作っておき、先に風呂に入って部屋に戻った。
やっぱりまだ寝ていて起きる気配はない様なので、しばらく本を読む事にして時間を潰した。
結局ヒカルが起きたのは3時過ぎてからだった。
光「何時?」
ヒカルは時計を見てガックリとうな垂れた。
光「なんで起こしてくれなかったのさぁ」
俺「起こしたけど、もうちょっとって…」
そう言って枕元に座ると、強引に身体を引き寄せられた。
おはよう…って時間でもないが、寝起きのキスをする。
光「起こしてくれなかった罰だな。しゃぶれよ」
俺「起こしたって言ってんのに」
光「ダメ!いいからしゃぶれよな」
仕方なくベッドの上に大の字に寝ているヒカルのスウェットとボクサーを下ろし、すでにギンギンに勃ち上がったヒカルのモノを舐め始めた。
ヒカル自体は枕元に置いてあった雑誌を読んでいるのか、顔が雑誌に隠れていて表情が全く掴めない。
光「いい感じだよ。頑張れよー」
脳天気な声だけが聞こえてくる。
亀頭の先から後ろの穴まで、まずは入念に舌を這わせていく。
周りを充分に舐めつくした後、本格的にモノを喉の奥まで含み、ストロークを使いゆっくりと頭を上下させた。
ヒカルは全く声を発しないので感じているのかどうかも分からないが、構わず徐々にペースを上げ一所懸命しゃぶった。
どのくらいやれば良いのかと思った瞬間、ヒカルは俺の髪を左手で掴むと頭を上げ、右手で2、3度激しくシゴくと、俺の顔に向けて一気に射精した。いわゆる顔射だ。

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さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編...
 長編編集部φ(..)  - 07/6/29(金) 19:43 -
光「あーあー、勢いで顔にかけちゃったよ。可愛い顔が台無しだな」
俺の顔をマジマジと見ながらそう言った。
俺「分かっててやったんでしょ?」
光「まぁな」
いつもの様にニタニタ笑っている。
俺「早く拭き取ってよ」
顔をきれいにしてもらったが、結局2人で風呂に入る事にした。
風呂から上がり、ヒカルは軽い食事を摂ってから部屋に戻る。
それからしばらくはゲーム等で時間を潰し、8時くらいに外食を済ませて家に戻ることにした。食事中に家族から連絡があり、1日早く明日戻ってくる事になったので、ヒカルも明日の昼過ぎに帰る事になった。
俺「また遊びにくればいいさ。ヒカルならいつでも来れるでしょ?」
光「そうだな」
しばらくはゲームを再開するが、対戦ゲームでのヒカルの弱さは相変わらずだったので、このまま続けると熱くなってしまうと思い適度に負けてやる事にした。勝って喜ぶヒカルを横目に見ながら、俺としてなにかヒカルに勝てる物があるとすれば、このゲーム以外にないのかも知れないなんて少し寂しく考えたりもしていた。
その後俺は先にベッドに入り本を読んでいたが、ヒカルは1時間ほどゲームを続けていたが、それも飽きたのかようやく辞めて、いきなり部屋の電気を消しベッドに入ってきた。
俺「本を読んでたのに!明かりをつけてよ」
光「いいだろ?少し暗くして話でもしようぜ」
エッチかとも思ったが話とはちょっと驚きだった。ここは敢えて反論せず従う事にする。
ヒカルはチラッと時計を見た。
光「12時を回ったし、まずは誕生日おめでとうだな」
そっか、今日は俺の17回目の誕生日。17回目にして初めて祝ってもらえる誕生日って事だ。

俺の誕生日は毎年が春休みなわけで、今まで同級生に祝ってもらうなんて事がほとんどなかった。毎年やって来る誕生日が、俺にとっては一番友達に会わない時でもあった。友達に『誕生日いつ?』って聞かれて、この時期である事を話した時の友達の様子を窺うと『じゃ会えないや』みたいな顔をされる事が多かったので、無意識に隠していた事もあった。俺にとって寂しい思い出しかない誕生日。いつからか自分でも誕生日前にアピールする事もなくなり、どうでもよくなってしまっていた。

今年はヒカルがそばにいてくれる。人生の中でも一番心に残る誕生日かもしれない。
俺「黙ってたのに分かってたの?」
光「当たり前だろ。忘れるわけないさ」
俺「そっか。ありがと」
光「あー、プレゼント渡さなきゃ」
そう言ってベッドから出ようとしたので、ヒカルの腕を掴んで止めた。
俺「暗いし後でいいから。それよりしばらくここにいて?」
光「うん。わかった」
しばらくベッドの中で無言でヒカルに抱きしめられていた。実際の温もりもそうだが、心から包んでくれる様な心地良い包容力に浸っていく。
光「俺達って4月からつき合いだしたじゃん?そん時にはどうなるかと思ったし、おまえの誕生日まで持つかなって思ってたけど、なんだかんだでここまで来たよな」
俺「そうだね。時間がないなんて言ってたけど、やっぱり早かったような気がするね」
光「そうだな。色々あった様なそうでもない様な。何にも変わってない様な気もするな」
俺「そうかな?ヒカルは変わったよ」
光「どんな風にだ?」
俺「最初は無口だし、堅物みたいだったかな。いつも怒ってる感じで。俺何人に『どうやって友達になれたんだ』って聞かれたか分かんないよ。それが今じゃ俺の前では明るいし頼れる存在だもんね。今でもみんなに堅物って思われてるでしょ?」
光「そうでもないみたいだぜ?俺はおまえに変えられたってジン達に言われてんだから。この間担任にも言われたよ」
俺「担任になんて言われたの?」
光「最近やる気が違うってさ。『好きな女でもできたか?』だとさ」
俺「あはは、なんて答えたの?」
光「当たり〜って言っといたよ。でも俺にとってはそう言われるのは嬉しい事なんだからな」
そう言って笑うヒカルは暗がりの中でも分かるくらい明るいノリで話している。
俺「最初に玄関で会った時は怖かったのにね。最初って言えば図書館ではビックリしたよ。でも嬉しかったなぁ」
光「なんか勢いでやっちまったよな。でも少しずつエッチなことも覚えて行ったし」
俺「でもその後さぁ、謹慎になった時にはどうしようかって思ったよ。退学にでもなったら会えなくなっちゃうってね」
光「おまえ怒っちゃってさ。ジンとどうしようかって寝ないで作戦練ったんだぜ?」
俺「そうだったの?笑える」
光「ここで初めてバックをやった時も俺緊張してたよな」
俺「そうかなぁ、すごいSだったし余裕ある様に見えたけど?」
光「んな事ないさ。ここに入れればいいのかって戸惑ってたよ。ただすげぇ気持ち良かったのを覚えてる」
俺「ははっ」
2人で笑ってしまった。
光「夏休みもここで一緒だったし、2学期も色々あったけどクリスマスも一緒だったしな」
俺「あん時はヒカルに入れちゃったしね」
光「あれは特別!めでたい時だけだからな」
俺「たまにはいいよね?」
光「たまにはな。おまえの苦労が俺にも分かったよ」
そう言ってヒカルにキツく抱きしめられた。
光「やっぱりいろんな事があったな」
俺「そうだね。ヒカルと一緒にいると時間が経つのが早く感じるよ」
振り返ってみれば、かなりのスピードで駆け巡って行った様に感じる。
俺「もう3年生だね」
光「あと1年でどんなになってるんだろうな。来年もこの日にこうしていられるのかな」
ちょっと真面目な声になっている。
俺「いてくれなきゃ。寂しい誕生日を迎えるのはイヤだよ」
光「分かってるさ。またここでこうやって1年間の反省会をしような」
俺「うん。必ずね」
ヒカルに頭を寄せて熱いキスをしばらく交していた。
俺「ヒカル…やりたい」
光「…うん」
薄暗い部屋の中でもヒカルの頷く顔がはっきりと見えた…。


さよならの向こう側には…【涙の受験編、中編】までは終わりです。後篇以降は本編の方で楽しんでください。

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